ICE

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ICEのロゴ
欧州の高速鉄道ネットワークの一翼を担うICE

ICE(Intercity-Express)は、ドイツを中心に運行されているヨーロッパ高速列車である。また、ドイツ鉄道の旅客列車における最上位の列車種別であり、インターシティの上位にあたる。

車両[編集]

試作車も含めた多数のバリエーションがある。TGVとは異なり、客車を連接構造とはしていない。座席の間隔が広く、オーディオ設備を備え、食堂車も連結されていて、居住性が高いのが特徴。

ICE / ICE V[編集]

ICE V

ICE 1の量産に先立って製造された試作車(Versuchszug = 試験車)。当初ICE (Inter City Experimental) と呼ばれ、1985年に300km/hの試験走行に成功、1988年5月1日にはフルダ (Fulda) - ヴュルツブルクで行われた試運転で406.9km/hの世界記録(当時)を達成。

ICE 1の登場を前にICE Vに改名され、ICE 2の自動解結装置の試験などにも使用された。老朽化のため2000年に廃車。

ICE 1[編集]

ICE 1
ICE 1
ICE 1
編成 14両編成
営業最高速度 250 km/h
設計最高速度 280 km/h
全長 20,560mm (動力車)
車体長 26,400mm (客車)
車両質量 77.5 t
軸配置 動力車: B-B (4動軸)
電気方式 交流15kV 16 2/3Hz
主電動機出力 4,800 kW / 両
製造メーカー AEGアセア・ブラウン・ボベリヘンシェルクラウス=マッファイクルップシーメンス
備考 製造両数 : 120両
軸重: 19.5t

1991年6月のICE営業運転開始に伴い投入された、ICEの第一世代車両である。両端に動力車(電気機関車)を配し、その間に標準で12両の客車を連結した14両編成の動力集中方式である。客車の両数は増減可能で、8-14両(編成全体で10-16両編成)を組む。

1989年 - 1994年に60編成が製造された。エシェデ事故(後述)のため1編成が廃車となり、現在は59編成が存在する。編成の一部はスイスへ直通するため、集電舟の短いスイス用パンタグラフの増設や保安装置の追加が行われている。

2005年より客車のリニューアルが実施され、座席の取替、定員増加、編成内容の変更などが実施されている。

動力車 (BR401)[編集]

編成両端の動力車は401形 (Baureihe 401) と呼ばれる。形状は試作車 (ICE V) に準ずるが、前面のデザインが多少異なっている。電気機器は120形電気機関車をベースにしたものとなっている。制御方式はインバータ制御方式で、定格出力1,200kWの三相交流誘導電動機を1両につき4個搭載する。

客車[編集]

編成中間の客車は、以下の形式が存在する。2005年よりリニューアルが行われ、編成内容が変更されている。以下の内容は14両編成の場合の、リニューアル後のものである。

  • Avmz801形:開放式一等車であるが、区分室も3室ある。形式も開放室を表すpではなく、区分室を表すvとなっている。11-14号車(10号車と13号車は欠番)に連結される。
  • Bvmz802形:開放式二等車であるが、区分室も4室ある(例外あり)。1-7号車(6号車は区分室なし)に連結される。
  • BSmz803形:開放式二等車に、多目的スペースや乗務員スペースを設置した車両。9号車に連結される。
  • WSmz804形:食堂車"Bord Restaurant"。レストランとビストロ(立食スペース)があり、その間に厨房がある。8号車に連結される。

台車は、ドイツの客車で幅広く使用されている「ミンデンドイツ式」 (MD53) を使用する。車輪は、当初は一体圧延車輪を使用していたが、時間を経るに従って車輪が楕円形に磨耗する現象が起き、また枕バネがコイルバネであるがために、ICE 2と比べて乗り心地が悪くなる問題が発生した。その解決策として、弾性車輪への取り替えを行っていた。しかし、弾性車輪の外輪のたわみによる金属疲労で発生したエシェデ事故(後述)後、全ICE 1の車輪が一体圧延車輪に戻され、台車の枕バネも空気バネに変更となった。

車体長は26,400mmで、ヨーロッパの客車の標準寸法である。自重は車種にもよるが、50 - 55t程度である。

ICE 2[編集]

ICE 2
ICE 2
ICE 2
編成 8両編成×44編成
営業最高速度 250km/h
設計最高速度 280km/h
全長 20,560mm (動力車)
車体長 26,400mm (客車)
車両質量 77.5 t
軸配置 4動軸 (B-B)
電気方式 交流15kV 16 2/3Hz
主電動機出力 4,800kW / 両
台車 SGP400 (客車)
製造メーカー アドトランツシーメンス
備考 動力車の製造両数 : 46両
軸重 : 19.5t

ICE 1の成功により、ドイツ国内のインターシティを順次ICEに置き換えることになった。しかし、ICE 1は標準で14両編成を組むものの、運行区間によっては輸送力が過剰となる場合があった。そのため、ICEの第二世代車両では、編成の一端に動力車を、もう一端には制御客車(運転台付き客車)を配し、この間に6両の客車を連結して8両編成の構成とした。短い編成とすることで需要の少ない区間への乗り入れを行えるようにしたほか、分割併合に対応することにより複数の行先をカバーできるようになった。

1995年 - 1997年に、44編成が製造された。また、予備の動力車2両(ICE Sを参照)と予備の制御客車1両も製造された。

制御客車を先頭に走行する際には最高速度が200km/hに制限される。そのため高速運転時での運用に支障が生じるため、高速新線上では原則として、制御客車同士が向き合う形で2編成を併結して運行される。しかし、そのために輸送力の過剰化などのデメリットも否めない点が同系列のウィークポイントとなっている。

動力車 (BR402)[編集]

動力車は402形 (Baureihe 402) と呼ばれる。形状はICE 1の動力車 (BR401) とほとんど差異はないが、分割併合に対応するため、先頭の連結器カバーの形状が異なっている。

制御方式も基本的にはICE 1と同様で、インバータ制御方式を採用し、定格出力1,200kWの三相交流誘導電動機を4個搭載する。

客車[編集]

ICE 1と異なり、区分室や多目的室(会議室)が廃止され、食堂車も縮小されるなど、接客サービスを簡素化し定員の増加を図った。

制御客車と、編成中間の客車は、以下の形式が存在する。

  • Apmz805形:開放式一等車で、区分室はない。6-7号車に連結される。
  • Bpmz806形:開放式二等車で、区分室はない(例外あり)。2-4号車に連結される(4号車には区分室がある)。
  • WSmz807形:食堂車"Bord Restaurant"。レストランとビストロ(立食スペース)があり、その間に厨房がある。6号車に連結される。
  • Bpmzf808形:運転台付き開放式二等車で、制御客車。先頭形状は動力車と大差はない、運転室後ろに機器スペースがある。1号車に連結される。

車体長は26,400mmで、ヨーロッパの客車の標準寸法である。自重は車種にもよるが、ICE 1より軽量化されており、45 - 50t程度である。台車は、枕バネを空気バネとしたSGP400を使用する。

ICE S (BR410.1)[編集]

ICE S(改造後)

ICE 3など動力分散式車両の開発のために、ICE2予備動力車を利用して製造された試験車両(Schnellfahrten steht、高速運転のS)。現在は計測車両に改造されている。2001年8月13日ハノーファーベルリン間の高速新線(ハノーファー-ベルリン高速線)での試験走行でドイツ鉄道とJR東日本の試験台車を使用した編成が393km/hの最高速度を記録している[1]

ICE T[編集]

ICE T
ICE T
ICE T
編成

411形 : 7両編成×60本
(TW-SW-FW-MW-FW-SW-TW[2])

415形 : 5両編成×11本
(TW-SW-FW-SW-TW)
最高速度 230km/h
編成長 411形 : 185m
415形 : 132.6m
電気方式 交流15kV 16 2/3Hz
編成出力 411形 : 4,000kW
415形 : 3,000kW
製造メーカー ボンバルディア・トランスポーテーションシーメンスアルストム
車体傾斜試験 ICE T
DB ÖBB両方のロゴが入ったÖBB 4011

ICE 2登場後もICE網の拡大は続き、旧東ドイツの地域にも足を伸ばすようになった。しかし、ICEの本領が発揮できる高速新線 (NBS) の建設には、膨大な費用がかかるという問題があった。そのため、よりコストの安い、在来線の改良や高速化も積極的に進めるようになった。また、山岳路線のように、カーブや勾配が多い線区では、それらが高速化の阻害要因となっていた。これを解決すべく、従来のICE車両とは異なる、動力分散式の車体傾斜式電車を投入することになった。ドイツにおける優等列車用の動力分散式電車としては、1973年に製造されたET403形以来、四半世紀ぶりの製造となった。

このICEは、"ICE T" (ICE Tilt-technology) と呼ばれる。"Tilt-technology"とは「Neigetechnik(傾斜機構)」の意である。車体傾斜機構はイタリアフィアット製(のちに鉄道車両部門はアルストムに売却)である。最大傾斜角は8度で、車体傾斜時に建築限界からはみ出さないよう、車体の上下を絞った形状としている。

車体はアルミニウムを使用し、軽量化と低重心化が図られている。前面形状は、ICE 1やICE 2と比べて、丸味を帯びながらも鋭角的になっている。2編成の併結も可能である。制御装置はインバータ制御方式を、電動機には三相交流誘導電動機を採用している。最高速度は230km/hである。7両編成を組む411形と、5両編成を組む415形の2種類が存在する。

7両編成 (Baureihe 411)[編集]

おもにドイツ東部方面で運用される編成で、1999年 - 2000年に、第一次車として32編成が製造された。また2004年 - 2005年には、第二次車 (ICE T2) として28編成が製造された。

第二次車は第一次車より、編成全体の定員が増加している。

編成内容は以下のとおりである。

  • 411.5形:1号車・制御車(パンタグラフ付)・2等車
  • 411.6形:2号車・電動車・2等車
  • 411.7形:3号車・電動車・2等車
  • 411.8形:4号車・付随車・2等車
  • 411.2形:5号車・電動車・食堂車 (Bord Restaurant)
  • 411.1形:7号車・電動車・1・2等車
  • 411.0形:8号車・制御車(パンタグラフ付)・1等車

一部の編成は、スイスに乗り入れるため、パンタグラフ保安装置の対応がなされている。

2007年12月より、ICE Tによりフランクフルト - ウィーンオーストリア)間のICEが増発される。これに対応するため、現時点で第一次車の3編成がオーストリア連邦鉄道に譲渡され、同鉄道の4011形となっている。

5両編成 (Baureihe 415)[編集]

おもにドイツ南部 - スイス方面で運用される編成で、1999年に11編成が製造された。5両編成のため、供食設備は"Boad Restaurant"ではなく、立食形式の"Boad Bistro"となっている。

編成内容は以下のとおりである。

  • 415.5形:1号車・制御車(パンタグラフ付)・2等車
  • 415.6形:2号車・電動車・2等車
  • 415.7形:3号車・電動車・2等車
  • 415.1形:7号車・電動車・食堂車 (Bord Bistro) ・2等車
  • 415.0形:8号車・制御車(パンタグラフ付)・1等車

全ての編成で、スイス乗り入れ対応のパンタグラフ保安装置を装備する。

ICE 3[編集]

ICE 3
ICE 3
ICE 3
編成

ICE 3 :
8両編成×50本 (EW1-TW2-SW3-MW4-MW5-SW6-TW7-EW8[3])

ICE 3M :
8両編成×13本(うちフランス直通対応6本)
オランダ鉄道所有8両編成×4本
営業最高速度 300 km/h (フランス国内では320 km/h)
設計最高速度 330 km/h (交流)、220 km/h (直流)
編成長 ICE 3 : 200.8 m
電気方式 ICE 3 : 交流15kV 16 2/3Hz
ICE 3M : 交流15kV 16 2/3Hz、交流25kV50Hz、直流1.5kV、直流3kV
編成出力 ICE 3 : 8,000kW
ICE 3M : 8,000kW (交流)、3,500kW (直流)
製造メーカー ボンバルディア・トランスポーテーションシーメンス
1等車
液晶ガラス仕切りが作動中のラウンジ

1990年代より建設が進められていたケルン-ライン=マイン高速線では、トンネルを少なくして建設費を抑制した結果、最急勾配が40パーミルとなり、従来のICE 1やICE 2では同路線での高速運転が難しいことも明らかになった。そこで、最高速度300km/h以上の高速運転が可能で将来的な速度向上にも対応できると同時に、急勾配に強くドイツ以外の国への対応も容易な、新たな動力分散式電車方式の車両を開発することとなった。この第三世代のICEが"ICE 3"である。基本的なコンセプトは、先に登場したICE Tとほぼ共通となっている。

形式はドイツ国内用の403形 (Baureihe 403:BR403) と国際列車用の406形 (Baureihe 406:BR406) の2種類が存在する。後者は複電源方式対応となっている。

車体はICE T同様にアルミニウム合金を採用し、軽量化が図られている。前面形状はICE Tに類似しており、曲線的でスピード感のあるデザインであるが、車体下部のカバーの形状や先頭部の形状(ライトの形状、側窓の形状、赤帯の有無)など、細かい点でICE Tとの差異が見られる。なお、2編成の併結も可能である。

制御装置はインバータ制御方式を、電動機には三相交流誘導電動機を採用している。電動機出力は1台につき500kWで、1両あたり4台搭載している。電動車と付随車の比率は1:1で、電動車は編成中に4両存在するので、編成全体の出力は8,000kWとなる(出力はいずれも交流15kV 16 2/3Hz下での値)。出力/重量比が改善され、加減速性能が向上した。また、動力分散式により、軸重が下がり、軌道への負荷が減少した。この事は保線費用の削減に繋がる。

運転台はICE T同様、車体中央部に配置されている。これにより、国によって複線の通行方向(右側・左側、ドイツは右側通行)が異なっていても対応できるようになっている。また、運転台後ろの客室との仕切りはガラス張りになっており、運転室背後の客室(「ラウンジ席」と呼ばれる)から運転台前方の風景を展望できるようになっている。

最高速度は330km/h(交流15kV 16 2/3Hz下における値)である。ただし現時点でのドイツ国内の営業最高速度は300km/hとなっている[4]

ドイツ国内用 (ICE 3:BR403)[編集]

ドイツの国内列車に運用される車両で、2000年 - 2005年に8両編成50本が製造された。形式は403形 (Baureihe403:BR403) を名乗る。電源方式はドイツの標準である交流15kV 16 2/3Hzのみの単電源対応である。集電装置は、編成に2個搭載している。

なお、"403形"を名乗る電車は、ICE 3が2代目である。初代の403形(ET403形)は、「西ドイツ国鉄ET403型電車」の項を参照。

登場当初は、1等車3両・2等車4両・食堂車 ("Bord Restaurant") 1両の構成であったが、特に2等車において慢性的な混雑が問題となり、その結果2002年より改造が行われた。具体的には、1等車2両・2等車5両の構成として、2等車のシートピッチを狭めることにより2等車の定員増加を実現したほか、食堂車をビストロ車 ("Bord Bistro") に改造している。

現在(改造後)の編成内容は以下のとおりである。

  • 403.5形:1号車・制御電動車・2等車(ラウンジ席あり)
  • 403.6形:2号車・付随車(パンタグラフ付)・2等車
  • 403.7形:3号車・電動車・2等車
  • 403.8形:4号車・付随車・2等車(多目的室あり)
  • 403.3形:5号車・付随車・2等車・食堂車 (Bord Bistro) 、当時は全室食堂車であった
  • 403.2形:6号車・電動車・2等車(区分室あり)、当初は1等車であった
  • 403.1形:7号車・付随車(パンタグラフ付)・1等車(区分室あり)
  • 403.0形:8号車・制御電動車・1等車(ラウンジ席あり)

2000年ハノーファーで開催された万国博覧会で、観客輸送用臨時列車"Expo Exptress (EXE) "で営業運転を開始し、その後、一般路線の運用への投入が行われた。

2002年8月1日のケルン - フランクフルト高速新線の暫定開業で、両都市間を結ぶシャトル列車に同形式が投入され、ICE 3の本領を発揮する300km/h運転が開始されている。同線は同年12月15日に正式開業し、同線を経由する列車は全てICE 3での運用となっている。

その後も各線への投入が行われており、ケルン-ライン=マイン高速線を経由する列車や、2006年に開業したニュルンベルク-インゴルシュタット-ミュンヘン高速線で300km/h運転を行う列車については、ICE 3(またはICE 3M)の限定運用となっている。

国際列車用 (ICE 3M/ICE 3MF:BR406)[編集]

運転席 (ICE 3MF)
オランダ鉄道所有編成との併結
TVM機器室

ドイツの国内列車のみならず国際列車にも運用される車両で、2000年に、8両編成13本が製造された。また、オランダ鉄道2000年に同一仕様の編成を4本投入している。この形式は"ICE 3M"と呼ばれる(MはMehrsystem(複電源対応)の意)。形式は406形 (Baureihe406:BR406) を名乗る。

電源方式は交流15kV 16 2/3Hzのほか、交流25kV50Hz、直流1.5kV、直流3kVにも対応する。これにより、ヨーロッパの電化区間をほぼカバーできるようになった(実際は電源方式以外の制約により、どこでも走行可能というわけではない)。なお欧州の高速新線はほとんどが交流電化(一部直流3kV)区間であるため、直流1.5kV電源下での編成全体の出力は3,500kWに、最高速度は220km/hに設定されている。集電装置は、編成に6個搭載している。

登場当初は、1等車3両・2等車4両・食堂車 ("Bord Restaurant") 1両の構成であったが、改造により、1等車2両・2等車5両、ビストロ車 ("Bord Bistro") 1両となっている。

現在(改造後)の編成内容は以下のとおりである。

  • 406.5形:1号車・制御電動車・2等車(ラウンジ席あり)
  • 406.6形:2号車・付随車(パンタグラフ付)・2等車
  • 406.7形:3号車・電動車(パンタグラフ付)・2等車
  • 406.8形:4号車・付随車(パンタグラフ付)・2等車(多目的室あり)
  • 406.3形:5号車・付随車(パンタグラフ付)・2等車・食堂車 (Bord Bistro)
  • 406.2形:6号車・電動車(パンタグラフ付)・2等車(区分室あり)
  • 406.1形:7号車・付随車(パンタグラフ付)・1等車(区分室あり)
  • 406.0形:8号車・制御電動車・1等車(ラウンジ席あり)

国際列車の運用としては2001年12月よりオランダアムステルダムまで、2002年12月よりベルギーブリュッセルまでそれぞれ直通している。ベルギー国内は高速新線(HSL2)が存在するにもかかわらず、諸般の事情で在来線経由となっていたが、2004年12月より高速新線経由となった。

2007年6月10日にはフランスLGV東ヨーロッパ線が開業し、TGV POSがドイツ国内まで直通すると同時に、ICE 3Mが1日3往復、フランスの首都パリまで直通することとなった。これに対応するため、フランス用の保安装置 (TVM) を搭載するなどの改造がICE 3Mの6編成に対して実施された。これらのフランス直通対応編成は"ICE 3MF" (Mehrsystem Frankreich) と呼ばれる。

英仏海峡トンネル通過対応型 (ICE 3:BR407)[編集]

2013年より運行開始予定の、ロンドン - ブリュッセル - ロッテルダム - アムステルダム、およびロンドン - ブリュッセル - ケルン - フランクフルト系統の高速列車運用にICE3ベースの車両が投入されることがDBより発表されている。現在発表されている情報によると、所要時間はロンドン - ブリュッセル間2時間、ロンドン - ロッテルダム間3時間、ロンドン - アムステルダム間およびロンドン - ケルン間4時間、ロンドン - フランクフルト間5時間となっている。車両の詳細は現在のところ不明だが、営業最高速度は320km/h、形式は407形 (Baureihe407:BR407) を名乗るとされている。製造はシーメンスで、2012年夏までに納入されることとなっている[5]

ICE TD[編集]

ICE TD
ICE TD
ICE TD
編成 4両編成×20本 (Mc-M-M-Mc)
1両につき1台車が動力台車
最高速度 200 km/h
編成長 106.7 m
編成出力 2,240 kW
機関 電気式
機関出力 560 kW
製造メーカー ボンバルディア・トランスポーテーションシーメンス

ICEによる高速化の効果を非電化路線へも拡大するため、気動車によるICEが計画された。いわば動力分散式ICEであるICE Tの気動車版として計画されたものである。この動力分散式気動車形ICEは"ICE TD"と呼ばれる。形式は605形 (Baureihe 605:BR605) となった。

非電化山岳路線に対応するため、ICE Tと同様の車体傾斜機構の導入が要求された。ドイツでは1992年より快速 (RE) 用の車体傾斜式気動車である610形を投入しており、その後611形612形が投入されているが、優等列車用の車体傾斜式気動車としてはこのICE TDが初めてのものとなった。2001年に4両編成20本が製造された。

車体形状はICE Tとほぼ同じで、アルミニウム合金を採用して軽量化を図り、さらに、車体傾斜時に建築限界からはみ出さないよう、車体の上下を絞った形状としている。2編成以上の併結も可能である。車体傾斜機構は610形気動車やICE-Tで実績のあるフィアット社製ではなく、ドイツシーメンス製を採用している。動力伝達方式は610形気動車同様の電気伝達方式で、ディーゼルエンジンで交流発電機を駆動し、交流電動機を駆動するものである。1両あたりの発電機出力は560kW、電動機出力は425kWで、各車両に2台ある台車のうち1台が動力台車である。最高速度は200km/hである。

編成内容は以下のとおりである。

  • 605.0形:1号車・制御車・動力車・2等車
  • 605.1形:2号車・動力車・2等車
  • 605.2形:7号車・動力車・2等車・簡易供食スペース
  • 605.5形:8号車・制御車・動力車・1等車
正面のDBロゴが外されたICE TD
DB・DSB共同のロゴ
2等車
1等車

2001年7月より営業運転を開始し、おもにニュルンベルクドレスデンを結ぶ系統に投入された。しかし、シーメンス社製車体傾斜装置を中心に重篤なトラブルが頻発したため、度々運休を余儀なくされた。その結果、ニュルンベルク - ドレスデン間の運用は2003年12月限りで中止となった。なお、同区間のICEは、快速用の車体傾斜式気動車612形を特急仕様に改装して、インターシティとして運用を続けたが、短期間で客車に置き換えられ、さらに快速列車 (Franken-Sachsen-Express) に格下げられている。

定期運用がなくなったICE TDは休車となった。これらは波動運用に使用されるも、動くことは少なくなった。そんな中で2006年には、ドイツで開催されたサッカーワールドカップの観客輸送や選手輸送に使用されている。

長らく定期運用を離れていたICE TDであるが、2007年12月9日より、ハンブルクコペンハーゲンデンマーク)を結ぶ系統(プットガルデンPuttgarden(ドイツ)とロービュRødby(デンマーク)の間は鉄道連絡船による航送、通称「渡り鳥コース」 (Vogelfluglinie) )に投入されることが、ドイツ鉄道デンマーク国鉄の間で合意に達しており、久しぶりに営業運転に復帰した。この系統は現在、ユーロシティとして、デンマーク国鉄IC3型気動車(ドイツ乗り入れ対応編成)が運用されているが、これが一部置き換えられた。

デンマーク国鉄とドイツ鉄道両方のロゴが付加されたデンマーク乗り入れ対応の2編成が、2007年12月9日の冬ダイヤよりベルリンとハンブルク間でも運転を開始している。ベルリンから来た列車はハンブルク中央駅を経由後、リューベック経由でコペンハーゲンへ向かっている。ドイツ鉄道とデンマーク国鉄共同で2008年1月よりハンブルク・コペンハーゲン間の毎日の運行が開始され、2008年3月にはデンマーク第二の都市オーフスへの運行も開始される。所要時間はベルリン・オーフス間が7時間以下に抑えられ、デンマーク国内での最高速度は140km/hから180km/hに向上する。このため、デンマーク乗り入れ対応編成は保安装置が改造される。

2007年4月29日に渡り鳥コースで最初の試乗運転が実施され、ICE-TDは航送され45分かけてフェマルンベルトを越えている。この共同運行開始でIC3とICE-TD両方が活躍することになる。2008年3月からはハンブルク・コペンハーゲン間は2往復ずつICE TDとユーロシティ (IC3) が計4往復運行され、ハンブルク・オーフス間はICE TDによって毎日運転される。ベルリン・コペンハーゲン間は6時間51分、ベルリン・オーフス間は6時間30分となり45分短縮される。ドイツ鉄道によれば、ハンブルク・コペンハーゲン間の年間旅客数は30%増加し年間330,000人になると予想している。

5編成がデンマーク乗り入れに対応するため改造されている。デンマーク乗り入れのための保安装置やGPSをベースにした測位システムの追加、荷物収納設備の拡張など旅客設備の改修が行われた。また、列車保安装置の診断結果を表示するデータ入力の設備も追加されている。改造された、ICE TDの編成は少なくとも13年間は使われることになっている。ドイツ鉄道とデンマーク国鉄の契約で13年間、デンマーク国鉄は使用料を支払うことになっている。編成の改良には1編成あたり100万ユーロが投資された。ベルリン・ハンブルク間の最高速度は200km/h、ハンブルク・ドイツ/デンマーク国境のフレンスブルクまでが140km/h、デンマーク国内の最高速度は180km/hとなる。

車両整備[編集]

ミュンヘン工場内のICE 1

車両の整備概念は7つのステップに分かれている。

走行距離4,000kmにつき1時間半かけて検査が行われる。汚水タンクから水が抜かれ、給水タンクに新しい水が補充される。ドアの故障など重大な故障は修理される。さらに安全のため、試験が行われている。これにはパンタグラフなど集電装置類の点検が含まれ、絶縁部や変圧器の検査、亀裂やパンタグラフ圧の確認、クリーニングなどが行われている。台車の検査もこの時点で行われている。

走行距離20,000kmにつき2時間半の検査が行われ、これはNachschauと呼ばれている。この段階では、LZBドイツの高速鉄道路線上で使われている保安装置)やブレーキ系統のシステムがチェックされる。

走行距離が80,000kmに達すると、Inspektionsstufe 1 (Inspection 1) と呼ばれる段階に入り、2つの単位でそれぞれ8時間かけて、ブレーキ系統の精密検査や同じようにエア・コンディショナーや供食設備、座席や旅客案内装置の検査が行われる。

走行距離が240,000kmに達すると、Inspektionsstufe 2 (Inspection 2) と呼ばれる段階になり電動機、軸受や駆動軸、ボギー台車連結器の検査が命じられる。この検査は通常二つの単位で、それぞれ8時間かけて行われる。

年に1回、約480,000kmに走行距離が達した時Inspektionsstufe 3 (Inspection 3) の段階に入る。この検査段階には気密装置や変圧器の冷却装置の整備、客室内の整備も含まれている。

最初の全般検査は走行距離が120万kmに達した時点で行われる。これは新幹線車両と同じである。車両のすべての構成部分で完全な検査が、5日区分を2回取り実施される。2回目の全般検査は240万kmに走行距離が達した時に実施され、ボギー台車は新しい物に交換され、多くの部分は分解され詳しく検査される。最初の全般検査同様、5日区分を2回取り実施されている。

ICEの整備はICE専用の整備工場で実施されている。ICEの整備工場はそれぞれ、スイスのバーゼル、ドイツ国内はベルリンドルトムントフランクフルト・アム・マインハンブルクミュンヘンなど運行の拠点となる地に立地している。ライプツィヒにも将来的に新設が予定されている。故障の報告はあらかじめ、車載コンピュータシステムによって工場に送られ、整備時間を最小限に抑えている。

リコール[編集]

2008年7月9日、ICE-Tがケルンで低速走行中に脱線事故を起こしたが、原因は車軸の亀裂によるものであった。これをうけてドイツ鉄道は、シーメンスボンバルディア各メーカーに対するリコールを決定した。台車問題が解決するまで当面の間、ICE-TとICE3の各編成の検査周期を短くすることにしたが、検査入場頻度の増加に伴い車両が不足するため、各地の主要ターミナル駅で列車遅延や混雑が発生している。なおドイツ鉄道の公式発表では、2008年10月23日に発生したハンブルク駅構内での脱線事故は人為的なミスによるもので本件とは無関係とされている [6][7]

編成名[編集]

アーネムの市名と紋章の描かれた車両

2002年から、ICEの編成の一部には都市の名前がつけられており、車両の外部に市名と紋章が描かれている[8][9]

歴史[編集]

1991年6月2日ハノーファー - ヴュルツブルクマンハイム - シュトゥットガルトのNBS(高速新線)本格開通と時を同じくして、ハンブルク - ハノーファー - フランクフルト - シュトゥットガルト - ミュンヘンの路線(ICE6号線:ICE Linie 6)で運行を開始。最高速度は250km/hとなり、ドイツにおいては1968年の200km/h運転開始以来の営業運転速度向上となった。ICE 1の13両編成による運行で、全線通しの列車が1時間間隔で12往復設定されたほか、朝夕はハノーファー、カッセル、フランクフルト、シュトゥットガルト発着の列車も運転された。また一部列車がヴィースバーデンハイデルベルクに乗り入れた。

ICEは好評を持って迎えられ、車両が落成次第順次運行区間を拡大して行き、1992年にはスイスバーゼルチューリッヒに乗り入れを開始、1993年には統一ドイツの首府ベルリンまで運行区間を延ばした。1996年にはICE 2が加わり、ルール地方への乗り入れも開始。1998年にはオーストリアウィーンへ運行区間を延ばした。

1998年9月27日、ハノーファー - ベルリンにNBSが開通し、ベルリンへの所要時間が大幅に短縮された。1999年より振り子式車両ICE Tの投入が始まり、線形の良くない区間、特に旧東ドイツ地域へのICE網拡大が本格化する。

2000年にはICE 3によりオランダアムステルダムまでの運行を開始。2001年には気動車方式のICE TDが登場、ついにICEは非電化区間にもそのネットワークを広げた。2002年8月1日ケルン - フランクフルトのNBS開通にあわせ、同区間にシャトル列車の運行を開始、最高速度は300km/hまで向上した。同年12月に本格開業を迎え、ベルギーブリュッセルへ乗り入れた。

2007年6月10日フランスLGV東ヨーロッパ線開通により、既存のユーロシティを置き換える形で、1日3往復のICEがパリまで乗り入れた(パリ - ザールブリュッケン間2往復・パリ - フランクフルト間1往復)。ICEが、高速鉄道のライバルであるフランスに進出することになった。

2007年12月9日からは、ICE TDによるデンマークコペンハーゲンへの乗り入れや、ICE Tによるオーストリア方面への直通運転拡大も予定されている。

ICE路線網 赤:NBS (300km/h) 黄:NBS (250km/h) 青:ABS (200 - 230km/h)
運行頻度と最高速度
オーストリア国内のICE路線網
フランクフルト空港の案内板上のAirRailサービス(上から4番目のLH6816便)

ダイヤ[編集]

それまでのインターシティ (IC) の基本方針、すなわち2時間間隔の運転、1等車・2等車・食堂車の連結、主要駅での同一ホーム接続などを受け継ぎつつ、更なるスピードアップを追求した。

運行路線は高速新線 (NBS) の有無に関係なく、またNBSはICE専用の線路ではない。また従来のインターシティ (IC) /ユーロシティ (EC) も引き続き運行されており、ICEはこれらを完全に置き換えるものではない。このような点において新幹線TGVなどとは異なる。

毎時a分、b分発というパターンダイヤで、日本のエル特急と似たような運行形態である。各系統とも1 - 2時間に1本程度の運行。主要区間では複数の系統が合わさって、最大で毎時3-4本程度になる。ドイツでは全国に都市が分散しているので、直通列車だけだと本数が少なくなってしまうが、ターミナルでの乗り換え時間を短くするダイヤの工夫により、乗り換える場合も含めれば国内の中都市同士で毎時1 - 2本の乗車チャンスができるよう配慮されている。原則的に追い抜きはなく、各列車の停車駅の数やスピードに大きな差はないが、朝夕のビジネス客向けに、停車駅を絞り、全席指定、追加料金が必要な"ICE Sprinter"という速達列車が一部路線で運転されている。また、表定速度の遅い夜行ICEもある。

最高速度は、高速新線NBSではSiegburg/Bonn - Frankfurt Flughafen Fernbahnhof(ケルン - フランクフルト空港)で300km/h, ヴュルツブルク - ハノーファー、 マンハイム-シュトゥットガルト、ヴォルフスブルク - ベルリンバーデンバーデン - オッフェンブルクで250km/h。在来線を改良したABSでは、ケルン - Düren で250km/h、ハンブルク - ベルリンで230km/h、その他の路線では160-200km/h程度。

フランクフルト空港駅を発着する一部のICEに対しては、ルフトハンザドイツ航空の便名を付け、座席の一部を航空便として提供することで、航空鉄道との連携輸送を行っている。以前は「ルフトハンザ・エアポート・エクスプレス」という専用の列車で提供されていたものであるが、現在は"AirRail"というサービス名で、定期のICEの一部の座席を買い上げる形に変更されている。

ICEスプリンター[編集]

ICEスプリンターとは、ドイツの大都市間を移動するビジネスユーザをターゲットとして、停車駅を最小限に絞込み、通常のICEよりも所要時間を短縮した列車である。

ビジネスユーザをターゲットとしているため、基本的には平日の朝と夕方に設定され、土曜・休日は運休となる。また、一般のICEと異なり、乗車には予約が必須であるほか、運賃・料金のほかに追加料金(1等16ユーロ・2等11ユーロ)が必要である。1等旅客には無料の食事サービスが提供される。

1992年5月に「イザール・スプリンター」 (Isar Sprinter) の名称で、フランクフルト・アム・マインとミュンヘンの間を、途中マンハイムのみの停車で運転を開始している。

2008年12月現在、ケルン - ハンブルク間に1往復、ベルリン - フランクフルト・アム・マイン間に2往復が設定されている。

国際列車[編集]

国際列車としては、オランダアムステルダムベルギーブリュッセルフランスパリデンマークコペンハーゲンオーフススイスチューリッヒベルンインターラーケンオーストリアウィーンザルツブルクインスブルックまで直通する。直通先のいずれの国においても"ICE"の種別名で運転される。また、本数は多くないが、国際列車の間合運用として、オーストリアスイスの国内だけを走るICEが存在する。

スイス[編集]

1992年9月より、ハンブルクフランクフルト・アム・マインを結ぶ系統の一部を、バーゼル経由でチューリッヒまで延長したのが最初で、これはICEとしては最初のドイツ国外への進出となった。スイス直通に際しては、ICE1の19編成に対して、集電装置や保安装置などをスイス国内対応とする改造が行われている。

また、1999年5月より、シュトゥットガルトチューリッヒを結ぶ系統にも投入された。こちらは振子式ICE-T(415形・5両編成)が投入されたが、スイス直通対応用として5編成が用意されている。この系統はのちに、7両編成のICE-T(411形)に置き換えられている。411系の投入に際しては、415系の先頭車(スイス直通対応)と、411形の先頭車(スイス直通非対応)を、それぞれ交換する手法が採られている。

これとは別に、振り子式気動車であるICE-TD(605形・4両編成)が、2001年6月より、ミュンヘンチューリッヒを結ぶ系統(アレガウ線)に投入されたが、不具合が頻発したため、2003年12月に運用を終了した。

2008年12月現在、ドイツ国内からバーゼルを経由してチューリッヒまでを結ぶ系統が1日6往復、ドイツ国内からバーゼル・ベルンを経由してインターラーケンまでを結ぶ系統が1日5往復、シュトゥットガルトからシャフハウゼンを経由してチューリッヒまでを結ぶ系統が1日7往復(2時間間隔)、それぞれ設定されている。また、スイス国内だけを走るICEとして、バーゼルとインターラーケンの間に1日3往復、ベルンとインターラーケンの間に1日1往復、それぞれ設定されている。

オーストリア[編集]

1998年5月より、ハンブルクとウィーンを結ぶ系統にICE1が投入された。オーストリア直通に際しては、10編成のICE1が、保安装置などの対応改造を行った。その後、直通本数は増加している。

2006年より、ドイツ鉄道所有のICE-T(411形)3編成がオーストリア連邦鉄道に譲渡されて同社の4011形となった。この3編成と、ドイツ鉄道のICE-T(411形)8編成を使用して、2007年12月より、フランクフルト・アム・マインとウィーンを結ぶ系統に、2時間間隔で投入されている。

2008年12月現在、ドイツ国内からパッサウを経由してウィーンまでを結ぶ系統が1日6往復、ミュンヘンとウィーンを結ぶ系統が1日1往復、ドイツ国内からミュンヘンを経由してインスブルックまでを結ぶ系統が1日1往復、それぞれ設定されている。また、オーストリア国内を結ぶICEとして、ウィーンからリンツ・ザルツブルク・インスブルックを経由してブレゲンツまでを結ぶ系統が1日1往復設定されている。

オランダ[編集]

2000年11月より、ケルンからアムステルダムまでを結ぶ系統に、"ICE International"の名称で、オランダ・ベルギー直通対応のICE3M(406形)が投入された。10編成はドイツ鉄道の所有であるが、4編成はオランダ鉄道の所有となっている。

2008年12月現在、ドイツ国内からケルンを経由してアムステルダムまでを結ぶ系統が1日7往復設定されている。

ベルギー[編集]

2002年12月より、フランクフルトからブリュッセルまでを結ぶ系統に、"ICE International"の名称で、オランダ・ベルギー直通対応のICE3M(406形)が投入された。当時、既にベルギー国内の高速新線(ブリュッセル-リェージュ間)は開業していたが、当初、ICE3Mは高速新線の走行が許可されず、在来線経由での運転となった。2004年12月よりこの規制は撤廃され、ベルギー国内も高速新線経由となった。

2008年12月現在、ドイツ国内からケルンを経由してブリュッセルまでを結ぶ系統が1日3往復設定されている。

なお、2009年6月には、リェージュからドイツ国境までを結ぶ高速新線が開業する予定で、ICEのさらなる時間短縮が予定されている。

フランス[編集]

2007年6月のLGV東線開業に伴い、フランス直通対応のICE3MF(406形)が、フランクフルト・アム・マインからザールブリュッケンを経由してパリまで直通するようになった。

2008年12月現在、上記の区間に1日最大5往復(曜日により異なる)が設定されている。

デンマーク[編集]

車両不具合のため定期運用から離脱していたICE-TD(605形)を使用し、2007年12月より、ハンブルクとコペンハーゲンを結ぶ系統と、ハンブルクとオーフスを結ぶ系統で、それぞれ直通を開始した。前者は「渡り鳥コース」と呼ばれるルートで、途中、鉄道連絡船による航送が行われている。現在、ICEが直通する、最も新しい国である。

2008年12月現在、ハンブルクとコペンハーゲンを結ぶ系統に1日2往復、ハンブルクとオーフスを結ぶ系統に1日2往復が、それぞれ設定されている。

大破したICE
ニュルンベルクで保管されている401 551-7
現在も運用に就く401 051-8

エシェデ鉄道事故[編集]

1998年6月3日午前10時57分頃、ミュンヘン発ハンブルク行きICE・884列車"Wilhelm Conrad Röntgen"(ヴィルヘルム・コンラート・レントゲン号)(ICE 1-51番編成で運行、客車12両・機関車2両の計14両編成)が、ハンブルク南方のエシェデ (Eschede) 駅の手前を約200km/hで走行中、1号車後位寄り台車の前方軸車輪の外輪が破断し、車体に食い込んでしまった。列車はそのまま5.5km程走行し続けたが、午前10時59分、外輪に巻き上げられた分岐線の護輪軌条が1・2号車の車体に突き刺さり、1号車後部台車が右手に脱線。外輪は次の分岐線でポイントを切り替えてしまい、このために3号車の後部は平行する別の線路に進入、このポイントははるかに低速で進入することを前提に、きつくカーブしていたため、3号車はこのポイントの直後にあった道路橋の柱に放りだされる形になり、この柱を破壊し、結果として橋桁が落下、これに行く手を阻まれた後続車両が次々と玉突きを起こす形で脱線した。同時に先頭機関車と後続車両との連結が自動的に外れたため、先頭機関車は脱線せず、ほぼ無傷の状態で2km走行し、エシェデ駅通過後に停止。1・2号車は脱線しつつも軌道上で停止。3号車は道路橋の橋脚に激突し、激しく損傷したものの、そのまま道路橋を通過した。4号車は道路橋を通過後、進行方向左側へ脱線、斜面の右側に衝突、横転して林の中で止まった。5号車は崩落した道路橋に押し潰され、屋根が陥没し後部が大破。6 - 12号車、および後部機関車は連結部分で折り重なる形で崩落した橋に次々と激突、大破した。死者は101人にのぼり、ドイツの鉄道事故としては第二次世界大戦後最悪の大惨事となった。

原因はICE1に使われていた弾性車輪の外輪のたわみによってできた金属疲労による亀裂。弾性車輪は(日本でも新幹線試験車両で使用したことはあったが)本来、路面電車トラムなど短距離を低速で走る車両に使用されるものであり、高速で長距離を走るICE1ではそのぶん金属疲労の進行も早かった。また、枕バネごと取り替えると、そのぶんかなりの費用がかかるため、費用節約も兼ねて急遽弾性車輪に取り替えた、というのが現状であった。そのため強度検査が不十分なまま使用され、ついには外輪が破断し、このような大惨事を引き起こすこととなった(弾性車輪採用の理由については、このほかにも種々の解釈がある。一つの参考として『ドイツ高速鉄道脱線事故の真相』(平川賢爾著、2006年4月慧文社刊、ISBN 978-4-905849-42-1)などを参照されたし)。

この事故は、台湾高速鉄道の受注権が新幹線に移る要因の一つともなった(最大の要因は台湾の政治権力争いと台湾大地震によるもの)。

なお、事故編成(ICE 1-51編成)は以下のとおり。

←ハンブルク
401
051-8
802
808-6
802
609-8
802
311-1
802
374-9
802
340-0
802
373-1
802
037-2
803
008-2
804
010-7
801
009-2
801
014-2
801
806-1
401
551-7
ミュンヘン→

このうち、先頭の機関車401 051-8は無傷だったが、その後ろの13両は大破し、802 808-6を除く12両は1998年6月30日付で除籍、802 808-6は1998年7月31日付で除籍となった。先頭の機関車401 051-8はその後、ICE 1-20編成の先頭車となり、現在に至る。これは2001年、ICE 1-20編成の先頭機関車401 020-3がフランクフルト近郊で火災事故を起こし、廃車となったことによるものである。

この事故以降、ドイツ鉄道はフランス国鉄TGVで行っているような高速走行記録等の技術向上より、車両のメンテナンスの強化、事故防止対策の向上、高速鉄道ネットワークの拡充、車内サービスの充実化といった方向に主眼を向けていく事となった。事故が発生したエシェデ駅の傍らには、事故復旧後に慰霊のモニュメントなどを設けたメモリアルパークが整備されている。

参考元:[1]

ドイツ国外への展開[編集]

AVE向け S-103
CRH 3
ロシア向けの新型車両 Siemens Velaro RUS

韓国の高速鉄道KTXではフランスとの入札競争で健闘したが敗れた。

台湾高速鉄道ではフランスとともに「ヨーロッパ連合」を組み、ICEの動力車とTGV(二階建て車両の「Duplex」)で組成した「ユーロトレイン」によってプレゼンテーションを行ったが、「日本連合」に敗れた。最終的にはインフラ整備をヨーロッパ連合、車両と技術は日本連合が担当する玉虫色の決着を見たが、これに対してヨーロッパ連合は台湾高速鉄道に対し違約金を請求している。

スペインでは、高速新線AVE:マドリード - バルセロナ線でICE3ベースの車両、ヴェラロE(Velaro E, ICE350の名称もあった)が投入され、最高速度350km/hでの営業運転が予定されている。

中国京滬高速鉄道では当初ICE方式によるドイツの参入が有力視されていた。

2005年11月、胡錦濤主席の訪独にあわせ、最高速度300km/hの高速鉄道用と最高速度200km/hの在来線高速化用の計100編成について、うち60編成について、ICE 3ベースの車両を現地企業との合弁で納入することが決定。3編成はドイツ純正、残りは中国への技術移転による生産となる。なお、中国におけるこの電車の形式名はCRH3である。車体幅はICE 3と比べて若干広い。

アメリカアムトラック北東回廊への高速列車の導入に際しては、アムトラックのロゴを付けて輸出し、スウェーデンX2000とともに試験的に走らせたが、最終的にはTGVの技術を応用した「アセラ・エクスプレス」が導入された。

2006年5月、ロシアモスクワ - サンクトペテルブルク間を結ぶ高速鉄道にシーメンス社とロシア鉄道との間でICE 3をベースとした新型車両の納入契約が交わされ、2010年に「サプサン」として運用を開始した。車体幅はICE 3よりも広い。

関連項目[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ http://www.jreast.co.jp/development/tech/pdf_1/33-37.pdf
  2. ^
    ICE-Tの形式凡例
    • TW … Transformator-Endwagen(変圧器付制御車)
    • SW … Stromrichterwagen(整流器付電動車)
    • FW … Fahrmotorwagen(電動車)
    • MW … Mittelwagen(中間付随車)
  3. ^
    ICE3の形式凡例
    • EW … Endwagen(制御電動車)
    • TW … Transformatorwagen(変圧器搭載車)
    • SW … Stromrichterwagen(整流器付電動車)
    • MW … Mittelwagen(中間付随車)
  4. ^ フランス国内(LGV東ヨーロッパ線内)では320km/hで運行中。
  5. ^ Presenting the Intercity-Express (ICE) in London today
  6. ^ Deutsche Bahn to Recall Part of High-Speed Train Fleet”. Deutsche Welle (2008年10月24日). 2008年11月25日閲覧。
  7. ^ Deutsche Bahn to recall part of ICE train fleet”. The Local - Germany's news in English (2008年10月24日). 2008年11月25日閲覧。
  8. ^ Koschinski 2008, p. 82
  9. ^ Dirk Übbing. “Nach Städten benannte ICE der Deutschen Bahn AG”. Lok Report. 2002年2月11日閲覧。

参考文献[編集]

  • * Koschinski, Konrad (2008) (ドイツ語), ICE (Eisenbahn Journal Sonder-Ausgabe 2/2008), Fürstenfeldbruck, Germany: Eisenbahn JOURNAL, ISBN 978-3-89610-193-8 

外部リンク[編集]