インフレ連動債

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インフレ連動債(インフレれんどうさい、: inflation indexed/linked bonds[1])とは、仕組みにより異なる場合があるが、一般に元本がインフレーション率によって変動する債券である。各政府が国債として発行するものと、各企業が社債として発行するものとがある。

解説[編集]

2011年現在、イギリスアメリカ合衆国などで実際に発行されている。固定金利債券との違いは、元本・クーポン(利息)のどちらかないし両方が、発行条件に明示されている物価指数による調整を受ける点である。

期待インフレーション率[編集]

インフレ連動債の市場価格と、同一市場における固定金利債(通常の債券)の市場価格とを比較することで、金融市場がどの程度のインフレ率を予測しているのかが分かる、とされている。

通常の長期債券の利率(長期金利)は、実質的に利息が増える分とインフレのリスクヘッジ分に分けられる。インフレ連動債の場合、元本と利率の両方がインフレによって増えるために、利率は「実質的に利息が増える分」のみになる。したがって、この二種類の債券利率を比較することで市場の期待インフレーション率が分かる。

例えば、10年後1万円が返済される長期債が6139円で取引されていたとする。この場合、名目金利は年率は5%となる。一方で、10年後の返済額が「インフレ調整現在価値で1万円」であるインフレ連動債が7441円で取引されていたとする。この場合、実質金利は年率3%となる。この5%と3%の差は2%(実際は除算なので1.94%だが、減算でも近似値が出る)となる。つまり、金融市場は10年間の間に年平均2%のインフレが起きると想定していることになる。

このようにして、金融市場から得られる情報により、インフレ率に対応するための適切な金融政策を採用できる。

インフレターゲットへの応用[編集]

期待インフレ率の情報はインフレターゲット政策に必要である。インフレターゲット政策では、経済における物価水準を対象にしなくてはならない。しかし、統計上発表される「物価指数の騰落率」は、統計作成上、多少の時間ラグをもち発表される。このような「過去の物価変動率」を参考にすると政策転換を誤る可能性がある(このことはよく「バックミラーを見ながら運転する」などと例えられる)。そこで、近似的に現在の物価変動率を示唆する期待インフレ率を金融市場から抽出する必要がある。その1つの手段として、インフレ連動債が用いられる。

経済学者の高橋洋一は「『物価の先物』といえる物価連動国債から得られる『予想インフレ』情報を活用すれば、インフレ率が高まる可能性をより早く察知することができ、先を読んだ金融政策が行える」と指摘している[2]

日本における状況[編集]

日本では2004年2月より、国家・公共団体と金融機関系の法人のみ購入が可能な10年の「物価連動国債」が発行された。これは元本に対するクーポン利率は固定であるものの、元本及び受取クーポン額が参照消費者物価指数(3ヶ月前)に連動する仕掛けになっているものである。そのため、元本の最低保証はないため償還価格が購入時価格を下回ることも有り得る。また、この物価連動国債を組み込んだ投資信託も設定され、証券会社などで販売されていた。

長引くデフレによる需要の落ち込みで2008年に発行を中断されていたが、2013年に発行が再開される[3]

2013年10月8日、物価連動国債10年物の入札が5年ぶりに実施された[4]

2015年1月から個人に対しても物価連動国債の販売が解禁される[5][6]

参考データ[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]