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(まき、たきぎ)とは、燃料として用意されたを含む)や木材、木材の廃材などの事を指す。なお、(特に木炭)とともに薪炭(しんたん)ということもある。

概要[編集]

基本的には薪は伐採した木材を手ごろな大きさに手斧チェーンソーなどで切断し、さらに小さくまとめた物である。伐採直後の生木(なまき)は水分を多く含んでいる。水分は燃焼の妨げとなるため、伐採後に割り、木材を乾燥させる必要がある。

着火の際には、火の種を充分に大きくする目的で空気との接触面積が大きくなるよう、木の小枝や同程度の大きさに割り揃えた焚きつけと呼ばれる薪を使用する。充分に火が回った後は火持ちをさせるため、より太い薪を火にくべる。

薪はその他の燃料に対しての排出量と、エネルギー量に対する体積および重量の大きさからあまり効率的な燃料とは言えない。また後述のように2年程度乾燥させなければ不完全燃焼になりやすい。しかし、庶民が調達し易い燃料であるため、最古より人類に利用されてきた燃料の1つである。

含まれる炭素が赤く燃焼すると共に、により可燃性ガスが発生してを上げて燃える。それに対して、木材から揮発成分を抜いた木炭は、炎が出ないかまたは少なく、じっくりと長時間燃える製品もある。薪は、太さや樹種にもよるが、一気に強い火力よりも短時間に燃え尽きる事が多い。

中国貴州省の薪採取。樹木を伐採するのではなく、小枝を刈る。つまり、森林は再生可能な範囲で利用する。薪は、木質バイオマスの再生可能エネルギーである。

このように伝統的なバイオマスエネルギーとして世界各地で利用されている薪炭であるが、国連食糧農業機関の推計した林業統計では、開発途上国における木材生産の8割が薪炭生産で占められている。そこで、森林減少の大きな要因は、材木会社などが行う用材生産ではなく、薪採取であるとする見解も生まれてきた。実際、朝鮮の前近代末では人里近くの山は禿山だらけであった。イギリスでは製鉄に木炭を使用していた時代に森林資源が大きく失われた。

しかし、樹木を伐採するのではなく、小枝を刈る形の利用であれば、切られた枝は再び生えてくるから、森林は再生可能な範囲で利用されている。そして、薪は木質バイオマスの有効活用であり、煮炊き、調理給湯などに使われる再生可能エネルギーである。そして、薪を採取する里山、柴山、入会地は、ローカル・コモンズであり、住民の管理の下に持続可能な利用が図られている。このように、森林が再生可能な範囲で利用する現地住民は、草の根民活として、持続可能な開発に参加しているといえよう。

熱源としての利用[編集]

薪ストーブ・暖炉[編集]

日本では燃料として石油灯油重油)、電気などが使われる事が多いため少数派だが、現在も実用品として使われている。趣味の生活用品として憧れの対象になっている面もある。

また、2007年現在は原油価格の歴史的高騰による石油の価格上昇から石油ストーブよりも薪ストーブのほうが売れ行きが好調の地域もある。

風呂釜[編集]

現代でも銭湯などで薪ボイラーを用いている所がある。

循環式の風呂釜が安価に売られている。チョロ火で保温できるメリットもある。ガスまたは石油と共用できる製品もある。一般的な循環式風呂釜と同じ方式のため、ストーブに比べれば導入が容易。

最も単純なものは五右衛門風呂だが、火の上に大量の水を配置するために丈夫な架設が必要。現代では釜の入手が難しい。

発電[編集]

米国では、薪の火力発電機が市販されている。

蒸気機関車[編集]

21世紀においても蒸気機関車は利用されており、一部地域では薪を燃料にしている。

窯業[編集]

窯業において、伝統的な製法の陶器磁器煉瓦は薪によって焼成される。とくに樹脂を多く含み、高温が得られるアカマツの薪が最良とされる。近年はより手間のかからないガスや電気で焼くことが多くなったものの、場所によって不均一な温度で焼くことによる微妙な色合いを出すために、薪に拘る陶芸家も多い。

調理[編集]

野外で焼きそばカレーライスを作るときに、現地で調達できる燃料として薪を使うことがある。また、屋内用にオーブン(くど)などの設備がある。薪ストーブには、調理に対応したものもある。

その他の用途[編集]

薪は炎をあげるため、キャンプファイヤーに必須の燃料。

密教において、僧侶が祈祷をする際に祭壇に炉(護摩壇)を設けて、木片をくべることがある。この木片を護摩木と呼ぶ。

薪割り[編集]

薪と薪割り斧

伐採された樹木は大量の水分を含み、火がつきにくく温度が上がらないばかりか、薪が水蒸気爆発を起こしたり、臭気を伴う大量の煙を出したり、煙突が詰まったりする。そのためすぐに薪ストーブ囲炉裏などにくべることはできない。使用に適した太さや長さに加工し、樹木の乾燥を促す作業を薪割りという。樹種にもよるが、この状態で2年以上乾燥させる事が望ましい。割る必要が無いような細い枝でも、割って木質部を出すことによって水分の蒸散が促され、素早く良質の薪になる。

道具[編集]

  • 「斧」ヨキとも。体力と技術が必要。木の繊維に従い割り裂けるよう、が厚くなっている。スェーデンフィンランドの製品も輸入されている。伐採用や製材用の斧は刃が薄いので、薪割りすれば刃が台無しになる。
  • 「割矢・金矢(わりや・かなや)」薪割り専用の鉄製くさびのことで、2本1組で使用されることが多い。2本を交互に鉄ハンマーなどで叩いていくと、次第に割れていく。斧に比べて安全かつ身体への負担が少ない方法。くさびの上部にスライドハンマーを設置したタイプもある。
  • 「スプリッターコーン」ユニコーンスプリッターとも。円錐型の大きなドリルを回転させて、木材を割り広げていく、単純な方式のスプリッター。
  • 「スプリッター」ログスプリッターまたはファイヤーウッドスプリッターとも。エンジンモーターで油圧を発生させ、薪をくさびに押し付けて割る機械。発生する圧力をt(トン)で表す(tが低い物では、広葉樹を割るだけの力がない)。薪割りの重労働に耐えうる者が少ない山村では、数軒で薪割り機を共同使用している例もある。
  • プロセッサー」ログプロセッサーまたはファイヤーウッドプロセッサーとも。スプリッターの前に、マルやチェンソーの玉切り装置を付加した物。薪をトラックに積載するコンベアを備えたものも多い。据え置き式、トレーラー式、重機式、トラクター後部設置式などがある。北欧と北米に多くのメーカーがある。

斧を使用した手順[編集]

薪用の樹木は伐採後に枝を落とし、チェーンソーなどで玉切り(ストーブ等に合わせて寸断)する。地面や台の上に立てられるよう、なるべく水平に切断する。切断した薪材は台の上に立て、で割る。生木のうちに、根元を上側にすれば割れやすい[要出典]。台に立てられないような、切り口が水平でない木は丸太に立てかけた状態にして斧を入れる方法もあるが、危険が増すため切り直す方が良い。

太い薪材は一刀両断できずに斧が木口に刺さって抜けなくなるので、周囲から削ぎ取るように割っていく。繊維が入り組んだ節の多い部分は、くさびを併用する。

スギヒノキをはじめ多くの針葉樹ミズナラサクラシラカバは容易に割れるが、カシケヤキクスノキは割りにくい。

関連項目[編集]