ケンタウルス座アルファ星

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ケンタウルス座α星[1]
Alpha Centauri
星座 ケンタウルス座
視等級 (V) -0.1[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α) 14h 39m 36.204s[1]
赤緯 (Dec, δ) -60° 50′ 08.23″[1]
赤方偏移 -0.000074[1]
視線速度 (Rv) -22.3km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -3608 ミリ秒/年[1]
赤緯: 686 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 742ミリ秒[1]
距離 4.39光年[注 1]
(1.35パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) 4.252[注 2]
Position Alpha Cen.png
ケンタウルス座α星の位置
別名称
別名称
Rigil Kentaurus
Rigil Kent
Toliman, Bungula
FK5 538[1], HD 128620J[1]
SAO 252838[1]
■Project ■Template
ケンタウルス座α星A[2]
視等級 (V) -0.01[2]
位置
元期:J2000.0[2]
赤経 (RA, α) 14h 39m 36.49400s[2]
赤緯 (Dec, δ) -60° 50′ 02.3737″[2]
赤方偏移 -0.000082[2]
視線速度 (Rv) -24.6km/s[2]
固有運動 (μ) 赤経: -3679.25 ミリ秒/年[2]
赤緯: 473.67 ミリ秒/年[2]
年周視差 (π) 754.81± 4.11ミリ秒[2]
距離 4.32 ± 0.02光年[注 1]
(1.32 ± 0.01パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) 4.379[注 2]
物理的性質
半径 1.227 R[3]
質量 1.100 M[3]
自転周期 約22日[4]
スペクトル分類 G2V[2]
光度 1.519 L[3]
表面温度 5,790K[3]
色指数 (B-V) +0.71[5]
色指数 (U-B) +0.24[5]
年齢 48.5億年[3]
別名称
別名称
CD -60 5293[2]
HD 128620[2], HIP 71683[2]
HR 5459[2]
LTT 5806[2]
■Project ■Template
ケンタウルス座α星B[6]
視等級 (V) 1.33[6]
位置
元期:J2000.0[6]
赤経 (RA, α) 14h 39m 35.06311s[6]
赤緯 (Dec, δ) -60° 50′ 15.0992″[6]
赤方偏移 -0.000069[6]
視線速度 (Rv) -20.7km/s[6]
固有運動 (μ) 赤経: -3614.39 ミリ秒/年[6]
赤緯: 802.98 ミリ秒/年[6]
年周視差 (π) 796.92± 25.90ミリ秒[6]
距離 4.09 ± 0.14光年[注 1]
(1.25 ± 0.04パーセク)[注 1]
絶対等級 (MV) 5.837[注 2]
物理的性質
半径 0.865 R[3]
質量 0.907 M[3]
自転周期 約47日[4]
スペクトル分類 K1V[6]
光度 0.500 L[3]
表面温度 5,260K[3]
色指数 (B-V) +0.88[5]
色指数 (U-B) +6.88[5]
年齢 48.5億年[3]
軌道要素と性質
軌道長半径 (a) 17.59″
近点距離 (q) 11AU
離心率 (e) 0.516
公転周期 (P) 79.24年
軌道傾斜角 (i) 79.24°
昇交点黄経 (Ω) 204.87°
前回近点通過 1,955.56
別名称
別名称
CD -60 5483B[6]
HD 128621[6], HIP 71681[6]
HR 5460[6]
LTT 5807[6]
■Project ■Template


ケンタウルス座α星は、ケンタウルス座で最も明るい恒星で全天21の1等星の1つ。

特徴[編集]

恒星が3個ある三重連星である。太陽系から4.39光年しか離れておらず[注 1]、最も近い恒星系でもある。太陽系に近付いており、およそ25,000年後には3光年まで接近する。

太陽と比較したケンタウルス座アルファ星の大きさと色

主星(A星)は太陽に似た黄色の主系列星で、スペクトル型は太陽と同じG2V[7]。太陽よりも少し明るい(太陽の絶対等級は4.85等[7])。

第1伴星(B星)は橙色の主系列星。B星はA星よりも強いX線を放射している[8]

第2伴星(C星)はプロキシマという名称で知られており、地球からの距離は4.22光年[注 1]。プロキシマの意味は、ラテン語で「最も近い」という意味であり、太陽系に最も近い恒星であることから来ている。プロキシマはA/Bのペアから13,000AU(0.2光年)も離れており、公転周期は100万年にも及ぶ。

太陽からA・Bの共通重心までの距離は、それぞれの星までの距離とほとんど変わらない。

惑星系[編集]

2012年10月にHARPSの観測により、ケンタウルス座α星Bを公転する太陽系外惑星が発見された。これは、太陽系に最も近い惑星である。下限質量は地球の1.13倍。主星に近い軌道を周回しているため、生命が存在する可能性は低いと考えられている[9][10]

ケンタウルス座α星Bの惑星
名称
(恒星に近い順)
質量 軌道長半径
天文単位
公転周期
()
軌道離心率 半径
b > 1.13 ± 0.09 M 0.04 3.2357 ± 0.0008 0.0

観測[編集]

A・Bは22秒角しか離れていない[11]ため、肉眼では2つの星として識別するのは難しいが、双眼鏡か5cm程度の望遠鏡があれば容易に可能である[12]

ケンタウルス座α星とβ星を結んだ線の延長上にみなみじゅうじ座があることから、2つの星は南の指極星とも呼ばれる。

日本では沖縄以南でないと見られない。南緯29度以南では周極星になる。

プロキシマはA・Bから南東に2.2度ほど離れている[13]。これは満月の約4倍で、α星とβ星の間隔の約半分である。何人かの天文学者やアマチュア天文家が、光学望遠鏡と電波望遠鏡でプロキシマの増光を監視している[14]

名称[編集]

学名 Alpha Centauri(略号 α Cen)を日本語で呼び変えた場合の名称であり、アルファ・ケンタウリとそのまま呼ばれることも少なくない。

リギル・ケンタウルス(あるいはリジル・ケンタウルス、Rigil Kentaurus、意味は「ケンタウルスの足」)もしくはリギル・ケント(Rigil Kent、Rigil Kentaurus の略形)、トリマン(Toliman、意味は「ぶどうの蔓の射手」[15]、または「ダチョウ」[16])、という固有名がある。

リギル・ケンタウルス[編集]

20世紀の中頃、航海暦において再命名されたものが、1980年代に恒星の位置の表示が1950年分点 (B.1950.0) から2000年分点 (J.2000.0) へ元期の変換が行われた際、主に英語圏の星図星表類に記載されるようになったものである[注 3]。以後、英米では星座解説書等他の文献でも見られるようになった[注 4]が、この情勢は日本には伝わっていない。そのため、日本ではいまだこの星を固有名で呼ぶ慣習が根付いておらず、翻訳書や一部[注 5]の書籍で用いられている程度であり、依然としてバイエル名のままである。

出自・語源
固有名として使われ出したのは20世紀になってからのことだが、星名そのものはかなり古くから存在している。
アラビアではこの星のことを رجل قنطورسRijl Qanṭūris; リヂル・カントゥーリス、「ケンタウルス(座)の足(の星)」の意)と呼んでいた。明らかにギリシア星座に由来するものであり、アッ=スーフィーの星図や「ウルグ・ベグの星表」に見られる。このうち、「ウルグ・ベグの星表」のラテン語訳本のハイド版(1665年)で Rigjl Kentaurus と音訳され、更にベイリー版(1843年)において現行の Rigil Kentaurus となった。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b c d e f g h パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算(誤差も同様)、光年はパーセク×3.26より計算。各有効桁小数第2位
  2. ^ a b c 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。有効桁小数第3位
  3. ^ たとえば、Sky Atlas 2000.0Uranometria 2000.0
  4. ^ この頃から、略してリギル・ケント(Rigil Kent) と表記されるようにもなった。
  5. ^ 日本を代表する星図作成者である中野繁の手になる『標準星図2000』(1995年、第2版:1998年)では英語圏の情勢を反映してか「リギル・ケンタウルス」とある(ただし、初版の第23図・第24図では「リギル・ケンタウス」と誤記されている)。また、石田五郎は雑誌『ニュートン』に掲載していた「新・星の歳時記」などで「リギル・ケント」としており、宮本正太郎は著書『宇宙の広さは測れるか』(1985年)の中で「リジル・ケント」としている。その他、『星座大全』を代表とする藤井旭の著書ではリギルケンタウルスという名称が用いられている。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m SIMBAD Astronomical Database”. Results for * alf Cen. 2013年1月20日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p SIMBAD Astronomical Database”. Results for HR 5459. 2013年1月20日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j Kervella, Pierre; Thevenin, Frederic (2003年3月15日). “A Family Portrait of the Alpha Centauri System”. ESO. 2013年1月20日閲覧。
  4. ^ a b Bazot, M.; Bouchy, F.; Kjeldsen, H.; Charpinets, S.; Laymand, M.; Vauclair, S. (2007). “Asteroseismology of α Centauri A. Evidence of rotational splitting”. Astronomy and Astrophysics 470: 295?302. doi:10.1051/0004-6361:20065694. 
  5. ^ a b c d イェール輝星目録第5版
  6. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p SIMBAD Astronomical Database”. Results HR 5460. 2013年1月20日閲覧。
  7. ^ a b Research Consortium on Nearby Stars, GSU (2007-09-17). “The One Hundred Nearest Star Systems”. RECONS. http://www.chara.gsu.edu/RECONS/TOP100.posted.htm 2013年1月20日閲覧。. 
  8. ^ Robrade, J.; Schmitt, J.H.M.M., Favata, F. (2005). “X-rays from α Centauri - The darkening of the solar twin”. Astronomy and Astrophysics 442 (1): 315?321. doi:10.1051/0004-6361:20053314. http://adsabs.harvard.edu/abs/2005A&A...442..315R 2008年6月27日閲覧。. 
  9. ^ “Planet Found in Nearest Star System to Earth”. ヨーロッパ南天天文台. (2012年10月16日). http://www.eso.org/public/news/eso1241/ 2012年10月18日閲覧。 
  10. ^ “最も近い恒星系に地球大の惑星…研究チーム発見”. 読売新聞. (2012年10月17日). http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20121017-OYT1T00521.htm 2012年10月18日閲覧。 
  11. ^ Van Zyl, Johannes Ebenhaezer (1996). Unveiling the Universe: An Introduction to Astronomy. Springer. ISBN 3540760237. 
  12. ^ Hartung, E.J.; Frew, David Malin, David (1994年). “Astronomical Objects for Southern Telescopes”. Cambridge University Press 
  13. ^ Matthews, R.A.J. (1993). “Is Proxima really in orbit about α Cen A/B?”. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 261: L5. http://adsabs.harvard.edu/abs/1993MNRAS.261L...5M. 
  14. ^ Page, A.A. (1982). “Mount Tamborine Observatory”. International Amateur-Professional Photoelectric Photometry Communication 10: 26. http://adsabs.harvard.edu/full/1982IAPPP..10...26P. 
  15. ^ 原恵『星座の神話 - 星座史と星名の意味』恒星社厚生閣、1975年、126頁。
  16. ^ Paul Kunitzsch; Tim Smart (2006). A Dictionary of Modern star Names: A Short Guide to 254 Star Names and Their Derivations. Sky Pub. Corp.. p. 27. ISBN 978-1-931559-44-7. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • NASA”. The Nearest Star. 2013年1月20日閲覧。