バート (鉄道)

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BARTバートBay Area Rapid Transit、ベイエリア高速鉄道)は、サンフランシスコ・ベイエリア高速鉄道公社(San Francisco Bay Area Rapid Transit District)が運営しているアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ・ベイエリアサンフランシスコ郡アラメダ郡コントラコスタ郡サンマテオ郡の4郡をつなぐ鉄道である。

概要[編集]

BARTはサンフランシスコ国際空港へは直接国際線ターミナルに、オークランド国際空港にはエアバートバス・サービスによる接続で両空港へ乗り入れている。2004年にBARTはアメリカ合衆国公共交通協会 (the American Public Transportation Association) からアメリカの中で一番優秀な輸送システムであると認定される。約110kmを5路線6系統で結んでいる。中央制御による自動運転だが、ドアの開閉や、安全確認、車内アナウンスを行う乗務員が進行方向前方の乗務員室にいる。

歴史[編集]

BARTの線路

BARTは1972年9月にサンフランシスコ湾にかかるサンフランシスコ・オークランド・ベイブリッジ渋滞解消とベイエリア地区を東西に結ぶするために開通。その後順次路線を拡大していき、2003年6月22日にはサンフランシスコ国際空港へ乗り入れ、ベイエリア各地と空港を結ぶアクセス鉄道にもなっている。

サンフランシスコ湾内の海底トンネルダウンタウンなど、路線は地下鉄部分がある。

アメリカの他の公共交通の例に漏れず、自転車の車内への持ち込みが許可されている(平日のラッシュ時を除く)。サンフランシスコ内外へのアクセスのBART、市内交通のMuniと合わせて市民や観光客の重要な足となっている。

原型と計画[編集]

水面下でトンネルを走る電気鉄道による高速輸送機関の概念は、1890年代初頭にフランシス・ボラックス・スミス(Francis "Borax" Smith)によって考案された。当時よりBARTが、かつて路面電車キー・システムと呼ばれた郊外鉄道網が運行していた地域をカバーするよう計画された。この20世紀初頭の鉄道は、当時港湾横断交通としてベイブリッジの下段を運行し通常営業を行っていた。1950年代までには、乗用車やバスが増加し急速な勢いで高速道路建設が進められ、この鉄道は廃止された。

戦後の人口流入と交通渋滞の緩和のため、1950年代に長期的展望によりこの地域への高速輸送機関の必要性が改めて確認された。委員会は1957年、ベイエリアにおける費用の見積もりと採算を報告した[1]

1957年、サンフランシスコにおけるBART計画は正式に州の事業となった。1961年、最終的に計画がまとまった。 [2]

1980年代、計画はサンフランシスコの南から延伸する計画が進行していた。デイリーシティーサンフランシスコ国際空港間を結ぶものであった。 [3]

初期路線の建設[編集]

BARTの建設は公式には1964年6月19日にジョンソン大統領臨席の元、コントラコスタ郡コンコードウォールナットクリーク間で開始された。

この湾岸横断トンネルは当時、世界で最も深く長い水面下トンネルだった。トンネル建設に1億8000万ドルかかり、1969年8月に開通した。イギリスの都市計画学者ピーター・ホール(Peter Hall)が著した本「Great Planning Disasters」では、BARTは英仏共同事業のコンコルドシドニー・オペラハウスと並び、20世紀における最も画期的な事業であると記されている[4]

運行[編集]

BARTは1972年9月11日に運行を開始し、最初の5日間で利用者が10万人を突破した。開業して2年後の1974年9月16日には4本の支線が開業した。最初の5年間はBARTの運行は平日ダイヤのみの運行だった。

BARTでは飲食、喫煙、駅内外への落書きが禁止されている

データ[編集]

  • 管轄:サンフランシスコ・ベイエリア高速鉄道公社(San Francisco Bay Area Rapid Transit District)
  • 路線距離(営業キロ):152.9km
  • 軌間:1676mm(広軌
  • 軌道構造:オールコンクリート道床
  • 駅数:43駅(起終点駅含む)
  • 最高速度:80mph(約130km/h
  • 複線区間:全線
  • 電化区間:全線(第三軌条方式直流1,000V
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 保安装置:ATC併用ATO
  • 車両基地所在駅:Colma駅など

現在の路線[編集]

アメリカの都市鉄道にはボストンのように路線の色を公式名称にしているところもあるが、BARTの路線は始点と終点の駅名をハイフンでつなげたものが公称として使われている。なお、サンブルーノ・サンフランシスコ国際空港・ミルブレー間は実際は三角線となっている。

路線図
2009年9月14日からの路線:
  リッチモンド - ミルブレー[5]
  フリーモント - デイリーシティー線
  リッチモンド - フリーモント線
  ピッツバーグ - サンフランシスコ国際空港[6]
  ダブリン/プレザントン-デイリーシティー線

過去の路線[編集]

2009年9月13日までの路線:
  リッチモンド - ミルブレー[7]
  フリーモント - デイリーシティー線
  リッチモンド - フリーモント線
  ピッツバーグ - サンフランシスコ国際空港[8]
  ダブリン/プレザントン-ミルブレー線[9]
2007年までの路線:
  リッチモンド - デイリーシティー線(朝と夕方はコルマ
  フリーモント - デイリーシティー線
  リッチモンド - フリーモント線
  ピッツバーグ - デイリーシティー線
  ダブリン/プレザントン-サンフランシスコ国際空港/ミルブレー

車両[編集]

BARTは4種類の車両を保有・運行している。

コロシアム/オークランド空港駅に停車中のA車両
デイリーシティー駅に停車中のC車両
車内
  • ローア工業(Rohr Industries)社製 BART AおよびB車両 1968年 - 1971年、VVVFインバーター制御に更新改造済
    • A車両(先頭車)
      • A車両は運行機械およびBARTの双方向通信システムを備えたFRP製運転室を持っている。乗務員室は先頭または末尾車両だけにある形となる。
      • A車両は座席定員は72名で、合計定員は150名。
      • 137両在籍。
    • B車両(中間車)
      • B車両は乗務員室がなく、乗客を運ぶ車両の中ほどに使用する。
      • B車両はA車両と同じ乗客容量を持っている。(座席定員72名 / 合計定員150名)
      • 303両在籍。
  • アルストム社製 BART C 車両 1987年 - 1989年
    • C車両(先頭車)
      • C車両はA車両と同じく運行および通信装置を備えたFRP製運転室を持っている。
      • C車両はA車両のような流線型前頭部を持たず、切妻型の前面に貫通扉を備え中間車としても使用できるようになっている。
      • C車両は座席定員は64名で、合計定員は150名。
      • 150両在籍。
    • C2車両(中間車)
      • C2車両はC車両と基本的に同じであるが、内装を一新。
      • C2車両は座席定員68名で、合計定員は150名。
      • 82両在籍。

ドア数が2つで乗降に時間がかかるため、BARTでは3ドア新型車両の導入が検討されていたが[10]2012年6月、ボンバルディアに新型車両の最初の発注を実施。2014年1月までに775両が発注された。2015年春に先行試作車でテストを開始、2017年からの5年間で順次量産される予定[11]

運賃[編集]

運賃は乗車区間によって異なる。各駅にある券売機で運賃分のBARTのカードを購入することで乗車できる。運賃分以上のカードを購入した場合、余剰分は帰りの際や後日、運賃として使用できる。日本の鉄道会社が発行しているような定期券は存在しないが、サンフランシスコ市内の路線に限りMuniと共通のMonthly Passが購入できる。また、Clipper Cardと呼ばれる乗車カード(日本のSuicaなどに相当)を利用して乗車することもできる。

他の交通機関との接続[編集]

  • ケーブルカー
    • パウエル駅 - ケーブルカー(パウエル - ハイド線、パウエル - メイソン線)
    • エンバーカデロ駅 - ケーブルカー(カリフォルニア・ストリート線)
  • バス
    多くのBARTの駅でACトランジット、Muniバスサンタクララバレー交通局(VTA)、SamTransCCCTAWHEELS、エメリー・ゴーラウンドなどのバスが接続している。
    夜間はAll Nighterと呼ばれるバスがACトランジット、Muniバス、SamTrans、VTAによって運行され、そのうち何本かがBARTの駅を経由する。

eBART[編集]

2017年に開業を予定している、ピッツバーグから先へ約15kmの路線延伸計画。既存のBART路線と違い非電化標準軌で建設される。車両はスイスシュタッドラー・レール社製[12]

脚注[編集]

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  1. ^ History of BART (1946-1972)”. BART. 2007年1月7日閲覧。
  2. ^ “History of BART to the South Bay”. the San Jose Mercury News. (2005年1月8日). http://www.mercurynews.com/mld/mercurynews/news/special_packages/bart/10597476.htm 2007年1月7日閲覧。 
  3. ^ C. M. Hogan, Kay Wilson, M. Papineau et al, Environmental Impact Statement for the BART Daly City Tailtrack Project, Earth Metrics, published by the U.S Urban Mass Transit Administration and the Bay Area Rapid Transit District 1984
  4. ^ Peter Hall (1982). “San Francisco's BART System”. Great Planning Disasters. University of California Press. pp. 109-137. ISBN 0520046072. 
  5. ^ デイリーシティー〜ミルブレーは平日のみ
  6. ^ 平日の夜と休日はミルブレーまで延長運転
  7. ^ デイリーシティー〜ミルブレーは夜間を除く平日のみ
  8. ^ 早朝深夜の一部はミルブレーまで延長運転
  9. ^ デイリーシティー〜ミルブレーは平日夜間・休日のみ
  10. ^ BART Needs to Replace its Fleet”. Mass Transit Magazine (2006年1月12日). 2007年9月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月12日閲覧。
  11. ^ ボンバルディア、サンフランシスコBARTの新車365両を追加受注”. レスポンス (2014年1月9日). 2014年3月12日閲覧。
  12. ^ スイス車両メーカー、サンフランシスコBARTからディーゼルカー受注”. レスポンス (2014年4月29日). 2014年4月30日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

公式サイト