ボイジャー1号

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ボイジャー1号
Voyager 1
Voyager.jpg
ボイジャー1号
所属 アメリカ航空宇宙局
公式ページ Voyager - The Interstellar Mission
国際標識番号 1977-084A
カタログ番号 10321
状態 運用中
目的 太陽系の探査
観測対象 木星土星
打上げ機 タイタンIIIEセントール
打上げ日時 1977年9月5日
8時56分(EDT
最接近日 木星 - 1979年3月5日
土星 - 1980年11月12日
質量 721.9kg
発生電力 原子力電池(420W

ボイジャー1号 (Voyager 1) は1977年に打ち上げられたNASAの無人宇宙探査機である。

目次

概要 [編集]

ボイジャー1号の構造図

ボイジャー1号は1977年9月5日に打ち上げられ、2011年現在も運用されている。同機は地球から最も遠い距離に到達した人工物体となっており、太陽の影響圏から広大な星間空間へと遷移する空間を飛行している。2012年6月18日現在、太陽から約180億kmの距離を時速約6万km超で飛行中[1]。2012年末までにヘリオポーズを脱出し、太陽系外探査へ踏み出す見通し[2]

ボイジャー1号は太陽から約140億km(約95AU)の距離で末端衝撃波面を越え、太陽系と星間空間の間の衝撃波領域であるヘリオシースに入ったと見られている。将来、ボイジャー1号が最終的にヘリオポーズを通過してもまだ探査機の機能が生きていれば、研究者が星間物質の状態を直接観測したデータを初めて得ることができると期待されている。

2011年現在のボイジャー1号の距離では、探査機からの信号がジェット推進研究所の管制センターに届くまでには13時間以上かかる。ボイジャー1号は双曲線軌道に乗り、太陽の脱出速度に達している。ボイジャー1号はパイオニア10号や11号(共に運用終了)、姉妹機であるボイジャー2号とともに星間探査機へと役割を変えている。

ボイジャー1号の最初の目標は木星土星及びそれらに付随する衛星であった。2011年現在のミッションはヘリオポーズの検出と太陽風星間物質の粒子観測である。2機のボイジャー探査機ではそれぞれ3個の原子力電池が電力を供給している。この発電装置は当初想定されていた寿命を大幅に超えて2011年現在も稼動しており、2020年頃までは地球との通信を維持するのに十分な電力を供給できると期待されている。

ボイジャー1号は太陽系外に向かって飛行中、太陽風の速度が、それまでの時速112万キロから16万キロ以下に極端に落ちた。また太陽系外の星間物質(ガス)が検知された。これらからボイジャー1号が末端衝撃波面(Termination Shock)を通過していることが判明した。

NASAはボイジャー1号が太陽系の境界付近に到達したことを公表した[3]

ミッション計画と打上げ [編集]

ボイジャー1号の打ち上げ(タイタンIIIEセントール

ボイジャー1号は元々はマリナー計画のマリナー11号として計画された。この探査機は当初から、計画当時の新技術だった重力アシスト(スイングバイ)を利用するものとして設計された。幸運にも一連の惑星間探査機の開発時期が、惑星の配置がほぼ同じ方向に集中する時期と重なったため、惑星グランドツアー(Planetary Grand Tour)と呼ばれる外部惑星の連続探査が構想されることとなった。このグランドツアーは、重力アシストによる飛行コースを連続してつなげることによって、軌道修正に必要な最低限の燃料だけで単独の探査機が太陽系の巨大ガス惑星4個(木星、土星、天王星海王星)を全て訪れることができる、というものであった。同型機のボイジャー1号及び2号はこの構想を念頭に置いて設計され、打上げ日もグランドツアーが可能な時期に設定された。

ボイジャー1号は1977年9月5日、NASAによってケープカナベラル空軍基地のLC41発射台からタイタンIIIEセントールロケットで打ち上げられた。この打上げにわずかに先行して姉妹機のボイジャー2号も打ち上げられていた。ボイジャー1号は2号より後に打ち上げられたが、2号よりも飛行時間の短い軌道に乗せられたために先に木星と土星に到達した。この高速な軌道は誘導次第で冥王星へも到達できる軌道だったとも言われている。

打上げ当初、タイタンIIIEロケットの第2段が約1秒分の燃料を残して予定よりも早く燃焼終了してしまった。このため地上クルーはボイジャー1号が木星に到達できないのではないかと心配したが、上段のセントールステージが十分な燃料を持っていたために加速の不足分を補うことができた。

ボイジャー探査機の搭載装置の詳細についてはボイジャー計画を参照のこと。

木星 [編集]

ボイジャー1号は1979年1月に木星の写真撮影を開始した。木星への最接近は3月5日で、木星中心から349,000kmの距離まで近づいた。接近中には解像度の良い観測データが得られるため、木星の衛星や環、木星系の磁場放射線環境などの観測の大部分は最接近の前後48時間内に行われた。木星の撮影は4月に終了した。

2機のボイジャー探査機は木星とその衛星について数多くの重要な発見をもたらした。中でも最も注目すべき発見は、過去に地上からの観測やパイオニア10号11号で観測されていなかったイオの火山活動の存在を明らかにしたことである。

土星 [編集]

ボイジャー1号が撮影した土星。土星最接近の4日後に530万kmの距離から撮影された。

ボイジャー1号の木星での重力アシストは成功し、探査機は土星へ向かった。ボイジャー1号の土星フライバイは1980年11月に行われ、11月12日には土星表面から124,000km以内にまで接近した。探査機は土星の環の複雑な構造を明らかにし、土星とタイタンの大気の調査を行った。以前の発見でタイタンには濃い大気が存在することが分かっていたため、ジェット推進研究所のボイジャー制御チームはボイジャー1号のグランドツアーを終えてタイタンに接近させることにした。タイタンへの接近軌道に乗ることでボイジャー1号はさらに重力アシストを受け、黄道面から外れる軌道に乗った。これによりボイジャー1号の惑星科学ミッションは終了した。

星間ミッション [編集]

1990年2月14日に撮影された「太陽系家族写真」

2機のボイジャー探査機は2020年頃まで、少なくとも観測装置の一部については十分稼動できる電力を供給できると見られている。

1990年2月14日、ボイジャー1号は2号の進行方向の観測を兼ねて、太陽系の各惑星を60枚の連続写真に収める「太陽系家族写真」の撮影を行っている。画像では全ての惑星が点にしか写らなかった。水星は太陽に近すぎて、火星は太陽の光に霞んで写らず、冥王星(当時は惑星に分類されていた)は遠すぎて視野に入らなかった。

ボイジャー1号は、ボイジャー2号と共に、太陽系の外から来る紫外線の波長域の1つ「ライマンα線」を観測している。その中には、地球からの観測では知られていなかった線源も含まれている。ライマンα線は、地球からの観測では、星間物質に散乱される太陽放射のせいでうまく捕らえることができないものである。

ヘリオポーズ [編集]

ボイジャー1号の航行位置。現在はヘリオシースを通過している

ボイジャー1号が星間空間を目指して飛行する間、探査機の観測装置は太陽系の調査を続ける。ジェット推進研究所の研究者はボイジャー1号・2号に搭載されているプラズマ波実験装置を用いてヘリオポーズの検出を試みている。

ジョンズ・ホプキンス大学応用物理学研究室の研究者は、ボイジャー1号は2003年2月に末端衝撃波面を通過したと考えている。しかし他の研究者の中にはこれに異議を唱えている人もあり、『ネイチャー』2003年11月6日号で議論を行っている。2005年3月25日ニューオーリンズで行われたアメリカ地球物理学連合総会での科学セッションで、エド・ストーン博士はボイジャー1号が2004年12月に末端衝撃波面を通過した明らかな証拠があることを示した[4]。ボイジャーの太陽風検出器は1990年に機能を停止しているため、この問題に決着が付くまでには他の観測データが得られるまでなお数ヶ月かかるものと思われた。しかし2005年5月にはNASAのプレスリリースにおいて、ボイジャー1号は現在ヘリオシースを飛行中であり、間もなくヘリオポーズに到達するとされた[5]

飛行距離 [編集]

2006年8月、NASAはボイジャー1号が100AUの距離に到達したと発表した[6]

2010年12月13日、NASAはボイジャー1号が観測している太陽風の速度がゼロになったと発表した。これは太陽圏の端に近づいていることを示しているとしている[7]

2011年8月20日時点でボイジャー1号は太陽から約177億150万km(118.010AU)の距離にあり、地球から最も遠くに到達した人工物となっている。ボイジャー1号の速度は太陽との相対速度で17.056km/s(3.598AU/年)で、ボイジャー2号より約10%速い。ボイジャー1号は2011年現在特定の恒星をまっすぐ目指しているわけではないが、仮に太陽系に最も近い恒星系であるケンタウルス座アルファ星に向かったとしても、到着するまでには約8万年かかる。

脚注 [編集]

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関連項目 [編集]

外部リンク [編集]