京都市営地下鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
京都市営地下鉄
Kyoto MTB Logo.svg
京都市営地下鉄の路線図
路線図
路線総延長 31.2 km
軌間 1435 mm
電圧 1500 V 架空電車線方式直流
最高速度 75 km/h

京都市営地下鉄(きょうとしえいちかてつ)は、京都市交通局が運営する地下鉄烏丸線東西線の2つの路線があり、西京区を除く京都市内10区と宇治市を通っている。条例上は「京都市高速鉄道」と呼ばれている。

目次

路線 [編集]

記号 路線名 区間
  K 烏丸線 国際会館駅 - 竹田駅 *1
  T 東西線 六地蔵駅 - 太秦天神川駅 *2
  1. 竹田駅から近鉄京都線と相互直通運転。普通列車は新田辺駅、急行は近鉄奈良駅まで運転。
  2. 京阪京津線の電車が浜大津駅から御陵駅を経て太秦天神川駅まで直通運転(京都市役所前駅で折り返す列車もある)。京都市営地下鉄の電車は京津線への直通運転を行わない(車両連結両数が違うことや、車両装備の関係で京津線への直通運転は不可能)。

歴史 [編集]

1968年に市が設置した諮問機関である交通対策協議会がその年の11月に出した答申が、京都における地下鉄建設計画の始まりである。その後、1972年に事業免許を取得し、1974年に工事を始め、1981年に開業した。開業当時の京都地下鉄の特色は主要4駅にエレベーターを備えたことで、当時の日本の地下鉄では先進的であった。バリアフリーなる用語が広まる前の1972年頃から車椅子常用者、障害者支援団体などが運動をおこして市に請願し、京都市会と舩橋求己市長を動かした成果である。市は、そのために当初相対式で設計されていた駅を急遽島式に変更し、将来は全駅にエレベーターを設置することにした[1]

  • 1981年(昭和56年)5月29日 烏丸線北大路 - 京都間が開業。
  • 1988年(昭和63年)6月11日 烏丸線京都 - 竹田間が開業。
  • 1988年(昭和63年)8月28日 烏丸線近鉄京都線と相互直通運転開始・新田辺まで。
  • 1990年(平成2年)10月24日 烏丸線北山 - 北大路間が開業。
  • 1993年(平成5年)7月1日 トラフィカ京カードが利用可能に。
  • 1997年(平成9年)5月22日 御池駅が烏丸御池駅に改称。
  • 1997年(平成9年)6月3日 烏丸線国際会館 - 北山間が開業。
  • 1997年(平成9年)10月12日 東西線醍醐 - 二条間が開業。京阪京津線が御陵から京都市役所前まで乗り入れ開始。
  • 1998年(平成10年)12月31日 大晦日から元旦の終夜運転開始。
  • 2000年(平成12年)3月1日 スルッとKANSAI対応カードが利用可能に。
  • 2000年(平成12年)3月15日 烏丸線国際会館 - 近鉄奈良間直通の急行を運転開始。
  • 2004年(平成16年)11月26日 東西線六地蔵 - 醍醐間が開業。京都市外の宇治市に初めて地下鉄駅が開業。駅ナンバリング導入。
  • 2007年(平成19年)4月1日 PiTaPa導入(乗り入れしている近畿日本鉄道京阪電気鉄道大津線も同時導入)。
  • 2008年(平成20年)1月16日 東西線二条 - 太秦天神川間が開業。京阪京津線の乗り入れ区間を太秦天神川まで延長。
  • 2010年(平成22年)3月19日 同日実施の近鉄全線でのダイヤ変更に伴い、烏丸線・東西線ともに21・22時台の増発や、烏丸御池駅での乗り継ぎ時間の均等化などのダイヤ改正を実施[2]。また、東西線に直通運転する京阪京津線もダイヤが一部変更される。

運賃 [編集]

大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2006年1月7日改定。

2006年1月7日実施の運賃改定で政令指定都市における地下鉄の初乗り運賃が埼玉高速鉄道と同様に最高額となった。

区数 運賃(円)
1区(1 - 3km) 210
2区(4 - 7km) 250
3区(8 - 11km) 280
4区(12 - 15km) 310
5区(16km以上) 340
  • 京阪京津線との乗継割引については、京阪電気鉄道#運賃の項を参照。
  • 地下鉄と市バス・京都バス・京阪バスの連絡普通・定期券および、地下鉄と京阪京都交通の連絡普通券も、発売されている。

回数券などその他の乗車券類 [編集]

切符だけでなく、回数券・昼間割引回数券・団体券・市営地下鉄1Dayフリーチケットそして、身体障がい者向けの特定割引乗車券・特定割引回数券も発売されている。

車両 [編集]

三菱電機製制御装置と東芝製モーターの組み合わせが一貫して守られているが、台車は10系が住友金属工業、50系が日立製作所と分けられている。

10系・50系ともに、基本的には近畿車輛で製造されているが、10系の一部には日立製のものがある。

経営状況 [編集]

直近の決算(2008年度決算)では、経常損益が約144億1,600万円の赤字となっている。ここ数年間の経常損益は、損失が拡大した2004年度決算を除いては改善してきてはいるが[3]、依然として大幅な赤字が続いている。このため累積赤字(累積欠損金)も年々拡大しており、2008年度末時点で約3,043億円にものぼっている。

計画時の予算に比べ、実際の建設費が大幅に増大したこともあり[4]、計画の甘さが指摘されている。

2007年決算では約226億円の営業収益に対し、借金返済の費用(営業外費用)が約121億円と、実に収入の半分以上を借金返済に充てている状況である。これを1日あたりに換算すると、収入が約7,000万円なのに対し、利子を含めた借金返済の費用だけで約7,600万円かかっており、さらに人件費などの営業費用を引くと毎日約4,300万円の赤字を計上していることになる[5]。2008年度は営業収益が増加するなど経営指標は改善しているものの、累積資金不足額は約310億円にものぼっている。需要予測が甘すぎたことが指摘されている。

なお、烏丸・東西の両線とも古都と言う土地柄ゆえに、開削工法を採用した工区の多くで文化財保護法に基づく工事着工前の埋蔵文化財遺跡)発掘調査が義務づけられ、そのための経費と期間が必要となった。ただし、工事にトンネル工法を採用していれば、埋蔵文化財の存在するような浅いところの地層には手をつけないことが可能であり、その場合には埋蔵文化財調査は不要であった。しかし、トンネル工法は開削工法に比べて格段の費用がかかるため、京都市営地下鉄建設工事では埋蔵文化財が存在する場所の多くで開削工法が採られたため、結果的にその調査が必要となった。

また、日本経済新聞のルポ(2008年10月13日)によれば、平日の昼に東西線の終点の太秦天神川駅で降りたのは、1列車6両編成全部で十数人だけだったという。

このような問題に対して京都市交通局では、駅業務の一部民間委託[6]や高金利企業債の借換え、京都高速鉄道の直営化などによる各種コストの削減を進めている。また、駅ナカビジネスの展開などによる収益増にも取り組んでいる。なお、この一環で2010年3月より東京都交通局と同様の方式で、駅名に企業名等の副名称を採用し、各駅で順次に副名称の制定を開始した。

経営努力のため、2009年度は経常収支は赤字であるものの、現金収支は初めて黒字化した[7]

営業路線の概要 [編集]

路線名 烏丸線 東西線
ラインカラー 緑色 朱色
路線記号 K T
起点 国際会館駅(京都市左京区) 六地蔵駅(京都府宇治市)
終点 竹田駅(京都市伏見区) 太秦天神川駅(京都市右京区)
キロ程(営業キロ) 13.7km 17.5km
駅数 15駅 17駅
開業年月日 1981年5月29日
(北大路 - 京都間6.5km)
1997年10月12日
(二条 - 醍醐間12.7km)
全線開業年月日 1997年6月3日 2008年1月16日
複線区間 全線 全線
直通運転 相手路線名 近鉄京都線 京阪京津線
方式 相互直通 京阪からの片乗り入れ
区間 竹田(京都市伏見区)
- 近鉄奈良(奈良県奈良市)間
御陵(京都市山科区)
- 浜大津(滋賀県大津市)間
キロ程 35.4km 7.5km
標準所要時間 26分30秒 30分00秒
標準運転間隔時間 ピーク時 3分30秒 - 5分00秒 5分00秒 - 8分00秒
オフピーク時 6分00秒 - 7分30秒 7分30秒
最大車両編成数 6両編成 6両編成
使用車両 10系 50系
所有車両数 120両 102両
最高速度 75km/h 75km/h
表定速度 31.0km 31.8km
軌間 1435mm 1435mm
電気方式 直流1500V 直流1500V
集電方式 架空線方式 架空線方式
電化区間 全線 全線
閉塞方式 車内信号式 車内信号式
信号保安装置 ATC・CTC ATC・CTC・ATO
1日当たり輸送人員(2004年度) 22万6000人 11万8000人
キロ当たりの建設費用 213億円 330億円
ホームドアの設置状況 未設置 開業当初から全駅に設置済み

脚注 [編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 森田久男「障害者運動と福祉政策 京都市地下鉄をめぐって」、『佛教大学学報』、第31号、1981年。
  2. ^ この作戦を交通局では公式に「シンデレラクロス」と名付けている。
  3. ^ 京都市交通局が公表している財政状況(決算は2002年度~2008年度までのものが公表されている。)
  4. ^ 一例として、京都高速鉄道(解散)が建設した東西線の三条京阪~御陵間の建設費は、事業免許を取得した時点での建設費が610億円と想定されていたのに対し、実際の建設費は1,544億円となった。当該区間は工事時期がバブル景気と重なったことも建設費高騰の原因とされるが、同時期に計画・建設された片福連絡線(JR東西線)の建設費は計画時点での2,800億円に対し実際には3,200億円程度と京都市営地下鉄ほどの極端な増加は見られない。
  5. ^ 京都新聞のサイトに掲載された記事より(2008年10月1日掲載)
  6. ^ 2007年4月から順次委託が開始されており、2010年4月現在、17駅での出札業務・案内業務がジェイアール西日本メンテック京阪ステーションマネジメントに委託されている。
  7. ^ 平成22年度京都市交通事業事務事業評価 (PDF)

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]