量的金融緩和政策
| 財政 |
|---|
量的金融緩和政策(りょうてききんゆうかんわせいさく、Quantitative easing)とは、金利の引き下げではなく中央銀行の当座預金残高量を拡大させることによって金融緩和を行う金融政策で、量的緩和政策、量的緩和策とも呼ばれる。
平時であれば金利を下げていけば、経済刺激効果が出て景気は回復するが、深刻なデフレーションに陥ってしまうと、政策金利をゼロにまで持っていっても十分な景気刺激効果を発揮することができない[1]。そこでゼロ金利の状態で、市場にさらに資金を供給するという政策である[1]。
日本銀行が2001年3月19日から2006年3月9日まで実施していた。本稿では日本について記述するが、この他、米国のFRBによるQE1(2008年11月-2010年6月、1兆7250億ドル)、QE2(2010年11月-2011年6月、6000億ドル)、QE3(2012年9月-、月額400億ドル)がある。
目次 |
概要 [編集]
市中銀行は、日銀に置いてある当座預金残高の額に比例して融資を行うことができる。そこでこの当座預金の残高を増やすことで、市中のマネーサプライを増やそうとする政策である。
日本銀行が公開市場操作で銀行等の金融機関から国債や手形を買うことで資金を供給し、市中に出回る資金の量が増えて、金利が低下し、金融緩和となる。公開市場操作での債券の売買に応じるかどうかは民間金融機関の自由であり、金融機関から申し込まれた金額が、入札予定額に達しない札割れと呼ばれる現象も起きている。資金供給オペレーションでの札割れは、十分な資金が金融機関に供給されていることを意味する。日銀当座預金は利子がつかないため、金融機関が余った資金を市場での運用や融資に振り向けるので、年0.15%に誘導されていた無担保コール翌日物の金利が0%近くまで低下し、事実上のゼロ金利政策ともなっている。銀行に大量に資金を供給することで金融不安を抑制したとも言われる。
日銀は生鮮食品を除く消費者物価指数の前年比上昇率が安定的に0%以上になるまで続けることを約束した。このことにより、消費者物価が0%以上になるまでゼロ金利政策・量的緩和政策が継続されると予想されるので、より長い期間の金利も低下し、金融緩和の効果を高めるとされており、時間軸効果と呼ばれる。
背景 [編集]
マネーサプライの伸びは代表的な指標であるM2+CDの前年比の伸びが1980年代後半には10%を超えていたのに対して、1992年末頃には前年比でわずかながら減少し、その後も2-4%程度の低い伸びが続いていた。
1990年代に入ってからの日本経済では物価上昇率が低下し、とりわけ1999年頃以降は消費者物価が持続的に下落する状況となってデフレが問題となった。こうした状況を改善するために、物価上昇率を高める政策が求められていた。当初は、公共事業の増加などの財政政策によって需要を増加させて需要不足によるデフレギャップを縮小するという政策が志向されたが、状況は改善せず財政収支の著しい悪化を招いた。
金融政策は、そのほとんどの場合、金利(とくに短期金利)を目標に実施される。しかし、幾度かマネーサプライを目標にしたことがある。最も有名な例は、1970年代末期から1980年代初めにかけてFRBが行なった新金融調節方式である。このときの目的はマネーサプライの伸びを抑制しインフレーションを撲滅することであった。このため、目標にされなくなった金利は急上昇し、インフレ率は低下した。
日銀による量的金融緩和は、マネーサプライの伸びを促進しデフレを撲滅することが目的であった。この政策はインフレ抑制の場合と違い金利がゼロ以下にならない制約があるため効果発揮への期待が薄かった。さらに、すでに名目金利はゼロ近くに誘導しているところにデフレが進行したため、実質金利を引き下げる手立てが無くなり、従来型の金融政策の打つ手はこれ以上考えられなかった。
作用・副作用がわからない、この政策を実施せざるを得なくなったのは前年の政策ミスが背景にあった。2000年8月、日銀は日本経済の見通しが明るいとしてゼロ金利政策を解除した。金利機能を取り戻したいと言う日銀たっての希望の下での決定であったが、2000年秋からITバブル崩壊後の厳しい設備投資後退で景況は急速に悪化していった。このため、早くも半年後に政策転換を余儀なくされる結果となった。議会などからは、日銀の政策錯誤への責任を問う声が上がり、独立性を侵害されかねない状況となった。このような状況下において、より強力な金融緩和姿勢を表す量的緩和が実施されることとなった。
量的金融緩和政策の採用によって日本銀行の当座預金は、2001年2月頃の4兆円程度から徐々に引き上げられ、最大では30兆円から35兆円に維持することが政策目標となった。これによって、ベースマネー(ハイパワードマネー、マネタリーベース)の伸びは大きく高まったが、ITバブル崩壊の影響から投資案件の低迷もあり、これらの資金の多くは国債の購入に振り向けられマネーサプライ(例えばM2+CD)の伸びは低迷を続けた。
効果を巡る議論 [編集]
物価の下落はマネーサプライの伸びの低迷が原因であるという貨幣数量説的な意見が世界の経済学者を中心に強まった。日本の潜在成長力は実質2%以上あり2%程度の物価上昇率を前提とすれば、マネーサプライの伸びは少なくとも4-5%は必要であり、マネーサプライが低いのは日本銀行の金融緩和が不十分であるというもの指摘があった。これに対して日本銀行は、政策金利は十分に低く金融は極めて緩和的であり、とりわけゼロ金利政策に至った後はこれ以上政策金利が引き下げられない以上、金融緩和はほぼ限界に達しているという見方をしていた。
経済学者の中から、準備預金制度によって義務付けられている所要準備額を大幅に上回る資金を日本銀行の当座預金に供給すれば、結局はマネーサプライが増加するはずだという見解が表明されるようになった。日本銀行が過剰な準備預金を供給すれば、銀行は無利子の資金を大量に保有することになるが、そのままにすれば収益機会を見逃すことになるので、この資金を貸し出しや株式の購入や土地などへの投資に使うはずであるという、貨幣乗数論のような考えである。
量的金融緩和政策の効果については、金融システムの安定化、ゼロ金利が長期間続くという予想形成による時間軸効果、短期金利がゼロになることによるポートフォリオ・リバランス効果[2]、為替の減価などが主張された。
2008年のリーマンショック時にアメリカは、一時的なデフレ寸前の状態にまで陥り、その後QE1(量的緩和第1弾)・QE2(量的緩和第2弾)と呼ばれる大規模な金融緩和政策によってデフレ懸念から脱し、その後のインフレ率はまたデフレに陥ってしまうのではないかと危惧されるほど、低位のインフレの状態で安定した[3]。
2010年11月から2011年6月までの8ヶ月間にわたって1ヶ月あたり750億ドルのペースで6000億ドル分の米国債の追加購入を行ったQE2は、株式市場をはじめとする資産市場や実体経済に一定の効果をもたらしたが、雇用創出に大きな影響を持ち得なかった[4]。
学者の見解 [編集]
日銀企画局参事役の鵜飼博史の文献(2006年)によると、イールドカーブの押し下げ効果は明確に確認され時間軸効果は十分に機能した、マネタリーベースの補強(コミットメント)は一部にリスクマネー化(ポートフォリオ・リバランス)を生じたが、コミットした分量よりは効果が小さかった、金融機関については資金繰り不安を払拭することができた、総需要・物価への直接的な押し上げ効果は限定的で、むしろ企業のバランスシート調整による影響が大きいとしている。
経済学者の片岡剛士は「実証研究では、量的緩和は日本の場合でも微弱ではあったが効果はあった。そして量的緩和は、デフレ予想の深刻化に歯止めをかけ、資産価格の上昇をもたらすことで総需要の回復を後押ししたという結果が得られている[5]」「量的緩和策により貨幣供給が進めば、短期的には流動性が高まることで名目金利が低下する効果が見込めるが、名目金利の低下は耐久消費財や資産の購入を刺激することで実質所得の増加や物価上昇につながっていく。そして実質所得の増加は貨幣需要の増加につながり、物価上昇は実質貨幣残高を減少させるために長期的には名目金利が上昇する。更にフィッシャー効果によっても名目金利は上昇する。こうして短期的には流動性が高まることで名目金利は低下するが、経済の回復が進む長期では名目金利は上昇する[4]」と指摘している。
経済学者の池尾和人は「金融政策を研究している世界の専門家の間でも、ゼロ金利の制約下では量的緩和は効かないというのがコンセンサスだ[6]」「全体のおカネをさらに増やすと、動くおカネが増えると量的緩和論者は主張している。だが、私は死蔵されるおカネがさらに増えるだけだと思う。量的緩和政策では、おカネは日銀の準備預金として貯まっていく。準備預金の保有者は民間金融機関だから、彼らが引き出さなければ、市中に出回って動くおカネにならない。では、準備預金を10兆円から30兆円に増やしたら、民間金融機関が引き出す意欲が増すのか。やはり違い、貸し出し需要が増えなければ、民間金融機関は引き出さない[7]」と指摘している。
経済学者の原田泰は「金融緩和によってお金を増やせば、必ず物価が上がり、名目GDPも増加する。いくら緩和しても貸出が増えないから景気は良くならないという主張は誤りである。金融緩和の効果は貸出を通じてのものだけではない。金融緩和によって為替が下がる。輸出企業が復活し、リストラをやめる。賃金の総収入が上がるのだから消費が増える。地場の産業にもお金が落ちる。この過程で税収が上がる[8]」「金融緩和の目的は雇用を増やすことで賃金を上げることではない。勿論、金融緩和で雇用が伸びて、失業率が下がっていけば、いずれ賃金は上がる。しかし、雇用が伸びる前に賃金を上げては、かえって雇用の伸びを妨げることになりかねない[9]」と指摘している。
経済学者の岩田規久男は「量的緩和は、民間の非銀行部門でおカネがジャブジャブにないと効果が薄い。日銀引き受けというと、すぐにハイパーインフレーション、通貨の信認が云々されるが、不況とはある意味では通貨の信認が厚くなるという現象であり、みなが縮こまる。信認がありすぎるのも問題で、ある程度それをぐらつかせる。そうなれば、もっとモノを買い、おカネを使い、またドルを買うようになる」と指摘している[10]。
経済学者の若田部昌澄は「論壇では『日銀の量的緩和政策に効果はなかった』という意見も多い。勿論、デフレが終わっていないのだから効果はまったく不十分だった。しかし、それはこれだけ長くデフレが続き、デフレ期待が根づいているのに日銀が適切な政策を怠ってきたつけでもある。逆に貨幣供給量を減らす政策よりははるかにましであった」と指摘している[11]。
予想インフレ率と実質金利 [編集]
金融機関が、日本銀行に預け入れる無利子の預金のことを預金準備または準備といい、法律で自金融機関の預金の一定比率以上を預け入れることが定められており、この比率を超える超過準備のことをブタ積みという[12]。
「量的緩和を行っても、日銀の準備預金が増えるだけで、おカネは市中には回らず、消費も設備投資も増えない」という反論(ブタ積み論)について岩田規久男は「デフレ脱却のためには貨幣は増えなくてよい。景気回復が始まった2002年以降も貸し出しは2005年まで減っていた。当時も企業はカネ余りの状態だったからだ。しかし、企業の設備投資は増加していった。自己資金で設備投資をファイナンスした。今(2011年)も企業は貯蓄超過なので、貸し出しルートは問題ではない。予想インフレ率が上がると、死蔵されている貨幣の流通速度が上がるからだ。そうなると、いずれ貸し出しも増える。重要なのはインフレになるという期待であり、人々の期待に働きかけることだ」と指摘している[13]。
池尾和人は「日銀の準備預金の残高を増やすとインフレ期待が高まるといった主張は正しくない。短期金利がゼロの状態では貨幣数量説は成り立たない」と指摘している[6]。
経済学者の高橋洋一は「量的緩和を行えば予想インフレ率が高くなる。日本では半年程度のラグがあって、予想インフレ率は高くなった。日本だけでなく各国に実例があり、各国ともに中央銀行のバランスシートの拡大に応じて、予想インフレ率が高くなっている。そうなると、名目金利が一定に維持されていると、実質金利が低下する。名目金利はゼロ以下に下げられないが、実質金利はマイナスにもできる[14][15]」「量的緩和してから、予想インフレ率が上がり出すのは半年くらいずれるときが多い。さらに、実質金利が下がっても、すぐに設備投資は増えないこともある。貸し出しが増え出すのは、さらに遅れる[12]」と指摘している。
予想実質金利 = 名目金利 - 予想インフレ率[16][14][15]
ハイパーインフレ懸念について [編集]
「インフレターゲット#岩石理論」も参照
金融政策は坂道の岩石のようなもので、いくら押しても動かないが、動き出したら止まらないという「岩石理論」という理論がある[17]。また、大胆な金融緩和をするとハイパーインフレになるという指摘がある。
原田泰は日本銀行の理論(日銀理論)について「これまで日銀は、銀行貸出が伸びない限り金融政策には効果がないので実体経済には何も起きない。金利がゼロになったら金融政策は何もできない。物価は金融政策では決まらない。何も起きないからとどんどん量的緩和を進めていくと日本銀行のバランスシートが悪化し、円が暴落する。日本銀行のバランスシートの拡大は通貨の信認を揺るがす。一度インフレになったら止めることは出来ずハイパーインフレになると唱えてきた」と述べている[18]。
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマンは「日本では大きな戦争でもやらない限り、ハイパーインフレにはならないということは認識しておいたほうがいい」と述べている[19]。
経済学者の浜田宏一は「戦後経済を見渡しても2桁のインフレだったのは第1次石油危機後の1974年くらいで、第2次危機後の1980年には日本銀行が1桁の上昇に抑え込んでいる。ハイパーインフレというのは、物価が何千倍とか何万倍になるのを指す言葉で、今の日本で起こることは絶対にない」と述べている[20]。
飯田泰之は「絶対にそんなことにはならないが仮に、日銀がお札刷りすぎてハイパーインフレになったとしても、『財政で支える総額はいくらまでにする』と言えば、ピタリと止まる」と指摘している[21]。
元日銀審議委員の中原伸之は「急激に円安や物価上昇を招いた場合は引き締めに転じればよい。日銀は『金融政策は万能でない』と主張するが現状維持の擁護だろう」と指摘している[22]。
エコノミストの村上尚己は「アメリカは4年間で140兆円の量的緩和を行ったが、2%程度のゆるやかなインフレしか起きていない」と指摘している[23]。
エコノミストの安達誠司は「デフレ下の日本で、大規模な金融緩和をとった場合、日本でのみハイパーインフレが生じるというのなら、ではなぜアメリカやスウェーデンではハイパーインフレが起こらなかったのかを説明する義務が生じる」と指摘している[3]。
バブル懸念について [編集]
一部で量的緩和による資産バブルへの懸念の声が挙がっていることについて池尾和人は「バブルが生じるにはさまざまな条件が必要だと分析されている。金融緩和だけで起こるものではない。ある程度の人々が、新しいパラダイムがやってきたのだから資産などの値上がりは正当なものだと納得することが必要」と指摘している[24]。
影響 [編集]
短期金融市場の機能低下 [編集]
コールレートが0.001%という実質的にゼロの水準に低下したため、銀行など金融機関はコール市場で資金を運用してもコストが賄えない状況となった。このためコール市場の資金残高が大幅に縮小し、短期金融市場の機能が低下した。
池尾和人は「民間銀行から長期国債という資産を取り上げて、その分準備預金を増やすというのは、民間銀行にとっては、資産の満期構成を短期化させることになり、サヤの稼げる運用に追い込まれ、ポートフォリオリバランスが起こりやすくなる」と指摘している[24]。
マイナス金利の発生 [編集]
通常、実質金利はマイナスになりうるが名目金利はマイナスにならないとされるが、量的金融緩和政策の下では無担保コールレートがマイナスになるということがしばしば見られた。これは外国銀行がマイナスのコストで入手した円資金をマイナス金利でコール市場に放出したためと見られている。日銀当座預金に多量の資金を抱えて万が一、日銀が破綻するなどのリスクを回避するために、マイナス金利で与信枠の残っている民間銀行に資金を放出したものと見られる。
#予想インフレ率と実質金利も参照。
量的金融緩和政策の推移 [編集]
日銀当座預金残高の目標は5兆円程度とされていたが、2001年8月から8回にわたり、段階的に引き上げられ、2004年1月以降は30兆から35兆円程度となっている。2006年3月9日の金融政策決定会合において、消費者物価指数が前年比上昇率が4ヶ月連続して0%以上になったことから、解除のための条件が満たされたと判断し、約5年ぶりに解除されることが決定した。
2003年3月25日の決定では、当座預金残高目標は3月31日までは15~20兆円程度とされた。4月から2兆円の増加となったのは、日本郵政公社の発足に伴うものである。
| 決定日 | 調節方針 | 残高目標 | 日銀総裁 | |
|---|---|---|---|---|
| 2001年 | 3月19日 | 調節目標を無担保コールレートから日銀当座預金残高に。国債買い切りオペ月額4千億円から増額 | 5兆円程度 | 速水 |
| 8月14日 | 国債買い切りオペ月額6千億円 | 6兆円程度 | 速水 | |
| 9月18日 | 6兆円を上回る | 速水 | ||
| 12月19日 | 国債買い切りオペ月額8千億円 | 10-15兆円程度 | 速水 | |
| 2002年 | 2月28日 | 国債買い切りオペ月額1兆円に | 速水 | |
| 10月30日 | 国債買い切りオペ月額1兆2千億円に | 15-20兆円程度 | 速水 | |
| 2003年 | 3月25日 | 17-22兆円程度 | 福井 | |
| 4月30日 | 22-27兆円程度 | 福井 | ||
| 5月20日 | 27-30兆円程度 | 福井 | ||
| 10月10日 | 27-32兆円程度 | 福井 | ||
| 2004年 | 1月20日 | 30-35兆円程度 | 福井 | |
| 2006年 | 3月9日 | 調節目標を無担保コールレートへ。 | 福井 | |
資産買入等の基金 [編集]
日本銀行は2010年から長期国債(残存期間が1年以上2年以下の2年債ならびに同1年以上3年以下の5年債、10年債および20年債に限るもの[25])・国庫短期証券、CP、社債、指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(J-REIT)などの金融資産の買入れる「資産買入等の基金」を創設した[26][27]。
2013年4月4日、「資産買入等の基金」は廃止となり[28] 、長期国債の買い入れは金融市場の調節に使う「通常の国債購入枠」と一本化して日銀のバランスシート上に明示される事が決定された[29][30]。
残高の推移は物価安定のもとでの持続的成長へ向けた最近の政策運営、資産買入等の基金の残高の推移を参照。
量的・質的金融緩和 [編集]
2013年4月、日本銀行は金融政策決定会合で「量的・質的金融緩和」の導入を決定し量的緩和は2%の物価安定目標を達成するまで継続される[31][32]。
金融市場調節の操作目標は、無担保コール翌日物金利からマネタリーベースに変更し(「マネタリーベース・コントロール」の採用[33])、2006年までの量的緩和を復活させたほか、資産買い入れ等基金の廃止も決めた[31]。併せて、日銀が保有する長期国債の残高を銀行券の発行残高の範囲内とする「銀行券ルール」の適用を一時停止させた[33][32]。
参考文献 [編集]
- 鵜飼博史「量的緩和政策の効果:実証研究のサーベイ (PDF)」 、『日本銀行ワーキングペーパーシリーズ』No.06-J-14、日本銀行、2006年7月、 49頁。
- 小池拓自「「ゼロ金利」時代の金融政策」 - 国立国会図書館 2006年10月6日
- 原田泰、増島稔「金融の量的緩和はどの経路で経済を改善したのか」 - 内閣府 経済社会総合研究所 ESRI Discussion Paper Series No.204 2008年12月
- 本多佑三、黒木祥弘、立花実「量的緩和政策 -2001年から2006年にかけての日本の経験に基づく実証分析-」 - 財務省財務総合政策研究所「フィナンシャル・レビュー」平成22年第1号(通巻第99号)2010年2月
脚注 [編集]
- ^ a b インフレ・ターゲティングはデフレ脱却の特効薬となるのかnikkei BPnet(日経BPネット) 2012年12月27日
- ^ ポートフォリオとは金融市場への分散投資のこと。日銀当預残高が預金準備率を超過して積み上がれば、金融機関は自ずから高利回りの投資を行い、市場に資金が行き渡るという効果をポートフォリオ・リバランス効果という。
- ^ a b 『ユーロの正体』著者、安達誠司氏に聞く ―― この経済失策がヤバかった!2012 ~ 日欧経済失政レビューSYNODOS JOURNAL 2012年12月14日
- ^ a b 量的緩和第三弾(QE3)の内容と特徴 片岡剛士SYNODOS JOURNAL 2012年9月14日
- ^ デフレと金融政策に関する9つの論点 片岡剛士SYNODOS JOURNAL 2011年7月26日
- ^ a b 金融政策だけで「デフレ脱却」はできない東洋経済オンライン 2013年4月7日
- ^ 池尾和人 慶應義塾大学教授 日銀に“政治的判断”を押し付けるなダイヤモンド・オンライン 2010年10月5日
- ^ 自民党は財政再建に真面目に取り組めWEDGE Infinity(ウェッジ) 2013年2月25日
- ^ 政府が企業に賃上げ要請 何かがおかしいWEDGE Infinity(ウェッジ) 2013年3月6日
- ^ 『世界同時不況』を書いた岩田規久男氏に聞く東洋経済オンライン 2009年4月28日
- ^ 日銀新総裁はゼロ金利に復帰をPHPビジネスオンライン 衆知 2008年5月8日
- ^ a b シニョレッジ(通貨発行益)を見落としている量的緩和「懐疑論」の誤り」ダイヤモンド・オンライン 2010年12月2日
- ^ 4%のインフレ目標でデフレ脱却の姿勢示せ--岩田規久男・学習院大学経済学部教授《デフレ完全解明・インタビュー第1回(全12回)》東洋経済オンライン 2011年02月10日
- ^ a b ようやく世界標準の政策を採った日本銀行 量的緩和は物価・景気にこうやって効くダイヤモンド・オンライン 2010年11月11日
- ^ a b 高橋洋一「ニュースの深層」 純白の政策委員会が真っ黒に!? 黒田日銀の「オセロゲーム」に見る専門家とサラリーマンの違い現代ビジネス 2013年4月8日
- ^ 岩田規久男編 『昭和恐慌の研究』 東洋経済新報社、 2004年、193頁。
- ^ デフレ終焉後の動向*1財務省
- ^ 日銀総裁はなぜもっと早く辞任しなかった?WEDGE Infinity(ウェッジ) 2013年3月18日
- ^ 経済の死角 本誌独占インタビューノーベル経済学者は指摘するポール・クルーグマン「1ドル100円超え、アベよ、これでいいのだ」現代ビジネス 2013年2月14日
- ^ 判断意見 ハイパーインフレは絶対起こらない -内閣官房参与 浜田宏一氏PRESIDENT Online プレジデント 2013年2月22日
- ^ 「○○だからデフレ」論を喝破する【三橋貴明×飯田泰之】Vol.2日刊SPA! 2012年9月14日
- ^ 次期政権は日銀法改正し、雇用最大化を目標に=中原元日銀審議委員Reuters 2012年11月30日
- ^ 経済・マネー 黒田日銀、“実弾”100兆円投入へ! 給料アップ、株価「年内2万円も」zakzak 2013年3月19日
- ^ a b インタビュー:利払い負担で資金繰り苦しく、財政不安定化も=池尾教授Reuters 2013年4月12日
- ^ 資産買入等の基金の運営として行う国債等買入の取引概要日本銀行 Bank of JAPAN 2012年9月27日
- ^ 日銀が「ETF」「J-REIT」買い入れの詳細決定マイナビニュース ライフ 2010年11月5日
- ^ 資産買い入れ基金日本経済新聞 2012年2月12日
- ^ 資産買入等の基金(2013年4月4日をもって廃止)Boj.or.jp
- ^ 日銀、新たな緩和策決定資金供給2年で2倍に日本経済新聞 2013年4月4日
- ^ 日銀がマネタリーベースを2年で2倍、国債買入額は月7兆円Reuters 2013年4月4日
- ^ a b 日銀、「質的・量的金融緩和」を導入 銀行券ルールは一時適用停止日本経済新聞 2013年4月4日
- ^ a b 日銀:長期国債購入を月7兆円強に、マネタリーベースが新目標 (3)Bloomberg 2013年4月4日
- ^ a b 日銀、「量的・質的緩和」を導入 各資産の目標残高一覧日本経済新聞 2013年4月4日