道路

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二車線の道路

道路(どうろ)とは、歩行者自動車などが通行するために設けられた通路である。

概要[編集]

一定の線形と幅員を有し、表層・基層・路盤などの舗装体と、それらを支える路床とからなる。また、道路と一体となって利用されるトンネル横断歩道橋や横断地下歩道などの施設も含む。最も基本的な交通施設であり、自動車交通の発達に伴い近代化された。

英語の Street は都市部の道路(街路)を意味する単語である。Roadは都市と都市を結ぶ道路を意味する。

日本の法律上の定義[編集]

日本の法律上の定義としては、道路法道路交通法建築基準法などの法律が、それぞれ道路の定義を定めている。

道路交通法の「道路」

道路交通法第2条第1項は、以下の3つに該当する場合を道路としている。

  1. 道路法第2条第1項に規定する道路(いわゆる公道
  2. 道路運送法第2条第8項に規定する自動車道(専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のもの)
  3. 一般交通の用に供するその他の場所

「一般交通の用に供するその他の場所」とは、公道や自動車の交通のために設けられた道以外で、現実の交通の実態から道路とみなされる土地のことをいう。不特定の人や車が自由に通行することができる場所で、現実に通行に使用されている場所が該当する。そのため、一般に道路としての形態を有していなくても該当する場合があり、私有地であるか公有地であるかは関係がない。具体的には、農道林道赤線が該当し、一般の交通に供用されていれば、私道広場公園河川敷地下街等も含まれる。

道路法の「道路」

道路法第2条第1項および第3条は、一般交通の用に供する道で、以下の4つに該当するものを道路としている。

  1. 高速自動車国道
  2. 一般国道
  3. 都道府県道
  4. 市町村道

トンネル、渡船施設、道路用エレベーター等の道路と一体としてその効用を全うする施設・工作物、及び、道路の附属物で当該道路に附属して設けられているものも、道路に含むとしている。

いわゆる公道であり、道路構造令による幅員・構造などの基準が定められている。

道路運送法の「道路」

道路運送法第2条第7号は、以下の3つに該当するものを道路としている。

  1. 道路法による道路
  2. その他の一般交通の用に供する場所
  3. 自動車道(専ら自動車の交通の用に供することを目的として設けられた道で道路法による道路以外のもの。一般自動車道と専用自動車道の2つがある)
建築基準法の「道路」

建築基準法第42条は、以下の1~5に該当する場合を道路とし、6に該当する場合を道路とみなしている。

  1. 道路法の道路(国道、都道府県道、市町村道)で、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  2. 都市計画法土地区画整理法、旧住宅地造成事業に関する法律都市再開発法新都市基盤整備法大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法密集市街地整備法に基づいて造られた道路で、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  3. 建築基準法施行時または都市計画区域編入時に既に存在していた道で、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  4. 道路法、都市計画法等で新設か変更の事業計画がある道路で、2年以内に事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定した幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの
  5. 土地を建築物の敷地として利用するため、道路法、都市計画法等によらないで築造する政令で定める基準に適合する道で、道路の位置について特定行政庁の指定を受けたもので、幅員4メートル(一部区域では6メートル)以上のもの(位置指定道路
  6. 上記にはいずれも含まれないが、建築基準法第42条第2項~第6項に基づき特定行政庁が指定したため、道路とみなされるもの(42条2項道路42条3項道路など)

公道以外に位置指定道路(私道参照)なども含む。それ以外のものは、建築基準法上は「道路」とは位置づけられず、建築基準法関連においては「通路」「道」などと呼ばれる。

なお、建築基準法43条の接道基準を満たさないが、同条但書に基づき特定行政庁が建築許可を出した場合の道路について、「但し書き道路」と言われる。

その他の法律

このほか、不動産登記簿上の地目の一種として、「公衆用道路」というものがある。一般交通の用に供する道路のことを指し、公道・私道を問わない。

歴史[編集]

狩猟採取を行なっていた原始社会では、動物の移動にともなってできるけもの道が狩猟民らによって利用される場合もあったが、もっとも原初的な道は「踏み分け道」である。人類が農耕を始めて集団で定住し、そうした集落間で交易や婚姻などが行なわれるようになると人の往来が頻繁になり、そのため、歩きやすく、安全で、しかもなるべく最短距離となる経路が選択され、多くの人が歩いたので、草木がかき分けられ踏み分けられて自然発生的に道ができたと考えられる。現代においても、人の往来が多い2点の芝生が禿げる等して、その発生を観察することが出来る。このような道は、多少傾斜が厳しくても、距離が短いことが求められた。山間部ではそれらは往々にして尾根をたどる。

その後、貨物の搬送に馬などを使い、あるいは車が利用されるようになると、道はむしろ長くても傾斜のないものが求められるようになる。特に車輪を利用した輸送機関はその路面がなだらかでなければ効果が無く、逆に階段のような歩行者に便利な状態では使えない。そのため、道はより幅広く、なだらかな形であることが求められた。舗装もその方法の一つである。 人の手による舗装の最古のものとしては紀元前4000年ころのものが発見されている。

現在発見されているうちで最古の道路整備跡はイングランドにある Sweet Track土手道で、紀元前3800年ころにさかのぼる。

古代のエジプト人石畳の道を整備し、ギザの大ピラミッドの構築用資材の運搬に用いた。

古代の中国人紀元前1100年代ころ以降、大規模な街道を一部は石畳として整備した。紀元後20年までには、その距離を40,000kmにまで伸ばした。

インカ人たちは伝令たちがアンデス山脈を伝っていけるようなインカの街道を張り巡らせた。マヤ人たちもヨーロッパによる新世界発見以前にメキシコで石畳の道路網を張り巡らせていた。

一方、古代においては、による移動手段のほうが道路を使うよりもずっと簡単であり、速かった。とくに、道路の建設のためのコストや、手押し車荷船との運搬量の差が大きかった。道路と水運とを取りあわせたものとして、馬曳き舟といったものとなった。これは、土手沿いの開けた道路上からが舟を引くという形をとっていた。

300年ころからは、ローマ帝国馬車の走行を想定したまっすぐで丈夫な、そのころ発明されたアスファルト舗装によるローマ街道ヨーロッパおよび北アフリカ中で整備した。

このように、古代から道路の整備は行われた。主に軍事的な目的を達成するための意味合いも大きく、古代ローマにおいて領土の拡大に貢献した。古代ローマの道路は、繁栄に寄与する一方、その補修費は道路を造れば造るほど膨れあがり、滅亡する原因ともなった。また貿易のための地上通路として整備され、栄えたものもあり、シルクロードはこの意味で代表的なものである。

イギリスにおける道路建設とその整備は、地域の教区単位で行われた。このため、貧弱で多様な道路状況となった。1706年ころには、これを改良するために初の関所が作られ、通行する車両から料金を徴収した。イギリスでは時にはおよそ1100の料金所があり、38,000km強の道路が整備された。

馬による移動の時代には、道路は砂利舗装道路上での最大斜度3%強での整備を目指していた。これは馬が坂道で荷を引き上げるのに平行に近いほうが最も都合が良かったためである。この時代の著名な道路建築家には、フランスのピエーリ・マリー・ジェローム・トレザゲ(1716-1796年)、イギリスのジョン・ロードン・マカダム(1756-1836年)がいる。

産業革命の間、重い荷馬車が道路上にをつけてしまう問題への解決として、鉄道が開発された。道路全体を丈夫な表面にしようとする代わりに、荷馬車は鉄道で行くか、もっと丈夫で耐久性の高い素材でつけられた溝の上を行くかするよう制限が加えられた。

現代では、自動車などの車両で移動できるよう、道路はほとんどあらゆる箇所で整備が進んでいる。ほとんどの国で、道路輸送が最もよく使われる輸送手段となっている。また、交通安全渋滞の解消のために、ほとんどの先進国では、道路をレーンに区切って使用するようになっている。

自動車と道路[編集]

現代の道路の多くは、自動車が通過するための空間である車道と、歩行者が通行するための空間である歩道とに分類され、線や段差で区切ってある。しかしこれはある程度の交通量があるような道に限られ、街路や、歩行者が想定されない山中の道路となると、単純に線が引いてあるだけだったり、もしくは何も表示されていなかったりなど、あまり明確に区別はされないことがある。

また、自動車交通の発達に伴って高速道路が生まれた。高速道路は自動車が高速に走行するための道であり、通常の幹線道路よりも広い幅員を持ち、複数の車線を設けることが多いが、自動車専用道路であり歩道を持たない(歩行者の通行を禁止している)ものも多い。

市街地の繁華街では車を一切入れず、道路を全て歩行者専用としているところもある。

自動車が開発される以前は、道といえば歩行者や人力車馬車などのそれほど高速でない速度で移動するものが大部分を占めていたため、ある程度の幅員があれば交通問題も大して起こらず、また路面も砂利を慣らしてある程度であった。

しかし自動車は高速で走行が出来るものの、小回りなどの融通が利かないために狭い幅員では行き違いができず、また路面が荒れることで乗り心地が低下することから、広い幅員の舗装された道路が作られるようになった。後に歩行者と自動車を分離し、信号機を設けて円滑な交通を実現した。市街地などでは自動車に対して速度制限が行われるようになったり、道路標識が設置されるなど、法整備も進んだ。

道路の機能[編集]

現在の道路の地下空間には水道管ガス管など、地上には電線電話線などのライフラインも敷設されるようになった。都市部では道路の掘り返しを避けるため、これらのライフラインを一括して収容する共同溝というトンネルが道路の地下に作られることもある。また、地下鉄は道路の地下を通過することが多い。

歴史的に、都市と都市を結ぶ道路(道:road)と違い、欧米の都市内部の道(街路:street)は廃物処理の場所でもあった。古代ローマ時代は道の真ん中に水を通し、排泄物などの汚物を流していた(ポンペイ遺跡など)。そのため、道の真ん中が両側の町家より数段低くなっていて両側を飛び石状の道渡しで渡る。また、馬車もこの水路の中を通行する。また地下下水道の無かった近世のパリではゴミや汚物を街路に捨てていたのは有名な話である。

住居表示[編集]

欧米及び日本の京都の一部での街路 (京都:(条)通を上ル下ルなど・、英:Street、独:Straße) は住居表示の基礎となっている。街路を挟んで両側が住居表示として同じ街路名を共有する。また、イギリスの首相官邸はダウニング街10番地として住居番号がよく知られている。日本では、街路の両側が一つの町名を共有していたが、1962年から住居表示に関わる法律が施行されると、新しく付けられた町名地番は道路に囲まれる街区単位で住居番号を付けるようになったが、現在でも大阪市中央区の一部では街路の両側を単位とする町名が残っている。[1]

外国語表記[編集]

  • 昭和29年12月9日付内閣告示第一号によって、ローマ字(ヘボン式)の綴り方などを示している。

住民参加型の道路直営施工[編集]

近年では自治体財政の情勢悪化により、生活道路については機材・資材を自治体が提供し、施行は住民が自ら工事する事業が注目されてきている。

栄村のケースでは、外部発注するのと比べ費用を1/2~1/3に抑えられている[2]

用語[編集]

  • 認定道路:都道府県道市町村道等で道路法が適用される道路。
  • 特定道路:幅員15m以上の道路をいい、前面道路が70m以内で接続していれば、容積率が緩和される。
  • 前面道路建築基準法第43条で規定される、建築物の敷地に2m以上接する道路。

脚注[編集]

  1. ^ 太閤下水(背割下水)が街路に面して建つ家屋の間を通っており、それが町名の区分となっている
  2. ^ a b 木村俊文「協働で守る農地・道路 ―長野県栄村―」、『農中総研 調査と情報』第4巻、株式会社農林中金総合研究所2008年1月ISSN 1882-2460
  3. ^ “農家・地域住民等参加型の直営施工推進マニュアル” (プレスリリース), 農水省, (2005年8月), http://www.maff.go.jp/j/nousin/seko/top/t_rikai/t_chokuei/pdf/manual.pdf 
  4. ^ 「日本の未来が見える村 長野県下條村、出生率「2.04」の必然」、『日経ビジネス』、2009年2月10日http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090209/185533/ 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]