岡田敬二

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1966年撮影、左より岡田小原弘亘柴田侑宏酒井澄夫阿古健植田紳爾

岡田 敬二(おかだ けいじ、1941年2月19日 - )[1]は、日本レビュー演出家宝塚歌劇団の演出家。東京市(現東京都港区)生まれ[1]

日本レビュー界の第一人者。宝塚歌劇団では近年『ロマンチック・レビュー』路線を提唱。『ロマンチック・レビュー』は最新作『モアー・ダンディズム!』を含め21本になる。

プロフィール[編集]

1959年、東京都立大森高等学校卒業。早稲田大学第一文学部入学。

1963年、早稲田大学第一文学部を卒業後、宝塚歌劇団演出部に就職[1][2][3]

1967年、『若者たちのバラード』で演出家デビュー[1]

1974年、文化庁海外研修員として、1年間の海外留学。

1977年、『ザ・レビュー』で文化庁芸術祭大衆芸能部門2部 優秀賞を受賞。

1970年代、『青春のプレリュード』『ビューティフル・ピープル』『イフ』といったフォークソングを積極的にレビューに取り入れるなどの、実験的な作風で知られた。

1984年、『ジュテーム』を皮切りに伝統的な宝塚レビューに、独自の美学を反映させた、独自のスタイル『ロマンチック・レビュー』を提唱[1]。宝塚大劇場にてシリーズ化。一躍日本を代表するレビュー作家となる。

1996年から2004年まで宝塚クリエイティブアーツ代表取締役社長を務める[4]

長年にわたり、エレガントなオリジナルレビューを演出。数多くの名場面を生み出し不動の地位を確立する。代表作として『魅惑』『ル・ポアゾン 愛の媚薬[1][注釈 1]ダンディズム!』『ラ・カンタータ』などがある。

『アップル・ツリー』(1979年)『ディーン』(1981年)『キス・ミー・ケイト』(1988年)など、海外ミュージカルの宝塚歌劇版の演出も多く手がける。特に1993年アメリカ演劇界の第一人者 演出家トミー・チューンとの共同演出の宝塚版『グランドホテル』、『Broadway Boys』は大きな話題となる。さらに桜田淳子主演の『アニーよ銃を取れ』など、ミュージカルの演出も多数。

近年は、宝塚OGが宝塚歌劇の名曲を歌う「タカラヅカ・ノスタルジックコンサート」を定期的に開催している。

ロマンチック・レビュー[編集]

岡田が1984年の『ジュテーム』から提唱した一連のシリーズ[5]。宝塚歌劇団創設者・小林一三の『清く正しく美しく』のモットーと、女性だけで演じるという特殊性を生かし、美しく華やかで品位をもった作品。日本人の心の琴線に触れるような内容を持ちたいとの想いが込められている[6]。主題歌など作曲編曲はすべて吉崎憲治が担当している。

エピソード[編集]

趣味は競馬[2]エイジアンウインズは自身の宝塚歌劇作品『ASIAN WINDS! - アジアの風 -』から名付けられる[7]

妻は元宝塚歌劇団雪組若菜ゆきでのんのんバレエスタジオ主宰の岡田泰子。長男はテレビ演出家の岡田倫太郎

宝塚歌劇団での舞台作品[編集]

大劇場作品[編集]

その他の劇場の作品[編集]

コンサート[編集]

ディナーショー[編集]

イベントの構成・演出[編集]

  • ’96TCAスペシャル『メロディーズ・アンド・メモリーズ』(1996年 宝塚大劇場)*共同演出
  • ’99TCAスペシャル『ハロー!ワンダフル・タイム』(1999年 宝塚大劇場)*総指揮
  • TCAスペシャル2002『DREAM』(2002年 東京宝塚劇場)*総指揮
  • 吉崎憲治オリジナルコンサート『TAKARAZUKA FOREVER』(2002年 宝塚大劇場)*共同演出
  • TCAスペシャル2005『Beautiful Melody Beautiful Romance』(2005年 宝塚大劇場)*共同演出
  • 小林一三没後50年追悼スペシャル『清く正しく美しく』(2007年 宝塚大劇場)*監修
  • 宙組誕生20周年記念イベント(2018年 宝塚大劇場)

宝塚歌劇団以外の舞台作品[編集]

受賞歴[編集]

  • 1977年 - 文化庁芸術祭 大衆芸能部門2部優秀賞(『ザ・レビュー』の演出に対して)
  • 1988年 - 月刊『ミュージカル』・アーチスト部門 第4位(『キス・ミー・ケイト』の演出に対して)[注釈 12]
  • 2014年 - 『宝塚歌劇の殿堂』最初の100人のひとりとして殿堂表彰[13][14]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「歌劇」誌の読者投票で1位に選ばれた傑作レビュー
  2. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v ロマンチック・レビューシリーズの作品
  3. ^ 1985年に地方公演で再演
  4. ^ 1992年に地方公演で再演
  5. ^ 1996年に全国ツアーで再演
  6. ^ 1997年に中日劇場で続演
  7. ^ 1999年に全国ツアーで再演
  8. ^ 花組が2000年に『ザ・レビューIV』として中日劇場で続演
  9. ^ 2003年に中日劇場で続演
  10. ^ 2007年に『ネオ・ダンディズム! II』として博多座で再演(主演:安蘭けい)、2008年に『ネオ・ダンディズム! III』として全国ツアーで再演(主演:安蘭けい)
  11. ^ 2023年に全国ツアーで続演予定(主演:永久輝せあ
  12. ^ 主演・大浦みずきもこの作品での演技に対して、月刊「ミュージカル」・タレント部門 第5位に入賞し、作品自体も、作品部門 第3位に入賞

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f ENAK SIMiRE STYLE ”. www.sankei.co.jp. 2020年12月27日閲覧。
  2. ^ a b ヴィクトリアMの勝ち馬“エイジアンウインズ” 宝塚歌劇団と競馬の共通点 - 大恵陽子 | 競馬コラム”. netkeiba.com. 2020年12月27日閲覧。
  3. ^ 宝塚女優と結婚した早大教授 逍遙のおい 坪内士行の青春 【10月21日 創立記念特集】”. 早稲田ウィークリー. 2020年12月27日閲覧。
  4. ^ 演出家 岡田敬二が語る”. 2021年9月18日閲覧。
  5. ^ ロマンチック・レビューの軌跡”. 2021年6月20日閲覧。
  6. ^ 出典「岡田敬二 ロマンチック・レビュー」 阪急コミュニケーションズ刊
  7. ^ 名付け親さんいらっしゃ~い!エイジアンウインズ Part.2 | 大惠陽子の「夢への第一歩」”. 2021年1月28日閲覧。
  8. ^ Inc, Natasha. “恋の騒動にお家騒動も…柚香光&星風まどかの宝塚歌劇団花組が映画「鴛鴦歌合戦」初舞台化”. ステージナタリー. 2022年12月22日閲覧。
  9. ^ Inc, Natasha. “柚香光のスペシャルコンサートが東京・兵庫で、永久輝せあ主演の花組全国ツアーも”. ステージナタリー. 2023年6月1日閲覧。
  10. ^ 星組の人気スター綺城ひか理が花組に復帰へ 176センチ長身、華やかな立ち姿でもファンを魅了 - 宝塚 : 日刊スポーツ”. nikkansports.com. 2022年10月6日閲覧。
  11. ^ Challenger!! | 梅田芸術劇場” (英語). www.umegei.comschedule. 2021年4月4日閲覧。
  12. ^ Inc, Natasha. “吉崎憲治&岡田敬二の宝塚レビュー曲を紡ぐコンサートに瀬戸内美八、剣幸ら(コメントあり)”. ステージナタリー. 2021年4月4日閲覧。
  13. ^ 村上久美子 (2014年1月11日). “宝塚が八千草薫ら殿堂100人を発表”. 日刊スポーツ. https://www.nikkansports.com/entertainment/news/p-et-tp0-20140111-1242409.html 2022年6月23日閲覧。 
  14. ^ 『宝塚歌劇 華麗なる100年』朝日新聞出版、2014年3月30日、134頁。ISBN 978-4-02-331289-0 

外部リンク[編集]