再生可能エネルギー
| 再生可能エネルギー |
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再生可能エネルギー(さいせいかのうエネルギー、英語:renewable energy)とは、広義には、太陽・地球物理学的・生物学的な源に由来し、自然界によって利用する以上の速度で補充されるエネルギー全般を指す[3]。狭義には、多彩な利用形態のうちの一部を指す(#定義・関連用語節を参照)。
太陽光、風力、波力・潮力、流水・潮汐、地熱、バイオマス等、自然の力で定常的(もしくは反復的)に補充されるエネルギー資源より導かれ[3][4]、発電、給湯、冷暖房、輸送、燃料等、エネルギー需要形態全般にわたって用いられる[3][5]。 枯渇性燃料が持つ有限性への対策、地球温暖化の緩和策、新たな利点を有するエネルギー源等として近年利用が増加しており[6][7]、2010年時点では世界で新設される発電所の約1/3を占め(大規模水力を除いた値)[2]、年間投資額も2110億ドルに達している[1](右図および#利用状況と見通しを参照)。
対義語は枯渇性エネルギーで、これは化石燃料(石油、天然ガス、オイルサンド、メタンハイドレート等)やウラン等の埋蔵資源を利用するもの(原子力発電など)を指す。
目次 |
[編集] 定義・関連用語
再生可能エネルギーとは本来、「絶えず資源が補充されて枯渇することのないエネルギー」、「利用する以上の速度で自然に再生するエネルギー」という意味の用語であるが、実際には自然エネルギー、新エネルギーなどと似た意味で使われることが多い。具体例としては、太陽光、太陽熱、水力、風力、地熱、波力、温度差、バイオマスなどが挙げられる。ただし、詳細な定義や、法規や統計にどのようなものを含めるかについては、個別の資料・団体・法規などにより下記のように差異が見られる。欧州連合のように、性能次第で範疇に含めるかどうかを分ける例もある。また水力のうち大型のダムを用いるもの(large hydro)については、環境破壊の少ない中小規模の水力発電(small hydro)と区別され、統計上も別扱いされることがある(例えばREN21[8]では、出力10MWを境に区別している(Table1))。なお、化石燃料は定義を満たさない[3]。
- IPCCの再生可能エネルギーと気候変動に関する特別報告書(SRREN)では、太陽・地球物理学的・生物学的な源に由来し、自然界によって利用する以上の速度で補充されるエネルギー全般と定義されている[3]。これは下記に紹介する他の定義の大部分を含んでいる。
- 国際エネルギー機関の発行する統計 (Renewables Information) では、「絶えず補充される自然の過程に由来し、様々な形態のうち太陽から直接供給される光や地球内部で発生する熱、太陽や風や海洋や水力やバイオマスや地熱資源から発生した熱や電力、そして再生可能資源に由来するバイオ燃料と水素」を対象とし、ヒートポンプによる熱(地中熱、大気熱等)は別記している[9]。
- 欧州連合の2009年5月の指令による定義では廃熱利用、水熱利用、空気熱利用も定義に加えている[10]。ヒートポンプについては統計に含める要件として、出力が投入したエネルギーより大きいもののみ統計に含められるべきとされる[11]。
- 日本の法令上は、「再生可能エネルギー源」について、端的に「永続的に利用することができると認められるエネルギー源」[12]と定義する例や、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」[13]とした上で、同施行令により「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「太陽熱」「大気中の熱その他の自然界に存する熱[14]」「バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるものをいう[15]。)」と列挙定義される例がある[16]。
[編集] 同義語・類義語
- 自然エネルギー :再生可能エネルギーとほぼ同義に用いられる。
- green power :アメリカ合衆国環境保護庁 (EPA) は大規模水力以外の再生可能エネルギーによって発電された電力をgreen powerと定義する[17]。
- 新エネルギー :新エネルギーは原子力発電を含む非化石エネルギーの製造発生利用や電力を変換した動力のうち経済制約から普及が不十分なもののうち導入には促進が必要として政令で定めるものと「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法」(新エネルギー法)2条で定義される。「政令に定めるもの」には「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」1条に10種類の「新エネルギー利用等」がある[18][19]。
- 代替エネルギー (alternative energy) :alternative energy は日本国外では主に再生可能エネルギー、特に new renewable energy を指す。日本における代替エネルギーの意味は「石油代替エネルギー」であり、石炭ガス化・天然ガス・原子力等も含む呼称である(これらは枯渇性エネルギーである)[20]。
[編集] renewableの訳
「renewable」の訳として、日本語では「再生可能」が充てられる。また中国語でも「再生能源」と訳される。日本語の「再生」には「リサイクル」の意味もあり、それを論拠に訳に対する疑問が出されることがある[21][22][23]。しかし元のrenewableに「リサイクル可能」の意味は無く[24]、その訳である「再生可能」も”リサイクル可能”の意味ではない。「森が再生する」のように、(自然環境等が)「更新できる、復活できる」等の意味で用いられる[24]。
[編集] エネルギーの源
再生可能エネルギーは、自然の力で定常的に補充されるエネルギー資源で[4]、利用する以上の速度で再生するものを利用する[25]。その源は太陽・地熱・潮汐等で、事実上枯渇しない[25][17]。
下記のようなエネルギー資源が利用される[4][9](詳細は#利用形態の節を参照)。
太陽の残り寿命は約50億年あると見られる。
- 直接利用
- 間接利用
主に熱源として発電・暖房等に用いられる。近年では冷却源や蓄熱・蓄冷源としても用いられている。
地球の自転速度と月の公転速度の差等に由来する。地球の自転速度と月の公転速度は、約140億年後まで一致しない計算である[26]。
- 間接利用
[編集] 利用形態
再生可能エネルギーの利用形態は、下記のように多彩である。なお性能等の要件を満たさないものは、再生可能エネルギーの定義に含まない場合もある(欧州におけるヒートポンプの要件[11]等)。
[編集] 光
[編集] 熱
- 温室 (solar greenhouse) :太陽熱を取り込み逃がさないことで保温を行う。ガラスやビニール製のものを地上に設置する場合が多いが、地面に穴を掘って採光部以外を地下に設置することで土の断熱効果や地中熱による保温効果を得たり、蓄熱壁 (trombe wall) で囲うことにより保温性を大幅に高めた太陽温室(日光温室)[27][要出典]がある。パッシブソーラーと共通する方法である。
- 太陽熱温水器 :黒いパネルで集熱し水を温める。変換効率が6割程度[要出典]と高い。比較的安価である。
- 太陽炉 :集光によって数千度の高熱を得る。小型のものはソーラーオーブン(ソーラークッカー)と呼ばれ、数百度程度の熱を得て調理に用いる。周囲が非常に眩しくなり視力障害を防ぐためサングラスが必要。天候に左右され、快晴でないと十分な熱量が得にくい[28][要出典]。
- 風窓 :各部屋から屋上に伸びた煙突の上に風受け(バッド・ギア)を設置し海風を屋内に取り込み冷房効果を得る。乾燥地域の海沿いで用いられる[要出典]。
- 温泉 :地熱により暖められた温水を直接間接的に利用。入浴や治療のほか調理や暖房にも利用できる。
- 地熱 :地熱を直接給湯や暖房や調理等に利用。
- 水熱 :大気と水との温度差を利用し食品の冷却や解凍に利用。
- 氷雪熱 :冬場地下に蓄えた氷雪を夏場の冷房に利用。冬場に農作物の保存を目的とした雪室は断熱効果による保温効果も持つ。氷の保存を目的にした氷室は目的は異なるものの近い形態である。内部に氷のある天然の風穴では周囲の気温まで下げる場合がある[要出典]。
- 気化熱
- 地中熱 :熱伝導や地中熱ヒートポンプ等を用いて浅い地下と外気との温度差を利用し、給湯・暖房等に用いる[29]。
- 空気熱利用ヒートポンプ :空気熱をヒートポンプを用いて給湯や暖房に利用する。欧州連合では性能等の要件を満たしたものだけを統計に含めている[11]。日本の経済産業省は再生可能エネルギーに分類されるものの統計に含まれていない「空気熱、地中熱、水を熱源とする熱の利用[30]」に関する統計手法の確立に努めている。
- 放射冷却 :地表と宇宙空間との温度差による夜間快晴時の放射冷却を利用して低温環境を作り出すもの。電力を用いない非電化製品[31]が実用化されている。
[編集] 燃料
- 薪 :木材・竹・ヤシガラなど植物を燃やし熱を得る。
- 炭 :木材・竹・ヤシガラなどを不完全燃焼により炭化させた炭素の塊である。木炭が多く、比較的軽く燃えやすい。
- バイオコークス: 植物性バイオマスを高密度に固形化したもの[32]。炭化させないため、燃料化の際に減量が殆ど起きない[32]。石炭代替燃料等に利用される[33]。
- 糞燃料 :動物の糞を太陽熱で乾燥させ燃料としてに利用。牛糞が多く、よく燃える。燃料以外の用途として壁材にも利用される。
- バイオガス :糞尿や汚泥等を発酵させ発生したメタンを燃料や化学製品の原料として[要出典]利用。
- バイオエタノール :穀物・果実・植物繊維等に含まれるブドウ糖や炭水化物を発酵または化学反応させたエタノールとして利用。
- バイオディーゼル :軽油の代替燃料。菜種油・パーム油・アブラギリ・ミドリムシ等の油脂を精製した軽油に近い性質の燃料を利用[34][要出典]。
- バイオ重油 :重油の代替燃料。オーランチオキトリウム・ボトリオコッカスから採れる重油に近い油脂を利用。
[編集] 動力
- 水車 :水流を羽の付いた車輪で回転動力に変換して利用。
- 帆船 :風を帆に受け推進力を得る。先進国では衰退していたが、燃料が要らない点が見直され一部で復活している。伝統的な漁や移動の手段として現在でも利用される。
- 風車 :風を羽に受け回転力を得る。先進国では機械の普及に伴い衰退したが、修理が容易なため発展途上国の農村では揚水などの動力源として広く利用される。
- 蒸気機関車 :薪やバガスなどバイオマス燃料のみで走行可能な蒸気機関車[要出典]が存在した。
- 木炭バス :木炭を不完全燃焼させて一酸化炭素を主成分とする可燃性ガスによりエンジンを作動させる。燃料が不足した第二次世界大戦中の日本で利用された。
- 太陽帆船 :薄い反射板に太陽光の光子が衝突する際の反作用により宇宙空間で推進力を得て推進する宇宙船。太陽帆の稼動には燃料を必要としない。
[編集] 発電
- 太陽光発電 :太陽電池を利用し、太陽光を直接的に電力に変換する。日光の当たる場所ならばどこでも発電できる一方、天候に影響を受け、また日没から日の出までは発電できない。携行性に優れた製品もあり、僻地や人工衛星などでも使われる。散乱光でも利用できる[35]ほか、温度特性上は気温が低い地域の方が有利である[36]。価格の低減が課題だが、米国等主要国でのグリッドパリティ達成が近いと見込まれる[37]。
- 太陽熱発電 :反射板等による集光により蒸気を発生させ、タービンを回して発電する。汽力発電である。溶融塩などを用いた蓄熱により24時間発電可能。直射日光が多く、平均気温が高く、大面積の土地が確保できる条件に向く。条件が良ければ太陽光発電よりも安価。
- ソーラーチムニー (solar updraft tower) :膜の下で暖めた空気を煙突に導いて上昇気流を起こし、煙突内部の風力発電機を回す。煙突が高いほど上空との気圧差が高まり大きな風力を得られる。太陽熱と風力のハイブリッド型発電。
- 風力発電 :風を羽に受け原動機で発電。年間を通じて安定的に吹く風のある地域で有利。風況さえ良ければ利用でき、比較的安価。バードストライクや低周波といった問題があり、建設には生活環境や生態系に配慮が必要である[38]。自然保護区への設置が制限される場合もある。
- 地熱発電 :地熱で蒸気を発生させ、タービンを回して発電する。汽力発電である。24時間発電可能で、安定した出力が得られる。マントルの熱を直接的に利用するマグマ発電も研究されている。
- 大規模水力発電(貯水式水力、ダム式水力) :ダムなどに貯水した水でタービンを回し発電する。再生可能エネルギー発電の中で最大。ダム建設による環境への影響が大きい。
- 小規模水力発電(マイクロ水力発電) :小規模な流水を利用。貯水設備の設置による環境破壊が小さい。高低差の大きい地形に多い沢などのほか上下水道や用水路など設置可能場所が多い。
- 海流発電 (marine current power) :海流を羽に受け原動機を回して発電。浅い海では漁業との共存が課題である。
- 潮力発電 (tidal power) :潮汐による海水の定期的な移動である潮流を利用して水車を回し発電する。
- 波力発電 (wave power) :海面の上下動により装置内部に気流を起こしタービンを回し発電するものと、効率を上げるため内部に抵抗の大きい液体を満たし水流を発生させタービンで発電するもののほか上下動をジャイロで回転に変換するものがある。灯浮標や海洋気象ブイなど海上無人機器の独立電源に広く利用。
- 浸透圧発電 (osmotic power) :実証試験段階である[39]。海水と真水の塩分濃度差を利用して浸透圧による水流を利用してタービンを回し発電する。
- 海洋温度差発電 :海の表層と深層の温度差を利用して発電し、作動流体ポンプが必要な方式と不要な方式がある[40]。コストと性能に課題があり[41]、研究段階である。
[編集] 特徴
再生可能エネルギーの多くに共通する特徴としては、下記のようなものがある。[42][43][44][45][46]
[編集] 長所
- 枯渇しないため半永久的な利用が可能。(再生可能エネルギーの定義)
- 二酸化炭素等の温暖化ガスの排出量が少ないものが多い。
- 設備の耐用年数内に得られるエネルギーに対する温室効果気体の排出が化石燃料を用いた場合に比べ非常に少なく済む。
- エネルギーを需要地近辺で調達できる。(エネルギー自給率の向上、燃料等の調達コストの削減、送電・輸送にかかるエネルギー消費量の縮減)
- 枯渇性エネルギーに比べ、有害物質の排出量を削減できるものが多い。
- 放射性廃棄物を出さない。
- 電力に加え熱など廃棄されがちなエネルギーも有効利用でき全体的なエネルギー効率を高めたりコストを削減できる
- 小規模設備は移設・転売・廃棄・リサイクルなどが容易である
- 小規模設備ほど工期が短くなり、需要量の予測のずれによるリスクを低減できる
- 設備が比較的単純な仕組みのため、修理等が容易であり安価に維持可能である。稼働可能率[注 1]も高くなる
- 多数設置する場合一部が使用不能になっても影響が小さく、全体的な信頼性が高くなる。災害などの有事においても影響(供給停止の範囲や期間)が抑制できる。
- 化石燃料に代わる新たなエネルギー産業になる。
[編集] 短所、課題など
下記のような要因が普及を阻害する場合がある。
- 資源が偏在するため任意の場所に任意の設備を建設できない。
- 既に利用されている用途との競合による価格高騰や紛争の発生。
- 生産規模が小さいことによる環境負荷の増大や価格競争力の弱さ。
- 製造工場が小さいために排出される二酸化炭素などの処理が不十分になりがちで量産効果が出せず石油に比べ高価になる(バイオエタノール)
- 環境基準による設置制限
- 販売方法や情報開示による販売不振、正しい知識もしくは間違った知識の浸透による販売不振など。
- 時間帯による出力変動や資源分布地域の偏在によるエネルギー需給ギャップ(風力発電の出力変動、太陽光発電の出力変動などの例がある)。
- エネルギー密度が低いことによる物理的な制限。ただし、地熱発電や太陽熱発電などはエネルギーの集中が可能。一般的にエネルギー密度と安全性との間にはトレードオフの関係がある。
[編集] 性能
再生可能エネルギーは原理的には温室効果気体を排出せずにエネルギーが得られるものが多く、新しいエネルギー源として、また地球温暖化への対策としても有効とされる。
設備の製造・メンテナンス・廃棄や燃料の運搬などにはある程度のエネルギー(電力、燃料など)を投入する必要があり、その過程で温室効果気体もある程度排出されるが、それら全てを考慮した上で
という点が性能を論ずる時に評価対象となり、多くがその有効性を認められている(スターン報告やIPCC第4次評価報告書を参照)。
利用に当たっては、枯渇性エネルギー源とも比較して
- 価格
- 入手性
- 安全性
- 信頼性
- 稼働率
- 保守性
- 供給の安定性(随意性)
- 利用可能な国や地域、気候
- ロケーション(冷却水の確保できる場所、日照や風況の良い所など)
- 排出物(排気・排水・排熱、廃棄物など)、リサイクル性
- 騒音、振動
- 用途との整合性
- 利用規模
- 寿命
- 建設や廃棄にかかる時間
- 将来の見通し(価格変動や供給可能量、性能向上など)
- 産業としての可能性
など、様々な点が評価の対象となり、性能の一部として論じられる場合もある。[43]
[編集] エネルギー収支
電力などのエネルギーを生産するには、設備(タービン、発電機など)の製造・建設(原料採鉱、精製、土木工事など)や、解体・廃棄などに際してエネルギーを投入する必要がある。この投入エネルギーの「元が取れる」までの期間や、投入エネルギーに対する出力エネルギーの比率で性能を評価するために、下記のような指標が用いられる。
- エネルギーペイバックタイム(Energy Payback Time:EPT)…出力エネルギーによって、投入されたのと同量のエネルギー消費を回避できるまでの時間で定義される。設備寿命に対してこれが短いほど性能が良いとされる。
- エネルギー収支比(Energy Payback Ratio:EPR)…一般的には(発電などにより回避される投入エネルギー)/(投入するエネルギー)で定義される。大きいほど性能が良いとされる。
EPTやEPRは下記のような要因に影響を受ける。
- 資源の分布状況…日照、風況、燃料作物の生産性、高温熱源の位置や種類(地熱)など
- 設備の技術水準
- 生産・流通・利用の規模…一般に、普及規模が大きくなるほど性能が向上する。
- 設備等のリサイクル状況
- 想定されている稼働率
現在実用化されているものでは、化石燃料以上の性能を持つものが多くあると見られている[47]。特に風力発電は性能が高く、EPTは1年未満とされる[48]。普及や技術開発が進むにつれ、この10~20年程度で数倍~十数倍変化しているものもある(例:[49])。
一部のバイオマス燃料など技術が未成熟なものでは、EPTやEPRで見た性能が低いものもあるとされる。
計算条件を変えるなどして、他の検証可能な調査結果に比べて大幅に低い性能値を主張する例も見られる[50]。しかしこうした主張には信頼性のある出典が見当たらず、専門機関からも何らかの誤解に基づくものと指摘されている[51]。
[編集] 温室効果気体の排出量
製造や運搬、メンテナンス、廃棄などの際、エネルギー源や原材料の一部として化石燃料等が利用されることで、ある程度の温室効果気体の排出がある。この排出量は、主に設備(発電設備など)の製造・設置・メンテナンス・廃棄などで決まるものが多い。またバイオマス燃料の場合、燃料の製造・運搬時の排出量が大きい(ただしバイオマス燃料そのものからの炭素の排出については、燃料の育成時に環境中から二酸化炭素として吸収されるため、その分はカーボンニュートラルとみなされる)。
これら温室効果気体の排出量を、生み出すエネルギー量あたりに換算して、化石燃料等に比して十分に少ないかどうかが評価の対象となる。指標としては、下記のようなものが用いられる。
- 発電量あたりの温室効果気体排出量(発電の場合)…ライフサイクル中に排出される全ての温室効果気体を二酸化炭素または炭素量に換算して、g-CO2/kWh や g-C/kWh で表される(12g-C/kWh = 44g-CO2/kWh)。これが少ないほど性能が良い。
- CO2ペイバックタイム(CO2 Payback Time:CO2PT)…化石燃料などと比較して全体的に温室効果気体の排出量が少なくなるまでの利用期間を言う。これが短いほど性能が良い。
温室効果気体の排出量も、エネルギー収支同様に資源の分布状況、普及規模や技術水準の影響を受ける。 また、製造等に必要なエネルギー源や原材料を温室効果気体の排出量が少ないものに転換すると、さらに温室効果気体の排出量が減少する。
[編集] 出力の安定性
再生可能エネルギーの中でも風力発電や太陽光発電は出力が不随意に変動するため、一定割合以上の電力需要を賄うためには、何らかの平滑化手段が必要とされる。仮に系統側が変動を吸収しきれなかった場合、電圧や周波数の規定外の乱れや、最悪の場合は停電に繋がる場合が考えられる。その一方、電力系統に接続できる限界容量の予測には不正確な見積もりや非現実的な想定が意図的に為されている場合が広く見られる(中には数%と見積もっているものもある)([43]P.254、P.261など)。適切な対応を取れば、需要の数割程度の電力を問題なく供給可能とされる[52][53]。例えばデンマークでは2006年時点で国の電力の20%を風力発電で賄っており、さらに増やす予定である[54]。またスペインで風力発電による供給割合が瞬間的な需要の4割、数日間の平均でも約28%に達した例[55]など、既に多くの報告がある[52]。
不随意に変動する電源を効率的に利用するために、下記のような制度的・技術的な工夫が実用、または開発されている。
- 他の種類の小規模発電設備と連携する(マイクログリッドなど)
- 発電量の1割程度までの天然ガス火力発電等の組み合わせを制度的に認め、供給の安定度に応じて電力の買い取り価格を優遇する([56]P.51-52)
- 系統設備を強化する(逆潮流への対応など)
- 設備側である程度エネルギーを蓄積・平滑化する(圧縮空気、フライホイール、蓄電など)
- 需要側で需給バランスの平滑化を図る(ピークシェービング(ピークカット)[57]、夜間電力の活用など)
また電力供給に占める火力発電の割合の減少、太陽光発電や風力発電などの変動する電源やマイクロ水力などの分散型電源の割合の増加、電気自動車などによる需要の変化に合わせて、電力系統の情報化や送電網の強化、蓄電池の追加などの系統側での対策を用いることが検討されている[要出典]。 こうした対策には相応のコストもかかる。たとえば風力発電の出力変動については一般に、発電量の10%程度までは問題にならないが、20%を超えるとコストが顕著に増えてくるとされる。どの技術をどのように用い、どれだけの不随意電源を導入するのが適切なのか、各国で検討が進められている。たとえばドイツの金属産業連盟とベルリン工科大学による試算の場合、再生可能エネルギー導入に伴う間接経費は2020年で1kWhあたり0.6~0.7ユーロセントになると予想している[58]。
日本でも導入に伴う影響や費用負担の検討が始まっている[59]。系統安定化の費用は日本全体で2030年までの合計で数兆円の単位になるとみられ、蓄電池や配電対策を含めた様々な形態が検討されている。たとえば資源エネルギー庁は電事連の試算の1.2~1.5倍の容量の蓄電池を導入を仮定し、この場合の費用を5兆円前後と試算している[60]。
貯水式の水力、バイオマスなど再生可能な燃料を用いた火力発電、地熱などでは恣意的に出力を制御できる。また、太陽熱利用(太陽熱温水器など)や太陽熱発電の場合、蓄熱によって出力をより柔軟に制御可能である。発電した電気で水を電気分解して水素を製造し、これを圧縮、有機ハイドライド等に吸着、または二酸化炭素と反応させて炭化水素にする、若しくは窒素と反応させてヒドラジン(水加ヒドラジン)にする[要出典]ことなどによりエネルギーを貯蔵、輸送する方式は、結果的に出力の平準化の問題解決にもなると考えられている。
[編集] 設備の信頼性
一般的に、大規模集中型のエネルギー設備はシステムが複雑になるため、計画外の停止が発生する確率が高くなり、また老朽化の影響も大きくなりやすいとされる([43]P.42など。ただし原子力発電所などでも比較的高い稼働率は可能[61])。これに対して小規模分散型の再生可能エネルギー設備は、一般的に計画外停止の確率でみた信頼性が高くなり、老朽化の影響も少なくなることが知られている。上手に設計された数百~数千kW規模の風力発電所や太陽光発電所においては、100%近い稼働可能率も記録されている([43]P.241)。
[編集] エネルギー源別の具体的な性能
詳細は、各エネルギーの項目を参照のこと。
[編集] 費用・経済効果
[編集] 供給コスト
一般に、再生可能エネルギーの発生エネルギーあたりの費用(コスト)は既存の枯渇性エネルギーよりも高価なものが多い。しかし適切な普及促進政策により、許容できるコストで相当量を導入することも可能とされる。水力、バイオマス、地熱などは昔から実用されており、新しい技術も加わってそれぞれ利用形態が多様化している。風力発電・バイオマス・太陽光発電等の主立ったエネルギー源は、条件の良いところでは既に枯渇性エネルギーとコストで並び始めており[63]、今後もさらに競争力を増すと見られている。
再生可能エネルギーの将来の開発状況は各国の政策等にも大きく左右されると考えられ、予測には不確実性が伴う。しかし積極的に開発を続けた場合、枯渇性エネルギーと同等もしくはそれより安価なエネルギー源になると見られている。図にIEAによる電力コストに関する比較と楽観的予測(BLUE Map)の例を示す[62]。(太陽光発電のコスト、風力発電#費用対効果等も参照)
コストが設備の価格に大きく左右されるエネルギー源(風力発電や太陽光発電・太陽熱発電など)の場合、市場規模の拡大に従ってコストが低減することが知られており、将来のコストの予測は比較的容易である([56]P.96, [64]など)。また一般にこうしたエネルギー源では、原油やウランなどの枯渇性エネルギーに比べてコストの不規則な変動も緩やかであり、コストの変動による財務リスクが小さくなる[43]。
生産規模の拡大や新技術の投入を促すため、コスト低減に当たっては市場規模の拡大が重要視される。その一方で枯渇性エネルギーには供給安定化などを目的として直接・間接的に多額の公金が投入され、再生可能エネルギーのコスト的な競争力を削いでいる[56]。導入に際してはこの障壁を越えるためのコストが追加される場合が多いが、後述のfeed-in tariff(FIT)制を用いて市場拡大に力を入れたドイツの場合、FITのコストを含めても、許容範囲内のコストで2020年までに電力の25%を再生可能エネルギーで賄うことが可能と見込まれている[65]。
[編集] 普及費用と経済効果
再生可能エネルギーの普及にあたっては、既存エネルギーに対するコストや技術面での不利の克服のため、国際的に何らかの助成が必要とされている[66]。欧州各国を対象とした分析では、この助成費用は既存産業に対してある程度の雇用減少の影響を与える[67]と同時に、再生可能エネルギーは運用・保守時における発電・発熱量あたりの雇用数が既存のエネルギー源に比べて大きいため[68]、全体的には雇用を増やせると見積もられている[67]。また各種再生可能エネルギーの中では、特にバイオマスが雇用創出効果が大きく[68][69]、地方の雇用確保にも大きく貢献し得ると指摘されている[69]。。ドイツにおいては2009年時点でEEG法により年53億ユーロの費用をかける一方、204億ユーロの投資、設備設置で171億ユーロの付加価値、設備の運転で375億ユーロの付加価値を誘発している[70]。また2009年時点で、関連産業による雇用創出は30万人を超えている[71]。
日本における普及費用と経済効果の試算は、環境省が行っている[72]。2020年までに年間5,824~8,358万t-CO2の排出量削減に相当する再生可能エネルギーを導入した場合、2011~2020年の間、系統対策費用や化石燃料火力発電への影響を含めて年平均で3.3~4.4兆円を投資する必要があると試算されている[73]。その代わりに、生産誘発額が9.1~12.2兆円、直接投資を除く粗付加価値額が2.5~3.4兆円、雇用創出が45.8~62.7万人、エネルギー自給率が10~13%に向上(2005年は5%)等の便益が得られると見積もられている[73]。
[編集] 資源量
再生可能エネルギーは半永久的に利用可能かつ膨大な資源量を有する。技術的に利用可能な量は少なくとも現在の世界のエネルギー需要の約20倍で、2100年時点で予測されるエネルギー需要と比べてもなお数倍以上大きいと見積もられている。潜在的な資源量はさらに桁違いに大きく、技術の発達次第で利用可能な量もさらに増えると見られている([75]Chapter5など)。
| 再生可能エネルギーの資源量 (エクサジュール(EJ)/年 ※1EJ=10億GJ) | |||
| 2001年時点での利用量 | 世界の技術的資源量 | 世界の理論的資源量 | |
| 地熱 | 0.6 | 5,000 | 140,000,000EJ |
| 太陽光・太陽熱 | 0.1 | >1,575 | 3,900,000EJ |
| 海洋 | (算出されていない) | (算出されていない) | 7,400EJ |
| 風力 | 0.12 | 640 | 6,000EJ |
| バイオマス | 50 | >276 | 2,900EJ |
| 水力 | 9 | 50 | 147EJ |
| 合計 | 60 | >7,600 | >144,000,000EJ |
| 利用量は一次エネルギー換算。参考:2001年時点での世界の一次エネルギー消費量は約402EJ/年。 | |||
[編集] 日本における資源量
日本国内においても、膨大な量の再生可能エネルギー資源が存在する。
| 日本における再生可能エネルギーの資源量[76] | |||
| 技術的資源量 | 理論的資源量 | ||
| 水力発電 | - | 136,009GWh/年 | |
| 太陽光発電 | 102~202 GWp(ギガワットピーク) | 7984 GWp | |
| 地熱発電[77] | 38 GW | 6000 GW | |
| 風力発電[78] | 3~30 TWh(陸上) | 200GWp(280TWh) (洋上) | |
| バイオマス | 2,903万kl(原油換算) | 4,022万kl | |
| 太陽熱利用 | 約810~約1,621万kl(原油換算) | 約3,242万kl | |
| 風力発電 | 1~9 GWp(ギガワットピーク) | 63 GWp | |
| 参考:日本の年間発電量は約1000TWh[79]、最大電力消費量は約180GW[80]である。 | |||
[編集] 利用状況と見通し
再生可能エネルギーはエネルギーの自給率を高めるほか、IPCC第4次評価報告書、スターン報告などでも地球温暖化への対策の一環として挙げられ、その効果は数ある緩和手段の中でも最も大きい部類に入るとされている[82]。また近年は関連産業そのものが急速に拡大しており、環境対策と同時に景気の刺激を狙った政策を打ち出す国も見られる[83]。このため今後の市場拡大やコスト低減を見越して、世界各地で導入の動きが活発である[84][85]。
再生可能エネルギーは2008年時点で全世界の最終エネルギー消費量の約19%を占めていた[8](右図)。発電分野では18%を再生可能エネルギーが占め、その多くが水力で、それ以外の風力・太陽光・地熱などは全部合わせて約3%であった[8]。近年は風力発電など、大規模水力発電以外の("non-Hydro"な)再生可能エネルギーの利用が伸びている[8]。世界で新設される発電所に占める割合も近年急速に増えており、2006年には発電量ベースで6%であったものが、2010年には同30%(設備容量ベースでは34%)に達している(大規模水力を除いた値)[2]。特に風力発電は急速に伸び、2010年には世界の電力需要量の2.3%、2020年には4.5~11.5%に達すると言われる[86]。
2010年の再生可能エネルギーへの投資額は前年から32%増加し、世界で2110億ドルに達したと推定されている[1]。特に途上国における新規投資額(720億ドル)が伸びており、2010年は初めて先進国での新規投資額(700億ドル)を上回った[87]。また2010年は新規設備への投資額で初めて化石燃料を抜き、1870億ドルに達したと推定されている[88]。
国際エネルギー機関(IEA)が2008年6月に発表した報告書[89]では、地球温暖化やエネルギー資源の枯渇に対して何も手を打たなかった場合(Baseline)は石炭と天然ガスの利用量が増え、温暖化ガスの排出量が倍以上に増加し、再生可能エネルギーの導入量も殆ど伸びない可能性を指摘している。一方、世界が積極的に対策を進めた場合(BLUE Map)は、2050年までにエネルギー部門からの温暖化ガスの排出量を半減すると同時に、再生可能エネルギーが発電量の46%を占める見通しが提示されている[90]。
欧州では2008年12月、2020年までに一次エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を20%にする包括的な温暖化対策法案を可決した[91]。中でもドイツは2010年の目標を3年前倒しで達成するなど以前の予測を上回る勢いで導入を進めており、関連産業への投資額は年間100億ユーロを超える規模に成長している[92]。2050年までに電力の50%を再生可能エネルギーで供給するという以前の目標は、2030年頃に達成される見通しである[92][93]。また一次エネルギー供給においても、2050年には再生可能エネルギーが50%以上を占める見込みである[93]。
米国においては、2008年5月に米国エネルギー省が2030年までに総需要の20%を風力発電で供給可能との見通しを示し[94]、新規導入量が2007年時点で他のすべての方式の発電所を凌駕する[57]など、風力発電の導入が急速に進んでいる。また続けて2008年6月には太陽光発電と太陽熱発電で2025年までに電力の10%を賄える可能性が示されている[95]。2010年は太陽光発電の年間導入量が1GWを超え、2012年には2GWに達する見込みである[96]。中国等との競争に晒されてはいるものの、産業全体での貿易収支は黒字である[97]。
[編集] 日本における動き
先進各国の目標に比較して、日本での普及目標量は少なく、長年世界一を保ってきた太陽光発電の年間導入量でもドイツに抜かれるなど、政策の弱さが指摘されてきた[98][99][100][101][102][103]。
2008年1月に発表されたクールアース推進構想などを受けて、日本でも温暖化ガスの排出量削減の動きが加速している。2008年6月には福田ビジョンが発表され、2030年までに電力の半分以上を再生可能エネルギーと原子力で供給する目標が示された。「太陽光、風力、水力、バイオマス、未利用のエネルギー」が挙げられている。特に太陽光発電の導入量を40倍に引き上げ、地方におけるバイオマスエネルギーの開発を促進するなどの内容が示されている。これを受けて経済産業省などに於いて普及促進政策の検討が進められた[104]。太陽光発電の普及ペースの急減に対応し、2009年1月、経産省は緊急提言に沿って設備費用の約1割に相当する補助金を開始した(太陽光発電#日本の状況参照)。また2009年2月には環境省によって再生可能エネルギーの普及促進による便益の試算結果が発表された[105]。2030年までに累計25兆円必要だが、累計の経済効果は2020年までに29~30兆円以上、2030年までに58兆~64兆円以上になり、また2020年には60万人の雇用を生み出すと推計されている[106]。普及政策としては固定価格買い取り制度の採用を提案した[107][108]。
このうち太陽光発電については2009年2月24日、経産省より初期投資の回収年数を10年程度に短縮する助成制度の強化が発表された[109][110][110][111][112][109]。当初は2010年からの実施予定であったが、経済危機対策、エネルギー政策、地球温暖化対策の観点から前倒しされ[113]、2009年11月1日から開始された[114]。開始時の余剰電力の買い取り価格は1キロワット時あたり48円、エネファームやエコウィルなどの自家発電装置を他に併設して居る場合は39円であり、設置後10年間は同じ価格で買い取られることとなった[113]。後から新規に設置された設備の買い取り価格は、年々引き下げられている。補助金の効果もあり、日本の太陽電池生産量は拡大を再開し[115]、2010年度は関連産業の規模が1兆円を突破した[116]。関連雇用も、4万人を超えたと見られている[117]。
2009年末からは、全量買い取りの導入、および対象を太陽光発電以外にも拡大することが検討されており、検討状況は経産省の専用サイトで公開されている[118]。こうした拡大によって再生可能エネルギーの普及促進が期待されている[119]。各方面の関係者からのヒアリング等を経て、法案(再生可能エネルギー特別措置法案、再生可能エネルギー買い取り法案)は2011年4月5日に国会に提出され[120]、各党による協議・修正を経て、同年8月23・26日、衆参両議院での全会一致の賛成をもって成立した[121][122]。買取条件などの制度の詳細はまだ決まっておらず、地域経済振興や産業活性化への期待が集まる一方、電力料金の増加への不満、電力会社による受け入れ拒否の可能性に対する不安の声等も聞かれる[123][124][125]。一方で制度の導入をにらみ、これまで対象から漏れていた再生可能エネルギー源の事業化[126][127]や、新たな市場参入[128]、関連投資の拡大[129][130]等の動きも見られる。買い取り価格の決定時期は、2012年の年明け早々が予定されている[131]。
[編集] 普及政策
現在主要なエネルギー源となっている化石燃料は、中長期でのコスト増大が危惧されている[132]。さらに地球温暖化の抑制は急務となっており、IPCC第4次評価報告書では平均気温の変化を2℃までに抑えるには2050年までに温室効果ガスの排出量を半減する必要があるとされ、第三作業部会報告書において、再生可能エネルギーも重要な緩和技術に位置付けられている[133]。また国際エネルギー機関も、2050年までの排出削減量のうち、再生可能エネルギーで21%を削減するシナリオを示し、普及のための政策的措置が急務であることを訴えている[134]。 その一方で既存の枯渇性エネルギー源には供給安定化などの目的で直接的・間接的に多額の補助金が支出されており[132]、また既に広く普及しているため安価で流通している。これらは再生可能エネルギーを普及させる際の障壁となる。このような障壁を乗り越え、かつ必要な速度で普及させるため、様々な普及政策が用いられている[56]。現在用いられている普及政策は、固定枠(quotaまたはRPS)制と固定価格買い取り制度(フィードインタリフ制度、feed-in tariff law、固定価格制度)に大別できる。 温室効果ガスの排出源そのものの競争力を相対的に弱める環境税(炭素税)の導入も始まっているが、産業界が強く抵抗することが多い。
なお、こうした普及政策の有効性および必要性は、地球温暖化の抑制策の一環として、スターン報告やIPCC第4次評価報告書でも指摘されている。政策に頼らない自主的努力の限界についても、指摘が為されている。
[編集] 固定枠制
クォータ(quota)制とも呼ばれる。これは一定割合以上の再生可能エネルギーの利用を義務づけるものである。特に電力においてはグリーン電力証書 (tradable green certificates) 制度を用いて、環境価値分を他に転売することを可能とする制度である。
導入初期段階においてはある程度の導入促進効果を発揮する。しかし導入の際の投資リスクが高く、また条件の良い限られた案件だけが開発されるなどの欠点が指摘されている。下記の feed-in tariff 制と比較して、長期的にはコストが削減されず、また普及促進効果も劣ることが経験的に知られている[56]。日本のRPS制度もこれに属する。
[編集] 固定価格買い取り制
フィードインタリフ制とも呼ばれ、再生可能エネルギーの設備を導入した時点で、その設備から供給されるエネルギー(主に電力)の買い上げ価格を、一定期間(たとえば20年間)保証する方式である。固定価格制とも呼ばれる。事業計画が立てやすく、投資リスクが低いため、再生可能エネルギーの普及助成費用を最小限に抑えられる特徴を有する。特に風力発電や太陽光発電など、初期投資が投資額の大部分を占める方式で有効である。電力会社に対し、系統への接続や発生した電力の買い上げ義務を課するのも特徴である。買電価格は導入した時期が遅くなるに従って逓減する。この逓減のペースを普及状況とコスト削減の進捗状況に応じて定期的に調整することで、導入量と助成コストを制御する。この制御性、および制度的な柔軟性が他方式に比べて高く、導入量あたりのコストが最も低く済むことが経験的に知られている[56]。このため現在までに最も実績を上げている手法となっており、世界50カ国以上で用いられ[8]、再生可能エネルギーの助成政策として最も一般的な手法となっている[135][8]。 制度的な柔軟性も高く、下記の炭素税(環境税)のほか、グリーン電力証書や税額控除などの手法とも併用されることが多い[136]。この制度の優位性は多くの公的機関によって認められ、2008年6月にはIEAも固定枠制などの他制度に対する優位性を認めている(固定価格買い取り制度#評価を参照)。
「固定価格買い取り制度」も参照
[編集] 環境税
環境税[137]のうち、温室効果ガスの排出に対して課税するものがあり、これは炭素税とも呼ばれる。再生可能エネルギーの普及策という観点からは、これは化石燃料の競争力を相対的に下げる効果を持つ。上記の固定価格買い取り制度などと併用される場合もある。 海外諸国で既に導入され、多くの国で温室効果ガス排出量削減を実現している(環境税を参照)ことから、導入を検討中の国においても高い効果が期待されている。化石燃料に直接課税するだけでなく、再生可能エネルギー源に対する減免・還付等の財源にする場合もある[138]。固定価格買い取り制度と併用するドイツでは、環境税収の 9割を雇用にかかる人件費抑制(具体的には社会保険料の縮減。残り 1割は環境対策)に用いて、雇用への影響抑制に用いている[139]。
日本でも有効な手段になると考えられており[140]、環境省は得られた税金を地球温暖化対策に用いる(特定財源とする)方式による炭素税導入を提案している[141]。しかし、欧州諸国などに比べて議論は進展しておらず、地方自治体で散発的に導入されるに留まっている。詳しくは
「環境税」も参照
[編集] その他の政策
導入費用に対する補助金、入札(tender)制、控除など税制上の優遇措置、低利融資、余剰電力購入(net metering)などがあり、固定枠制や固定価格買い取り制度と組み合わせて用いられることもある。
日本では電力会社が自主的に余剰電力購入制度を設け、太陽光発電などの導入で成果を挙げてきた。2009年からは、太陽光発電については公的な助成制度となった。また地方自治体が独自の補助制度を設ける場合も多い。
[編集] 脚注
[編集] 注釈
- ^ 機器が稼働できる状態の割合。実際に稼動する状態の割合を示す設備稼働率とは異なる。
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- ^ 「法第2条第2項に規定する化石燃料を除く。」として、「化石燃料(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される燃料(その製造に伴い副次的に得られるものであって燃焼の用に供されるものを含む。)」を除いている。
- ^ なお、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案2条4項各号のように、「太陽光」「風力」「水力」「地熱」「バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。)をいう。)」「前各号に掲げるもののほか、原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品以外のエネルギー源のうち、電気のエネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」として、政策的な理由から、限定的に列挙定義する例もある。
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[編集] 関連項目
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