ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡
| 基本情報 | |
|---|---|
| 所属 | NASA / ESA / CSA |
| 主製造業者 | ボール・エアロスペース ノースロップ・グラマン |
| 打上げ日時 | 未定 |
| 打上げ場所 | ギアナ宇宙センターELA-3 フランス領ギアナ・クールー |
| 打上げ機 | アリアン5 |
| ミッション期間 | 5年間(設計寿命)、10年間(目標) |
| 質量 | 6,200 kg (14,000 lb) |
| 軌道周期 | 1年 |
| 所在地 | 1.5×106 km ラグランジュ点L2) |
| 形式 | カセグレン式反射望遠鏡 |
| 観測波長 | 0.6から28 µm(赤外線) |
| 口径 | ~6.5 m (21 ft) |
| 開口面積 | 25 m² (270 ft²) |
| 焦点距離 | 131.4 m (431 ft) |
| 観測装置 | |
| NIRCam | 近赤外線カメラ |
| NIRSpec | 近赤外線分光器 |
| MIRI | 中赤外線観測装置 |
| FGS | 高精度ガイドセンサー |
| 公式サイト | www.jwst.nasa.gov |
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡( - うちゅうぼうえんきょう James Webb Space Telescope / 以下「JWST」と記す)は、アメリカ航空宇宙局が中心となって開発を行っている赤外線観測用宇宙望遠鏡である。
2010年に観測活動を終えることになっていたハッブル宇宙望遠鏡(以下「HST」と記す)の後継機として2011年打ち上げが予定されていた(2003年当時)。しかし、HSTが補修による延命措置を受けたことや、JWSTの開発自体も順調でないことから、打ち上げは2015年以降に延期された(2010年当時)[1]。
2011年6月に、コストが当初予定の4倍以上になり、打上げも2018年以降(2020年以降の可能性も)になるとの報告が行われた。このため、増大し続けるコストを懸念して計画中止を求める声がNASAの他のプロジェクトからも上がっており、今後の状況は流動的になっている[2]。
JWSTの名称は、NASAの二代目長官ジェイムズ・E・ウェッブ にちなんで命名された。彼は1961年から1968年にかけてNASAの長官を務め、のちのアポロ計画の基礎を築くなど、アメリカの宇宙開発を主導した。かつては「次世代宇宙望遠鏡」 (NGST / Next Generation Space Telescope) と呼ばれていたが、2002年に改名された。
目次 |
[編集] 任務
JWSTの主な任務は、ビッグバンの残り火である赤外線(宇宙背景放射)を調査し、今日観測可能な宇宙の初期の状態について観測することである。この目的を達成するために、JWSTは高感度赤外線センサー、分光器などを搭載する。
JWSTの運用は、ESAとNASAが共同で行う計画である。打ち上げ後JWSTは、太陽 - 地球のラグランジュ点(L2)に置かれることになっている。JWSTは、HSTのように地球の周回軌道を飛行するのではなく、地球からみて太陽とは反対側150万kmの位置の空間に漂わせるように飛行する。
観測のためには、機体を極低温に冷却し、太陽や地球の光なども避ける必要がある。そのため、JWSTは折畳まれた遮光板を搭載し、遮光板によってJWSTの機体に到達する邪魔な光が遮蔽される。ラグランジュ点においては、地球と太陽が望遠鏡の視界の中で常に同じ相対的位置を占めるため、頻繁に位置修正しなくとも遮光板を確実に機能させることができる。
HSTは地表から約600kmという比較的低い軌道上を飛行している。このため、光学機器にトラブルが発生してもスペースシャトルで現地へ行って修理することが可能である。これに対し、JWSTは地球から150万kmもの遠距離に置かれるため、万が一トラブルが発生してもHSTのように修理人員を派遣することは大変困難であり、事実上は不可能とみられている。
[編集] 構造
JWSTの質量は6.2 tとして計画されており、HST(約11 t)の約半分である。ただし、ベリリウムを主体とした反射鏡の主鏡の口径は約6.5mに達する。これは口径2.4 mとHSTの2.5倍で、面積は5倍以上にもなる。この点から、HSTをしのぐ非常に高い観測性能が期待されている。逆に鏡の重量は軽量化されている。
主鏡の直径は、現在存在するいずれの打ち上げロケットよりも巨大である。ただし、主鏡は一枚鏡ではなく18枚の六角形のセグメントに分割されている。各鏡セグメントは約20kgであり、望遠鏡が打ち上げられた後に高感度のマイクロモーターと波面センサーによって正確な位置に導かれて展開する。なお、ケック望遠鏡のような地上の望遠鏡は重力負荷や風力による影響を克服するために、能動光学によって鏡セグメントを常に調整し続ける必要がある。これに対し、JWSTの場合、この初期配置を終えると、鏡セグメントを再度動かすことは、まず行われないと考えられている。
JWSTにとっての挑戦的課題として、反射鏡を低温に維持することを挙げることができる。宇宙誕生初期の星や星雲をとらえるためには非常にエネルギーの小さい赤外線をとらえる必要があり、反射鏡を-220℃にまで冷却しておかなければならない。その冷却のためにも、JWSTは地球から遠く、また地球によって太陽光が遮られるラグランジュ点(L2)に送り込まれるのである。
主鏡の鏡面は全体としても六角形をなしており、集光部と鏡がむき出しとなっている。このため、主鏡の鏡面は電波望遠鏡のアンテナを連想させる形状をしている。また、本体は筒型ではなく、主鏡の下にシート状の遮光板が広げられた形となっている。
[編集] 参考文献
- ^ Sujata Gupta (2010年11月11日). “Hubble's over-budget successor may be delayed for years”. NewScientist 2010年11月17日閲覧。
- ^ “NASA: Extra money needed to launch JWST this decade”. Spaceflightnow.com 2011年9月24日閲覧。