広軌
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広軌(こうき、Broad gauge)は、鉄道線路のレール間隔をあらわす軌間が標準軌の1435mm(4フィート8½インチ)を超えるものをさす。
軌間は、広ければ広いほど安定性が高くなり横風に対する安全性は増す。ただし、曲線での左右の車輪の回転数の差は軌間が広いほど大きいため、最小半径は大きくしなければならない。左右の車輪を独立して回転できるようにすることで、この問題を克服したタルゴのような例もある。
速度の向上との関連性については、蒸気機関車の場合、動輪直径を大きくできるため軌間は広いほうが有利であるが、電気機関車などの近代的動力車であれば、多少の軌間の違いはそれほど大きなハンデにはならないとされる。
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広軌鉄道を保有している国 [編集]
英国では、グレート・ウェスタン鉄道が1838年以来2140mm(7フィート¼インチ)の広軌の先駆けであり、1890年代まで、この軌間を維持していた。
今日でも多くの国が広軌鉄道を保有している。
- ロシアとモンゴルなど近隣諸国:1520mm(元は1524mm=5フィート)
- フィンランド:1524mm(5フィート)
- アイルランド(北アイルランドを含む)とオーストラリアの一部:1600mm(5フィート3インチ)
- ポルトガル:1665mm(計画されている高速鉄道では標準軌を予定している[1])
- スペイン(高速鉄道AVEを除く):1668mm(5フィート5½インチ)
- インドとパキスタン:1676mm(5フィート6インチ)
- 米国ペンシルベニア州フィラデルフィア市の地下鉄、路面電車路線SEPTA:1581mm(5フィート2¼インチ)
- 同ペンシルベニア州ピッツバーグ市の路面電車:1588mm(5フィート2½インチ)
- 同カリフォルニア州サンフランシスコ市のBART(Bay Area Rapid Transit)システム:1676mm(5フィート6インチ)
大抵の非標準軌間は、既存の鉄道路線間の相互運用を目的として採用されたものである。
インドでは、1800mm以上の広軌を主張する技術者と標準軌を主張する英国政府側で意見の対立があり、妥協案として1676mmとなったという。
グレート・ウェスタン鉄道では、イザムバード・キングダム・ブルネルの考案した2140mmゲージにより、車両の安定性を増し、高速化できることを期待したが、同社は初期の機関車の設計に問題があり、広軌の利点を幾分損なうこととなった。また、懸架装置の発展が早く進み、どのみち10年か20年のうちに標準軌での速度が広軌での速度に追いつくことになった。1600mmと1676mm軌間においては、幅の広い分だけ蒸気機関のシリンダを大きくでき、出力を増やすことができたが、標準軌でもシリンダを外側に配置することでこの問題を解決することができた。
アメリカのピッツバーグやフィラデルフィアの路面電車、地下鉄の軌間は、アメリカ国内で軌間の統一がなされていなかった19世紀中ごろに建設された馬車鉄道の軌間に由来する。その後19世紀終わりまでに幹線鉄道の軌間は標準軌へ統一されたが、市街鉄道の場合、市街の併用軌道上への貨物列車の進入を阻止したいという市当局の思惑から、標準軌と異なる軌道幅が支持され、20世紀初頭建設の路面電車を含め、5フィート前後のさまざまな軌間が採用される結果となった。
一方BART(Bay Area Rapid Transport)では、より軽量な車両がより長い高架区間で強風で煽られて転倒することを防ぐためさらに広い軌間としている。
ナチス・ドイツでは、ブライトスプールバーンと呼ばれる、軌間3,000mmの巨大列車計画があった。
日本における広軌の定義 [編集]
日本においては、旧国鉄線で1067mm軌間の狭軌が標準的に採用され、地方鉄道法により私鉄においてもそれを超える軌間の敷設は制限されたため、これが日本における軌間の基準となり、昭和中期ごろまでは標準軌の1435mm軌間も広軌と呼ぶのが一般的であった。近年においては新幹線網の拡大により多くの地域に1435mm軌間が広まり、かつてほど特殊なものではなくなったことや、国際的な広軌との混同を防ぐため1435mm軌間は標準軌と表現するのが一般的になっているが、主に年配層においては、過去と同様に1435mm軌間を広軌とする表現を用いる場合もある。なお、国鉄時代の公式文書においては標準軌幅1435mmである新幹線の軌間を広軌と記述しているものもあったが、JR化以後は公式文書において1435mm軌間は標準軌と記述するのが基本となっており1435mm軌間を広軌とする表現はしないようになっている。
日本国内に国際的な広軌、すなわち軌間が1435mmを超える営業用路線は2010年現在存在しない。工場構内鉄道として製鉄所では広軌や標準軌を採用したケースがあり、1676mm軌間がJFEスチール東日本製鉄所・京浜地区(旧称・扇島地区)に存在、1435mm軌間もJFEスチール西日本製鉄所・福山地区や新日本製鐵君津製鉄所・堺製鉄所などで採用されている(いずれも非電化)。[2]製鉄所構内で広軌や標準軌を採用した理由は、高炉で製造された銑鉄の輸送は高炉から製鋼工場までの閉じた輸送となることや、製鉄所が立地する埋め立て地の軟弱地盤を考慮し、狭軌よりも安定輸送ができて重量設計が容易であることによる。
脚注 [編集]
- ^ Chris Jackson (2006年2月1日). “High speed lines will drive forward Refer's long-term strategy”. レールウェイ・ガゼット・インターナショナル. 2010年11月11日閲覧。
- ^ 鉄道ピクトリアル No.797(2007年12月号)「製鉄所の鉄道」、No.805(2008年7月号) 「続・製鉄所の鉄道」石本祐吉