松本市
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松本市(まつもとし)は、甲信地方の中部、長野県中部(中信地方)に位置する市である。国から特例市や国際会議観光都市に指定されている。2005年4月1日に梓川村、四賀村、奈川村、安曇村の4村を新たに編入した。
目次 |
[編集] 概要
国宝松本城を中心とする旧城下町である。幸にも戦災を免れた事から、旧開智学校(重要文化財)などの歴史的建造物が多く残る。他に戦災を免れた中規模の旧城下町としては、金沢市や川越市などがある。
キャッチフレーズは「文化香るアルプスの城下町」、「三ガク都(楽都、岳都、学都の三つのガク都。音楽、山岳、学問で有名なため)」などがあるが、前者が多く使われ、後者はほとんど見られない。
日本で最も古い小学校のひとつ開智学校の開校、改正高等学校令に基づく全国9番目の官立旧制高等学校である松本高等学校の招致など、教育に熱心な面がある。また、小沢征爾ら一流の音楽家の集うサイトウ・キネン・フェスティバルの開催、全国に(一部海外にも)広がるスズキ・メソードや花いっぱい運動の発祥、映画やテレビドラマなどのロケ支援を市が行うなど、文化を尊重する気風がある。
県庁所在地ではないが、FM長野本社、日銀松本支店、松本空港、信州大学本部、陸上自衛隊松本駐屯地などがあり、さながら県中部に位置する「副県都」のような存在になっている(2007年10月までテレビ信州本社も松本市にあった)。国立大学機構が1県1学の県に於いて本部が県庁所在地以外に置かれているのは、青森県の弘前大学と沖縄県の琉球大学のみである。また特に日銀の存在は松本市をして、長野市とともに複眼構造を為すことにより、県の経済の中心に押し上げる役割も持っている。
商業販売額は長野市に次いで県内二位だが、松本パルコなどの人気の高いアパレル商業施設を抱え県内各地から消費者が訪れることや、市街地型複合店舗の立地数が県内では最多である。
又、工業生産額が安曇野市、上田市に次いで県内で三位であり、県内工業の拠点の1つである。また、信州大学本部の存在や毎年恒例のサイトウ・キネン・フェスティバルの開催もあって、長野県の工業、商業、観光、文化、教育の一大拠点となっている。
近年高層マンションの建設が相次いでおり、この中でいかに城下町の景観を守るかが課題になっている。2008年4月から「市都市景観条例」が改正され、松本城周辺の建築物の高さ規制が厳しくなることから、現在マンション建設を前倒しする動きが見られる。これに対し、周辺住民の反対意識は強く、既に完成した縄手通りのマンション建設には建設反対運動が起こった。
[編集] 名称
中心市街地は古くは深瀬郷(深志郷)、捧庄(ささげのしょう)または庄内、信濃府中または信府あるいは信陽などと呼ばれていた。 捧庄、庄内の由来は国衙比定地とされる市東部にあった八条院領の荘園で、現在市内にある本庄、庄内という地名はこの名残であると考えられる。「信府」は国府が置かれたことに由来する「信濃府中」の略称、「信陽」はそれを漢文調にしたものである。以上の地名は現在ほとんど使われていない。
現在、最も人口に膾炙するのが深志で、太古の松本盆地が湿地帯であったことを示すとされる「深瀬郷」が転訛したものであり、現在でも社名、校名などに使われている。
[編集] 「松本」や「筑摩」について
松本は松本市の数々の呼び名のなかで最も新しいものである。
現在の市名である松本の由来は諸説あるが、通説では武田氏の侵攻により落ち延びた嘗ての信濃守護職・小笠原長時の三男小笠原貞慶が1582年に旧領を回復した際に「待つ事久しくして本懐を遂ぐ」と述懐し改名したとされる(小笠原氏は長らく信濃府中奪還という本懐を抱いており、それが叶ったことから、待つ本懐を→松本懐→松本 と略され松本となった)。他に、小笠原宗家(府中)が分家(松尾)とのお家騒動に勝利したことを記念したとする説があるが、内訌は約50年前に片付いており、この説は時代的に合わない。「松本」という氏姓は松本市の「松本」地名よりも遥か昔から存在するが相関はなく、松本市に松本氏が多いということはない。市役所等によって「広報まつもと」のようにひらがなで表記されることもある。
また、松本市周辺や松本地域は松本平、筑摩(筑摩野とも)などと呼ばれる。前身の松本町が東筑摩郡に属していたため、旧筑摩県名の由来にもなった。
[編集] 地理
松本市は、長野県の中央からやや西の所にあり、県庁所在地の長野市から南西へ75km、東京特別区から西北へ240kmに位置している。2005年の合併後の市域は、西の飛騨山脈(北アルプス、西山、3000m級)から、東の筑摩山地(美ヶ原、東山、2000m級)までと広大であり、長野県内では最も広い(全国の市では二十位)。旧松本市(松本駅周辺など)は、二つの山脈(山地)の間にある松本盆地の中央部、複合扇状地上に位置する(標高約600m)。
川では、上高地方面から流れ出す梓川が市の西部を流れ、奈良井川が市を二分するように横断している。また、市街地には清流である女鳥羽川が横断している。女鳥羽川はもとは現在の大門沢川のルートを流れていたと考えられるが、江戸時代はじめに人工的に流路が変えられ今の姿になった。山では、合併に伴い日本百名山の山が多数松本市に編入され、岳都(学都、楽都とならび松本市のキーワードとなっている)の側面が強くなった。松本市には標高第三位の穂高岳や第五位の槍ヶ岳があるが、市街地からは手前の常念山脈に隠れて見えないため、市民には常念岳や美ヶ原のほうが親しまれている。中部山岳国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園が市内にあり、前者には特別天然記念物のライチョウが生息する。また、景勝地の上高地も市内にある。
市内には多数の扇状地が形成されている。また、松本市はフォッサマグナの上にあり、市西部には糸魚川静岡構造線が通っている。市内には地震関連のテレビ番組などでもよく紹介され、30年以内のマグニチュード6・5以上の地震発生確率が25.21%と全国で最も高い断層「牛伏寺断層」が通っている。市域は5000万年前は海底にあった。
森林面積は74,000haで、市域全体の約81%を占める。また、平成の大合併により山間の村と合併したため、人口密度が大幅に低下した。(合併前:県内二位→合併後:県内二十一位)
- 地形(代表的な山には標高を掲載した)
- 山:穂高岳(3190m、全国三位)、槍ヶ岳(3180m)、乗鞍岳(3026m)、大天井岳(2922m)、常念岳(2857m)、大滝山、焼岳、霞沢岳、美ヶ原、三才山
- 川:梓川、犀川、女鳥羽川、奈良井川、田川、薄川、牛伏川、鎖川、大門沢川、宮入川、保福寺川
- 湖:大正池、美鈴湖
- 高原:美ヶ原、乗鞍高原
- 自然公園:中部山岳国立公園、八ヶ岳中信高原国定公園
[編集] 気候
旧松本市は、中央高原型(5d)の内陸性気候が顕著に現れる所にあり、大半の学校教育用の地図帳で、中央高原型気候の都市の例として扱われている。そのため、松本測候所は、中央高原型の代表として直達日射観測も行っている。基本的には平野部は降水量が少なく日照時間が多い。上高地や乗鞍高原、美ヶ原などの山岳地帯は若干降水量が多く日照時間は少なくなる。市内では安曇地区が豪雪地帯に指定されている。
[編集] 冬
冬の寒さは厳しく、特に早朝は零下10度以下まで冷え込むことも度々あり、冬日が多い。しかし晴れの日が多く日中は零度を越すことが多いので真冬日は比較的少ない。また、寒い長野県内でも暖かいほうである。雪はそれほど多く降らず、10cm程度の積雪が年に数回、30cm程度の積雪が年に1回あるかないかである。それも真冬よりもときおり春先に降雪を見ることがあり、このような場合長野県北部の積雪の方が少ないことがある。これを「上雪(かみゆき)」と呼ぶ。
[編集] 夏
夏はかなり暑くなるが直射熱、輻射熱による即太陽的な要素が強く、朝夕はかなり温度が下がり熱帯夜はほとんどない。残暑も短く秋の訪れは早い。全体的に冬と夏、昼と夜での寒暖の差が激しいのが特徴である。また、晴れる日が多く日照時間は全国でもトップレベルである(全国の観測点で4位)。その反対に、雨は少なく全体的に乾燥している。梅雨の影響も少ない。松本平は山に囲まれているので日中でも風速7~8m/sの強い風が吹くことが多く、このうち飛騨山脈(北アルプス)から吹いてくる風をアルプス颪(おろし)と呼ぶ。半面台風は中部山岳を避けることが多く、あるいは中部山岳に当たると勢力が弱まるので、台風の風による被害は少ない。
市中心部を流れる女鳥羽川、薄川は有史以来たびたび氾濫し、市内を幾度も浸水させている。中でも1959年の台風7号は大きな被害をもたらした(詳しくは女鳥羽川を参照)。松本市で観測した極値は、最高気温が38.5℃(1942年8月2日)、最低気温が-24.8℃(1900年1月27日)、最大の一日の降水量が155.9mm(1911年8月4日)、最深積雪が78cm(1946年3月3日)。
[編集] 天気予報区分
市全体が長野県中部(単に中部と呼ばれる)に入る。2006年3月1日から長野県中部の内の細かな気象区分が改正され、旧松本市・四賀・梓川地区は松本地域に、安曇・奈川地区は乗鞍・上高地地域に属する。
- 松本市(中央高原型(5d))の月平均気温・降水量
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- 標高 610m
- 北緯36度15分 東経137度58分
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 全年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 気温 (℃) | -0.6 | -0.2 | 3.5 | 10.4 | 15.7 | 19.6 | 23.3 | 24.3 | 19.5 | 12.8 | 7.1 | 2.0 | 11.5 |
| 降水量 (mm) | 31.1 | 42.5 | 73.5 | 86.8 | 92.5 | 135.9 | 132.6 | 95.8 | 162.3 | 89.4 | 52.9 | 23.3 | 1018.5 |
[編集] 隣接自治体
新松本市は、市域が広いため14市町村が隣接している。
- 塩尻市、安曇野市、波田町、山形村、朝日村とは平地続きになっているため、非常に密接な関係にある。
- 山を隔てて隣接している岡谷市、下諏訪町を含む諏訪地域とは平地続きではないが塩尻市を経由する形で国道や電車が通っているため、松本市内に住み諏訪地域の学校や企業に通勤、通学する人もおり、やや密接な関係にある。
- 大町市、新高山市、上田市、筑北村、長和町、青木村とは山を隔てて境界の端同士で隣接しているが、これらの自治体と隣接していることは、市民の間で認知度がさほど高くない。大町市については一部が松本盆地にあり、平地続きになっている。そのため地理的に近く、安曇野市などを経由して往来しやすいために密接な関係にある。
- 木祖村、木曽町とも山を隔てて隣接しているため、あまり密接な関係ではないが、木祖村、木曽町の人々は松本市内へ買い物へ訪れることも多い。
以下の表は隣接自治体の位置関係表
| 北西: 安曇野市、大町市 | 北: 東筑摩郡筑北村 | 北東: 上田市、小県郡青木村 |
| 西: 東筑摩郡波田町、山形村、岐阜県高山市 | 松本市(中心部) | 東: 小県郡長和町 |
| 南西: 東筑摩郡朝日村、木曽郡木祖村、木曽町 | 南: 塩尻市、岡谷市 | 南東: 諏訪郡下諏訪町 |
[編集] 地域
[編集] 松本市内のエリア
代表的なエリアは、松本パルコ、花時計公園を核に若者向けの店や飲食店の立ち並ぶ中央一丁目(中央の西側、俗地名では伊勢町や狭義の松本など)、大型店を中心に同じく若者向けのスポットの集まる深志一丁目(深志の西端、俗地名では狭義の松本)。俗地名とは住居表示などで正式な住所からは廃止された旧町名や小字である。小字の一部は今も登記簿等では正式な地名である。
いずれにしても狭義の松本(松本駅周辺)が最もにぎわっている。
これまでに記述したところ程ではないが、縄手通りがあり銀行支店などのオフィスが集まる大手三丁目(俗地名では大名町など)、再開発により近代的な商店街の立ち並ぶ中央二丁目(俗地名では本町など)、松本城や市役所のある丸の内もにぎわっている。
四賀地区・梓川地区・安曇地区・奈川地区以外の住居表示未実施区域では大字がつく。
※は住居表示実施区域
- 旧松本地区
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- 大字島内
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- 大字島立
- 新村地区
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- 大字新村
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- 大字和田
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- 大字神林
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- 大字今井
- 寿地区
| 地区 (昭和・平成の合併前の単位) |
住所 (※は住居表示実施区域) |
概要 |
|---|---|---|
| 中山地区 | 中山台※ | 高台にある住宅地。 |
| 大字中山 | 田畑が多く住宅は少ない。弘法山古墳がある。俗地名は北中島、西越など | |
| 岡田地区 | 大字岡田町 | 住宅と田畑が混在する地域。国道143号が通っている。北国西街道の岡田宿があった。 |
| 大字岡田伊深 | 森林が中心の地域だが、ふもとには住宅が多い。松本トンネルがある。 | |
| 大字岡田下岡田 | 森林の中に住宅があるエリア。俗地名では塩倉、神沢、老根田など。 | |
| 大字岡田松岡 | 学生が多く住む住宅地。国道143号が通っている。 | |
| 里山辺地区 | 大字里山辺 | 住宅と田畑が混在。古代から「束間の湯」の名で知られた美ヶ原温泉がある。俗地名は荒町、西荒町、薄町、林、御母家、湯の原など。 |
| 入山辺地区 | 大字入山辺 | 森林と田畑が中心。美ヶ原がある。俗地名では桐原、南方など。 |
| 内田地区 | 大字内田 | 崖の湯温泉があり、森林と田畑が中心の地域。俗地名では牧ノ内、松山など |
| 本郷地区 | 浅間温泉(丁目)※ | 浅間温泉があり、旅館と住宅が混在している。俗地名では薬師堂、御殿山、堀道など |
| 大字浅間温泉(地番) | 森林になっている。住宅はほとんど見られない。 | |
| 横田※ | 住宅地。新浅間温泉もある。 | |
| 大字三才山 | 森林。美鈴湖、浅間温泉国際スケートセンターがある。 | |
| 大字稲倉 | 山間地で住宅は少ない。 | |
| 大字洞 | 山がちで住宅は少ない。女鳥羽川が流れる。俗地名では山城、北洞など。 | |
| 大字原 | 山がちで住宅は少ない。女鳥羽川が流れる。俗地名では穴田、宮地など。 | |
| 大字水汲 | 住宅地。サイトウキネンフェスティバルの会場の一つ長野県松本文化会館が有る。 | |
| 大字大村 | 住宅地だが山がちで、東側は住宅がない。俗地名では雪中など。 | |
| 大字南浅間 | 住宅地。女鳥羽川沿いにある。大村の一部から分立して出来た。 | |
| 大字惣社 | 住宅地。信濃国府跡地に比定される地域 | |
| 梓川地区 | 梓川上野 | 山がちで住宅は少ない。俗地名では花見、寺家、田屋、中、八景山など。 |
| 梓川梓 | 住宅と田畑が混在する。俗地名では杏、下立田、上立田、下角、上角など。 | |
| 梓川倭 | 住宅と田畑が混在する。俗地名は氷室、横沢、岩岡、北大妻、南大妻など。 | |
| 四賀地区 全体的に山がちで住宅は少ない |
反町 | 俗地名では桜池、矢満田、松原、青木など。 |
| 刈谷原町 | 保福寺川が流れる。北国西街道の刈谷原宿があった。俗地名では大門など。 | |
| 七嵐 | 松本市四賀化石館がある。俗地名では新切、上宮、宮平など。 | |
| 赤怒田 | 俗地名では小瀬、和平、中木戸など。 | |
| 殿野入 | 俗地名では花見、宿、三ッ屋など | |
| 金山町 | 俗地名では金山沢など。 | |
| 保福寺町 | 上田につながる保福寺街道の保福寺宿があった。俗地名では大田、宮前、入など。 | |
| 中川 | 俗地名では坂下、中屋敷など。 | |
| 穴沢 | 俗地名ではくるみ沢、みそ入沢など。 | |
| 取出 | 俗地名では上木戸、下木戸、二股など。 | |
| 板場 | 俗地名では沢屋など。 | |
| 会田 | 北国西街道の会田宿があった。俗地名では山王、宮本、岩井堂(信濃三十三観音霊場の岩井堂に由来)、細原など。 | |
| 五常 | 俗地名では日向、堂平、滝ノ沢、扇平、五輪平など |
[編集] 電話
[編集] 郵便
[編集] 都市圏
2005年国勢調査での昼夜間人口比率は110.04%で、地方の中規模都市では上位にランクする。このことから昼間には周辺から多くの人が来市することがわかる。
松本市の都市圏は様々な定義があるが、主だったものとしては松本都市雇用圏(45万)、松本地域(43万)の2つが挙げられる。圏内には上高地や安曇野など 全国的に有名な観光地があり、リンゴ栽培などの農業のほか精密機器などの工業も非常に発達している。現在、松本市は、都市圏人口百万人を目指している。
[編集] 人口
[編集] 年齢構成
| 松本市と全国の年齢別人口分布図(比較) | 松本市の年齢・男女別人口分布図 |
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■紫色は松本市
■緑色は日本全国 |
■青色は男性
■赤色は女性 |
| 総務省統計局 / 国勢調査(2005年) | |