日本国債
日本国債(にほんこくさい)は、日本国政府が発行する国債(国家の公債)である。国債ニ関スル法律(明治39年法律第34号)に基づいて発行されており、正式名称は「国庫債券」、法律上の名称は単なる「国債」だが、実務上、日本国債、またはJGB (Japanese Government Bond) ともいう。
国(日本国)の運営に必要な資金を集めるために発行される。証券が発行されるもの(国債証券)と発行されないもの(登録国債及び振替国債)がある。
目次 |
[編集] 種類
日本の国債には多くの種類がある。それらは発行の目的や償還期間の長短などにより分類される。国債の額面は、15年変動利付国債と物価連動国債が10万円、個人向け国債が1万円、そのほかは5万円である。物価連動国債と割引短期国債 (TB)、政府短期証券 (FB) は法人のみ購入が可能で、個人向け国債は個人のみ購入が可能である。
2003年1月27日以降に発行された物価連動・個人向けを除く固定利付国債は、元本部分と利札部分を分離して別々に流通させる事が出来るようになった(ストリップス債)。これらの分離された元本部分、利札部分はそれぞれ割引債であり、分離元本振替国債、分離利息振替国債と呼ばれる。名前に「振替」の文字が入っているのは、これらの分離国債が振替決済制度によってのみ流通することができるからである。従って個人は購入できない。
[編集] 利払いや償還額による分類
- 固定利付債
- 半年毎に一定の利子が支払われ、償還時に額面金額が支払われる。
- 変動利付債
- 半年毎に支払われる利子の額が市場金利によって毎回見直される。償還時に額面金額が支払われる。
- 物価連動債
- 金利は固定であるが元本と利息が全国消費者物価指数に連動して増減する。そのため、元本割れになることもあり得る。
- 割引債
- 途中での利払いはないが、額面を下回る額で発行され、償還時に額面金額が支払われる。かつては3年や5年のものが発行された事があるが、2002年11月以降は短期のものしかされていない。
[編集] 目的による分類
- 普通国債
- 交付国債
- 財政投融資特別会計国債(財投債)
- 借換国債(特別会計に関する法律第46条及び第47条)
- 個人向け国債 10年変動金利のもの(2003年3月 - )、5年固定金利のもの(2006年1月 - )と3年固定金利のもの(2010年6月 - )がある。いずれも、中途解約の際の買い取り額保証を定めているのが特色である。なお、2011年12月以降に募集するものについては東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の復興財源として活用するために、名称を「個人向け復興国債」としている[1]。
[編集] 償還期間による分類
- 超長期国債
- 15年(変動利付国債)・20年(利付債)・30年(利付債)・40年(利付債)
- 長期国債
- 10年(利付債)・10年(個人向け国債)・10年(物価連動国債)
- 中期国債
- 2年(利付債)・3年(利付債)・3年(割引債)・4年(利付債)・5年(利付債)・5年(割引債)・5年(個人向け国債)・6年(利付債)
4年債は2001年2月以降、6年債は2001年3月以降は5年利付債に統合されたため発行を停止した。割引債は、3年債は2002年11月に、5年債については2000年9月をもって発行を打ち切っている。 - 短期国債
- 6カ月(割引債)・1年(割引債)
- 国庫短期証券
- 60日(割引債)
[編集] 発行と流通のしくみ
日本国債は日本国内の全ての都市銀行、地方銀行、第二地方銀行、ゆうちょ銀行(郵便局会社がゆうちょ銀行代理業者となる郵便局貯金担当を含む)、一部の信託銀行、協同組織系金融機関(JAバンク、信用金庫、信用組合)、証券会社(松井証券はハイリスク商品であるとして取り扱っていない)で購入できる。
個人向け国債については、現在東京スター銀行では販売取扱がなく、通常の国債(利付国債等)の取扱いがないネット証券では取り扱っている会社がある。
日本国債は入札方式により銀行・証券会社・生損保等の金融機関が購入し、これがその他の機関投資家や個人に販売される。また、財投債という形で郵貯・簡保・年金資金運用基金が引き受けている部分もある。2005年(平成17年)度以前は「シンジケート団(シ団)引き受け」と呼ばれる金融機関や共同で引き受ける方式も行われていたが、2005年度末をもって廃止された。流通においては、通常の売買、レポ・現先といった貸借取引の他、日銀によるオペレーションも大きな役割を担っている。
なお、現在は国債のペーパーレス化により、証券での受け渡しはされなくなっている。機関投資家以外の一般的な個人向けには、以前より証券を販売金融機関に保護預かりする制度があり、銀行・協同組織系金融機関・ゆうちょ銀行の場合、総合口座に「国債(公共債)保護預かり口座」をセット(担保に組み込む)すると、総合口座普通預金の残高が不足した場合に、国債預かり残高の一定額(ゆうちょ銀行の場合は額面の80%まで)を限度に、「総合口座担保定期預貯金」と同様に、自動融資(口座貸越)・担保自動貸付けが受けられる場合がある。ただし、足利銀行など、取扱いを取り止めた、または取り扱わない金融機関もある。ゆうちょ銀行(旧郵便貯金)の場合は、「国債保護預かり口座帳」で直接貸付を受けることも可能である。
ゆうちょ銀行は保護預かり口座に旧郵便貯金の様に通帳状にした「国債保護預かり口座帳」を発行しているが、それ以外の金融機関ではその様な物は発行せずに利払日や手続き毎に取引内容を報告書形式で郵送する方法が主流となっている。(ゆうちょ銀行・郵便局でも都度報告書は発送している。)
一部の銀行・証券会社は「国債保護預かり口座管理料」の名目で保管料を徴収する。また、ゆうちょ銀行では国債購入“以前”に国債保護預かり口座を開設するには200円の口座開設手数料が必要である。
[編集] 入札方法
- コンベンショナル方式
- ダッチ方式
- 非価格競争入札
[編集] 歴史
日本では、戦後混乱期の1947年(昭和22年)には国債発行額が税収を上回り、それが戦後インフレの原因になったという反省から財政法が制定され、赤字国債の発行と日銀の赤字国債引き受けを禁止して、均衡財政主義を取ることとなった。しかし1965年(昭和40年)には赤字国債の発行が再開され、1990年にはバブル景気の税収増によりいったん発行額ゼロになるも94年には再開され、現在に至っている。
- 2008年問題
- 1998年に小渕恵三内閣が発行した国債40兆円の多くが、2008年に償還期限を迎えた。それにより国債危機が発生するのではないかと言われていた(2008年問題と呼ばれていた)。実際には、すでに各種の借換対策が進行しており、2008年における償還集中は回避された。このため、デュレーションに由来する問題は発生しない。
[編集] 国債残高の推移
| 年度 | 年度末国債残高 | 一般会計 税収入 |
名目 GDP[4] |
国債 GDP比率 |
備考[5] | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 普通 | 財政 投融資 |
合計 | 前年比 | |||||
| 1983 | 約100 | 約100 | 32 | 285 | 35% | 年間発行額は約14兆円、バブル期の税収増で 国債発行額は91年にかけて減少。 |
||
| 1991 | 172 | - | 172 | 59.8 | 469 | 37% | 年間発行額約7兆円、以降99年にかけて急増。 | |
| 1992 | 178 | - | 178 | +6 | 54.4 | 481 | 37% | |
| 1993 | 193 | - | 193 | +15 | 54.1 | 484 | 40% | |
| 1994 | 207 | - | 207 | +14 | 51.0 | 489 | 42% | 発行残高200兆円を超える。 |
| 1995 | 225 | - | 225 | +18 | 51.9 | 495 | 45% | 年間発行額20兆円を超える。 |
| 1996 | 245 | - | 245 | +20 | 52.1 | 505 | 48% | |
| 1997 | 258 | - | 258 | +13 | 53.9 | 516 | 50% | |
| 1998 | 295 | - | 295 | +37 | 49.4 | 505 | 58% | 98年以降年間30兆円を超える発行額が継続。 |
| 1999 | 332 | - | 332 | +37 | 47.2 | 498 | 67% | |
| 2000 | 368 | - | 368 | +36 | 50.7 | 503 | 73% | |
| 2001 | 392 | 44 | 436 | +68 | 47.9 | 498 | 88% | 発行残高が約400兆円、GDPの9割。 |
| 2002 | 421 | 76 | 497 | +61 | 43.8 | 491 | 101% | |
| 2003 | 457 | 92 | 549 | +52 | 43.3 | 490 | 112% | |
| 2004 | 499 | 122 | 621 | +72 | 45.6 | 498 | 125% | |
| 2005 | 527 | 139 | 666 | +45 | 49.1 | 502 | 133% | |
| 2006 | 532 | 139 | 671 | +5 | 49.1 | 507 | 132% | |
| 2007 | 542 | 140 | 681 | +10 | 51.0 | 516 | 132% | |
| 2008 | 546 | 131 | 677 | -4 | 44.3 | 504 | 134% | |
| 2009 | 594 | 122 | 716 | +39 | 38.7 | 471 | 152% | 年間発行額50兆円を超、 発行残高が約600兆円、GDPの1.5倍。 |
| 2010 | 642 | 125 | 768 | +52 | 39.6 | 479 | 160% | 国債以外に借入金、政府短期証券、 政府保証債務等210兆円の債務がある。 |
| 2011 | 40.9 | 税収は予算額 | ||||||
[編集] 現状
日本の国債は国内の需要が非常に高い。その結果、金利は1パーセント後半から2パーセント程と、他国と比べて非常に低い水準で推移している。
その一方、日本は他の先進国に比較して、国内総生産(GDP)に対する国債の発行残高の割合が著しく高い。2010年の日本の公債はGDPの198%と推計されている。これはジンバブエの234%に次ぎ世界で2番目であり、先進工業国の中では突出している。2011年に債務不履行の危機にあるギリシャは143%であった[6]。
「公債#各国の公債規模」も参照
2006年はバブル崩壊以降初めて一時的にGDP比の債務額が減少したが、累積債務の増加は続いている。財政状況は依然厳しく、その持続可能性が議論になっている。(財政再建)
2011年(平成23年)3月末の国債発行残高は768兆円であった。それに対し2010年度の一般会計税収入は約39.6兆円であった。
[編集] 格付け
2007年10月、米スタンダード&プアーズ(S&P)は、日本国債の格付けを、最上位から2番目の「AA」、ムーディーズは21段階中4番目の「Aa3」としている。他の先進国と比べると最低水準にある。だが、どの格付け会社も「返済能力が高い」という見解は崩していない。 2009年5月、ムーディーズは円建ての日本国債の格付けを「Aa2」としたと発表。
2011年1月27日、米スタンダード&プアーズ(S&P)は、財政の悪化懸念を理由に、日本国債の格付けを最上位から3番目の「AA」から、1段階引き下げて「AA-(ダブルAマイナス)」に格下げした。S&Pが日本国債を格下げするのは、2002年4月に「AA」から「AA-」に引き下げて以来8年9カ月ぶり。
他にも、世界的な格付け機関であるフィッチもボツワナと同じ水準の格付けをしている。ただしボツワナはダイヤモンドの鉱山に恵まれ、財政も豊かである。国債の格付けとしては低くない。
日本政府の所有する資産は国債発行残高を上回っているため、現時点では市場の債券価格は安定している。世界で一・二を争う対外債権国であるが、2007年中からの円高の進行により対外債権が急速に劣化している(外貨から見れば、円建ての国債の価値が膨らんでいる)。
よく使われる喩えに、年収420万円のサラリーマンが4500万円の住宅ローンでマンションを買ったものの、生活費が足りず年間 360万の借金をして暮らしている窮状のようなものというのがあるが、この喩えは「日本国政府」に対する例えであって、「日本国」に対するものではないことに注意する必要がある。[7]
格下げを予告された際に、財務省は各格付け機関に意見書を送っている[8]。また、2002年における実際の格下げに関して、ポール・クルーグマンは、格付けが実際の市場に与える影響が僅かであった事を指摘している[9]。
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S&Pによる主要先進国の格付け
(2012年2月1日現在) |
S&Pの格付けの種類(投資適格)
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[編集] 国債発行と経済政策
1980年代後半のバブル経済の頃は好況により税収が多く、日本の国庫は潤っており、国債の発行額もそれほど多くはなかった。しかし、バブル経済が崩壊して税収が減少すると、それにともなって歳入が減少した。併せて、景気浮揚を目的にした財政出動が幾たびも行われた結果、国債を大量発行するようになり、発行残高は急激に増加していった。国債の大半は固定金利であるため、デフレにより名目成長率が伸び悩むことでGDP比の債務が増大しやすくなっている。
不況の長期化により歳入の伸びは低迷した[3]。その結果、継続償還資金が不足し、政府は償還を目的に追加で国債を発行するようになった。この国債を借換国債という。この場合、事実上償還されていないことになり、国債の発行額はさらに増えてしまう。バブル経済崩壊後、日本は新規国債(新しく発行される国債)、借換国債ともに発行額が増加している。
利息元金の返済(償還)に対する懸念はことあるごとにクローズアップされ、にわかに財政再建推進政策推進の機運が盛り上がる局面もあった。しかし、財政再建などに由来する危機的な景況悪化に際して、政府による中途半端な財政出動と日銀による引き締め政策が行われた。さらに、グローバリゼーションや競争の激化により日本におけるデフレの大きな構造的懸念がある。これらの事情により、経済政策の方向性は定まらず、日本経済の実力を大きく損なっている。
政府の財政出動や日銀引き締めの実施という側面と共に、または長期化した需要不足によるデフレ不況であるにもかかわらず、供給側の効率性を向上させる構造改革を推し進める傾向も経済の実力を損なう影響をもたらすという批判に対し 経済学者からは、投資の機会費用がROIを上回った状態にある事の指摘や[11]、 潜在成長率の低下の問題の指摘や金融政策の限界の指摘[12]、 流動性の罠におちいり量的緩和政策が効かない状態にある指摘[13]、 金融政策の効果を発揮できる状態に戻すためには構造改革が必要という指摘がある[14][15]。
[編集] 中央銀行による国債の直接引受
財政法第5条[16]では原則として日本銀行が直接日本国債を購入することを禁止しているが、但し書きで国会の議決があれば可能であると規定している。
また、高橋洋一によれば、この日銀による日本国債の直接引き受けは毎年行われているという[17]。なお、現在行われている但し書きの特別の事由とは、償還期限が到来し政府から日銀へお金が返済されるはずの国債を借り換えの形で保有する日銀乗換のことである[18]。
財政法第5条は戦前戦後の公債日銀引き受けによって通貨の膨張的増加を通じ激しいインフレーションを生じた反省から財政ファイナンス(マネタイゼーション)をもたらす中央銀行から政府への貸出しを原則禁止しているが国債の借換(日銀乗換)であれば総額は変わらず禁止された通貨膨張に該当しないため行われている[19][20][21]。
戦前、高橋財政期に国債の直接引受を経験している[22]が、この時期のインフレ率は高くとも6.5%でありさらに最後の2年間は2%台、すなわちマイルドインフレであったと岩田規久男は述べる。岩田は高橋是清によるこの日銀国債引き受けは、1929年の世界恐慌から日本が立ち直るために最善の経済政策であったと評価している[23]。一方で、政友会と軍部の緊密な関係によって可能となった高橋財政は財政規律の最後の砦を破壊し、軍事費膨張に歯止めが効かなくなった[24]、 二・二六事件により高橋是清が暗殺される前に既にロンドン市場で日本国債はジャンク債となり日銀以外買い手が無く日銀引き受けは停止不可能な状態に陥っていたため財政規律喪失と軍事費膨張は不可避であった[25]、 低インフレ・低金利の状況では中央銀行国債引き受けにより財源が産まれた様に見えてしまうため政治的にそこから抜け出す事が困難となる危険性や、国債引き受けを要請された中央銀行がそれを引き受けるという独立性の喪失により過去の様に物価の安定の喪失や財政リスクが高まる事態に再び陥る危険性を指摘する意見がある[26]。 高橋財政期、二・二六事件までは通貨膨張はみられていなかったにもかかわらず[27]、日本国債の金利には極めて大きなリスクプレミアム発生しており、通貨膨張がみられた二・二六事件以降の1939年にはさらに上昇を見せた。[28]。
2011年度予算では日銀保有国債の内30兆円の借換債の償還枠があり、そのうちの12兆円を日銀乗換へ利用することが決定したが残りの18兆円分は新たに国会議決せずに既に成立した今年度予算の範囲内で利用できると高橋洋一は述べているが[29]、 日銀乗換12兆円という金額は国会で決議された上で平成23年度国債発行計画へ既に掲載されているため金額の変更を行うには国会の決議が必要である。 また日銀国債引き受けによる通貨膨張の危険性を指摘しながらも日銀保有国債のうち償還額の範囲内であればその危険性は無いと指摘しているが[30]、 日本銀行が保有する国債の総額で見なければ通貨膨張であるか否かは判断できず[31]、既に世界金融危機の影響により2009年7月以降微増傾向にあり、2011年東日本大震災災害対応のためより緩和状態にある。
ノーベル経済学賞受賞者であるジョセフ・E・スティグリッツは、長期デフレに苦しむ日本がデフレから脱却するために政府紙幣を発行すべきであると提唱した[32]がその仕組みいかんによっては国債の市中発行あるいは無利息の永久国債の日銀による引き受けいずれかと実質同じこととなる[33]。景気低迷のデフレ経済ではゼロ金利継続により政府紙幣が日銀へ還流する弊害は避けられるが、景気が上昇するとゼロ金利は継続できなくなり市中で流通する銀行券、政府紙幣、コインの残高にインフレ率を乗算した金額のインフレ税が発生し民間から政府へ財が移転する[34]。
しかし一般には物価上昇と失業率の改善はトレードオフの関係がある。それは一時的な短期のトレードオフであり、予想外のインフレ率の上昇によりもたらされる[35]。短期トレードオフによりもたらされる失業率が充分な回復かまたはごく僅かな回復であるかその水準にかかわらずインフレ率はその前より高くなるが、長期的に失業率は自然失業率へと落ち着く[36]。
同じくノーベル経済学賞受賞者であるポール・クルーグマンによれば、日銀が多額の国債を引き受けることに関連するインフレについては「人々の消費がその経済の生産能力(供給力)を超える状態のときに限り、紙幣増刷由来のインフレが発生する」のだという[37]。クルーグマンは日本が長期不況から抜け出すための解答自体は極めて簡単であり、お金を大量に刷ること(Print lots of money)で需要を喚起し[38]、インフレ期待を作成することが経済を拡大する唯一の方法であると述べている[39]。クルーグマンは上記1997年頃の記載を参照して紙幣の限りない印刷によるインフレを薦めた様に受け止められたがインフレ期待生成の提言であると解説している[40]。日本のように流動性の罠の下ではマネタリーベースを拡大してもそれ自体でインフレ率を引き上げる事はできない [41]。インフレ期待は直接コントロールできない。政策サイドは総需要を拡大し失業を減少させインフレ率上昇とトレードするか、総需要を抑制して失業を増加させインフレ率低下とトレードオフする。[42]。世界金融危機下のアメリカ連邦準備制度ベン・バーナンキ議長は量的緩和政策を採用したものの、インフレ期待を生成する政策はインフレ率が思わぬ上昇をする可能性等ベネフィットよりコストが上回ると予想したために採用していない[43] 。
なお日本国において紙幣を増刷するのは切手や政府刊行物等の印刷も行う独立行政法人国立印刷局であり(独立行政法人国立印刷局法第11条第1項第1号)、日本銀行ではない[44]。その枚数については財務大臣が定める計画に従って行われている(独立行政法人国立印刷局法第12条)。
「フィリップス曲線」も参照
自由民主党所属の山本幸三衆議院議員や民主党の金子洋一衆議院議員などはこの日本国債の日銀による引受を提唱している。最近では、新党日本の田中康夫代表も日銀による国債直接引受のメリットを述べている[45]。一方で、たちあがれ日本所属衆議院議員の与謝野馨や、民主党衆議院議員の野田佳彦、同じく民主党衆議院議員の岡田克也は反対を表明している[46][47][48]。
[編集] 個人向け広報
- 『国債っていいかも。』(藤原紀香) 「藤原さんのイメージを通じて、国債が身近で安全な投資対象だと知ってもらいたい。」(財務省)
- 『どこから見ても、安心、手軽。』『貯蓄の先を見つめています。』(松本幸四郎、小雪) 「個人向け国債について広く一般に周知していきたい。」(財務省)
- 『1万円から買えるのがいい。』『安心できるのがいい。』(小雪、本木雅弘) 「個人保有を促進し、国債の保有者を多様化させることは、安定的な国債市場の形成や国債の円滑かつ確実な発行にもつながるものと期待しています。」(財務省)
[編集] 脚注
- ^ 「個人向け復興国債」のご案内
- ^ 財務省「国債の推移」 (PDF)閲覧2011-9-25
- ^ a b 一般会計税収の推移
- ^ 世界経済のネタ帳「日本のGDPの推移」閲覧2011-9-25
- ^ 時事ドットコム「国債発行額と税収の推移」閲覧2011-9-25
- ^ CIA "World Factbook 2011 Public Debt" 閲覧 2011-9-20
- ^ 「国の借金」意味分かって使ってる?家計簿的発想で「国家のバランスシート」を見るなかれ三橋貴明
- ^ 外国格付け会社宛意見書要旨
- ^ クルーグマン:日本国債に関する健忘症Japanese Bond Amnesia
- ^ IMF Fiscal Monitor
- ^ ポール・クルーグマン「流動性のわなと日本のマクロ経済政策-問題提起」『マクロ経済政策の課題と争点』吉川洋、通商産業研究所編集委員会(編著)、東洋経済新報社、2000年
- ^ 岩本康志「岩本康志東京大学大学院経済学研究科教授 日銀は「財政政策」に踏み込むな」ダイヤモンドオンライン、2010年11月01日。
- ^ ポール・クルーグマン「Friedman on Japan」,2010年10月28日 。
- ^ 伊藤隆敏「金融政策、財政は手遅れ FTA進め構造改革急げ」『デフレ完全解明』 東洋経済新報社、2010年、46頁。
- ^ 伊藤元重「数年以内に危機のおそれ 構造改革の先送りは限界に」『デフレ完全解明』 東洋経済新報社、2010年、48頁。
- ^ すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。
- ^ 高橋洋一の民主党ウォッチ 「日銀引受は禁じ手」の虚妄 実は「毎年行われている」 Jcast2011年4月14日
- ^ 小村武『予算と財政法』新日本法規出版株式会社、2002年、134-5頁
- ^ 森信茂樹「投機の標的、金利上昇のリスクをはらむ復興国債の日銀引き受け論を排す 」、ダイヤモンドオンライン、2011年4月18日
- ^ 小村武『予算と財政法』新日本法規出版株式会社、2002年、134-5頁
- ^ 「圓の戦争」NHKスペシャル2011年8月14日午後9時 - 9時58分NHK総合テレビ
- ^ 富田俊基 「1930年代における国債の日本銀行引き受け」 (PDF)
- ^ インタビュー:復興国債、増税での財源確保は逆効果 岩田学習院大教授 ロイター 2011年7月8日
- ^ 東京大学准教授 中林真幸「国難に向き合った日本人 高橋是清」日本経済新聞2011年7月6日付け朝刊
- ^ 加藤出「日銀引き受けは一度使うと止まらない"麻薬"」週刊ダイヤモンド2011年9月10日号25頁
- ^ 甲南大学特別客員教授 須田美矢子「(問われる 国家信認)金融政策、「主役」たり得ず-過度の緩和は弊害大 財政再建へ成長戦略カギ」日本経済新聞2011年9月7日付け朝刊
- ^ 池尾和人「戦前期の日銀国債引き受けの実態」
- ^ 富田俊基「日本国債のリスクプレミアム」 (PDF)
- ^ 高橋洋一増税、増税 財務省が早くも安住大臣洗脳 日本の解き方 zakzak 2011年9月8日
- ^ 高橋洋一 (2011年6月1日). “日銀総裁講演を徹底検証 国債引き受け否定は越権行為だ!”. ZAKZAK. 2011年9月1日閲覧。 “日銀保有国債で今年度償還額の範囲内であれば、通貨膨張がないので、日銀引受が認められているのだ”
- ^ 岩本康志 (2011年7月13日). “日銀の国債引き受けをめぐる詭弁”. 岩本康志のブログ. 2011年9月12日閲覧。
- ^ 関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会最近の国際金融の動向に関する専門部会(第4回)議事録
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- ^ 「経財相、国債の日銀引き受けに否定的」 日本経済新聞 2011/4/1付夕刊
- ^ 「財務相ら、復興国債の日銀引き受け否定」 日本経済新聞 2011/3/18付 夕刊
- ^ 震災国債の日銀引き受け案、岡田幹事長が否定的見解」 日本経済新聞 2011/4/3付 朝刊
[編集] 関連項目
- 国債整理基金特別会計(毎年の国債返済の会計)
[編集] 外部リンク
- 財務省 国債(国の発行する債券)
- 財務省 最近20カ年間の各年度末の国債残高の推移 (PDF)
- 日本の借金時計 - 経済ジャーナリストの財部誠一によって運営されている