中京圏

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中京のデータ
中京大都市圏
日本の旗 日本
面積 6,911 km²
総人口 9,107,414
1.5%都市圏)(2010年国勢調査
人口密度 1,288人/km²
(2010年国勢調査)
外観
名古屋市中心部夜景.jpg
名古屋

中京圏(ちゅうきょうけん)は、愛知県県庁所在地である名古屋市を中心とする都市圏である。日本の三大都市圏の一つ。

名古屋圏(なごやけん)という用語が使われることも多い。中部圏開発整備法などの法令上では中部圏(ちゅうぶけん)とも言う。中京圏(名古屋圏、中部圏)に対応する言い方として、首都圏(東京圏、関東圏)・京阪神圏(関西圏、近畿圏)と言うことが多い。

名称[編集]

中京」とは、名古屋市東京市(現在の東京都区部)と京都市との間に位置している点から、明治時代に名古屋市が「中京」と呼称されたことに因む。

特徴[編集]

明治時代の中期に、名古屋駅東海道本線中央本線関西鉄道(現在の関西本線)など鉄道の拠点となると、名古屋市を中心とする経済圏が形成されて、愛知県・岐阜県・三重県の3県に跨る圏域を中京圏(名古屋圏)と称するようになった。

行政や経済や文化などの各面において、名古屋市への一極集中が著しい。

戦国時代には、多くの武将を輩出した。交通面で見ると、太平洋沿岸(愛知県、三重県)は東海道の、内陸側(岐阜県)は中山道の沿線になっている。

範囲[編集]

中京圏は、中京都市圏名古屋大都市圏名古屋市の経済や文化の影響力を強く受け、人口交流のきわめて濃密な圏域を指す言葉)と重複する範囲が多い。

範囲は、統計資料の定義により多様である。かつては金山橋金山駅前)を中心に半径約40kmの圏域(大まかに東海環状自動車道の内側)で、外周は岡崎市岐阜県土岐市関市大垣市三重県四日市市を結んだ内側の地域[要出典]とされ、鉄道・道路などの影響でヒトデ型であった。

交通網、情報通信網などのインフラ整備が進んだことや、圏の力が増したことにより圏域を拡大し続けている。圏域には、愛知県尾張三河、岐阜県美濃、三重県北勢が含まれている[1]。また、30%以上の依存率を示す地区が名古屋市と同一生活圏とされ、10%以上から30%までが近郊型地帯とされている[2]

他にも、内閣府政府広報室の大都市地域の住宅・地価に関する世論調査では、名古屋駅を中心とした半径30kmの円内地区とし、国土交通省の大都市交通センサス調査では愛知県、岐阜県、三重県の区域とした。

ただし、三重県の伊賀は京阪神との繋がりが極めて強く、特に名張市大阪市ベッドタウンでもあるため、「名古屋圏」から外される事が多い[要出典]

三大都市圏の一つだが、他の大都市圏を「東京圏」「大阪圏」と呼ぶ場合には、「名古屋圏」の方が多用されている。

中京大都市圏(総務省国交省では名古屋大都市圏と呼称)
総務省統計局の国勢調査統計表で用いられる圏域設定で、名古屋市への15歳以上通勤・通学者数の割合が、当該市町村の常住人口の1.5%以上であり、かつ名古屋市と連接している「周辺市町村」を合わせた範囲としている。都市圏 (総務省)参照。
なお、名古屋の1.5%都市圏は、北端が岐阜県本巣市恵那市八百津町、東端が、愛知県豊川市豊田市岡崎市、西端が岐阜県大垣市関ケ原町、三重県いなべ市、南端が愛知県南知多町、三重県四日市市であり、三県に収まる[要出典]
中京経済圏
物流や資本動向を指標とする広域圏。範囲は確定されておらず、概ね愛知県全域、岐阜県(北部を除く)、三重県(伊賀地方全域と、東紀州の一部を除く)、静岡県西部長野県下伊那郡の南西部と木曽郡とも言われていたが、経済動向や交通網の整備など各種要因により拡大の傾向がある。名古屋市の経済界や企業では「中部経済圏」(愛知県、岐阜県、三重県、静岡県の一部)という語を使う場合が多い。
中京交通圏
名古屋駅を中心に半径40kmの地域を指す。首都交通圏、京阪神交通圏と合わせた三大都市交通圏の一つで、国土交通省関連の統計に多く利用される。
中京広域圏
地上波による放送の広域放送圏の一つで、愛知県、岐阜県、三重県の区域を指す。この範囲は東海3県とも呼ばれる。
中京地方
国土地理院をはじめとする官公庁や一般でも時に利用される用語であるが、明確・厳密な区域区分の定義はない用語である。

自然地理[編集]

伊勢湾へ注ぐ揖斐川(左)と木曽川(右)

濃尾平野を中心に名古屋都市圏が広がり、更に太平洋岸の中小規模な平野に都市が連なる。

地質的には北部及び中部が西南日本内帯に属し、それぞれ美濃帯(丹波-美濃帯)、領家帯に区分される。三重県南部及び三河の一部は西南日本外帯に属し、三波川帯及び四万十帯に区分される。

沿岸はプレート境界になっているため、東海地震東南海地震などの警戒区域になっている。

歴史[編集]

古代から平安時代まで

平野部は気候が温暖なので、古代から人類の定住が見られた。特に濃尾平野においては、弥生人の勢力が隆盛を誇った。

律令時代には東海道(初期)や東山道が整備され、関東から畿内北部九州へ向かう防人の通行路となった。

戦国時代

戦国大名が乱立すると、尾張国西三河の二地域からは、織田信長豊臣秀吉徳川家康といった「戦国三大武将(三英傑)」が輩出された。

織田家臣団として信長に仕えた武将には、尾張国や西三河地方の出身者が多く、これらの中には、後に全国各地の藩主となった者も少なからずいる(例:山内一豊前田利家堀尾吉晴など)。

江戸時代

江戸幕府が樹立されると、江戸京都とを結ぶ東海道五十三次中山道六十九次が整備された。主な宿場町には、東海道では岡崎宿池鯉鮒宿桑名宿四日市宿亀山宿などがあり、中山道では大湫宿太田宿加納宿関ヶ原宿などがあった。

また、江戸時代には綿が盛んに生産され、副業として綿織物産業が成立していた。尾張国の桟留縞など、好評を博す地域の名産品も誕生した。尾張藩第7代藩主徳川宗春の代に、現在の大都市としての名古屋の基礎が築かれた。

明治から第二次大戦まで
  • 綿織物生産が隆盛を極め、大阪府に次いで全国二位の綿織物生産量を誇るに至った。濃尾地震の発生とインド綿の輸入に端を発して衰えた綿織物工業は、第一次世界大戦の勃発により毛織物の輸入が途絶えるとともに毛織物工業へと移行し、以後中京圏は国内繊維産業の中心地となった(例:一宮市岐阜市西尾市)。
  • 三重は、古来より揖斐川を境にして西側は近畿文化圏であり、東側は尾張と同じ文化圏であったが、 明治中期の1895年に、木曽三川に橋が架かり鉄道で名古屋へ短時間で移動できるようになると、 桑名四日市などの北勢地域が、名古屋圏に取り込まれた。
第二次大戦後

高度経済成長期以後、特に成長する東京西日本を結ぶ東海道と中山道の交通網が当地域の発展にとって益々重要と考えられるようになり、交通網や都市開発が進められた。このため、特に東海道線沿線は当地域における工業生産の中心地になっていった。

名古屋市に近い岐阜県南部、三重県北部(北勢)との経済的な連関も一層深くなり、伊勢湾岸の中京工業地帯の形成も伴って、「名古屋圏」「中京圏」が確立された。

交通[編集]

鎌倉時代以降、国家的な見地から東西の連結が重視されてきたが、近代においても東西の幹線が重点的に整備された。

主な鉄道[編集]

東海旅客鉄道

名古屋鉄道

近畿日本鉄道

主な道路[編集]

新名神高速道路
高速道路
国道

港湾[編集]

空港[編集]

経済[編集]

農業[編集]

温暖な気候と豊富な日照に恵まれているため、全国一のシェアを誇る電照菊をはじめとする花卉、柑橘類などの果樹、野菜の生産が盛んである。都市近郊では、一戸当たりの耕地面積が小さいが販売金額が大きくなっており、生産性の高さが特色となっている。愛知県では名古屋コーチンをはじめとする、三重県、岐阜県では松阪牛飛騨牛といった肉牛の生産も盛んである。

工業[編集]

太平洋ベルト上に位置しており、伊勢湾岸には日本を代表する工業地帯である中京工業地帯が形成されている。

西三河地方は「トヨタ王国」とも呼ばれており、トヨタ自動車の影響力が非常に強い。

経済圏構想[編集]

なお、近年では、名古屋市を中心とした半径100kmの以内の地域を「グレーター・ナゴヤ」のブランド名で統一して、海外企業を積極的に誘致し、世界有数の産業集積地にすることを目標とした大名古屋経済圏構想もあり、グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ (GNI) と呼ばれる。(関連ページ

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ 伊藤郷平/著「中京圏」『日本大百科全書 第15巻』より(小学館、1985年) ISBN 4-095-26014-9
  2. ^ 『日本地名大辞典 4 中部』(朝倉書店、1968年)
  • 尾留川正平・他/編『日本地誌 第9巻 中部地方総論・新潟県』(二宮書店、1972年) ISBN 4-817-60012-8
  • 尾留川正平・他/編『日本地誌 第12巻 愛知県・岐阜県』(二宮書店、1969年) ISBN 4-817-60012-8
  • 尾留川正平・他/編『日本地誌 第13巻 新潟県・三重県』(二宮書店、1976年) ISBN 4-817-60013-6
  • 溝口常俊/著「中京工業地帯」『世界大百科事典 第18巻』より(平凡社、1988年) ISBN 4-582-02200-6
  • 伊藤郷平/著「中京圏」『日本大百科全書 第15巻』より(小学館、1985年) ISBN 4-095-26014-9
  • 金森久雄・他/編「中京交通圏」『経済辞典 第4版』より(有斐閣、2002年) ISBN 4-641-00207-X
  • 伊藤郷平/著『中京圏』(大明堂、1972年)
  • (参考)ノート:中京圏/参考文献(ノートにおける議論の中で持ち寄られた、参考文献、国土地理院の見解、検索結果等の要約)