分岐器

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分岐器の例(阪神本線青木駅

分岐器(ぶんぎき、: railroad switch, turnout)とは、鉄道線路において線路を分岐させ、車両の進路を選択する機構。アメリカ英語での正式名称[誰によって?]は、ターンアウトスイッチ。アメリカでは、分岐器のうち、進路を転換する部分のことをポイント (point) というが、英国および英国から鉄道を導入した国々では、分岐器全体のことをポイントと呼ぶ。

構造[編集]

片開き分岐器の概略図

分岐器は一般的に1線の線路を2線(またはそれ以上)に分岐させるものであり、下記の4つの部位から成る。1線側を前端、2線側を後端と称する。

ポイント部
右図 (1) 。トングレール(列車を分岐させる先の尖ったレールのこと)およびトングレールが密着する基本レール部分を指す。
リード部
右図 (2) 。トングレールとクロッシング部を結ぶ部分を指す。一般的に、分岐線側はリード部が曲線となる。この曲線半径のをリード半径と呼び、リード半径の大小が分岐器の列車通過制限速度を決定する大きな要因となる。
クロッシング部
右図 (3) 。分岐器でレールが交差している部分を指す。内方分岐と外方分岐以外のクロッシング部は、通常は直線になっているが、曲線半径を大きくするためにクロッシング部を曲線にした曲線クロッシングもある。
ガード部
クロッシング部の相手方のレール部分に列車が異線進入するのを防ぐために設けてあるガードレール部を指す。

専門的には、たとえば「弾性分岐器」といえば弾性ポイントを使用した分岐器全体を指し、「弾性ポイント」といえば上記4部位のうちの「ポイント部」だけを指す。

分岐器は通常、図に示したような構造になっている。黒線はストックレール(基本レール)、茶色の線はトングレール(先端軌条)、赤線はリードレール、紫の線はウィングレール、青線はガードレール(護輪軌条:ごりんきじょう)、オレンジ色の線は主レール、緑線はノーズ(鼻端レール)またはフログ(轍叉・てっさ)と呼ばれる。進路変更をするときは、トングレールを分岐側と反対側のストックレールに移動する。なお、弾性分岐器では、トングレールとリードレールとウィングレールが一体化されている。

分岐器は、通常はある一定の方向(本線)に列車を進入させるようになっている。これを定位という。また、通常とは異なる方向(副本線)に列車が進入するようになっていることを反位という。また列車が分岐器の分岐する方向に向かうことを対向と言い、列車が分岐器の合流する方向に向かうことを背向と言う。

可動式ノーズの概略図

ノーズ付近に見られるすき間は車輪のフランジがスムーズに通過できるように設けられたもので、フランジウェイと呼ぶ。このすき間による他線への誤進入を防ぐため通過する車両は減速を強いられるが、ノーズまたはウィングレールを可動式にしてウィングレール(ノーズ)に密着させ、高速通過を確実にしているものもあり、主に新幹線で多用されている[1]。その場合、ノーズ(ウィングレール)はトングレールと連動するようになっている。

右に可動式ノーズ(ノーズ可動クロッシング)の概略図を示す。このうち水色のレールが緑色のレールを軸にして動くことによって、フランジウェイを塞いでいる(図では直進の場合のフログの状態)[2]。異線進入のリスクが小さいので、クロッシング部のガードレールが省略されることがある。可動式ノーズは、在来線では(北越急行ほくほく線京成成田スカイアクセスを除いて)高速で通過する箇所に設置されているものは少ないが(騒音対策として利用していると考えられている[独自研究?][3]、高速で通過する箇所では、さらにトングレールとリードレールを一体化して、たわませる構造とする。基本レールとトングレールとの間が密着(接着とも言う)せず隙間があると、高速走行に支障を与えるため、その2本のレールが密着してるかどうかを監視する接着照査器[4]を基本レールの外側に2台ずつ設置するとともに、分岐器の開通方向を表示する開通方向表示器をクロッシング部手前(対向方向)のレールの間に設置しており、開通側には黒地に緑色縦線2本の表示が現れて、非開通側には白地に赤色の×印が現れるようになっている。

種類[編集]

形状による分類[編集]

片開き分岐
直線軌道から分岐線だけを曲線で分岐させる形状のもの。基本線は直線であり、分岐線は曲線となる。基本線から分岐線が右側に分岐するものを「右片開き分岐器」、左側に分岐するものを「左片開き分岐器」と呼ぶ。
両開き分岐
直線軌道から分岐線を左右同一の角度で開いて分岐させる形状のもの。Y字分岐と呼ぶこともある。
振分分岐(ふりわけぶんぎ)
直線軌道から分岐線を左右が等しくない角度で開いて分岐させる形状のもの。振り分け率は9:1、4:1、7:3、3:1、2:1、3:2のものが一般化されている。
内方分岐 外方分岐(画像左方の本線が基本線、小田急電鉄新松田駅)
内方分岐
外方分岐(画像左方の本線が基本線、小田急電鉄新松田駅
内方分岐
曲線区間で基本線、分岐線ともに同方向の曲線で構成されているもの。右カーブの場合は「右内方分岐」、左カーブの場合は「左内方分岐」と呼ぶ。
外方分岐
曲線区間で基本線と分岐線を逆方向に分岐させる形状のもの。根元も曲線の両開きや振分分岐と考えることができる。基本線が左カーブの場合は「右外方分岐」、右カーブの場合は「左外方分岐」と呼ぶ。基本線側にカントが設定されている場合、分岐側では逆カントとなるので、分岐側の速度制限が厳しくなる。
片渡り線・渡り線(クロスオーバー、シングルクロス)
複線区間など複数の線路が並行する箇所において、隣接する線路にたすき掛けされた形状のもの。大抵は片開き分岐で構成されるが、内外方分岐や振分分岐、各種スリップ・スイッチで構成されることもよくあり、複分岐で構成されることもある。複線区間では上下線の行き来に、また複線区間から単線が分岐する箇所などで多用される。
シーサス・クロッシング (イギリス、リーズ駅)
両渡り線(ダブルクロッシング、シーサスクロッシング、scissors crossing、SC)
両方向への片渡り線を同一箇所に重ねて配置したもの。やはりさまざまな形状の分岐器で構成される。軌道中心間隔が狭いとフランジウェイが増えるので、直線側でも揺れが大きくなることがある。従来は、ダイヤモンドクロッシング部の速度制限によって(角度の緩い分岐ではフランジウェイが過大になり、適切なフランジウェイを設定すると分岐角が急になる)、新幹線のように分岐側でも高い進入速度が求められる本線上には設置できず、代わりに片渡を2組ずつ設置していた。しかし、中央線東京駅などで見られる弾性可動式ダイヤモンドクロッシングをもつシーサスクロッシングが開発されたので、東北新幹線八戸駅のように将来通過列車の設定が予定されている新幹線の本線上にも設けられるようになった。日本での名称は、事業者等ごとに揺れがみられる(scissorsの誤読に由来してシーサスと称することが多い[要出典])。この他、鉄道模型の製品名ではダブルクロスと称することもある。
交差ダイヤモンド・クロッシング、DC)
ダイヤモンドクロッシング (札幌市電)
線路どうしの平面交差を行う際に用いられる。線路の枝分かれはないが、分岐器の一種とされる。分岐器と交差をあわせて分岐器類という。
シングルスリップ阪神尼崎駅にて。右下がシングルスリップ部分
片渡り付交差(シングル・スリップ・スイッチ、SSS)
ダイヤモンド・クロッシングに渡り線を1本付加することで、交差する線路のうち一方向への分岐が可能なもの。もう一方は交差しかできない。鶴見線などで多く見られ、片開き分岐との組合せで両渡り線のように用いることもある。直線側にも制限があるので、高速列車が通過する駅に設置されることはまれである。
ダブルスリップ(ミュンヘン中央駅)
両渡り付交差(ダブル・スリップ・スイッチ、DSS)
シングル・スリップ・スイッチにさらに渡り線を1本付加し、交差する線路の双方向へ分岐できるようにしたもの。ターミナル駅操車場で用いるほか、敷地の制約から用いられる。
三枝分岐
東急大井町線自由が丘にあった三枝分岐器
左右2つの片開き分岐を重ねて3方向に分岐できるようにしたもの。
複分岐(庄内駅
複分岐
左右2つの片開きまたは振分分岐を重ねて3方向に分岐できるようにしたもの。三枝分岐は枝が左右対称に分かれるが、複分岐では分岐点が前後にずれている。阪急宝塚線等にみられる。
単複線・搾線(ガントレットトラック)
敷地面積の狭い場所において、2本の線路を重ねるようにして敷設したもの。現在日本では使われていないが、過去には名鉄瀬戸線堀川 - 土居下間で見られた。
その他
三線軌条の軌道において、内側の軌道のみを反向曲線にすることで、外側の軌道と共有する線路を前後で切り換える形状のものなど。
その他の例(六浦駅

番数[編集]

基準線と分岐線との開き具合を番数によって示す。番数は、基準線と分岐線のなす角度によって決まる。分岐線と本線が1m離れるのに必要な本線の長さをメートル単位で表した数値が番数になる(余接、cotangent)。たとえば片開き分岐器の場合、分岐点(理論交点と呼ぶ)から基準線を分岐器後端方面に12m進んだときに分岐線と1mの開きがあった場合、この分岐器は12番分岐器と称し、「#12」と表記することもある。通常はこの番数が整数となるものが使用される。分岐器番数が大きいほどリード半径を大きくすることができ、その結果列車の通過制限速度を高くすることができるが、分岐器延長が長くなり、高価であると共に据付けのための広い用地が必要となる。

また、同じ番数の分岐器であっても軌間が大きいほどリード半径は大きくなるので、軌間が大きいほど分岐器列車通過制限速度を高くすることができるが、同時に分岐器延長が長くなる。

番数 #n と分岐角 θ(単位:ラジアン)の関係は次式のとおりである(上は片開き分岐器の場合、下は両開き分岐器の場合)。

  • \# n = \cot\theta = {1}/{\tan\theta}
  • \# n = 2\cot{\theta\over 2} = {2}/{\tan\frac{\theta}{2}}

番数に関するトピックス[編集]

  • 中国京滬高速鉄道徐州東駅北京側には42番分岐器がある[5]
  • 高崎駅付近での上越新幹線(下り線)と北陸新幹線長野新幹線)の分岐や、成田湯川駅京成成田スカイアクセス線)の成田空港方の分岐に使用されている38番分岐器は、分岐側の通過速度が日本最速の160km/hである(前者は新幹線の本線同士の分岐、後者は160km/h運転区間における単線と複線の分岐)。
  • JR北海道では石勝線高速化の際に楓駅(現楓信号場)に日本で初めて20番弾性両開き曲線クロッシング分岐器を設置し、両開き分岐器最高の通過速度120km/hを実現した。
  • 特殊狭軌線(軌間762mm)である三岐鉄道北勢線では東員駅等で新たに12番片開き分岐器を導入したものの、軌間の制約もあって分岐線側通過制限速度は25km/hにとどまっている(参考:JR在来線等の12番分岐器の分岐側制限速度は45km/h)。
  • ヨーロッパなど、高速鉄道が動力集中式の地域では、加減速度が動力分散式に比べて低く通過速度が速くなるので、番数の大きい分岐器が使用される。TGVの番数65番の高速分岐器はノーズ可動式で、LGV上の高速渡り線に使われ、直進側300Km/h、分岐側220Km/hで通過可能だが、転轍器の構造が複雑で高価な上、メンテナンスの費用も増大する。

構造上の種類[編集]

滑節ポイント[編集]

トングレール(分岐器の分岐部分のレール)の後端部継ぎ目部分に遊間(隙間)を設け、ポイント転換の際にトングレール後端部が滑り移動しながら動作するポイントのこと。大正14年型分岐器や側線用分岐器などに使用される。

関節ポイント[編集]

トングレール(分岐器の分岐部分のレール)の後端部継ぎ目部分に遊間(隙間)を設け、ポイント転換の際にトングレール後端部を中心にして回転するように動作するポイントのこと。50Nレール使用の本線用分岐器など、全国的に最も多く使用されてきたが、トングレール後端部継ぎ目部分での衝撃・損傷が大きいので、主要幹線では次項の弾性ポイントに更換されつつある。

弾性ポイント(弾性分岐器)[編集]

16番両開き弾性分岐器

トングレールとリードレールを一体化してトングレールの後端部継ぎ目をなくしたポイントのこと。トングレール後端部レール底面に切り欠きが設けてあり、トングレール全体をたわませて転換する。弾性ポイントを使用した分岐器のことを弾性分岐器と称する。分岐器通過時の振動や騒音が押さえられ、通過速度を向上できる特徴がある(直線側は事実上速度制限がない[6])。

新幹線や高速列車の多い路線で多く使用されるが、一般的に他の分岐器より高価となる。在来線では、JR四国予讃線本山駅に最初に設置され、160km/hで通過した実績がある。

乗越分岐器[編集]

乗越ポイントと乗越クロッシングの両方またはどちらか一方を用いた分岐器のこと。乗越クロッシングは、分岐線側に列車が進入する場合、基準線を車輪が直接乗り越えていく構造をしている。乗越ポイントには横取り装置と呼ばれる渡り板のような装置を覆いかぶせる。基準線側を列車が通過するときは基準線にフランジウェイがないので(分岐器のない通常の軌道部分と同じであり)滑らかに通過できる特性をもつが、分岐線側に列車が進入した場合は列車の上下動が大きくなる欠点がある。したがって、分岐線側に滅多に列車が進入しない安全側線や保守車両用留置線に多用される。

乗越分岐器は手動式、自動式とに大別でき、手動式ではトングレールは動かず、分岐器脇に据え付けられた横取り装置を覆いかぶせて使用する。自動式でのトングレールは横取り装置一体型で、ポイントが分岐線側に開通した場合に関節ポイントのように横取り装置が移動し、基準線の上に覆いかぶさる構造となっている。


転轍器[編集]

分岐器を操作する装置を転轍器(てんてつき)と呼ぶ。

電気転轍器[編集]

電気転轍器と装置類。
Aトングレール、Bスイッチアジャスター、Cフロントロッド、D接続桿、E鎖錠桿のカバー、Fスイッチアジャスターロッド、G動作桿のカバー、Hモーター、I手回しハンドル穴(蓋をされて施錠している状態)、J手回し完了表示窓、K床板、Lダイバー(転てつ棒)、踏切から撮影。

電気指令によって、本体内部にある制御リレーと回路制御器が作動し、その後モーターないし空気シリンダーが動作してそれを動力源として切り替える転轍器で、1箇所で集中制御する際に用いられおり、進路の状態を表すには信号機が用いられる。構造としてはレールを切り替える転換部と、分岐器を列車が通過している間に転轍器が転換しないように鎖錠する転換鎖錠部とで構成されており、前者はモーターからフリクションクラッチ[7]と減速歯車を経由して転換ローラーに繋がり、そこから動作桿とスイッチアジャスターロッドとスイッチアジャスタを経由してダイバー(転てつ棒)でトングレールに接続されており、後者は転換部からロックピースと鎖錠桿を経由して[8]接続桿に繋がり、それがトングレールの先端にあるフロントロッドに接続されている。また、手動で転換できるように転轍器本体に手回しハンドル穴があり[9]、手動で完全に転換してその後に鎖錠状態になった時に、手回し完了表示窓に矢印の表示が出るようになっている。また電気転轍器の種類としてはNS形とG形の他、本線以外の側線用にYS形がある。素早い切り替えが要求される操車場等では圧縮空気を用いる電空転轍器が、それ以外の場所ではモーター式電気転轍器が使用されている

冬季は凍結によって動かなくなるのを防ぐため、下から火を当てたり電気式の融雪機(カンテラと呼ばれる。合図灯とは別)を設置することもある。北海道東北地方のほとんどの駅・信号場では転轍器部分にカバーをかぶせたり、防雪シェルターで覆ったりしている。

手動転轍器[編集]

現場で手動で切り替える転轍器であり、その動作方法によって3種類がある。主要な手動転轍器には、転轍器標識が設置される。進路の状態を表すのに、標識またはランプを用いるものもある。

普通転轍器
常に人の手によって進路を変える転轍器。転轍器標識は、定位で青の円盤、反位で黄色の矢羽根形である。転轍器は、列車通過時の振動で勝手に切り替わることがないよう、鎖錠機構がある(鎖錠方式は数種類がある)。留置線や保線用側線など、通過車両が比較的軽量かつ低速である場合、転轍器のハンドル自体の重量で鎖錠に代える簡易式のものもある(通称「ダルマ」または「ダルマポイント」)。原則として駅員の管理下で取り扱われるために、特別な施錠機構は持たないことが多い。本線用は信号機と連動しており、停止信号現示以外では固定される。当然ながら信号取扱所からてこで連動操作される事が原則である。側線用については、誘導員が操作を行う事になる。
しかしながら、例外的に施錠機構をもった事例も存在する。たとえば、日中線熱塩駅機回し線には、スタフ(スタフ閉塞のスタフであり外見上はタブレットの玉)をセットしないと動かせない転轍器があった(この方式の転轍器は、国内にはすでに例がない)。これは当該区間が盲腸線でありスタフ閉塞という非自動閉塞区間であり、また熱塩駅自体も絶対信号機を持たない停留所でありながら分岐を持ち機回しを行う例外的なであったためである。本来分機器を持つ停車場には場内出発信号機の設備が必要である。この処置により、列車運転時には分機器は常に固定された状態になり、列車が進入可能で、かつ、分機器が操作可能(固定されていない)と言う危険な状態を避けることが出来る。つまり、分機器を操作できるときは閉塞に進入可能な列車は当該駅に停車している(=列車がスタフを持ち込んでいる)か、もしくは閉塞に列車が進入できない(スタフを代替手段で陸送した)のどちらかであり、スタフを取り出せたならば分機器は固定されている。
発条転轍器(スプリングポイント)
進路が原則的に定位に固定され、列車は定位方向だけに通行可能である。ただし、反位側からの列車は車輪によってトングレールを押し広げて(割出しとも言う)通過でき、通過後は内蔵されたスプリング油緩衝器[10]よって自動的に定位へ戻る。このため、ポイント操作が不要である。必要に応じて普通転轍器と同様に手動で反位に固定することもできる。転轍器標識は、定位で青の円盤にSの文字、反位で黄色の矢羽根形である。またトングレールがどちらかのストックレールに密着してるかを検知して転轍器の開通方向を知る転轍器回路制御器又は鎖錠する為の電磁転轍鎖錠器を設置しており、前者はトングレールに接続したロットを検知する方法とストックレールに穴を開けた後、突起を付けたセンサーを取付けてトングレールの可動によりそれを作動させる方式があり、後者は鎖錠の場合には内部のソレノイド電磁石に電源が入り励磁して転轍器を定位方向に固定させ、鎖錠を解除する場合には内部のソレノイド電磁石の電源を切り転轍器の定位方向の固定を解除することによりトングレールを押し広げてることが可能となる。両者とも進路を設定の際に必要な装置であり、進路構成後に出発・場内信号機を現示させて列車を進行させる。
反位側からの進入には厳しい速度制限が加わるため、路面電車の折返し点や優等列車運行のない単線区間の交換駅など、進行方向が一定かつ通過速度も遅い箇所で使われている。しかし速度制限や、通過する車輪とトングレールの摩耗などの問題から減少傾向にあり、設備改良などで発条転轍器から電気転轍器に交換したケースもある。
脱線転轍器
定位で脱線するようになっている転轍器。単線区間の列車交換駅で、安全側線が設けられない場合に設ける。しかし、低速でなければ車両転覆の危険があるので、主に保留貨車の本線暴走突入防止に使われていた。定位のときの標識は赤の四角、反位のときは黄色の矢羽根形である。

非鉄軌道の分岐装置[編集]

新交通システム・案内軌条式鉄道[編集]

初期の頃は複数の方式が使用されていたが、1983年に当時の建設省・運輸省の指導による統一規格が作成された以降は、側方案内方式では水平可動案内板方式が使用されている。車両側は各車両下部にある台車からアームが左右両側に伸び、その先の上部にはガイドウェイの案内軌条を走行して転動方向を規制させる案内輪と、下部には分岐で進行方向を変える為に使用する分岐輪とが取付けられている。案内輪は側壁にある案内軌条に左右両側の案内輪をあてて、車両が左右に首を振らず、まっすぐ走行するための装置であるが、車両が分岐場所を通過する際には一側を離さなくてはならない。地上側の分岐場所には、ガイドウェイの両側に2つの可動案内板と固定案内板が設置され、可動案内板が電気転轍器で可動することによって分岐器の役割を果たす。車両は可動案内板に車両側の左右どちらかの分岐輪が入り込み、その後、固定案内板を通過することによって車両の進行方向が選択できる。すなわち両側拘束の案内軌条を離れ、一時的に片側のみを拘束することによって分岐するのである。

モノレール[編集]

モノレールも鉄道に分類され、その線路には分岐がある。跨座式の場合は、上記までの2本のレールを使うものに比べると、モノレールの軌道は1本で車両重量全体を支えるために幅が広く重量が大きく、また、その構造上、鉄軌道のそれのように轍を乗せ換える方式ではなく、軌道を繋ぎ変える方式である為、「関節式」とそうでないものに分類される。前者は、1つの分岐器を使用して軌道を転轍させる支点よりそのまま曲げる方式で、乗り心地は悪くなってしまう。その為、本線では使用されず、乗り心地を追及する必要のない、車両基地内や、側線への分岐点は、関節式を採用している[11]。後者は2つの分岐器を使用していくつかの短い桁を移動させて軌道を転轍する方式で、関節式とは異なり、車体の振動が極力少なくなる。その為、軌道の接続を繋ぎ換えるようなおおがかりなものになる。懸垂式の場合は、鉄軌道のトングレールとリードレールに相当するT形断面の可動レール[12]が転轍させる支点を中心に可動して軌道を転轍する方式を採用している。

ケーブルカー[編集]

ケーブルカーでは、丁度中間地点で行き違いをすることになるため、その前後に二又を設け、進行方向によって互いに別の側に入るように配線する。左右の車輪の片側は両フランジ車輪、もう片側はフランジなしの厚みのある車輪という特殊な構造を使用することで、分岐器に可動部をなくしたものがよく使われる。

超電導リニア[編集]

超電導リニアの山梨実験線では、高速浮上区間用としてトラバーサ方式、低速車輪走行区間用として側壁移動方式、車両基地用、の各分岐装置の試験をおこなっている[13]

脚注[編集]

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  1. ^ 日本での採用例:北越急行ほくほく線の全線、京浜急行電鉄生麦駅)、近畿日本鉄道上鳥羽口駅非常渡り線)、東京急行電鉄田園都市線あざみ野駅および東横線目黒線武蔵小杉駅非常渡り線、大井町線上野毛駅、同線溝の口駅渡り線)、京王電鉄京王線飛田給駅)、小田急電鉄小田原線秦野駅)、京成電鉄(成田スカイアクセス成田湯川駅)。かつては特急列車が多数運転されていた東北本線の一部の駅にも採用されていたが、東北新幹線開通に伴う東北本線特急列車の削減によって全て通常の分岐器に交換された。
  2. ^ その為、転轍器をポイント部とクロッシング部に2つ設置する。
  3. ^ 例えば東京急行電鉄あざみ野駅は優等列車も停車する駅であり、上下線ともに減速が強いられるが、それにもかかわらずノーズ可動クロッシングが用いられている。また上野毛駅のものは、優等列車でもあまり速度を出さずに通過している。
  4. ^ 機械式とME(マイクロエレクトロニクス)式の2つがあり、接着状態情報(接着・非接着)で分岐器の定位と反位を検知して連動装置に出力するとともに、基本レールとトングレールとの間の隙間が許容値を超えている場合は、分岐器を転換不能として検知するようになっている。
  5. ^ 京滬高速鉄道、全線貫通 来年10月に開通へ
  6. ^ 新幹線のような高速で運転される場合にはクロッシング部による制限が生じるはずであるが、新幹線では本線分岐は全てノーズ可動型であり、在来線では線区最高速度に拘束されるので実用上は制限がないことと変わらない
  7. ^ 転換途中で石などが挟り一定以上の力がかかると摺動してモーターに無理な力が働かないようにする機構、その他にも転換力の調整や転換終了時の衝撃力を吸収している。
  8. ^ 鎖錠桿にロックピースを押し込み又は引き抜く事により動作桿と鎖錠桿の鎖錠又は解錠を行う。
  9. ^ 穴入口にハンドルを入れて動かすと電気転轍器のモーター回路が遮断されて、ハンドルで転換中でもモーターが作動しないようになっている。
  10. ^ 通過中に列車をスムーズに通過させるためと、通過後の復帰を暫く遅らせる役割がある。
  11. ^ The Switch Myth The Monorail Society (米国の任意団体) によるモノレールの分岐に関する解説 (英語)
  12. ^ 先端部とリード部で構成されており、この2つは連結軸を介して繋がっている。
  13. ^ http://www.rtri.or.jp/rd/division/rd77/yamanashi/html/yamanashi_turnout_J.html

関連項目[編集]

参考文献[編集]

外部リンク[編集]