大阪市交通局70系電車

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大阪市交通局70系電車
70系更新車(門真南駅)
70系更新車(門真南駅
編成 4両編成25本(100両)
営業最高速度 70 km/h
起動加速度 2.5 km/h/s
減速度 3.5 km/h/s(常用最大)
4.5 km/h/s(非常)
編成定員 380名
車両定員 (先頭車)89名、(中間車)101名
最大寸法
(長・幅・高)
15,600*×2,490×3,120mm
* 先頭車は15,800mm
編成質量 102.0 t
軌間 1,435 mm
電気方式 直流1,500V(架空電車線方式
編成出力 800 kW
主電動機 車上1次片側式三相リニア誘導電動機
駆動装置 リニア駆動方式
制御装置 GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御
IGBT素子VVVFインバータ制御(更新車)
制動方式 回生ブレーキ補足装置付き電気指令式ブレーキ OEC-4L
保安装置 車内信号式ATC
自動列車運転装置 (ATO)
製造メーカー 日本車輌製造近畿車輛川崎重工業アルナ工機
備考
Wikipedia laurier W.png
第31回(1991年
ローレル賞受賞車両

カテゴリ / テンプレート

大阪市交通局70系電車(おおさかしこうつうきょく70けいでんしゃ)は、1990年平成2年)3月20日に営業運転を開始した大阪市交通局の高速電気軌道(大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線用の通勤形電車リニアメトロ車両)。

同線の開業に伴って投入された(開業時の路線名は鶴見緑地線)。日本の営業用の鉄道車両では初のリニアモーター駆動車両である。また、車体の大きさはやや小さめとなっている。

投入の経緯[編集]

1990年(平成2年)3月20日の鶴見緑地線京橋駅 - 鶴見緑地駅間開業にあわせ、営業運転を開始した。

当系列では日本初の営業用鉄輪式リニアモーターカーとして、リニアモーター駆動方式が採用された。鉄輪式とは、車両自体は浮上せず車輪で支持するものである。採用の理由は経済的と輸送的なもので、直線状の板状モーター使用による車両の低床化により、トンネルの断面を小さくしてトンネル工事費が削減できることと、急勾配や急曲線でも無理なく走行できるため建設場所が限定されないこと、将来の輸送需要が中量程度であることなどが挙げられる。主回路はGTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御である。当時、日本ではリニアモーター駆動方式に関する実績が乏しかったため、1988年昭和63年)3月に南港の試験線(地下鉄協会)で試作車の走行試験を実施し、導入が決定した。

70系は以上のような理由から、1991年(平成3年)8月に鉄道友の会ローレル賞を受賞した。

なお、本系列は1993年(平成5年)から1996年(平成8年)にかけてワンマン化改造が行われて[1]、1996年4月からはワンマン運転が実施されている。

路線名が長堀鶴見緑地線に改称された1996年(平成8年)12月11日の心斎橋駅 - 京橋駅間開業時と、1997年(平成9年)8月29日大正駅 - 心斎橋駅間、鶴見緑地駅 - 門真南駅間開業時にも増備され、2007年(平成19年)現在、4両編成25本(計100両)が在籍する。製造時期によって外観や内装に相違がある。

外観[編集]

車体はアルミ合金製で、フッ素樹脂(塗色はアイボリーホワイト)で塗装されている。第三軌条方式20系などよりも車体長が短いため、客用扉は1車両あたり3か所(側面)である。また、客用扉の間には車外スピーカーが、車端部の窓上には大阪市交通局で初めてLED式の行先表示器が設置された。全編成とも落成時から排障器(スカート)を装備している。客室側窓は下降式である。運転台は当初よりワンマン運転を考慮し進行方向右側に、非常扉は運転台と逆の左側に設置された。これは新20系とは逆の配置である。集電装置には日本の鉄道車両で初めてシングルアーム式のパンタグラフを採用した。

試作車・1次車[編集]

70系1次車(未更新車)

鶴見緑地線の開業に伴い用意されたグループ。第1 - 第13編成がこれにあたる。

先頭部分の塗装は白をベースに、「7」(長堀鶴見緑地線の正式名称・大阪市高速電気軌道第7号線にちなむ)を変形させたマークが入っている。側面行先表示器は赤1色で表示される(更新工事で順次、3色LEDに交換が進められている)。なお、1990年3月20日の開業から同年9月の花の万博終了までの期間は前面非常口部分の窓下に花の万博の公式シンボルマーク、側面ドア横に公式キャラクター「花ずきんちゃん」のステッカーが貼り付けられていた。

南港の試験線で使用された4両の試作車は後に整備され、リニアモーター駆動方式の2両は7061(試験時7051)・7161(同7151)号車に、ロータリーモーター駆動方式の2両は7262(同7391)・7113(同7691)号車になった。この元試作車の4両は、連結面(妻面)上部に型(段差)がある点が、量産車との相違である。

試作車は落成当初から南港の試験線での試運転終了までは未塗装でラインカラーを貼り付けただけであったが、量産車に組み込む際に塗装された。また、試運転時には方向幕に第1期開業の駅である「京橋」「横堤」「鶴見緑地」「回送」「臨時」「試運転」の他、「リニヤモーターカー[2]」「ロータリーモーターカー」「EXPO '90」との字幕も用意されていたが、これも営業運転開始までに字幕を交換したため、現在はこの字幕は入っていない。なお、方向幕は大阪市交通局の車両では初めて英文表記を追加した。

増備車[編集]

70系増備車(未更新車)前面の腰部の色の違いと「7」のアクセントの大きさが1次車との相違

1996年の京橋駅 - 心斎橋駅間の延伸に際して第14 - 第23編成が、1997年の心斎橋駅 - 大正駅間と鶴見緑地駅 - 門真南駅間の延伸に際して第24 - 第25編成が追加で製造されている[3]

外観・塗装が1次車とは異なっており、先頭部分は長堀鶴見緑地線のラインカラーである黄緑をベースに「7」を変形させたマークが入っている。フロントガラスは1次車では角が丸みを持たせたものになっているが、このグループは角が角ばったものに変更されている。側面行先表示器は3色LEDを採用した。なお、このグループは、非常扉の窓ガラス下部にリニアモーターを表す「LIM」のロゴマークが入っている[4]。第18編成からは、客用扉のガラスは単板ガラスから複層ガラスに変更されている。車外から見ても、客用扉の窓周りに太い縁取りがあるため、判別は可能である。

車内[編集]

70系の車内(未更新車)

車内空間を最大限確保するため、扉は床上から1,400mmの位置でガラスとも内側に折れ曲がっている。

扉と扉の間の座席は6人掛けである。

全車両の貫通扉の上部にLED式の車内案内表示器が設置されている。この案内表示は新20系や66系のものとは違って上下二段式となっており、並行して一度に二つの情報を表示することが可能である。また、表示器のスペース全体を使用して、各駅の発車直前に"Linear Motor Car 7000"が表示されるほか、一部の駅では到着前に沿線の名所をイメージしたイラストが表示される。かつては駅間でリニアモーターの構造の解説の表示も行われた。例としてドーム前千代崎駅では「京セラドーム大阪」、心斎橋駅では「心斎橋の欄干」、京橋駅では「高層ビル群とその下を走る電車」、鶴見緑地駅では「鶴見緑地いのちの塔」、門真南駅では「なみはやドーム」である。ただし、後述する更新工事施工車は新20系と同型の機器に交換されている。

開業時から運用されている第1 - 第13編成と後の路線延伸に伴って増備された第14 - 第25編成とで、内装にも相違がある。第1 - 第13編成の内装は、ベージュ系の化粧板に小さな白い花が配されている。貫通扉の部分は色が濃い。床は茶色とクリーム色の2色である。製造当初は車椅子スペースがなかったが、ワンマン改造に際して設置された。これにより定員が変更され、先頭車は90名(座席32名)から89名(同28名)、中間車は100名(座席40名)が101名(同38名)となった。車椅子スペース脇(第14編成以降では2人掛けの座席がある部分)に、座席はない。路線延伸に伴って増備された第14 - 第25編成は、やや明るい内装となったが、化粧板に花の模様は配されていない。床は茶色一色である。また、製造時から車椅子スペースが設けられている[5]

また、各車両には車椅子スペースが設置されているが、インターホン車椅子の高さで利用することはできない。乗降扉は開閉の際、ドアブザーが鳴る。ブザーは66系初期車と同じである。台車直上には台車点検蓋が設置されている。

  • 車内の高さ - 2.15m(車端部の冷房装置搭載部分は2.00m)
  • 客用ドアの寸法 - 1.83m(高さ)×1.30m(幅)

更新工事(中間更新)[編集]

リニューアル車の車内案内表示器とローレル賞受賞プレート
7109Fの車内LED照明

1次車の竣工から既に約20年が経過したため、更新工事(中間更新)が実施されることとなり、最初に施工された第13編成 (7113F) は2011年(平成23年)3月4日に営業運転を開始した。

更新内容は以下の通り。

  • 第14編成以降に準じた車体配色とし、加えて屋根付近や客用ドア部分にもラインカラーの黄緑を配したほか、30000系に準じた号車番号表記も追加。
  • 側面行先表示器を赤色LEDから3色LEDに変更(1次車のみ)。
  • 一部のつり革の高さを身長の低い乗客でもつかめるように変更。また、優先座席付近のつり革はオレンジ色に変更されている。
  • 客用扉付近に黄色のラインを追加。
  • 客室案内表示器を2段式から1段式へ変更し、路線案内表示器が追設された。(これに伴い、沿線名所のイメージイラストや発車直前の"Linear Motor Car 7000"の表示は廃止されている)
  • VVVFインバータの制御素子をGTOサイリスタからIGBTに変更。

また7109Fの改造に関しては、客室照明のLED化、天井部へ手すりの追加設置、床材の変更が行われた[6][7]
なお、新20系中間更新施工車に設置されている、スタンションポール、ドア開閉予告ランプは、本系列では設置されていない。

脚注[編集]

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  1. ^ 石本隆一「大阪市交通局 車歴表」、『鉄道ピクトリアル2004年3月臨時増刊号』第744巻、電気車研究会、2004年、204頁
  2. ^ 誤植ではなく実際に「リニモーターカー」と表示されていた。
  3. ^ 石本隆一「大阪市交通局 車歴表」、『鉄道ピクトリアル2004年3月臨時増刊号』第744巻、電気車研究会、2004年、204頁
  4. ^ 1次車にも後に付け加えられた
  5. ^ 石本隆一「現有車両プロフィール」、『鉄道ピクトリアル2004年3月臨時増刊号』第744巻、電気車研究会、2004年、 173 - 174頁
  6. ^ 長堀鶴見緑地線70系車両の車内照明にLEDを導入します - 大阪市交通局 2013年2月26日
  7. ^ 大阪市営地下鉄に初のLED照明搭載車」交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2013年3月15日

参考文献[編集]

  • 石本隆一『大阪の地下鉄』、産調出版、1999年4月第1刷発行
  • 石本隆一「現有車両プロフィール」、『鉄道ピクトリアル2004年3月臨時増刊号』第744巻、電気車研究会、2004年
  • 石本隆一「大阪市交通局 車歴表」、『鉄道ピクトリアル2004年3月臨時増刊号』第744巻、電気車研究会、2004年