ベピ・コロンボ

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ベピ・コロンボ BepiColombo
所属 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
欧州宇宙機関 (ESA)
公式ページ JAXA - 水星探査計画「BepiColombo」
状態 開発中
目的 水星の探査。
観測対象 水星
計画の期間 打上げから軌道投入まで5 - 6年、軌道からの観測1年
打上げ機 アリアン5
打上げ日時 2016年(予定)

ベピ・コロンボ (BepiColombo) は、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) と欧州宇宙機関 (ESA) の共同プロジェクトによる水星探査計画である。水星自転公転の共鳴関係を発見したことや、マリナー10号のミッションを成功に導く複数回のスイングバイを計画したことなどの業績を残したイタリア数学者天文学者ジュゼッペ・コロンボ英語版イタリア語版の愛称に因んで命名された[1]

概説[編集]

当初の計画では、アリアン5ロケットで2010年に「水星磁気圏探査機 (MMO: Mercury Magnetospheric Orbiter)」「水星表面探査機 (MPO: Mercury Planetary Orbiter)」「水星着陸機 (MSE: Mercury Surface Element)」の3機を打ち上げることになっていたが、2003年の計画見直しでMSEはキャンセルされた[1]

ロケットも予算の問題から、ロシアから輸入してギアナ宇宙センターから打ち上げるソユーズロケットを科学衛星・探査機に使う方針が決定されていた。しかしその後ベピ・コロンボは重量が予定より増加したことから再びアリアン5による打ち上げに変更された。

現在の予定では、2016年にMMOとMPOを同時に打ち上げ、水星周回軌道に投入する。2つの探査機は水星到達後に分離し、協力して約1年間にわたり水星を探査する。ESAとJAXAの担当は次のとおり。

ESA
EMMO以外の、(1)BepiColomboミッション全体の設計、(2)MPO、電気推進モジュール(Mercury Transfer Module:MTM)、MMOサンシールド(MMO Sunshield and Interface structure:MOSIF)の設計・製作・運用、(3)複合モジュール(Mercury Composite Spacecraft:MCS)の組み立て・試験および打上げを担当。(当初計画ではMSEも開発)
JAXA
水星周回軌道上での運用、MMOの開発・運用 費用は約150億円

軌道[編集]

水星太陽に近い軌道を周回しているため、公転速度は太陽系の惑星中最大に達する。そのため、マリナー10号では、水星のフライバイ探査のみであった。ベピ・コロンボ探査機では、現在の所、打ち上げ日時が確定していないが、2016年7月以降に打ち上げ。イオンエンジンを使う電気推進と地球スイングバイ、金星スイングバイ、水星スイングバイを経て、6年後の2022年(2015年に打上げる計画での情報)に水星に到着する予定。到着後まずMTMが切り離され、その後MPOの2液式の化学推進により水星周回軌道に投入。MMOの周回軌道(近水点400km、遠水点11824km)でMMOを分離、その後、MOSIFを分離したMPOは遠水点高度を下げて周回軌道(近水点400km、遠水点1508km、軌道傾斜角90度)に入る[2]。その後、約1年間に渡って観測を行う計画。


探査機について[編集]

水星磁気圏探査衛星(MMO)は、約285kgのスピン安定衛星で、水星軌道投入後は高度400×12,000kmの軌道から観測を行う。水星の固有磁場、磁気圏、大気、大規模地形の観測を目的とする。PLANET計画で培った惑星間磁気圏探査機器類を高温に耐えられる設計を目指して開発を行う。MMOはスピンを前提に設計されているために、太陽に近づいたときスピンしない3軸安定姿勢では高温に耐えられないことから、MMOは水星到着までMMOサンシールド(MOSIF)によって太陽光から防護される。

水星表面探査衛星(MPO)は、約357kgの三軸安定衛星で、水星軌道投入後は高度400×1,500kmの軌道から観測を行う。。水星の表面地形、鉱物・化学組成、重力場の精密計測を目的とする。ジオットなどで培った撮像を目的にした探査機器類を高温に耐えられる設計を目指して開発を行う。

両探査機の特徴は、水星磁気圏探査衛星が、プロトン磁気探査器を搭載しており、その他電磁場探査器などによって、太陽からの太陽嵐によって生じるだろうと考えられている磁気圏探査を目的にしている。この探査機器は、これまでより感度の高い機器類になる予定である。また、水星表面探査機は、2011年に水星の周回軌道に入ったメッセンジャーに万が一のことが生じた場合にも備えた探査機である。水星の自転周期(恒星日)は、公転周期(88日)の3分の2であり、水星表面全体を撮影するためには、水星の太陽日、すなわち公転周期の2倍の時間を要するからである。

両探査機は、水星の極軌道に投入することで、太陽からの直接的な熱放射を半分に抑え、約700Kという超高温の熱輻射から衛星を守る予定である。高度約100km程度の位置を約15分で周回することになる。このため、太陽面に近いところを周回する時には探査を行い、太陽面の反対側に回る時には地球へ観測データの送信を行う計画であるが、受信できる時間が短いため、高バンド通信などの開発も同時に進めているところである。

水星軌道投入までは電気推進モジュール MTM (Mercury Transfer Module)が使われる。MMH/MON3推進薬を使用する2液式の化学推進系が地球軌道からの脱出時と、月のフライバイ時に使われる(それ以降は火工品を使って遮断され、巡航フェーズにブローダウンモードでのみ使われる)。巡航フェーズではイオンエンジンを使って航行する。この際の噴射方向は、進行方向とは反対側になる。これにより長時間かけて速度を徐々に低下させながら水星の衛星軌道に投入できるようにする。

経過[編集]

  • 2000年10月 ESAの5番目の大型計画(コーナーストーンミッション)として正式に認可。
  • 2003年11月 欧州宇宙機関科学計画委員会で宇宙科学計画の見直しが行われ、MSEがキャンセルされる。
  • 2008年2月12日 文部科学省宇宙開発委員会で、2013年の打ち上げが承認。
    • ヨーロッパ宇宙機関と宇宙航空研究開発機構では、今後計画終了まで約175億円をかけて衛星開発・ロケット調達・運用準備に入る。
    • その後ESA側のイオンエンジン開発が難航し、重量が大幅に増加。打ち上げも2014年以降にずれ込んでいる。
  • 2012年2月28日 欧州宇宙機関が開発の遅れから、打上げが2015年8月以降になることを公表[3]
  • その後、さらに2016年7月以降へ延期された。

参照[編集]

  1. ^ Who is G.Colombo?”. Center of Studies and Activities for Space. 2014年4月21日閲覧。
  2. ^ “BepiColombo MMOの熱制御系”. ISAS. http://www.isas.jaxa.jp/j/forefront/2011/ogawa/index.shtml 2012年3月5日閲覧。 
  3. ^ “BepiColombo Mercury mission to be launched in 2015”. ESA. http://sci.esa.int/science-e/www/object/index.cfm?fobjectid=50105 2012年3月1日閲覧。 


関連項目[編集]

外部リンク[編集]