芝山鉄道線

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芝山鉄道線
シンボルマーク
芝山千代田駅を発車して成田方面へ向かう電車。 (2012年1月11日)
芝山千代田駅を発車して成田方面へ向かう電車。
2012年1月11日
基本情報
日本の旗 日本
所在地 千葉県成田市山武郡芝山町
起点 東成田駅
終点 芝山千代田駅
駅数 2駅
路線記号 SR
開業 2002年10月27日[1]
所有者 芝山鉄道
運営者 芝山鉄道
使用車両 芝山鉄道#在籍車両を参照
路線諸元
路線距離 2.2 km
軌間 1,435 mm標準軌[2]
線路数 単線[2]
電化方式 直流1,500 V
架空電車線方式[2]
最大勾配 29 [2]
最小曲線半径 160 m[2]
閉塞方式 自動閉塞式
保安装置 1号型ATS[3]
最高速度 85 km/h[2]
路線図
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芝山鉄道線(しばやまてつどうせん)は、千葉県成田市東成田駅から千葉県山武郡芝山町芝山千代田駅までを結ぶ芝山鉄道鉄道路線である。芝山千代田駅付近を除き路線の大部分は成田国際空港の地下を走行する。駅ナンバリングで使われる路線記号はSR[注釈 1]

概要[編集]

停車場・施設・接続路線
tKHSTa
KS01 京成上野駅
tSTRe
LSTR
HST
KS40 京成成田駅
BST
駒井野信号場
ABZgl
京成 本線
LSTR
京成: 東成田線
tSTRa
tBHF+GRZq
0.0 KS44 東成田駅
tSTR
芝山鉄道線
tKRZt
京成: 本線 成田スカイアクセス線
tKRZt
JR東成田線
tSTR
KS42 成田空港駅
tSTRl tSTR+r
木の根ペンション
tSTR+l tSTRr
htSTRe
hKBHFe
2.2 SR01 芝山千代田駅

路線の全長は2.2 kmで、普通鉄道における1事業者の保有総延長としては日本最短である(詳細は「芝山鉄道#路線」を参照)。なお、路線単位では当路線より短い路線は複数存在する(関東地方の普通鉄道では東武大師線西武豊島線京王競馬場線京王動物園線など)。京成電鉄東成田線と一体的に運行されており、線内完結列車の設定はない。

京成電鉄と直通運転する路線では唯一、ICカードPASMO」等が使えない(交通系ICカードで芝山千代田駅へ乗り越した場合は、現金で精算後に「PASMO・Suica処理連絡票」が渡され、各社の駅窓口に提出して処理を依頼する形になる[4])。また、2008年まで京成などで利用できたパスネットも同様に使えなかった。

全線が成田国際空港敷地内・隣接地内に所在しており、その関係で駅構内だけでなく、列車車内でも空港警備の一環として制服着用の警察官千葉県警察成田国際空港警備隊)が常に乗車して警備していたが、現在は警乗は行われておらず、警備員による警備となっている[5]

路線データ[編集]

  • 路線距離(営業キロ):2.2 km
    • そのうち、1,295 mがトンネル部、橋梁90 m、両側補強盛土部281 m、駅部高架橋208 m[2]
  • 軌間:1,435 mm (標準軌)[2]
  • 複線区間:なし(全線単線[2]
  • 電化区間:全線(直流1,500 V)[2]
  • 閉塞方式:自動閉塞式
  • 保安装置:1号型ATS[3]

2009年度にC-ATSの導入に向けて京成電鉄と協議を行った[6]が、その後の動向は不明である。

運行形態[編集]

全列車が京成東成田線と相互直通運転を行っている。運転業務は京成に委託しており、東成田駅で乗務員交代は行われず京成の乗務員が芝山鉄道線内も乗務する。従って芝山鉄道に所属する乗務員はいない。

ラッシュ時などには京成本線押上線都営地下鉄浅草線京急本線空港線との相互直通運転を行う。日中は40分サイクルで京成成田 - 芝山千代田間を1編成(4両)が往復する形となる。2022年令和4年)11月26日より、日中の4両編成の列車ではワンマン運転を行っている[7]

所要時間は京成成田 - 芝山千代田間が約10分、東成田 - 芝山千代田間は約4分である。なお、東成田 - 芝山千代田間の成田市木の根付近では、空港反対派の敷地「木の根ペンション」を半径160メートルの急曲線で迂回しているため、35 km/h制限で運転しており、所要時間は当初予定より1分ほど長くなっている。

芝山千代田行き列車の行先表示は、京成・都営・京急線内において内外の旅客にわかりやすくするため「芝山千代田」ではなく「(東成田)芝山」となっている。京成成田駅方面から東成田駅に到着した後もこの表示のまま本路線に入り、芝山千代田駅まで運転される。一方、車内案内表示器や各駅の発車標ではそのような特殊な表示は行わない。

現行ダイヤでは快速特急、特急、通勤特急(上りのみ)、快速、普通が存在する。京成線・都営線・京急線直通列車は以下の運行パターンが存在する。

  • 京成東成田線・京成本線方面
  • 都営地下鉄浅草線・京急空港線方面
    • 芝山千代田駅 - 西馬込駅
      • 西馬込行きは平日朝に快速特急、平日夕夜間に快速が各1本運行されており、都営線内は普通で運転される。芝山千代田行きの設定はない。
    • 芝山千代田駅 - 羽田空港第1・第2ターミナル駅
      • 芝山千代田行きのみ運転。京急線内は急行で運転され、京成線内及び都営線内は快速特急または特急で運転される。

平日ダイヤでは、通勤特急京成上野行き(8両編成)2本の最後部車両は女性専用車となっている。

車両[編集]

以下の自社所属車両のほか、京成電鉄の車両も運用される。芝山鉄道の車両運用は京成電鉄と共通のため、日によっては自社所属車両が自社線に一切入らない場合がある。東京都交通局の車両にも行先表示の用意があり、過去には実際に乗り入れ運用があったが、2021年現在は通常ダイヤでは運用されていない。[要出典]

  • 3500形 - 2013年4月1日より京成電鉄からリースしている車両。従来の3600形3618編成(8両)に代わり、3500形3540編成(4両)に変更された[8]

過去の車両[編集]

  • 3600形 - 2002年10月27日の開業時から2013年3月31日まで京成からリースしていた車両。先頭車が電動車ではなく付随車であることから、先頭車両は電動車と取り決めている京急線には直通しなかった。当時、日中の芝山鉄道線は京成車4両編成か6両編成での運行のため、8両編成でかつ京急線に入線できないこの車両は京成上野 - 成田空港間や京成佐倉 - 都営浅草線西馬込間を往復する運用が多く、自社線を走行するのは朝夕に限られた。

駅一覧[編集]

  • 全線千葉県内に所在。
  • 全列車が各駅に停車する。
  • 東成田駅については芝山鉄道の駅番号は振られていない。これは、京成電鉄が押上駅京成津田沼駅を例外として駅番号の二重付番を行わない方針をとっているためである[9]
駅番号 駅名 営業キロ 接続路線 所在地
直通運転区間 KS 京成東成田線京成成田駅まで
KS 京成本線京成上野駅まで
A 京成押上線経由 都営浅草線西馬込駅まで
KK 京成押上線・都営浅草線・京急本線経由京急空港線羽田空港第1・第2ターミナル駅から(下りのみ)
(KS44) 東成田駅 0.0 京成電鉄KS 東成田線(直通運転:上記参照) 成田市
SR01 芝山千代田駅 2.2   山武郡
芝山町

延伸計画[編集]

芝山千代田駅は芝山町の端にある駅であり、蓮沼海岸方面への延伸構想もある[10]。現実にはなかなか計画が進まず、周辺自治体に成田空港と横芝屋形海岸を結ぶ「空港シャトルバス」を「暫定措置」として運行している[11]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 関東地方では埼玉高速鉄道線も同じ「SR」の路線記号を使用するが、芝山鉄道線は埼玉高速鉄道線とは駅ナンバリングの付番方法が異なっているため(芝山鉄道線は01から、埼玉高速鉄道線は19から付番)被ることはない。なお、東京メトロおよび都営地下鉄の路線図(東京メトロ都営地下鉄 (PDF) )においては、埼玉高速鉄道線の路線記号が記載されている一方で、芝山鉄道線の路線記号は記載されていない。

出典[編集]

  1. ^ “芝山鉄道きょう開業 空港を抜け都心と直結 地元待望、式典で祝う アート展”. 千葉日報 (千葉日報社). (2002年10月27日) 
  2. ^ a b c d e f g h i j 日本鉄道施設協会『日本鉄道施設協会誌』2002年12月号特集「新線開業」「6. 芝山鉄道(東成田 - 芝山千代田間)pp.42 - 44」。
  3. ^ a b 鉄道ピクトリアル 臨時増刊号 京成電鉄 2007年 03月号
  4. ^ 芝山鉄道線ご利用案内
  5. ^ 小川裕夫 (2023年2月28日). “開港45年「成田空港」 京成・芝山…いまも公にできない「鉄道」をめぐる激動(抜粋)”. デイリー新潮. 2023年2月28日閲覧。
  6. ^ 平成21年度安全報告書 - 芝山鉄道
  7. ^ 2022年11月26日(土)京成線ダイヤ改正を実施します』(PDF)(プレスリリース)京成電鉄株式会社、2022年10月24日https://www.keisei.co.jp/cms/files/keisei/MASTER/0110/Aq5eJLly.pdf2022年10月24日閲覧 
  8. ^ 所属車両を変更します - 芝山鉄道ホームページお知らせ 2013年3月28日
  9. ^ 京成線各駅で「駅ナンバリング」を導入いたします (PDF) 京成電鉄ニュースリリース、2010年6月25日
  10. ^ 佐瀬一生 (2019年1月30日). “営業距離わずか2.2キロ 「日本最短」の芝山鉄道 【千葉地理学会連載 おもしろ半島ちばの地理再発見】”. 千葉日報. オリジナルの2019年1月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20190131044827/https://www.chibanippo.co.jp/news/local/566633 
  11. ^ 大野雅人 (2016年10月31日). “「成田シャトル」バス運行開始…芝山町は鉄道延伸より先に都心直通アクセス実現”. レスポンス. オリジナルの2016年11月2日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20161102105400/https://response.jp/article/2016/10/31/284558.html 

参考文献[編集]

  • 日本鉄道施設協会『日本鉄道施設協会誌』2002年12月号特集「新線開業」「6. 芝山鉄道(東成田 - 芝山千代田間)」(石橋昇策・芝山鉄道(株)工務部長)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]