イオン化エネルギー

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元素順の第一イオン化エネルギー。アルカリ金属で最も小さく、希ガスで最も大きくなる周期的な変化が見られる。

イオン化エネルギー(Ionization energy、電離エネルギー、イオン化ポテンシャルとも言う)とは、原子イオンなどから電子を取り去ってイオン化するために要するエネルギー[1]。ある原子がその電子をどれだけ強く結び付けているのかの目安である。

気体状態の単原子(または分子の基底状態)の中性原子から取り去る電子が1個目の場合を第1イオン化エネルギー(IE1)、2個目の電子を取り去る場合を第2イオン化エネルギー(IE2)、3個目の電子を取り去る場合を第3イオン化エネルギー(IE3)・・・(以下続く)と言う。単にイオン化エネルギーといった場合、第1イオン化エネルギーのことを指すことがある。

\rm M(g) \rarr M^+ (g) + e^-  IE1
\rm M^+(g) \rarr M^{2+} (g) + e^-  IE2
\rm M^{2+}(g) \rarr M^{3+} (g) + e^-  IE3
イオン化エネルギーの一覧 kJ/mol
元素 第1 第2 第3 第4 第5 第6 第7
Na 496 4,560
Mg 738 1,450 7,730
Al 577 1,816 2,744 11,600
Si 786 1,577 3,228 4,354 16,100
P 1,060 1,890 2,905 4,950 6,270 21,200
S 999 2,260 3,375 4,565 6,950 8,490 11,000
Cl 1,256 2,295 3,850 5,160 6,560 9,360 11,000
Ar 1,520 2,665 3,945 5,770 7,230 8,780 12,000

イオン化エネルギーの一般的な傾向は、sp軌道の相対的エネルギーとともに、電子の結合に対する核電荷の効果を考えることによって説明できる。

原子核の正電荷が増すにつれ、与えられた軌道にある負に荷電した電子はより強いクーロン引力を受け、より強く保持される。ヘリウムの1s電子を除去するには水素の1s電子を除去するよりも多くのエネルギーを必要とする。

\rm H(g) \rarr H^+ (g) + e^-  IE1=313kcal/mol
\rm He(g) \rarr He^+ (g) + e^-  IE1=567kcal/mol

周期表の同じ周期の中で最高のイオン化エネルギーは希ガスのものであり、希ガスは安定な閉殻(closed shell)電子配置をもつといわれる。

主量子数の値が小さい内殻電子のイオン化エネルギーは価電子に比べ数倍大きい。たとえば電子3個のリチウムではIE1は5.39eV であるが、1sからのIE2は35eVである。2s軌道の電子は1s軌道の電子ほど強く保持されていない。

最低のイオン化エネルギーは周期表の左端にある第1族元素のものである。これらの原子のひとつから電子1個を除くと希ガス原子と同じ閉殻電子配置を持つイオンになる。

どの原子からも最も容易に失われる電子は最高エネルギー軌道にある電子からである。

[編集] イオン化エネルギーについての補足

アルカリ金属などでIEが低く、希ガスに近づくにつれ値が高まる傾向があることは前述のとおりだが、ベリリウムホウ素窒素酸素などではその傾向が少しだけ逆転している。この理由については原子軌道フントの規則を考慮する必要がある。

窒素原子と酸素原子を例に考える。二つの電子配置は次の表のようになる。(IEの単位はeV)

N : 1s2 2s2 2p3   IE1:14.53, IE 2:29.60

O : 1s2 2s2 2p4   IE1:13.61, IE 2:35.12

1s 2s 2px 2py 2pz
N ↑↓ ↑↓
O ↑↓ ↑↓ ↑↓

窒素原子より酸素原子のほうが第一イオン化エネルギーが小さいのは、2p軌道に入る4個目の電子が三重に縮重したp軌道のいずれかの軌道に異なるスピンをもって入り、電子間の静電的な反発エネルギーが電子を不安定にするためである。

ちなみに、第2イオン化エネルギーの場合は、どちらも区別のつかない2p軌道からひとつずつ取り去るので、有効核電荷が大きい酸素原子のほうがIE2は大きくなる。このことは他の周期でもみられる。

また電気陰性度(マリケンの電気陰性度)は、電子親和力とイオン化エネルギーの相加平均であるが、前者に比べ後者のほうがかなり大きいため、電気陰性度はほぼイオン化エネルギーに比例する。

[編集] 脚注

  1. ^ IUPAC Gold Book - ionization energy

[編集] 関連項目