ストックホルム

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ストックホルム
Stockholm
スウェーデンの旗
ストックホルムの市旗 ストックホルムの市章
市旗 市章
位置
ストックホルムの位置の位置図
ストックホルムの位置
位置
ストックホルムの位置(スウェーデン南部内)
ストックホルム
ストックホルム
ストックホルム (スウェーデン南部)
ストックホルムの位置(スウェーデン内)
ストックホルム
ストックホルム
ストックホルム (スウェーデン)
ストックホルムの位置(バルト海内)
ストックホルム
ストックホルム
ストックホルム (バルト海)
地図
座標 : 北緯59度20分 東経18度3分 / 北緯59.333度 東経18.050度 / 59.333; 18.050
歴史
成立 1252年
行政
 スウェーデン
 地方 ウップランド地方
  ストックホルム県の旗 ストックホルム県
 市 ストックホルム
市長 アンナ・ケーニグヤールミルスウェーデン語版[1][2]
穏健党
地理
面積  
  市域 188 km2 (73 mi2)
  市街地 381.63 km2 (147.35 mi2)
  都市圏 6,519 km2 (2,517 mi2)
人口
人口 (2021年12月31日現在)
  市域 978,770人
    人口密度   4,600人/km2(12,000人/mi2
  市街地 1,372,565人
    市街地人口密度   5,200人/km2(13,000人/mi2
  都市圏 2,415,139人
    都市圏人口密度   370人/km2(960人/mi2
その他
等時帯 中央ヨーロッパ時間 (UTC+1)
夏時間 中央ヨーロッパ夏時間 (UTC+2)
公式ウェブサイト : https://international.stockholm.se/

ストックホルム(Stockholm [stɔkː(h)ɔlm] ( 音声ファイル))は、スウェーデン首都で、同国最大の都市である。スウェーデン東部のストックホルム県 (Stockholms län) に属する。2021年時点の市の人口は約98万人。

北欧を代表する世界都市でもある。北欧で最多の人口を誇り、バルト海沿岸ではサンクトペテルブルクに次いで第2位。「水の都」、「北欧のヴェネツィア」とも言われ、水の上に浮いているような都市景観を持つ。

2014年にはアメリカ合衆国シンクタンクが公表した、ビジネス人材文化政治などを対象とした総合的な世界都市ランキングにおいて世界第33位の都市と評価された[3]

1912年に第5回夏季オリンピックが開催された[4]。漢字表記は士篤恒須篤保留武

歴史[編集]

1868年頃に熱気球から描かれたストックホルム(西方向を望む)
1890–1900年頃のストックホルムの王立公園

13世紀の半ばに、小島スタツホルメン島[注釈 1]として築かれたのが都市建設の最初である。

1250年代に即位したとされるフォルクンガ王朝初代国王ビルイェル・ヤールが築き、小都市の機能も備えたとされる。戦闘に備えて島を囲むように丸太の柵が巡らされていたために、「丸太の小島」と呼ばれるようになった。これはスウェーデン語で「ストックホルム」と言う。

都市はスタツホルメン島外へ次第に拡大し、近郊の小島などに広がっていった。都市の名も「ストックホルム」として落ち着いた。都市の始まりとして築かれたスタツホルメン島は「ガムラスタン(旧市街)」と呼ばれ、昔ながらの中世の建物が建ち並んでいる。

13世紀中葉以降、バルト海沿岸のハンザ同盟都市との交易で成長。カルマル同盟下で、デンマーク王家にとって重要な都市となっていく。スウェーデンの都市は、他のヨーロッパの都市と比べると小規模で、ストックホルム以外の都市化は遅々として進んでいなかった。

1520年、クリスチャン2世ストックホルムの血浴と呼ばれる独立派の処刑を行う。

この結果として独立運動が高揚、1523年にスウェーデンはグスタフ1世の下でスウェーデン王国として独立し、その首都として人口が増加、1600年には1万人に達する。

17世紀はスウェーデンが列強の一つに成長した時期であり、ストックホルムの人口も1610年から1680年の間に6倍に膨れ上がった。しかし、他国のような人口爆発はスウェーデンにおいては小規模にしか発生せず、都市と言えるような街は他には海港ヨーテボリ(イェーテボリ)くらいしか無かった。スカンディナヴィア(スカンジナビア)の諸都市と国内の諸都市を結ぶ交易を、ストックホルムが独占していく。1710年、この地でもペストが猛威を振るう。さらに大北方戦争の敗北で都市の発展に翳りが見えたが、「自由の時代」を経てグスタフ3世の治世で文化面で「ロココの時代」を迎える。19世紀後半には再び産業の中心都市として復興し、人口も移民の流入で増加する。ストックホルム生まれは市の人口の4割にも達せず、商業などを通じてドイツ人オランダ人などが大量に入植し、ストックホルムの都市化が進んだ。この時期、カロリンスカ研究所など多くの研究機関・大学が創設された。なお、1713年以降の市内のあらゆる種類の建築物の建築図面と計画は2011年、「ストックホルム都市計画委員会のアーカイブ」としてユネスコ世界の記憶に指定された[5]

18世紀以降には直接戦火に巻き込まれなかったため、20世紀以降のストックホルムは現代的な多民族都市へと成長。クララ地区などの古い歴史的町並みは、現代建築に建て替えられていった。ストックホルムの人口は増加を続けているが、それは自然増ではなく移民によって構築されている。最近になって[いつ?]移民が独自のコミュニティを形成し始めている。

経済[編集]

購買平価説に基づき、2020年のストックホルムの一人当たり実質国民総所得は80,120ドルと予測される[6][7]

重化学工業は市内には事実上存在しない。市の雇用を吸収しているのはハイテク産業である。IT産業のセンターは市の北部に形成されている。ストックホルム最大の企業(従業員数)はストックホルムに本社を置く移動体通信メーカーのエリクソンで、およそ8,500人を雇用している。

金融業も発展しており、2020年にイギリスシンクタンクにより、ストックホルムは世界第28位の金融センターと評価されている[8]

地理[編集]

メーラレン湖バルト海に達する場所に位置し、市の中心部はストックホルム諸島 (Stockholm archipelago) を構成する島々の内、14の小島を含む。市の地勢上の中心はリッダー湾に沿っている。市の面積の30%は運河が占め、公園緑地帯も30%を占めている。

交通[編集]

航空[編集]

鉄道[編集]

  • 国鉄
  • SL (Storstockholms Lokaltrafik)
    • 郊外電車 (Pendeltåg)
      • Bålsta - Kungsängen/Märsta- Sollentuna - Karlberg - Stockholm City (T-Centralen) - Älvsjö - Nynäshamn/ - Södertälje hamn - Gnesta/Södertälje Centrum
      • Roslagsbanan
      • Saltsjöbanan
    • 地下鉄 (Tunnelbanan)
      • 「Röda linjen」(赤線) - Mörby centrum - Tekniska Högskolan/Ropsten - Östermalmstorg - T-Centralen - Liljeholmen - Sätra - Norsborg/- Telefonplan - Fruängen
      • 「Gröna linjen」(緑線)- Hässelby strand - Alvik - T-Centralen - Gullmarsplan - Högdalen - Hagsätra/- Skärmarbrink - Skarpnäck/- Hökarängen - Farsta strand
      • 「Blå linjen」(青線) - Akalla/Hjulsta - Västra skogen - T-Centralen - Kungsträdgården
    • トラム (Spårvagnstrafik)
      • Spårväg City
      • Djurgårdslinjen
      • Nockebybanan
      • Lidingöbanan
      • Tvärbanan
  • ストックホルム中央駅 国際列車

海運[編集]

気候[編集]

西岸海洋性気候に属する。高緯度地方のため、1日の日照時間は夏の18時間から12月下旬の6時間まで差が激しい。メキシコ湾流の影響で緯度の割には温暖。年間の降水量は464.9mm。地球温暖化により、冬季の降雪がない年も増えつつある。


ストックホルム(1991~2020)の気候
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
最高気温記録 °C°F 11.1
(52)
12.2
(54)
17.8
(64)
26.1
(79)
29.0
(84.2)
32.7
(90.9)
36.0
(96.8)
35.4
(95.7)
29.0
(84.2)
20.2
(68.4)
14.0
(57.2)
12.7
(54.9)
36
(96.8)
平均最高気温 °C°F 1.0
(33.8)
1.3
(34.3)
4.8
(40.6)
10.9
(51.6)
16.6
(61.9)
20.8
(69.4)
23.7
(74.7)
22.3
(72.1)
16.9
(62.4)
10.1
(50.2)
5.5
(41.9)
2.4
(36.3)
11.4
(52.5)
日平均気温 °C°F −0.9
(30.4)
−1.0
(30.2)
1.6
(34.9)
6.3
(43.3)
11.4
(52.5)
15.7
(60.3)
18.7
(65.7)
17.7
(63.9)
13.1
(55.6)
7.6
(45.7)
3.6
(38.5)
0.6
(33.1)
7.9
(46.2)
平均最低気温 °C°F −2.9
(26.8)
−3
(27)
−1.2
(29.8)
2.6
(36.7)
7.3
(45.1)
11.6
(52.9)
14.9
(58.8)
14.3
(57.7)
10.3
(50.5)
5.4
(41.7)
1.9
(35.4)
−1.2
(29.8)
5.0
(41)
最低気温記録 °C°F −32
(−26)
−30
(−22)
−25.5
(−13.9)
−22.0
(−7.6)
−6.5
(20.3)
0.0
(32)
4.3
(39.7)
2.0
(35.6)
−3.5
(25.7)
−9.0
(15.8)
−18
(0)
−22.5
(−8.5)
−32
(−26)
降水量 mm (inch) 32.7
(1.287)
23.3
(0.917)
24.6
(0.969)
28.0
(1.102)
30.1
(1.185)
52.5
(2.067)
55.4
(2.181)
53.2
(2.094)
41.6
(1.638)
44.5
(1.752)
41.5
(1.634)
37.5
(1.476)
464.9
(18.302)
[要出典]

治安[編集]

欧州連合 (EU) 諸国では一般的に、大都市に住む人は人口の少ない地域に住む人の3倍もの問題を経験しているが、スウェーデンでは2倍以下である[9]。2021年の世界平和指数で、経済平和研究所が「犯罪動向と刑事司法制度の運用に関する国連研究」に基づき、意図的殺人の項目でスウェーデンを1.55(5段階評価)とし、日本の1.15より高いが、少なくともEUではフィンランドの1.8より低く、オランダの1.3やドイツの1.45やデンマークの1.5とほとんど変わらず、アメリカ合衆国の2.75よりはるかに低い。暴力犯罪カテゴリーではレベル2(1 - 5段階)、安全・安心への取り組み不足カテゴリーでは1.46を獲得した[10]。まとめると、暴力犯罪のカテゴリーレベル2であるスウェーデンの人口の少ない地域の2倍弱の治安問題を抱える大都市ストックホルムの治安状況は、日本より悪いがアメリカより良いということである。そして、それがEUの大都市の平均と同程度である[9]

文化[編集]

ストックホルムを舞台にした作品[編集]

ストックホルム出身の人物[編集]

建築[編集]

ストックホルム市庁舎から西のメーラレン湖方向を望む。
ガムラスタン
ストックホルム宮殿

博物館[編集]

スウェーデン国立美術館

劇場[編集]

郊外[編集]

ドロットニングホルム宮殿
  • メーラレン湖の遊覧船 - レストランつきの蒸気船がドロットニングホルム、ビルカ、シグチューナ、マリエフレッド、ストックホルム諸島の島々に就航。季節運航。また、ユールゴーデン周遊などストックホルム市内遊覧コースは頻発。
  • ドロットニングホルム宮殿 (Drottningholms slott) - 世界遺産。
    • ドロットニングホルム宮廷庭園 - 世界遺産。
    • ドロットニングホルム宮廷劇場 (Drottningholmsteatern) - 世界最古の屋内劇場、現役。王立オペラとバレエが使用。世界遺産。
  • ビルカ (Birka) - ヴァイキング時代の遺跡のある島。世界遺産。
  • ホーヴゴーデン (Hovgården) - ヴァイキング期の遺跡。ビルカとともに世界遺産登録。
  • シグチューナ (Sigtuna) - スウェーデンの古い町並みが保存されている。
  • マリエフレド (Mariefred)
  • ストックホルム群島 (Stockholms skärgård)
    • バックスホルム要塞 (Vaxholmskastellet)

スポーツ[編集]

バンディ

対外関係[編集]

姉妹都市[編集]

ストックホルムはどの都市とも正式に姉妹都市提携をしていないが、世界中の首都と協力関係にある。

提携都市[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ メーラレン湖から東のバルト海へ向かう流れが、途中のリッダーフィヨルドへ抜ける狭隘地点に位置する。

出典[編集]

  1. ^ 市長の「ABBA」の歌届かず スウェーデン「8連敗」”. 朝日新聞デジタル (2019年6月25日). 2020年1月13日閲覧。
  2. ^ Political Organisation” (英語). City of Stockholm. 2020年1月13日閲覧。
  3. ^ 2014 Global Cities Index and Emerging Cities Outlook (2014年4月公表)
  4. ^ 立ち上がれ!0メダル県、出生地別メダル獲得数公開”. 日刊スポーツ (2016年8月15日). 2023年3月22日閲覧。
  5. ^ Stockholm City Planning Committee Archives”. UNESCO. 2022年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。
  6. ^ OECD Statistics”. stats.oecd.org. 2022年3月10日閲覧。
  7. ^ GNI per capita, PPP (current international $) | Data”. data.worldbank.org. 2022年3月10日閲覧。
  8. ^ GFCI 27 Rank - Long Finance”. www.longfinance.net. 2020年7月14日閲覧。
  9. ^ a b Fler upplever brottslighet och vandalisering i sitt bostadsområde” (スウェーデン語). Statistiska Centralbyrån. 2022年2月10日閲覧。
  10. ^ Global Peace Index Map » The Most & Least Peaceful Countries” (英語). Vision of Humanity. 2022年2月11日閲覧。
  11. ^ Japanese Tea House Etnografiska Museet
  12. ^ アルヴァ・アールト ヴィラ・マイレアと「床の間」 金顯燮、SADI NEWS 29, THE SCANDINAVIAN ARCHITECTURE AND DESIGN INSTITUTE OF JAPAN 2008

外部リンク[編集]

公式[編集]

日本政府[編集]

観光[編集]