モル

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モル
mole
記号 mol
国際単位系 (SI)
種類 基本単位
物質量
定義 0.012 キログラムの炭素12の中に存在する原子の数と等しい数の要素粒子又は要素粒子の集合体(組成が明確にされたものに限る)で構成された系の物質量
由来 その物質の分子量の数字にグラムをつけた質量に含まれる物質量
語源 ドイツ語 Molekül(分子
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モル英語: mole /məʊl/, ドイツ語: Mol, 記号: mol)は国際単位系 (SI) における物質量単位である。SI基本単位の一つである。

名前はドイツ語のMolekül(英語では molecule。ともに 「分子」 の意)に由来する。モルを表す記号 mol はドイツ人化学者ヴィルヘルム・オストヴァルトによって導入された[1]

定義[編集]

現在のモルの定義は以下の通りである[2]

  1. モルは、0.012 キログラム(12グラム)の炭素12の中に存在する原子の数と等しい要素粒子 (elementary entites) を含む系の物質量である。
  2. モルを用いるとき、要素粒子を指定する必要があるが、それは原子、分子イオン電子その他の粒子、またはこれらの粒子の集合体であって良い。

1980年国際度量衡委員会(CIPM)により以下の補則が加えられている。これはモルの定義の一部である[3]

補則:この定義の中で、炭素12は結合しておらず、静止しており、基底状態にあるものを基準とすることが想定されている。

現在の炭素原子によるモルの定義を「炭素スケール」とよび、過去の酸素基準と分けて呼ぶこともある。

アボガドロ定数[編集]

モルを定義することで、物質量と要素粒子の数を結ぶ普遍定数が定義され、またその値を決定することができる。そのような普遍定数としてアボガドロ定数がある。 1 モルに含まれる構成要素の数をアボガドロ定数という。アボガドロ定数を表す記号は N A または L が用いられる[4]。 ある試料に含まれる要素粒子 X の物質量 n (X ) は、要素粒子の個数 N (X ) と以下の関係で結ばれる。

n(X) = \frac{N(X)}{N_\mathrm{A}}\,.

物質量 n (X ) の単位は mol であり、個数 N (X )無次元量であるため、アボガドロ定数は mol−1 となる。

歴史[編集]

モルは本来は、全ての物質は分子よりできているとの考えの元に、その物質の分子量の数字にグラムをつけた質量に含まれる物質量を 1 モルと定義した。例えば酸素分子の分子量は 32.0 なので、1 mol の酸素分子は 32.0 g となる。物質量という概念は19世紀の近代化学発祥のころから使われているものであり、この単位は当初はグラム原子グラム分子などと呼ばれていた。

しかし、イオン結合金属結合には分子と呼べるものがないことがわかり、共有結合の場合でも単純な分子が存在しないものがあることもわかってきた。そこで、物質を表す化学式で示される元素の原子量の和を化学式量と呼び、それにグラムをつけた質量に含まれる物質量を 1 mol と定義することとした。これにより、1 mol の塩化ナトリウムは 58.5 g、は 55.85 g と表せるようになった。

1 モルに含まれる要素粒子の数は、要素粒子の種類にかかわらず一定(アボガドロ数個 = 6.02214129×1023 個)である。また 1 モルの理想気体は、標準状態 (STP: standard temperature and pressure) では同じ体積(22.41383 L(リットル))を占める。このように、モルは化学の分野では基本となる重要な単位である。

1913年頃から、原子の中には質量数の異なる数種の原子(同位体)があることがわかってきた。長年、モルの定義には酸素分子を使用し、酸素分子 32 g を 1 mol としてきたが、酸素原子には天然のものでも質量数 16 のほか 17, 18 のものがあることがわかった。すなわち、それまでは質量数 16, 17, 18 の酸素原子が混ざった状態のものでモルを定義していたことになる。それがわかってから、物理学の分野では質量数 16 の酸素だけを分離して(完全に分離するのは困難なので、分離できたと仮想して)、質量数 16 の酸素による酸素分子 32 g の物質量を 1 mol と再定義した。しかし、化学者たちはそれまで通りのモルの定義を使い続けた。

物理学と化学とで異なるモルを使い続けるのは不都合があるため、1960年国際純粋・応用物理学連合 (IUPAP) と国際純正・応用化学連合 (IUPAC) が協議して、共通的に炭素12に原子量 12 の値を与えることとした。ここから、1 mol は 12 g の炭素12の物質量という現在の定義が導き出せる。炭素12が選ばれたのは、これが天然の炭素の大部分を占めているためである。

モルをSI基本単位とすることおよびその定義は、1971年国際度量衡総会 (CGPM) で採択された[5]

モルを基本単位とすることについては、特に物理学者の間で異論があった。物質量は、その定義から明らかに分離量(個数)である。「要素粒子 6.02214129×1023 個を 1 モルとする」というのは、「12 個を 1 ダースとする」というのと本質的には変わらない。また、物質量は質量に比例するものであり、質量であるならキログラムで表すべき、もしくは、(キログラム/キログラム)で無次元の組立単位とすべきという主張もある。しかし、モルは化学の分野では基本となる重要な単位であり、結局 7 つ目の SI 基本単位となった。モルが基本単位となったことによって、数でしかなかったアボガドロ数が mol−1 のSI単位を持つことになり、アボガドロ定数と呼ばれることとなった。

脚注[編集]

引用[編集]

  1. ^ Wilhelm Ostwald (1893). Hand- und Hilfsbuch zur Ausführung Physiko-Chemischer Messungen. Verlag von Wilhelm Engelmann, Leipzig.. p. 119. https://archive.org/details/handundhilfsbuc00ostwgoog. 
  2. ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006)、pp. 25–26、2.1.1.6 物質量の単位(モル)。
  3. ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006)、p. 26、2.1.1.6 物質量の単位(モル)。
  4. ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006)、p. 26、2.1.1.6 物質量の単位(モル)。
  5. ^ 国際文書 国際単位系 (SI) 第 8 版日本語版 (2006)、p. 20。

参考文献[編集]

国際単位系 (SI) 日本語版刊行委員 『国際文書 国際単位系 (SI)』 独立行政法人産業技術総合研究所 計量標準総合センター、2006年、第 8 版日本語版。

関連項目[編集]