ケンタウルス座アルファ星

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ケンタウルス座アルファ星 A / B / C
データ
元期 J2000
星座 ケンタウルス座
赤経 14h 39m 36.5 / 35.1s
赤緯 -60°50′02 / 13″
視等級 (V) -0.01 / 1.34 / 11.05
特徴
スペクトル分類 G2 V / K1 V / M5.5 Ve
色指数 (B-V) 0.65 / 0.85 / 1.97
色指数 (U-B) 0.24 / 0.64 / 1.54
変光星 - / - / 閃光星
アストロメトリー
視線速度 (Rv) -21.6 km/s
固有運動 (μ) 赤経: -3,678.19ミリ秒/
赤緯: 481.84ミリ秒/年
年周視差 (π) 747.23 ± 1.17ミリ秒
距離 4.365 ± 0.007 光年
(1.338 ± 0.002 パーセク
絶対等級 (MV) 4.38 / 5.71 / 12.9
詳細
質量 1.100 / 0.907 / 0.1 M
半径 1.227 / 0.865 / 0.2 R
光度 1.519 / 0.500 / 6 ×10-5 L
表面温度 5,800 / 5,300 / 2,700 K
金属量 130 - 230 %(太陽比)
年齢 5 - 6 ×109
連星のデータ
伴星 ケンタウルス座アルファ星 B
公転周期 (P) 79.24
軌道長半径 (a) 17.59″
離心率 (e) 0.516
軌道傾斜角 (i) 79.24°
昇交点 (Ω) 204.87°
近星点 元期 (T) 1,955.56
他の名称
α Cen, Rigil Kentaurus, Rigil Kent, Toliman, Bungula, FK5 538, CP (D) −60°5483, GC 19728, CCDM J14396-6050

ケンタウルス座アルファ星 A Gl 559 A, HR 5459, HD 128620, GCTP 3309.00, LHS 50, SAO 252838, HIP 71683, LCC 0020 A

ケンタウルス座アルファ星 B Gl 559 B, HR 5460, HD 128621, LHS 51, HIP 71681, LCC 0030 B

ケンタウルス座アルファ星 C(プロキシマ

V645 Cen, LHS 49, HIP 70890, LCC 0010
Template (ノート 解説) 天体PJ
ケンタウルス座アルファ星の位置

ケンタウルス座アルファ星は、ケンタウルス座恒星。三重連星で、ケンタウルス座で最も明るい。実視等級は-0.01等と明るく、全天で3番目に明るい星である。また、太陽系から4.37光年しか離れておらず[1]、最も近い恒星系でもある。現在も秒速25kmで太陽系に近付いており、およそ25,000年後には3光年まで接近する。

目次

[編集] 連星系の特徴

太陽と比較したケンタウルス座アルファ星の大きさと色

主星(A星)は太陽に似た黄白色の主系列星で、スペクトル型は太陽と同じG2V[2]。表面温度はおよそ5,800K。一方、スペクトル型がG型なので、絶対等級では4.3等となる。太陽と比べて質量は約10%、半径は約23%大きく[3]、太陽よりも少し明るい(太陽は4.8等)。約22日で自転していると考えられている[4]

第1伴星(B星)は太陽の0.28倍の光度を持つ橙色の主系列星で、スペクトル型はK1V[2]。太陽と比べて質量は約10%、半径は約14%小さい[3]。約41日で自転していると考えられている[4]。B星はA星よりも強いX線を放射している[5]。AとBの最短距離は11AUで、公転周期は79.91年。表面温度はおよそ5,300K。

第2伴星(C星)はプロキシマとしても知られており、距離は4.22光年。プロキシマの名称は、ラテン語で「最も近い」という意味であり、太陽系に最も近い恒星であることから来ている。A/Bのペアから13,000AU(0.2光年)離れており、公転周期は100万年にも及ぶ。スペクトルタイプはM5V[2]赤色矮星。表面温度はおよそ2,700K。質量は太陽の約0.4倍。この星は「ケンタウルス座V645星」というくじら座UV星型の変光星閃光星)でもある。

A・Bを合わせた実視等級は-0.27等で、シリウスカノープスよりは暗いがアルクトゥルスよりは明るい。A星単独だと-0.01等で、-0.04等のアルクトゥルスに次ぐ明るさとなる。なおB星単独では1.33等で、21番目に明るい。

太陽からA・Bの共通重心までの距離はそれぞれの星までの距離とほとんど変わらないので、これらを単一の天体とみなすこともできる。

[編集] 観測

A・Bは22秒角しか離れていない[6]ため、肉眼では2つの星として識別するのは難しいが、双眼鏡か5cm程度の望遠鏡があれば容易に可能である[7]

ケンタウルス座アルファ星とベータ星(ハダル)を結んだ線の延長上にみなみじゅうじ座があることから、2つの星は南の指極星とも呼ばれる。

日本では沖縄以南でないと見られない。南緯33度以南では周極星になる。

プロキシマはA・Bから南東に2.2度ほど離れている[8]。これは満月の約4倍で、アルファ星とベータ星の間隔の約半分である。プロキシマは、通常13.1等の暗赤色の星だが、時折11.0等から11.09等くらいまで急激に増光する[2]。何人かの天文学者やアマチュア天文家が、光学望遠鏡と電波望遠鏡でプロキシマの増光を監視している[9]

[編集] 呼称

学名 Alpha Centauri(略号 α Cen)を日本語で呼び変えた場合の名称であり、アルファ・ケンタウリとそのまま呼ばれることも少なくない。

リギル・ケンタウルス或いはリジル・ケンタウルス(Rigil Kentaurus、意味は「ケンタウルスの足」)もしくはリギル・ケント(Rigil Kent、Rigil Kentaurus の略形)、トリマン(Toliman、意味は「ぶどうの蔓の射手」)、ブングラ(Bungla)という固有名があり、特に「リギル・ケンタウルス」と「トリマン」はこぐま座α星を「ポラリス」あるいは「北極星」と呼ぶのと同様によく使われる。また「ケンタウルス座α星」や「アルファ・ケンタウリ」という呼び名も多く使用されている。

[編集] リギル・ケンタウルス

20世紀の中頃、航海暦において再命名されたものが、1980年代に恒星の位置の表示が1950年分点 (B.1950.0) から2000年分点 (J.2000.0) へ元期の変換が行われた際、主に英語圏の星図星表類に記載されるようになったものである[10]。以後、英米では星座解説書等他の文献でも見られるようになった[11]が、この情勢は日本には伝わっていない。そのため、日本ではいまだこの星を固有名で呼ぶ慣習が根付いておらず、翻訳書や一部[12]の書籍で用いられている程度であり、依然としてバイエル名のままというのが現状である。

出自・語源
固有名として使われ出したのは20世紀になってからのことだが、星名そのものはかなり古くから存在している。
アラビアではこの星のことを رجل قنطورسRijl Qanṭūris; リヂル・カントゥーリス、「ケンタウルス(座)の足(の星)」の意)と呼んでいた。明らかにギリシア星座に由来するものであり、アッ=スーフィーの星図や「ウルグ・ベグの星表」に見られる。このうち、「ウルグ・ベグの星表」のラテン語訳本のハイド版(1665年)で Rigjl Kentaurus と音訳され、更にベイリー版(1843年)において現行の Rigil Kentaurus となった。

[編集]

  1. ^ Visual binary orbits and masses post Hipparcos, Staffan Soderhjelm, Astronomy and Astrophysics 341 (January 1999), pp. 121–140.
  2. ^ a b c d Research Consortium on Nearby Stars, GSU (2007-09-17). “The One Hundred Nearest Star Systems”. RECONS. 2007-11-06 閲覧。
  3. ^ a b Kervella, Pierre; Thevenin, Frederic (2003-03-15). "A Family Portrait of the Alpha Centauri System". ESO. 2008-06-06 閲覧。
  4. ^ a b Bazot, M., Bouchy, F.; Kjeldsen, H.; Charpinets, S.; Laymand, M.; Vauclair, S. (2007). “Asteroseismology of α Centauri A. Evidence of rotational splitting”. Astronomy and Astrophysics 470: 295?302. DOI: 10.1051/0004-6361:20065694.
  5. ^ Robrade, J., Schmitt, J.H.M.M., Favata, F. (2005). “X-rays from α Centauri - The darkening of the solar twin”. Astronomy and Astrophysics 442 (1): 315?321. DOI: 10.1051/0004-6361:20053314. 2008-06-27 閲覧。
  6. ^ Van Zyl, Johannes Ebenhaezer (1996). Unveiling the Universe: An Introduction to Astronomy. Springer. ISBN 3540760237. 
  7. ^ Hartung, E.J.; Frew, David Malin, David (1994). “Astronomical Objects for Southern Telescopes”. Cambridge University Press. 
  8. ^ Matthews, R.A.J. (1993). “Is Proxima really in orbit about α Cen A/B?”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 261: L5.
  9. ^ Page, A.A. (1982). “Mount Tamborine Observatory”. International Amateur-Professional Photoelectric Photometry Communication 10: 26.
  10. ^ たとえば、Sky Atlas 2000.0Uranometria 2000.0
  11. ^ この頃から、略してリギル・ケント(Rigil Kent) と表記されるようにもなった。
  12. ^ 日本を代表する星図作成者である中野繁の手になる『標準星図2000』(1995年、第2版:1998年)では英語圏の情勢を反映してか「リギル・ケンタウルス」とある(ただし、初版の第23図・第24図では「リギル・ケンタウス」と誤記されている)。また、石田五郎は雑誌『ニュートン』に掲載していた「新・星の歳時記」などで「リギル・ケント」としており、宮本正太郎は著書『宇宙の広さは測れるか』(1985年)の中で「リジル・ケント」としている。その他、『星座大全』を代表とする藤井旭の著書ではリギルケンタウルスという名称が用いられている。

[編集] 外部リンク