人口密度

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人口密度(じんこうみつど)とは、人口統計において、単位面積当たりに居住する人の数により定義される数値である。 都市化、土地利用の度合いなどの目安となる。

概要[編集]

大抵は1平方キロメートルあたりの人口、即ち人口を面積(平方キロメートル)で割った値で表される。

地形については、対象地域内に人の居住できない水域や山岳地を多く含むところでは見かけ上の人口密度は低くなる。代表的な例としては、日本国外では香港、日本では札幌市仙台市静岡市浜松市京都市神戸市北九州市などがある。これらの都市は皆山地を多く含んでいる。また、この欠点を補うものとして可住地面積人口集中地区に対する人口密度という考え方がある。

面積については、小さい方が極端な値になりやすく、広域になるほど平均的になる。これは、例えば、東京中心部の局地的な狭い範囲の過密地区の人口密度(場所によっては2万人弱/km²)と、ある程度の面積規模をもつ東京23区(約14,389人/km²)(2011年3月1日現在)と、周辺部も含めた広い地域(人口密度はさらに低くなる)とでは、人口密度が異なるのに対応する。

この他、例えばシンガポールの場合、面積だけで見れば東京23区に近い広さをもつが、独立した都市国家である特性から、国内に軍用・民間用の空港を多く保有していたり、水源のためのダムや森林地帯を確保するなど土地の利用の仕方が大きく異なっており、実際の居住地域の人口密度は非常に高い例もある。

世界の人口密度[編集]

モルジブの首都であるマレ(左下)は、人口密度が世界一であると言われる。
モンゴルは、国連に加盟している国の中で最も人口密度が低い。

以下に、主な地域の人口密度を示す。2005年度データにて作成。単位は人/km²。ただし、シンガポールなど、極端に面積の小さいものは除いてある。

都市国家や、あまりにも狭小な国の人口密度を語ることは学術面からみて適切でない。そのため、それらは以下の別枠で扱うこととする。

(以下、何年度のデータか不明)

世界の主な都市の人口密度[編集]

  • マレモルディブの首都)35,000 人/km²(世界一とされる)
  • マカオ 18,000 人/km²
    半島部(約8.7km²)で約60,000人弱/km²の人口密度があり、世界でもトップクラスの過密地帯となっている。
  • 香港 6,688 人/km²
    香港は山岳地を多く抱えるため、単純密度は東京23区よりも低いが可住地の人口密度は非常に高い。地区によっては 50,000人/km²を超え、高層マンションなどの集合建築が密集している。
  • ムンバイ(インド、旧名ボンベイ) 27,200人/km²(面積438km²、人口推定1,190万人)
    数百km²と比較的広い面積で2万人/km²以上の密度をもつ。世界でもトップクラスの過密都市。
  • ソウル特別市 (韓国) 17,000人/km²(面積621km²、人口1,028万人)
    東京23区と比較的近い面積をもつ。
  • メトロ・マニラ(フィリピン) 15,600人/km²(面積636km²、人口993万人)
  • 東京23区 14,389人/km²(面積621.98km²、人口895万人)
    もっとも密度が高い特別区は、豊島区で21,870人/km²、次が中野区で20,120人/km²。
  • 大阪市(24区) 11,990人/km²(面積222.30km²、人口267万人)
    もっとも密度が高い区は城東区で20,000人/km²弱。人が集中しやすい区がかなり偏っているため、梅田を抱える北区や、難波や心斎橋を抱える中央区などの夕方から夜間の人口密度は東京の各区を越える。
  • 上海
    人口密度は2,100人/km²だが、上海特別市は面積が6,340km²(群馬県の面積に近い)と広大な為、各区によって人口密度は異なる。

その他、人口過密で知られた地域の人口密度[編集]

ヨーロッパの主な都市の人口密度[編集]

ヨーロッパの都市の人口密度はそれほど高くない。たとえヨーロッパ各国の首都と比べても、むしろ日本の地方都市のほうが高い人口密度をもつ過密状態であることが多い。ただしパリロンドン中心部の限られた範囲において、局所的に東京23区平均を超える高い人口密度が観察される。

  • パリ 20,560人/km²(面積105.40km²、人口216.7万人)
    20,560人/km²は、ブーローニュ、ヴァンセンヌの森を含む人口密度。20区合計のみの密度は 24,928人/km²もっとも密度が高い11区(3.67km²)で40,000人強/km²。
    パリのみでは東京23区を大きく上回る非常に高い人口密度をもつが、市域が100km²強と比較的狭い範囲に限られる。周辺3県を含めた人口密度では、面積723km²(東京23区は621.98km²)に対して8,500人/km²(東京23区は14,389人/km²)と東京23区の6割強ほどの人口密度しかない。
    パリ(1区から20区)は1920年代に人口がピークとなり、最盛期に人口は約290万人、密度は32,000人/km²を超えた。その後、周辺部への人口の拡散で中心部の人口は減少し、現在(2006年末頃)の人口はおよそ217万人ほどになっている。近年は人口減少が底を打ち微増となっている。増加しているのは主に東部の11区や13区、20区といった移民の多いエスニックエリアであり、既にパリ市内では人口のおよそ5人に1人が移民や有色人種、外国籍の人々などで占められていると言われる。
  • ロンドン大ロンドン 4,782人/km²(面積1,579km²、人口755万人)(2005年現在)(インナーロンドン:9,300人/km²、アウターロンドン3,600人/km²)
    もっとも人口密度の高い行政区(特別区、バラ/borough)は中心部の高級ブティック・住宅街のケンジントン&チェルシーで、およそ16,200人/km²である。
    大ロンドンの行政区や人口推移について:大ロンドン(Greater London)とはグレーター・ロンドン・オーソリティ(Greater London Authority)が管轄する行政区である。大きさはやや扁平な直径50km圏をカバーしており、「市」よりは「首都」と呼ぶのが相応しい。管轄域は2つの市(シティ:city)と31の行政区(バラ:London borough)に分かれ、住民登録・行政サービスなどは区役所(London Borough Councils)が扱う。市として区別されるのは『ウェストミンスター』と『シティ』のみ。シティ・オブ・ロンドンは、ロンドン塔周辺の城壁に囲まれた地域のみを指した時期が長く、古くはこの地域のみをロンドンと呼んでいた。これがいわゆる金融街の『シティ』(オブ・ロンドン)である。いっぽう王室・政治の拠点であるウェストミンスターは『シティ・オブ・ウェストミンスター』であり、シティ・オブ・ロンドンと並んで古くから英国の中心都市である。これら2市と中心部5ボローを合わせて「セントラル・ロンドン」と呼ぶ。このほか31ある行政区のうち、とくに2市と12行政区を合わせて「インナー・ロンドン」、その他を「アウター・ロンドン」と区別することが多い。過去のインナーロンドンの人口は1900年代前半には過去最多の840万人余りに達した。過去のドーナツ化現象の指摘もあるが、東京のそれと違って人口移動距離は短く、中心部のセントラル・ロンドンから隣接地区へ移動する程度である。インナー・ロンドン全体の人口密度はアウターロンドンよりも高い。ただしロンドンを管轄する行政区が近年みなおされているため、長期的な人口統計を比較する際、対象エリアの把握に注意が必要である(大ロンドンの項参照)。
    グローバル化やEU統合、移民や留学生の誘致政策により、ロンドンへの外国人の流入が続いている。この影響でネイティブの英国市民の中には、住宅価格・物価が高騰しているロンドンを諦め、郊外または地方都市など「住みやすい」地域へ脱出する者も少なくない(81,500人が流出/2005)。大ロンドン発行のマニフェスト「ロンドン・プラン」のための人口統計によると、ネイティブの流出が続くものの外国人流入がそれを上回り、域内は人口増加傾向にある。2030年頃までに815万人前後にまで到達すると予想する研究者がいる。ロンドンにおいて人口密度が比較的高い理由は、歴史地区が高密度に商業開発されることがなく、古い高級住宅が貴族または高所得者によって継続的に所有・賃貸されている結果と思われる。事実、厳しい開発規制もあって域内の大半の建物が10階建を超えることが稀である。事務所としての利用が限られるこれら古い建築群が住宅として利用されるため、ドーナツ化現象が起きずにむしろ中心部ほど人口密度が高い。アウター・ロンドンにおいては都市の無秩序な拡大を阻止するために設置された森林帯「グリーンベルト」の保護政策などが人口密度に影響している。このほか公共交通機関の未発達も、ロンドン中心部の人口を押し上げている。鉄道・地下鉄の本数・所要時間ともに需要に応えているとは言えないのが現状であり、通勤時間を減らすには中心部に住むしかない。地形の特徴も無視できない。英国は地質学的に世界でも最古の岩盤が表れている地域であり、風雨にさらされた平らな国土が人口密度低下に貢献している。ロンドン中心部では、リージェンツ・パークの北側にある標高わずか64m[1]プリムローズ・ヒルが、平らな土地、低く広がる街並みを見渡せるというので名所になるほど、土地も建物も低いのである。
  • マンチェスター(イギリス):3,815人/km²
  • デュッセルドルフ(ドイツ):2,675人/km²
  • ストラスブール(フランス):3,485人/km²
  • ボローニャ(イタリア):2,643人/km²
  • バレンシア(スペイン):5,981人/km²
  • ストックホルム(スウェーデン):4,125人/km²
  • ウィーン(オーストリア):3,931人/km²
  • デン・ハーグ(オランダ):5,752人/km²
  • コペンハーゲン(デンマーク):5,707/km²(中心部のみ)

日本の人口密度[編集]

日本の人口密度は2005年(平成17年)で343人/km²で、人口1,000万人以上を有する国の中では、バングラデシュ(2005年で985人/km²)、韓国(同493人/km²)、オランダ(同393人/km²)に次いで4番目(注:台湾の627人/km²を含めると5番目)の人口密度をもつ。 ただし近年では日本の人口は減少傾向にあり、また途上国や新興国の人口増加により日本の人口密度を上回る国が増加している(2012年時点では、台湾を含めて9番目になっている)。

人口の偏在[編集]

平野部への偏在
日本は山地を多く含む国であり、人口は都市部や平野部に集中している。日本の過疎地域のデータによれば、2006年4月時点で過疎市町村となっている地域の面積は 204,329km²で全国面積に対する割合は54.1%、そこに居住する人口は約1064万人で全人口に対する割合は 8.3%、この地域での人口密度は52人/km²となっている。逆に、残り45.9%(173,506km²)の地域に、総人口の91.7%(約1億1711万人)の人が住み、この地域での平均密度は675人/km²となる。
太平洋ベルト地帯への偏在
人口の約60%が集中している。
関東地方への偏在
関東地方(一都六県)の場合、人口は約4,150万人(2005年10月)と日本の総人口の約1/3(32%)の人が住み、平均人口密度は1,280人/km²となっている。
都市部・大都市圏への偏在
都市化の目安となる人口集中地区の統計によれば、2000年(平成12年)に、DID地区の面積は12,457km²(新潟県の面積とほぼ同じ)、そこに居住する人口は約8,280万人で総人口の約2/3(65.2%)、この地域での平均人口密度は6,647人/km²となっている。

日本の都道府県の人口密度[編集]

平成17年(2005)国勢調査時のデータ。

地名 人口密度
1 北海道 73
2 青森県 154
3 岩手県 93
4 宮城県 325
5 秋田県 103
6 山形県 133
7 福島県 154
8 茨城県 507
9 栃木県 313
10 群馬県 318
11 埼玉県 1,827
12 千葉県 1,149
13 東京都 5,541
14 神奈川県 3,515
15 新潟県 197
16 富山県 264
17 石川県 282
18 福井県 198
19 山梨県 199
20 長野県 163
21 岐阜県 199
22 静岡県 488
23 愛知県 1,367
24 三重県 306
25 滋賀県 401
26 京都府 574
27 大阪府 4,652
28 兵庫県 661
29 奈良県 391
30 和歌山県 226
31 鳥取県 175
32 島根県 114
33 岡山県 275
34 広島県 340
35 山口県 250
36 徳島県 199
37 香川県 545
38 愛媛県 263
39 高知県 115
40 福岡県 1,009
41 佐賀県 359
42 長崎県 371
43 熊本県 251
44 大分県 193
45 宮崎県 151
46 鹿児島県 194
47 沖縄県 581

上位10位[編集]

下位10位[編集]

日本の主な市町村の人口密度[編集]

平成17(2005)年国勢調査時のデータ。市町村合併などによる人口・面積の変動があった場合は加減を行った上で計算。

上位[編集]

埼玉県蕨市 13,727.45
東京都武蔵野市 12,816.87
東京都狛江市 12,256.49
東京都西東京市 11,970.66
大阪府大阪市 11,835.63
大阪府守口市 11,584.05
東京都三鷹市 10,728.24
大阪府門真市 10,725.24
大阪府豊中市 10,627.35
東京都国分寺市 10,244.25

下位[編集]

北海道滝上町 4.39
北海道上川町 4.16
山梨県早川町 4.15
北海道西興部村 3.97
北海道音威子府村 3.88
北海道中川町 3.54
長野県王滝村 3.53
北海道占冠村 3.18
奈良県上北山村 2.93
北海道幌加内町 2.54
福島県檜枝岐村 1.75

日本の主な区の人口密度[編集]

2009年10月1日の推計人口と、2009年10月1日の国土交通省国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」の面積により人口密度を計算。

上位[編集]

東京都中野区 20,175.75
東京都豊島区 20,107.53
東京都荒川区 19,822.25
大阪府大阪市城東区 19,641.69
東京都目黒区 18,294.63
大阪府大阪市阿倍野区 17,945.74
東京都墨田区 17,762.04
東京都文京区 17,668.17
大阪府大阪市西成区 17,635.24
東京都新宿区 17,438.62

政令指定都市の人口密度[編集]

大阪市 11,972.81
川崎市 9,742.61
横浜市 8,348.41
名古屋市 6,885.44
堺市 5,574.36
さいたま市 5,520.89
福岡市 4,216.68
千葉市 3,481.41
神戸市 2,776.08
北九州市 2,019.55
熊本市 1,885.20
京都市 1,772.33
札幌市 1,693.35
仙台市 1,316.03
広島市 1,288.82
新潟市 1,118.35
岡山市 890.48
浜松市 538.12
静岡市 509.10

その他の用法[編集]

イベントで狭い会場に大人数の人がいる様子を「過密状態」、逆にまばらな様子を 「過疎状態」として表現する。

また、これによってイベントの規模を表現することがある。

脚注[編集]

  1. ^ Ordnance Survey Explorer Map 1:25 000 Scale