都心

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

都心(としん)とは、都市の活動において拠点とされる中心部。その都市の富の中心を成し、都市内交通が集中する。

概要[編集]

都心と中心部[編集]

都市は、行政機能・業務機能(企業の本社が置かれる)・商業機能(卸売小売)・飲食機能(外食)・宿泊機能など、いくつもの機能を持ち合わせているが、「都心」という場合は、業務機能が集中する中央業務地区(英国では CBD : central business district、米国では : Downtown)を指すことが多い。それは、大都市では単位床面積あたり売上額が業務部門で最も高く、都市における富の中心を成すためである。

ただし、高級デパートや高級ブランド店など、高額商品を扱う小売店も単位床面積あたりの売上額が大きいため、それらが集中する地区も富の中心として都心と見なされることもある。地価または賃料に見合う売り上げがなければビジネスは成り立たないが、地価の変動や建築物の高層化などにより単位床面積あたりの賃料が変化し、都心の機能が変化することもある。

東京・大阪・名古屋の三大都市圏では、地区による機能分担が進み、広大な中心業務地区を有している。中心業務地区には日本を代表する大企業の本社が集まり、日本全国のみならず、全世界から売り上げ(富)が集まってくるため、「都心」という言葉が使用される。東京大都市圏(首都圏、関東地方)においては東京の中心部を指した「東京都心」または「東京都心部」の略として、単に「都心」という言葉が頻繁に使用される。また、広大な商圏を持ち、売上高が大きい中心商業地も富の中心として都心に含まれている。

三大都市圏以外の大都市のうち、福岡都市圏札幌都市圏仙台都市圏は大企業の本社は少なく、地域子会社や支社・支店、および地元企業が集まる「支店経済」型の中心業務地区が形成されている。広島都市圏北九州都市圏では製造業が発展し、業務機能が工業地に分散されるため都心の規模はその人口と比べ小さい。業務対象地域の人口規模によっては業務よりも商業(物販・サービス)における富の方が大きい場合もあり、中心地域は業務地と商業地(繁華街歓楽街)が混在している。そのため「都心」という言葉を使わずに「中心部」や「中心地」と言うことが多い。ただし、周辺の中小規模都市の商機能低下を受けて中心部商業地の商圏が拡大し、ブランド街が形成されて都心化している都市も出てきている。

さらに小規模な都市においては、工業の発達や交通の要衝(卸売)として、あるいは地方を管轄する機能の存在(金沢市高松市など)により人口増が見られたが、業務対象地域の人口が決定的に少ないため、中心部は業務機能よりも商業が富の中心となり、明確な「都心」は形成されず、主に人口規模に応じた「中心部商業地」のみが存在していた。このような業務による求心力がない中心部は、近年の郊外ロードサイドショップや郊外大規模小売店(GMS など)の登場、大病院の郊外移転などにより、急速に空洞化が進行している。ただし、郊外店は主に、最寄品から買回品のみ扱うため、高級な買回品から専門品を求め大都市中心部の商業地へ向かう購買行動が見られる。

副都心[編集]

東京では都心への業務集中によって「通勤地獄」とまで言われる通勤ラッシュが常態化してしまい、道路も渋滞が深刻化して経済損失が大きくなった。また地震や地盤強度の問題などから超高層ビルを建てづらく、都心部のみで中心業務地を賄えなかったため、東京都内に新たな業務指定地区を設定して「副都心」とした。さらに、バブル経済期には地価が暴騰したため、都内に「副々都心」、周辺県には「新都心」と呼ばれる業務指定地区を設け、中心業務地の分散を図った。

新都心[編集]

副都心以外でも、郊外に新規開発をして都心を形成したところや、都市の中心部を再開発して都心の機能を高めたところを新都心と称することがある。東京近郊の新都心については、「東京隣県の拠点地区」のセクションを参照。

関東大都市圏[編集]

東京は世界最大の都市圏人口を有する、有数の世界都市である。また日本の富が一極集中し、他の都市と比べて格段に大きな中心業務地区を形成している。

中心業務地区は広大なため地域ごとに機能分担が進んでおり、「都心」「副都心」の範囲は用いる指標により変化し、定義によっては無数の副都心を持つことになる。また都心・副都心以外にも商業中心をいくつも持ち、他都市の何倍もの商機能集積を見せる。ただし、安価な高速鉄道網が高密度に張り巡らされ、都市圏内が時間的に近接するため空間的な広大さは感じにくくなっている。

前述のように、関東地方において単に「都心」と言った場合は東京23区の中心部を示すことが大半であり、マスメディア報道などで横浜市千葉市さいたま市川崎市の中心部のことを「都心(部)」と呼ぶことは皆無に近い[1][2]。特に、東京都の都心3区(千代田区中央区港区)に、大衆的な認知度の高い新宿区渋谷区を加えた5区を指して都心と云うケースが多い。また、報道用語としては東京23区のことを「東京都心」と呼ぶこともある。

東京における都心[編集]

主な範囲[編集]

明治時代江戸から東京に改められ定められた区制、市制などの大都市制度を基とする。 1878年明治11年)、郡区町村編制法が制定され、宮城(皇居)周辺の都心部に、麹町区神田区日本橋区など15区が定められた。1889年(明治22年)には、この都心15区に市制が施行され、東京市となる。 1932年昭和7年)、周辺82町村が編入され、既存の都心15区に加えて、郊外20区が定められ、35区となり、1958年(昭和33年)までは、千代田区中央区港区新宿区文京区台東区を『都心6区』と呼んだ。 千代田区中央区港区を 『都心3区』[3][4]、さらに、新宿区渋谷区を含めて『都心5区』[5]などと呼ぶケースもある。

東京の副都心[編集]

副都心[編集]

西新宿

都心への業務機能の分散の観点から、東京都が策定した副都心は7ヶ所存在する。

池袋、新宿、渋谷の3地区は1958年昭和33年)に東京都心の機能分散を目的に指定され、副都心の中でも最も重要な地域であるため「3大副都心」と言い、指定からちょうど半世紀を経た2008年平成20年)にはこの3地区を結ぶ地下鉄路線がそのまま「副都心線」の名称で開業した。上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎は1982年(昭和57年)にバランスの取れた東京の育成を目的として副都心に追加された。そして、1995年(平成7年)に臨海副都心が追加された。

蒸気機関車から、電車が開通する迄は、皇居付近に乗り入れを認めなかった為、北は上野、南は現在の新橋、東は浅草、西は万世橋(後に交通博物館)で止まっていて、品川・渋谷・新宿・池袋・赤羽で繋げていた。3大副都心及び上野・浅草は、東京市戦前私鉄の都心(山手線内と15区内の大部分)乗り入れを認めなかったことから、郊外へのターミナル駅として発達した。そのような事から自動車にも、フローニンゲンのようにガソリン車から電気自動車になる迄は、山手線内または明治通り内は乗り入れの規制が検討されており、歩行者天国内堀通り自転車天国などが各地域で行われている。上野は東北北陸方面への「北の玄関口」として発達し、京成電鉄の拠点ともなった。池袋は東武及び西武、新宿は京王小田急、西武、渋谷は京王、東急、品川は京急の拠点として発展を遂げた。

臨海副都心以外の6副都心は「副都心整備指針」で、臨海副都心は「臨海副都心まちづくり推進計画」などで定められている。そのため、東京都の都市計画では、6副都心と臨海副都心は別扱いになることがある。たとえば、6副都心には定められている業務商業市街地ゾーンや複合市街地ゾーンが臨海副都心にはないなどである。

新宿副都心の内、都庁がある新宿区西新宿を特に新都心という場合もある(新宿副都心全体を指す場合もある)。

東京隣県の拠点地区[編集]

新都心[編集]

東京近郊の新都心(新副都心)として、以下の3ヶ所がある(北からの順で表記)。

これらは、東京都心に集中したオフィスを分散するために計画された。旧国鉄操車場跡や工場跡、または埋め立てなどによる未開発地域などの広い土地が用意され、ある程度分散はしたが、集積とまでは行かなかった。そのため現在でもこれらの地区には空き地が多く残り、開発に伴う負債が各自治体の財政を圧迫しているが、官公庁庁舎の移転や企業誘致活動などにより徐々に改善しつつある。みなとみらいはみなとみらい線の開通や大企業の本社誘致の成功、幕張新都心は近年の商業施設の進出、さいたま新都心は東京から関東地方などを管轄する一部の出先機関が移転している。さらに、品川駅周辺の三菱村や日本電気玉川ルネッサンスシティの様に、分散していた事業所・子会社を集め、大規模な業務集積を行うこともある。

圏内の政令指定都市[編集]

以上の東京を中心とした関東大都市圏の視点での機能分担の他に、各自治体ごとでも都心·副都心の指定がある。以下は圏内の政令指定都市の例。川崎市には「広域拠点」が3つあるが、都心・副都心などに分類されていない。千葉市には、都心・副都心・新都心と異なる名称を与える地区があるが、3者とも機能的には「都心」としている。

さいたま市
都心景観拠点 - 大宮駅周辺・さいたま新都心周辺地区、浦和駅周辺地区
副都心景観拠点 - 日進·宮原地区、武蔵浦和地区、美園地区、岩槻駅周辺地区
千葉市
都心 - 千葉都心、幕張新都心蘇我副都心
横浜市
都心(ツインコア) - 横浜都心(関内・関外地区、横浜みなとみらい21(MM21)地区、横浜駅周辺地区[7][8]及び新横浜都心(城郷地区(小机駅周辺地区)、羽沢地区羽沢駅(仮称)周辺地区)、新羽地区(新羽北新横浜駅周辺地区)、新横浜地区(新横浜駅周辺地区))[9]
主要な生活拠点(旧:副都心)[10][11] - 鶴見駅周辺、港北NT(港北ニュータウン)センター二俣川鶴ヶ峰駅周辺、戸塚駅周辺、上大岡駅周辺
川崎市
広域拠点 - 川崎駅周辺地区、武蔵小杉駅周辺地区新百合ヶ丘駅周辺地区溝の口駅周辺地区
相模原市
都市の核 - 橋本駅相模大野駅相模原駅の周辺
相模原市はベッドタウン的要素が強く、小規模な都心が複数存在する。なお、中心市街地法では橋本駅周辺と相模大野駅周辺が都市核と認定され、神奈川県の地域計画では橋本駅周辺が広域拠点とされている。

京阪神大都市圏[編集]

近畿圏は、主に大阪京都神戸を中心に都市圏を形成しており、日本で二番目に大きな都市圏である。西日本の中心地でもある。また、世界でも有数の都市圏でもあり、人口規模はロサンゼルスに匹敵する。その中でも、特に大阪に中心業務が集中し、近畿圏におけるビジネスセンターとなっている。

大阪市および大阪都市圏[編集]

大阪市および大阪都市圏の都心部は平地で格子状の道路が整備され、地下鉄各路線が縦横に走っている。地形の制約がないため、東京よりも都心が一体的で、面積も広い。都心は下町と工業地帯で周囲が囲まれ、その外側に山の手や郊外住宅地が広がる都市構造を持ち、都心とホワイトカラー住宅地(ベッドタウン)が隔絶されている。

大阪の都心[編集]

梅田方面を望む

北区中央区西区福島区浪速区天王寺区の6区が「大阪都心6区」と呼ばれる。

大阪市の都心は、現在は御堂筋を背骨として大阪環状線内(西側は新なにわ筋まで)に面的に広がる。旧来の都心は堺筋を中心として堂島川以南・道頓堀川以北・東西はそれぞれ横堀川に囲まれたエリアであったが、大正期の御堂筋拡幅や地下鉄整備、戦後復興期の梅田エリアの整備(闇市を整理し再開発ビル<大阪駅前第一~第四ビル>の建設)もあり、御堂筋を中心として北は梅田まで、南は難波までの地域を中心として形成されるようになった。

関西圏では神戸市京都市に本社を持つ企業も多く、両市はそれぞれ都市圏を形成し、昼間人口比率も1を越えている。そのため、京阪神の三都それぞれの都心を結び郊外住宅地との交通網が密な梅田淀屋橋の駅前にオフィス需要が大きく、超高層ビルは梅田・OBPに集中している。

また、地下鉄御堂筋線と高速道路のような高架道路の新御堂筋(国道423号線)をインフラとした新大阪江坂千里中央でも業務機能が集中し、副都心としての再開発が進んでいる。

大阪の副都心[編集]

大阪市の場合は都心と副都心をはっきり区別するということが一般的でないものの、高校地理では、都心は梅田・堂島中之島・淀屋橋・本町・心斎橋・難波(なんば)・堀江、副都心は京橋・OBPと天王寺・新大阪・福島としている。

大阪周辺の拠点地区[編集]

大阪都市圏の範囲は大阪府だけでなく、三重県、兵庫県、奈良県和歌山県にも拡がっているため、各地にも拠点となる地区が見られる。

他に新都心として、関西文化学術研究都市も挙げられるが、発展途上の段階と言える。

圏内の政令指定都市[編集]

日本全国でビジネスを展開する企業は多くが大阪に近畿地方の拠点を置き、京都・堺・神戸に拠点を置く例は稀である。そのため人口と比べ都心は小規模である。

ただし、神戸・京都には本社を置く企業も多いため、大規模なビル開発がされたり、格式の高いオフィスビルが置かれたりすることがある。京都では本社が中心業務地区や副都心に置かれることは稀で、住宅地密集地や郊外に独立して置かれることが多い。また神戸では都心の土地が狭いため、三宮以外にも業務地開発がされている。ターミナル性のない駅前の開発であるため副都心としての求心力が低いが、観光地的な商業集積が見られる(東京のお台場に類似する)。

堺は、大阪市の都市化の膨張に呑み込まれる形で発展したため、自ら都市の中心を持たない拠点性のない衛星都市型の町として今日に至っている。戦前戦後を通じ、周辺部の農村を合併し市域を拡張したが、大阪市への依存度が大きく堺全体の統合拠点がないため、結果的に無秩序な都市化が進んでしまった。

京都市
堺市
神戸市

中京大都市圏[編集]

名古屋市[編集]

ミッドランドスクエアから栄方面を遠望
栄・名古屋テレビ塔から名駅方面を望む夜景

名古屋市の都心は名駅伏見一帯であり、規模は東京、大阪に次ぐ。都心は平地で道路は整然として幅員が広く、鉄道・高速道路・一般道ともによく整備されている。地下鉄などの公共交通機関もよく発達していたため、都心の一極的な高度利用への投資よりも、周辺業務地区が際限なく広がる傾向が強い。また周辺には中京工業地帯の工業都市が無数にあり、周辺の衛星都市や幹線道路沿いなどにも業務集中地区がある。しかし、中京大都市圏全体では名古屋市一極集中の傾向が強い。

近年は鉄道の一大拠点で中部国際空港へのアクセスもよい名古屋駅周辺に超高層ビルが林立し、業務集積が進んでいる。愛・地球博に合わせて交通網が格段に発達し、周辺都市では中心部の商業機能が低下しているため、名古屋市への物販の集積が著しい。繁華街であるエリアにはブランド直営路面店が軒を連ね、名駅エリアの高級デパートも拡充している。

また副都心は古くからターミナルとなる拠点駅のある大曽根金山があり、地下鉄とJR・名鉄線との乗り換え客などの需要から地下鉄開通後は特に発達した。大曽根地区は1997年(平成9年)にナゴヤドームが開場したことにより商業施設が建設され商圏として伸びを見せている。金山地区は1999年(平成11年)に金山南ビル2005年(平成17年)にアスナル金山が開業し中部国際空港へ直通列車への乗り換え需要もあり、商業施設面積は大きく伸びたが、どちらも名駅・栄地区に比べると発展は遅く、商業施設面積も首都圏の郊外の駅前と同等程度である。

名古屋周辺の拠点地区[編集]

豊橋駅東口周辺

地方中枢都市圏[編集]

福岡都市圏札幌都市圏仙台都市圏は、工業基盤が薄いため「支店経済都市」と呼ばれる。それぞれの地方全体を管轄する支店・支社が進出しており、人口規模に比べて都心の規模が大きい。本社との交通の利便性が高い地区、すなわち中心駅に近い都心のオフィス需要が高い。しかし、市域内のバランスのとれた発展や、バブル経済期前後には地価暴騰の抑制を目的とし、市当局が都心から離れた地区に副都心を複数設定し、それぞれ大区画の土地を供給した。しかし、ほとんどの副都心では大区画でも採算性のある大型ショッピングセンターロードサイドショップによって占められ、業務機能の集中が出来た例はまれである。地元有力企業の本社の大型ビルが複数立つ福岡のシーサイドももちのように業務集中に成功した例もあるが、基本的には地元企業の営業所需要、すなわち中小規模ビル需要がほとんどで、東京・名古屋・大阪の副都心とは異なりかなり小規模である。

一方、工業が発展している広島都市圏北九州都市圏では、工場敷地内にオフィスが設けられたり、その周囲に関連会社が集中したりする例が多く、人口規模や都市内GDPに比べて中心部のオフィス需要はさほど大きくならない。そのため、都心部は小規模になる。副都心は形成されないか、若しくは商業(物販・サービス)のみの集積地となる。

都心の面積と都心内の軌道
面積



モノ
レー

都心内の軌道の駅の増減予定
札幌市 445 ha[13] 1 10 07 2015年のST Logo.svg市電環状化で電停が1ヶ所新設予定[14]
仙台市 540 ha[15] 1 08 2015年のSendai City Subway Logo.png東西線開業で地下駅が4駅新設予定
広島市 395 ha[16] 1 02 16 2017年の広電駅前大橋線開業で電停が削減予定
北九州市 380 ha[17] 2 4
福岡市 909 ha[18] 4 11 2020年度のFukuoka City Subway Logo.svg七隈線延伸で地下駅が2駅新設予定

支店経済都市[編集]

福岡市[編集]

福岡空港からの直線距離が博多駅で約3km、西鉄福岡(天神)駅で約5kmと近接しているため、福岡市では同空港の制限表面[19]の規制から都心における高層ビルの建設は不可能であり、結果として中低層ビルが連なる広大な都心が形成されている。都心は中洲地区を挟んで大きく博多エリアと天神エリアとに分かれる。博多エリアは博多駅新幹線・在来線)、バス(博多バスターミナル)、福岡空港の利用に至便であるため業務機能が集積している。一方、天神エリアは私鉄、地下鉄のターミナルが形成されているほか、昭和初期より西日本鉄道の主導で商業機能を集積させた経緯もあり、商業機能の需要が高く百貨店などの商業施設が高度に集積している。これらの地区は博多駅および福岡空港とを地下鉄空港線が結んでおり、国内でも屈指の利便性を有する都心を形成している。なお、九州新幹線全通時にはストロー現象によって九州各地から業務機能が移転する可能性があるが、都心におけるビルの高層化が不可能なため、老朽化したビルの建替えの問題も含めて今後の都心の再開発の動向に注目が集まっている。 なお、福岡市では1980年代以降に海岸を埋め立てて副都心ももち(百道浜)の造成が進められたが、区画が比較的広いこともあり、業務用途のビルの高さは概ね60m程度に留まっている。とはいえ、業務機能が集積する副都心の規模としては地方都市の中でも群を抜く存在である。現在はバスと自家用車にアクセスを頼っている状態であるが、将来的には軌道系交通システムの導入も検討されている。また1989年(平成元年)になると西区姪浜駅南側の姪浜地区で土地区画整理事業が始まり、15年の事業期間を経て現在は姪浜が西の副都心として進展しつつある。 他の副都心として、早良区西新東区香椎千早南区大橋がある。いずれも業務の集積は少なく商業中心としての発達がみられる。 物販面においては、超広域商圏を抱える天神地区への一極集中状態が続いており、天神の中心部の再開発が停滞しているために商業エリアが西南方へと拡大する傾向にある。

  • 都心
    • 中心業務地区 : 博多エリア(博多駅中央街、博多駅前、博多駅東)、祇園・呉服町エリア、天神エリア(天神、赤坂大名、渡辺通)薬院
    • 周辺業務地区 : 大手門、舞鶴、千代・東公園エリア(県庁や県警察本部などが集積する)、住吉
    • 繁華街 : 天神、大名、中洲川端、博多駅周辺
    • 歓楽街 : 中洲、南新地
  • 副都心
  • 地域拠点

札幌市[編集]

札幌市札幌駅南側東部

札幌市は、市域全体にタウンシップ制をベースとする整然とした区画が施され、除雪した雪を一時的に置くための広い路肩を設定した大きな道路が縦横に走っている。都心は、地下鉄南北線東豊線の並走区間の札幌駅より南側部分、および大通公園沿いを中心に広がっている。市街地拡大に地形的制約も少ないため、地下鉄沿いや幹線道路沿いに業務地区が分散しており、高層オフィスビル建設の動機も少なく、副都心への移転需要もない。

しかし、札幌駅は新千歳空港へと鉄道が直通し、道外の本社・支社との行き来が頻繁な大企業の需要がある。また道内主要都市とを結ぶ都市間バスが集約する札幌駅バスターミナルも立地し、道内にドミナンスがある企業の需要も高い。こうした背景から、高層オフィスビルのJRタワー駅ビル)が建設されて成功をみており、他にも都心での高層オフィスビル建設が始まっている。なお、都心には札幌駅前以外にも都市間バスの発着する大型バスターミナルとして、大通公園の東端付近に札幌市交通局大通バスセンター北海道中央バス札幌ターミナルを設置し、道内の鉄道インフラの弱さを補完している。

空港への快速電車が停まる新札幌副都心は、地元企業の本社の移転や空港利用者向け高層ホテルの進出がみられたが、大区画のために中小規模ビルの進出が進んでおらず、物販・サービスなどの小規模な商業中心に留まっている。その他の副都心も基本的に「住宅中心」であり、市当局が地域中心核(琴似・大谷地など)と設定している地区との違いはそれほどない。

※広域交流拠点は、地域中心核の機能も併せ持つ。

仙台市[編集]

仙台市は、江戸時代の城下町部分に都心が形成されているが、オフィスビルは戦災復興時につくられた大きな通り沿い、中心商業地は大通りに囲まれたブロック内の拡幅されなかった道沿い、という構造を基本とした業務・商業混在型都心部となっている。宮城県沖地震の避難経路の問題や、東京に近いこと(新幹線で2時間弱)によるオフィス需要の限界から20-30階建て程度の高層化に留まるものの、仙台駅周辺は東京との行き来が多い大企業や東北地方を管轄する支店が多く、オフィスビルの高層化とビジネスホテルの進出傾向が強い。2007年(平成19年)3月に仙台駅と仙台空港を結ぶ仙台空港アクセス線が開通したが、仙台に支店を設けている企業の本社のほとんどが東京にあるため、羽田便のない仙台空港への空港連絡鉄道が与えるビジネスへのインパクトは小さかった。なお、2010年東北新幹線新青森駅まで延伸し、東北地方全ての県庁所在地に新幹線が通ることになった。これにより、東北地方の業務に、東京集約、仙台集約、北東北盛岡集約などの選択肢が生まれることが予想されている(仙台市と山形市との間に新幹線はないが、仙台 - 山形線仙山線などで繋がれている)。

2000年(平成12年)前後から始まった東北地方の陸上交通の再編の動きなどにより仙台経済圏が形成され、仙台・宮城デスティネーションキャンペーンに向けて、都心の物販では仙台駅西口が国内ブランド、一番町三丁目が海外ブランドの集積地となっている。

市当局の設定する副都心は、泉中央(北)・長町(南)・愛子(西)があったが、業務機能が集まったのは泉中央のみで、現在、愛子にはついては副都心の指定も曖昧になっている。泉中央副都心は、地下鉄のターミナル駅周辺の大区画部分の未開発地区が駐車場として残るが、周囲に中小区画が多かったため、開発初期はロードサイドショップが集中し、その後は中小規模オフィスビルやマンションに置き換わった。また、都心から離れたターミナルであり、ベガルタ仙台のホームスタジアムがあることも手伝って、飲み屋街が形成されつつある。もう一方の長町副都心は、都心に近いために業務機能の集中は見られず、商業中心、およびマンション街となっている。なお、長町駅前が都市再生機構などにより再開発中である。

  • 都心
    • 中心業務地区 : 仙台駅西口・五橋(東京関連)、一番町(地元関連)、県庁・市役所周辺(公共事業関連)
    • 周辺業務地区 : 仙台駅東口(IT関連が多い)
    • 繁華街 : 一番町、仙台駅西口
    • 歓楽街 : 国分町
  • 流通地区 : 卸町・扇町・六丁の目
  • 副都心

工業都市[編集]

広島市[編集]

広島市の都市機能は、太田川デルタ内に集中している。都心部はデルタの中北部にあり、北端が広島駅北口周辺および県道84号、西端が天満川、南端が国道2号、東端が段原再開発事業区域および東広島貨物駅貨物ヤード跡地で囲まれた地域である。

広島市は、中国地方または中国・四国地方を管轄する機能を持つが、広域交通を担い、1日14万人が乗降する中国地方最大の駅である広島駅前に業務機能の集積はあまりない。広島空港移転によってビルの高層化が可能になったが、超高層ビルは本社ビル・ホテル・マンションが中心で、平和大通り沿いに高層ビルが並ぶ。鉄道では2002年(平成14年)からJR西日本広島シティネットワークを構築している。また、広島電鉄においては1999年(平成11年)からは超低床車両の導入が始まった。これに加えて2001年(平成13年)に広電西広島駅の改良がなされ、2003年(平成15年)には横川駅において広電の電停が駅前広場に移設の上に駅前広場の改良整備が実施され、広島港でも広島港停留場が移設されるなど都心への玄関口の整備が進んだ(広島港は、広島湾内や松山港からの船が発着し、通勤・通学客が多い)。さらに、広島高速道路も放射状の路線が整備され、郊外から都心へのアクセス向上が進んだ。一方で、1994年広島アジア大会を機に太田川デルタ内から広島空港を移転し、西風新都東広島市に大学等を多数移転させ、近年では広島市民球場を都心から広島駅ヤード跡地に移転させるなど、デルタ内の機能転換が進められている[20]

なお、広島西飛行場は直線距離で紙屋町交差点から約5kmと都心と近接しているものの、同空港では円錐表面および外側水平表面が設定されておらず、水平表面が半径3,000mと小さく設定されているため、都心の高層ビル等の高さは同空港の制限表面[21]による規制を受けない。

北九州市[編集]

北九州市は、高度経済成長期の1963年(昭和38年)に門司市小倉市若松市八幡市戸畑市市制施行順)の5市対等合併で発足した市であり、「多核都市論」に基いて旧5市の均衡発展を目指してきたが、市制施行および政令指定都市移行25周年を迎えた1988年(昭和63年)に北九州市ルネッサンス構想を策定し、小倉都心と黒崎副都心を中心とした「集中型都市」へと政策転換した。同構想において都市軸の外に位置する地域では、門司港レトロ北九州学術研究都市など、業務以外の都市機能集積が図られた。

市が指定する小倉都心は、小倉駅を中心におおよそ国道3号、市道原田金田1号線、市道堅町大門1号線、そして小倉港の海岸線により囲まれるエリアで、面積は380ha[17][22]。小倉駅およびその周辺は、同駅に接続するJR各線と北九州モノレール、関東・関西方面のフェリーが発着する新門司フェリーターミナルとの間の無料送迎バス、そして高速バスが発着するバスターミナルにより陸・海の交通の要衝となっており、かつて門司港地区が担っていた九州の玄関口の地位を受け継いでいる。また、おおよそX字形になっている当市の都市軸の交点に小倉都心は位置し、北九州都市高速、国道、県道などが集積する[23]。小倉駅新幹線口(北口)は国際コンベンション地区として再開発され、ホテルや展示場が集積している[24]。小倉駅小倉城口(南口)、かつ、紫川右岸(東岸)は当市の中心業務地区となっており、小区画に中低層のオフィスビルが密集して建ち並ぶ[24]。また、魚町銀天街旦過市場をはじめとする25の商店街・市場がひしめき合う中心商業地区ともなっている[24]西小倉駅南口、かつ、紫川左岸(西岸)には、リバーウォーク北九州勝山公園小倉城)、北九州市役所といった動線が集まる施設が集積する。これらの南側は小倉陸軍造兵廠跡地であり、土地区画整理事業によって大区画の土地が供給された。そのため、密集度の高い右岸とは対照的な景観となっている。

集積度[編集]

ある地域において、規模の異なる都市が集まることで都市圏を形成するが、その都市が集積している程度を指す言葉を都市集積度(とししゅうせきど)と表現する。

例えば、近畿圏には100万人を超える3都市(大阪.京都、神戸)を中心に、さらに中小規模の都市が付随的に集積しており、地域における都市集積度が高いといえる。 都市における都市機能(商業、業務、行政、余暇)の集積度合いを指し、拡散型の都市では、これらの集積度が低く、集約型の都市ではこれらの集積度が高いといえる。

大阪で新幹線駅である新大阪駅の集積度がそれほど高くないのは、大阪の都心部である淀屋橋本町等から遠く、移転需要も大きくなかったためと考えられる。また神戸や京都では関西圏でのビジネスの比率が高く、やはり新幹線駅である新神戸駅や京都駅へのオフィス移転・集中は進んでいない。

広島市は、広島電鉄路面電車)、広島バスセンターアストラムラインなどが集まり、広島都市圏交通の要衝となっている紙屋町・八丁堀地区が業務・物販ともに中心となっており、中層ビルの集積度が極めて高い。

北九州市は、合併後の市の中心部である小倉への集積度は人口に比して小さい。ただし、隣接する下関市からの最大の通勤目的地は、合併直後は門司区であったが、現在は小倉北区となっており、小倉への集積が進んでいる。関門都市圏の人口が大きいため、物販機能は小倉への集積が見られるものの、福岡市・天神への依存傾向も強い。

統計[編集]

日本13大都市圏の事業所数[編集]

2004年13大都市圏の法人事業所数(括弧内は全事業所数)[25]

オフィス市場規模[編集]

オフィス市場規模=貸室面積×(1-空室率)×賃料単価×12ヶ月 とすると、2004年平成16年)末時点の主要都市では、東京23区が抜きん出て大きく、次いで、大阪市名古屋市横浜市福岡市札幌市神戸市仙台市京都市さいたま市広島市川崎市千葉市立川市静岡市という順だった[26]。オフィス市場規模のシェアでは、東京23区が61%で最も大きく、次いで、大阪・神戸・京都の3市で16%、横浜・川崎などの東京圏が6%、名古屋市が4%、福岡市と札幌市が2%、仙台市が1%だった。

2009年(平成21年)12月末時点でのオフィスビルの延床面積(三大都市は5,000m2以上、主要都市は3,000m2以上対象)の各都市毎の合計は、東京23区4946万m2、大阪市1348万m2、名古屋市519万m2、横浜市444万m2、福岡市347万m2、札幌市243万m2、仙台市212万m2、千葉市193万m2、神戸市185万m2、広島市166万m2、京都市109万m2、さいたま市102万m2だった[27][28]

路線価[編集]

路線価を参照。

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 例:三省堂『新コンサイス和英辞典』(机上版)第1版(1976)においては、「都心」の訳語にthe center 〔heart〕of Tokyo.のみが挙げられている。
  2. ^ 三省堂・Web_Dictionary
  3. ^ [1] 東京都による使用例
  4. ^ [2] (PDF) 財務省による使用例《2014年1月14日閲覧→現在はインターネットアーカイブに残存》
  5. ^ 特に不動産関連の統計や指標などとして頻用される
  6. ^ 横浜市都市計画マスタープラン(全体構想) (PDF) 平成25年3月発行。編集・発行、横浜市都市整備局企画部企画課。
  7. ^ エキサイトよこはま22 横浜駅周辺大改造計画 概要版(改訂版) (PDF) 平成25年6月。発行・編集、横浜市都市整備局都心再生部都心再生課。
  8. ^ 関内・関外地区活性化推進計画(概要版) (PDF) 平成22年3月。横浜市都市整備局都市再生推進課。
  9. ^ 新横浜都市整備基本構想パンフレット(1999年) (PDF)  平成11年6月発行。横浜市都市計画局都市企画部企画調査課。
  10. ^ 横浜市都市計画マスタープラン(全体構想) (PDF) 平成25年3月発行。編集・発行、横浜市都市整備局企画部企画課。
  11. ^ 上大岡が副都心に選ばれた理由、そして副都心の定義とは?(はまれぽ.com 2012年8月19日)
  12. ^ 埼玉県川口市千葉県浦安市東京23特別区と結びつきが強いのと同様に、兵庫県阪神東部3市1町は大阪府との結びつきが強いため、大阪の項で扱う
  13. ^ 札幌都心地区中心市街地活性化基本計画(札幌市)
  14. ^ 札幌市路面電車活用計画(札幌市)
  15. ^ 杜の都 仙台市中心市街地活性化基本計画に定められた中心市街地活性化基本計画対象区域(仙台市)
  16. ^ まちづくり交付金事後評価〔広島都心地区〕事後評価シート(広島市)
  17. ^ a b 2.中心市街地の位置及び区域 (PDF) (北九州市)
  18. ^ 都市再生整備計画事業(旧まちづくり交付金)について(福岡市)
  19. ^ 福岡空港事務所からのお知らせ (PDF) (国土交通省大阪航空局)… 福岡空港の制限表面区域図あり。
  20. ^ ひろしま都心のあした(中国新聞)
  21. ^ 航空法による手続きについて(広島市。広島西飛行場の制限表面について記載あり)
  22. ^ 社会資本総合整備計画 北九州市小倉都心地区都市再整備計画 (PDF) (北九州市 2012年3月29日)
  23. ^ 第1部 まちづくりの背景と基本姿勢 (PDF) (北九州市)
  24. ^ a b c 北九州市中心市街地活性化基本計画(小倉地区・黒崎地区)について (PDF) (国土交通省)
  25. ^ 平成16年事業所・企業統計調査全国結果 事業所に関する集計第1表および第2表(総務省統計局)
  26. ^ 地方賃貸オフィス市場と投資市場 (PDF) (ニッセイ基礎研究所)
  27. ^ 発表資料(2009年12月末現在) (PDF) (財団法人日本不動産研究所 2010年9月9日)
  28. ^ 全国オフィスビル調査(2009年12月末時点)の結果 (PDF) (財団法人日本不動産研究所)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]