先進レーダ衛星

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先進レーダ衛星「だいち4号」
ALOS-4
所属 宇宙航空研究開発機構 (JAXA)
主製造業者 三菱電機[1]
公式ページ 先進レーダ衛星「だいち4号」(ALOS-4)
状態 開発中[1]
目的 地球観測
観測対象 地球
設計寿命 7年[1]
打上げ機 H3ロケット(予定)[1]
打上げ日時 2023年度(予定)[1]
先代 だいち2号
物理的特長
最大寸法 10.0 m x 20.0 m x 6.4 m
質量 2,990kg 以下[1]
軌道要素
周回対象 地球
軌道 太陽同期準回帰軌道[1]
高度 (h) 628km[1]
軌道傾斜角 (i) 97.9°[1]
回帰日数 14日[1]
降交点通過
地方時
12:00±15分[1]
観測機器
PALSAR-3 Lバンド合成開口レーダ
L-band synthetic aperture radar (PALSAR-3)
SPAISE3 船舶自動識別信号受信機
Space-based Automatic Identification System Experiment (SPAISE3)
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先進レーダ衛星は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、防災・災害対策、国土保全・管理、海洋監視、食料資源・エネルギーの確保、地球規模の環境問題の解決等への貢献を目的として開発している「だいち2号」の後継の地球観測衛星。高度628kmの太陽同期準回帰軌道を14日で回帰し(だいち2号と同じ)、フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダーPALSAR-3により地表を観測する予定となっているレーダ衛星である[2]2016年(平成28年)度から開発が開始され、2023年(令和5年)度にH3ロケットにより打ち上げられる予定である[3]。開発費は316億円[2]

性能と特徴[編集]

だいち」シリーズは高分解能と広域観測幅と連続撮像可能時間の両立が特徴であり、このうちレーダ衛星はLバンド合成開口レーダのPALSARシリーズを搭載することで、Xバンドなどの帯域を使用する他のレーダ衛星と比べて効果的に植生を透過して地盤や地殻変動を観測することができる。先進レーダ衛星は新技術のデジタルビームフォーミングSARが採用された新型合成開口レーダのPALSAR-3を搭載することで「だいち2号」からさらに高性能化する。「だいち2号」は分解能1m×3mのスポットライトモードでの観測範囲は25km四方であったが、先進レーダ衛星では35km四方の観測が可能となる。また「だいち2号」では分解能3mの高分解能モードの観測幅が50kmであったが、先進レーダ衛星では同分解能で200kmの観測幅が可能となる。さらに「だいち2号」では分解能100mの広域観測モードの観測幅が350kmであったが、先進レーダ衛星では分解能25mで700kmの観測幅が可能となる。前例のない高分解能と広域観測幅の両立が実現することで、高分解モードによる日本全域観測が「だいち2号」では年4回しかできなかったが、先進レーダ衛星では年20回(2週に1回)できるようになる[2][4][5]

また先進レーダ衛星には「だいち2号」に引き続いて船舶自動識別信号受信機(AIS)が搭載されており、合成開口レーダと協調観測することで海洋監視の任務も担う。新型AISの「SPAISE3」には混信域対策が施され、船舶過密海域での船舶の検出率が「だいち2号」に比べて向上する[2]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k ALOS-4の概要|ALOS-4@EORCホームページ”. ALOS利用推進研究プロジェクト. 宇宙航空研究開発機構. 2024年3月7日閲覧。
  2. ^ a b c d 鈴木新一 (2017年1月10日). “先進レーダ衛星プロジェクト移行審査の結果について” (PDF). 宇宙航空研究開発機構. 2017年1月28日閲覧。
  3. ^ 宇宙基本計画工程表(令和4年度改訂)p.30ほか” (2022年12月23日). 2023年1月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月26日閲覧。
  4. ^ 文部科学省におけるリモートセンシング衛星の取組について” (PDF). 文部科学省研究開発局. 2016年6月22日閲覧。
  5. ^ H3ロケット開発状況について” (PDF). 文部科学省研究開発局 (2016年3月8日). 2016年6月22日閲覧。

関連項目[編集]

外部サイト[編集]