ヒドラジン

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ヒドラジン
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識別情報
CAS登録番号 302-01-2 チェック
PubChem 9321
ChemSpider 8960 チェック
UNII 27RFH0GB4R チェック
EINECS 206-114-9
国連番号 2029
KEGG C05361
MeSH Hydrazine
ChEBI CHEBI:15571
RTECS番号 MU7175000
バイルシュタイン 878137
Gmelin参照 190
3DMet B00770
特性
化学式 H4N2
モル質量 32.05 g mol−1
精密質量 32.037448138 g mol-2
外観 無色の液体
密度 1.013(8) g cm-3
融点

°C, 274 K, 34 °F

沸点

114 °C, 387 K, 237 °F

酸解離定数 pKa 8.10[1]
屈折率 (nD) 1.46044 (at 22 °C) [2]
粘度 0.876 cP
構造
双極子モーメント 1.85 D[3]
熱化学
標準生成熱 ΔfHo 50.63 kJ mol-1(l)[4]
標準モルエントロピー So 121.21 J mol-1K-1
標準定圧モル比熱, Cpo 98.87 J mol-1K-1
危険性
MSDS ICSC 0281
EU分類 有毒 T環境への危険性 N
EU Index 007-008-00-3
NFPA 704
NFPA 704.svg
3
3
2
Rフレーズ R45, R10, R23/24/25, R34, R43, R50/53
Sフレーズ S53, S45, S60, S61
引火点 52 °C
発火点 24–270 °C
爆発限界 1.8–99.99 %
半数致死量 LD50 59–60 mg/kg (経口:ラット、マウス)[5]
関連する物質
関連物質 アンモニア

ジホスファン
テトラフルオロヒドラジン

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヒドラジン (hydrazine) は無機化合物の一種で、示性式が H2NNH2 と表される弱塩基

アンモニアに似た刺激臭を持つ無色の液体で、空気に触れると白煙を生じる。水に易溶。強い還元性を持ち、分解しやすい。引火性があり、ロケットや航空機の燃料として用いられる。常温での保存が可能であるため、F-16戦闘機の非常用電源装置(EPU)やロシアなどのミサイルの燃料としても広く用いられており、また人工衛星宇宙探査機の姿勢制御用の燃料としても使われている。プラスチック成形時の発泡剤エアバッグ起爆剤、各種脱酸素剤として広く使用され、特に火力原子力発電所用高圧ボイラー防食剤として使用されている。 水加ヒドラジンは水素に代わる燃料電池の燃料としても模索されている。毒物気化吸引、皮膚への接触ともに腐食をもたらす。また中毒症状をおこす。

水と共沸し、55 mol% のヒドラジンを含む混合物を与える。化学実験で用いる際は通常、抱水ヒドラジン (ヒドラジン一水和物、H2NNH2•H2O)が用いられる。

製法[編集]

アンモニアを次亜塩素酸塩で酸化するか、アンモニアを塩素で気相酸化して作る。

反応[編集]

ヒドラジンをカルボニル化合物と脱水縮合させると、ヒドラゾンが生じる。

R-C(=O)-R' + H2NNH2 → R-C(=NNH2)-R' + H2O

ケトンを強アルカリ条件でヒドラジンとともに加熱すると、カルボニル基が還元を受けてメチレン基に変わる(ウォルフ・キッシュナー還元)。

R-C(=O)-R' + H2NNH2 → R-CH2-R' + H2O + N2 (強アルカリ条件)

カルボン酸ハロゲン化物などのアシル化剤と反応し、ヒドラジドを与える。

R-C(=O)-Cl + H2NNH2 → R-C(=O)-NHNH2

パラジウム触媒とともに用いると水素源となる。アルケンニトロ基などを水素化してアルカンアミノ基に変え、自身は窒素分子になる。このとき、中間体として生じるジアゼン (HN=NH) が高い還元力を持つ。

Ar-NO2 + H2NNH2 → Ar-NH2 (パラジウム触媒下)

さまざまな酸とともに対応するヒドラゾニウム塩を生成する。2価の塩基として働き得るが、2段目のプロトン化は極めて弱い。

N2H62+  \rightleftarrows\ N2H5+ + H+,    pKa1 = -0.9
N2H5+  \rightleftarrows\ N2H4 + H+,    pKa2 = 8.10

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Hall, H.K., J. Am. Chem. Soc., 1957, 79, 5441.
  2. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0070494398
  3. ^ Greenwood, Norman N.; Earnshaw, Alan. (1997), Chemistry of the Elements (2 ed.), Oxford: Butterworth-Heinemann, ISBN 0080379419 
  4. ^ D.D. Wagman, W.H. Evans, V.B. Parker, R.H. Schumm, I. Halow, S.M. Bailey, K.L. Churney, R.I. Nuttal, K.L. Churney and R.I. Nuttal, The NBS tables of chemical thermodynamics properties, J. Phys. Chem. Ref. Data 11 Suppl. 2 (1982).
  5. ^ Martel, B.; Cassidy, K. (2004). Chemical Risk Analysis: A Practical Handbook. Butterworth–Heinemann. pp. 361. ISBN 1903996651. 
  6. ^ ダイハツ 2007年9月14日ニュースリリース

外部リンク[編集]