三大怪獣 地球最大の決戦
| 三大怪獣 地球最大の決戦 | |
|---|---|
| Ghidorah, the Three-Headed Monster | |
| 監督 | 本多猪四郎(本編) 円谷英二(特撮) |
| 脚本 | 関沢新一 |
| 製作 | 田中友幸 |
| 出演者 | 夏木陽介 星由里子 若林映子 小泉博 ザ・ピーナッツ 伊藤久哉 沢村いき雄 佐原健二 平田昭彦 志村喬 |
| 音楽 | 伊福部昭 |
| 編集 | 藤井良平 |
| 配給 | 東宝 |
| 公開 | |
| 上映時間 | 93分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 日本語 |
| 興行収入 | 2億1千万円 |
| 前作 | モスラ対ゴジラ |
| 次作 | 怪獣大戦争 |
| allcinema | |
| キネマ旬報 | |
| AllRovi | |
| IMDb | |
『三大怪獣 地球最大の決戦』(さんだいかいじゅう ちきゅうさいだいのけっせん)は1964年(昭和39年)12月20日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第5作。製作、配給は東宝。総天然色、東宝スコープ。上映時間は93分。
注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。
目次 |
[編集] 概要
1964年12月公開予定だった『赤ひげ』(黒澤明監督)の撮影が長引いたため、正月興行用に急遽制作された作品である。ゴジラ映画で正月興行はシリーズ初のことだった。このようないきさつで、1964年(昭和39年)はゴジラ映画が二本制作された唯一の年となった。シリーズ最大の悪(敵役)とされているキングギドラが誕生した作品であり、また、『空の大怪獣ラドン』と『モスラ対ゴジラ』の直接的な続編にもあたる。観客動員数は541万人、興行収入は2億1千万円。
タイトルの「三大怪獣」とは、キングギドラは含まず、地球の三大怪獣ゴジラ・ラドン・モスラのことを指している。[1]
ゴジラが正義の側になった(ただし、モスラのように完全な「人間の味方」ではない)、つまり、これ以前とは立場を変えることになった作品である。同時に、常に「人類の脅威」であるゴジラを描くという作品姿勢も転機を迎え、以降のゴジラシリーズは怪獣同士の格闘劇が主になっていく。
[編集] ストーリー
異常気象に見舞われた日本。1月なのに猛暑が続き、連夜流星群が地球に飛来するなか、一つの巨大な隕石が黒部ダム近くに落下した。時を同じくして、警視庁の進藤刑事は極秘来日するセルジナ公国のサルノ王女の護衛を命じられたが、王女を乗せた飛行機は暗殺者の仕掛けた爆弾により墜落。その後、金星人と名乗り地球の危機を訴える男装の女性が東京に現れ、ラドンの復活やゴジラの出現を予言するが、信じる者はいなかった。
進藤は、その女性が死亡したはずのサルノ王女だと確信し、単独で捜査を開始。その頃日本に来ていた小美人たちは、予言を信じて船に乗るのを避ける。進藤の妹の直子は“金星人”を保護して横浜市内のホテルに宿泊したが、セルジナから来た暗殺者の一味も彼女を王女と見抜き、ホテルを襲撃する。そこへ、予言通り阿蘇山から出現したラドンと船を襲って海から現われたゴジラが上陸して戦闘を開始、小美人たちの機転もあって暗殺者たちの計画は失敗する。
進藤たちは、サルノ王女の精神疾患を疑い、彼女を富士山麓にある精神医学の権威・塚本博士の研究所へ連れて行くが、診察の結果は正常と出た。実は王女には、地球へ逃れてきた金星人の血が流れており、それがよみがえって予知能力を発揮していたのだ。彼女は、5000年前に金星を滅ぼした宇宙最強の怪獣キングギドラが姿を現すと語る。その言葉通り、黒部ダムの隕石からキングギドラが誕生した。
日本各地を荒らし回るギドラに対抗するため、小美人はインファント島の守護神モスラを呼ぶが、単独では勝ち目は無い。戦い続けるゴジラとラドンに対し、モスラは協力して共に戦うよう説得する。当初はこれを拒否した2頭だが、やむをえず単身戦いを挑むモスラの悲壮な姿に共闘を決意、3頭からの攻撃を受けたキングギドラは、ついに空の彼方へ逃げ去る。王女一行を追って訪れていた暗殺団も戦いに巻き込まれ全滅し、王女も元に戻った。
全てが終わった時、王女は進藤に抱いた淡い恋心を明かし、静かにセルジナへ去ってゆく。
以上で物語・作品・登場人物に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 登場キャラクター
[編集] 金星人
高度な文明を誇っていたが、5000年前にキングギドラによって滅ぼされた。地球に落ち伸びた末裔であるサルノ王女に、霊魂となって警告を与える。サルノ王女の本名は「マアス・ドウリナ・サルノ」といい、「まあ、素通りなさるの?」と引っかけた言葉遊びである。
[編集] 宇宙超怪獣 キングギドラ
詳細は「キングギドラ」を参照
デザインは渡辺明、頭部造形は利光貞三、胴体は八木寛寿、八木康栄による。演技者は広瀬正一[2]。
有川貞昌によると、円谷英二は狛犬を熱心に観察して、ギドラの顔に東洋の龍のイメージを採り入れている。最初に仕上がったキングギドラの体色は金色ではなく青色で、翼が赤・黄・青のグラデーションになっていた。また引力光線も、当初は公開時のスチール写真のように尾を引いて延びる炎のイメージだったが、3本の首の偶発的な動きとつじつまを合わせるために、映像ではギザギザの稲妻状に変更されている。たてがみは麻、翼は針金の芯に天竺布を張って作られた。
3本の首、巨大な翼、2本の尻尾を持ち、人間が入るタイプではそのピアノ線操演のために約25名前後の人員が必要だった。また重量は80kgほどあったといい、飛行シーンのほとんどは、3尺ほどのギニョールで撮影されている。
東京タワーと、当時完成して3年目の横浜マリンタワーがキングギドラの光線で倒壊するカットがある。鳴き声は頭の数に合わせ、3種類の金属音が作られ、のちに『ウルトラマン』や『戦え! マイティジャック』などで科特隊やMJ基地の電話音に流用されている。
[編集] 水爆大怪獣 ゴジラ
詳細は「ゴジラ (架空の怪獣)」を参照
演技者は中島春雄 。前作『モスラ対ゴジラ』で製作されたゴジラの流用。眼球はリモコン操作で左右に動くよう改造されており、その際につけ直した頭が少し上向きになっている。このゴジラは2年後の『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』のプール撮影用に流用されている。
本作におけるゴジラの熱線は、海上のシーンで光学合成されたのを除いて、全て2尺サイズのギニョールを使っての霧状スプレーで表現されている。また、ゴジラはキングギドラとの戦いでは熱線を使っていない 。他に本作では海で数頭のゴンドウクジラが泳いでいる背後にゴジラが出現するという、ゴジラの食性を類推させる登場シーンが描写されている(クジラもミニチュアで再現されている)。
撮影後、このゴジラは都内や名古屋の百貨店、大阪球場などでのキャンペーン巡業に使われた。“初めて生のゴジラを見られる”と集まった観衆で大盛況の様子が映像や写真資料に残されている。この際の演技者は中島春雄で、補佐として造形スタッフの開米栄三が付いた。この巡業の際に、表皮のヒダ(ウレタン製)を記念にむしって持ち帰るファンが多く、これは以後の再出演した作品に見られる「ヒダの流れの狂い」の原因となった。
本作で使用したゴジラのぬいぐるみは、1965年(昭和40年)に円谷特技プロに貸し出され、テレビ番組『ウルトラQ』(TBS)に登場する怪獣ゴメスに改造された。改造は井上泰幸、開米栄三らが行った。
さらに返却後元に戻され、1966年(昭和41年)5月に上野赤札堂デパートで開催された「怪獣展」で、頭だけ『怪獣大戦争』(1965年)のゴジラのものとすげ替えられ展示された。その後、8月に再び円谷特技プロに貸し出され、テレビ映画『ウルトラマン』(TBS)で開米によって怪獣ジラースに改造された。
[編集] 空の大怪獣 ラドン
詳細は「ラドン (架空の怪獣)」を参照
本作のための新造形。頭部造形は利光貞三、胴体は八木寛寿、八木康栄による。演技者は宇留木耕嗣 。口と目玉がリモコンで動く。円谷英二はラドンの翼を鳥のように折りたためないかと要望したが、上手くいかず断念している。
細かい表情やゴジラとの対決シーンのほとんどは、2尺サイズの棒操り式のギニョールが使われている。大型の飛行ミニチュアも用意され、劇中ではモスラの幼虫を背中に乗せて飛行するという芸当を見せた。2尺大の飛行ミニチュアは、ゴジラと併せて円谷特技プロに貸し出され、『ウルトラQ』に登場する怪鳥リトラに改造された。改造は井上泰幸。返却されたこのミニチュアは、『南海の大決闘』(1966年)で利光らによって「大コンドル」に改造され登場した。
[編集] モスラ(幼虫)
詳細は「モスラ (架空の怪獣)」を参照
1体しか登場せず、劇中で小美人に「もう1匹は死んでしまった」と説明されている。前作『モスラ対ゴジラ』での、自走式と操演用の2種の造形物の流用。
[編集] スタッフ
[編集] 本編
- 製作:田中友幸
- 脚本:関沢新一
- 音楽:伊福部昭
- 撮影:小泉一
- 美術監督:北猛夫
- 録音:矢野口文雄
- 照明:小島正七
- 編集:藤井良平
- チーフ助監督:佐野健
- 製作担当者:中村茂
- 監督助手:橋本幸治
- 整音:下永尚
- 音響効果:知久長
- スチール:田中一清
- 現像:東京現像所
- 監督:本多猪四郎
[編集] 特殊技術
[編集] 特殊視覚効果
[編集] 挿入歌
[編集] キャスト
- 進藤刑事:夏木陽介
- 進藤直子:星由里子
- 村井助教授:小泉博
- 塚本博士:志村喬
- 小美人:ザ・ピーナッツ
- サルノ王女 / 金星人:若林映子
- マルメス:伊藤久哉
- 暗殺団手下:黒部進、伊吹徹、鈴木和夫
- 沖田刑事課長:平田昭彦
- 金巻班長:佐原健二
- 調査隊隊員:野村浩三、三浦敏男、古谷敏、今井和雄、黒木順
- 寿山号船長:田島義文
- 老臣:天本英世
- インファント島長老:小杉義男
- 自治大臣:高田稔
- 進藤の母サト:英百合子
- 小牧記者:加藤春哉
- 漁師:沢村いき雄
- 防衛大臣:富田仲次郎
- 国会議員:石田茂樹
- 安楽椅子の男:大友伸
- 新郎:中山豊
- 帽子拾いの男:大村千吉
- 円盤クラブ会長:松本染升
- TVの司会者:青空千夜・一夜
- TV出演の子供:中島孝平、鏑木滝義
- 村人:広瀬正一、勝本圭一郎
- 円盤クラブのYシャツの男:ヘンリー・大川
- 国会議員:向井淳一郎、古田俊彦
- 村の警官:池田生二
- 火山研究所職員・村人:澁谷英男
- ゴジラ:手塚勝巳
- ホテルマン:宇野晃司
- やじうま:井上大助、門脇三郎、越後憲三、伊原徳
- 新婦:浦山珠実
- 国務大臣:熊谷卓三
- 国会議員:津田光男
- 新聞記者:勝部義夫
- 寿山号船員:坪野鎌之
- 電力会社社員:岡豊
- ゴジラ:中島春雄
- ラドン:宇畄木耕嗣
- キングギドラ:広瀬正一、坂本晴哉
※映画クレジット順
※以下クレジット表記なし
- 国務大臣・記者:日方一夫
- 円盤クラブ会員・村人:記平佳枝
- 円盤クラブ会員:土屋詩朗、夏木順平
- 円盤クラブ会員・大戸島人民・大臣:安芸津宏
- 円盤クラブ会員・サルの王女の侍女・渋谷駅前の都民・喫茶店の客テレビの視聴者:川口節子
- 上野公園の野次馬:緒方燐作
- 上野公園の野次馬・横浜の避難民:鈴川二郎
- 阿蘇山の観光客・上野公園の野次馬:高野文子
- 上野公園の野次馬:篠原正記
- 上野公園の野次馬・記者:光秋次郎、松下正秀
- テレビのアナウンサー:池谷三郎
- 公開番組の観客・松本の避難民・喫茶店の客・展望台の観光客:西條竜介
- 喫茶店の客・テレビの観客:河辺昌義
- テレビの視聴者:山口博義
- 喫茶店のボーイ:久野征四郎、大塚秀男、中西英介
- 「20世紀の神話」制作班員:伊藤実、谷和子
- 阿蘇山の観光客・上野公園の記者:加藤茂雄
- 塚本博士の助手:砂川繁視、吉頂寺晃、岡部正
- TVカメラマン:荒木保夫
- 総理大臣:山田圭介
- インファント島の島民・大臣:草間璋夫
- 大臣:生方壮児
- 上野公園の野次馬・村の警官・円盤クラブ会員:小松英三郎
- 寿山号の作業員:吉田静司
- 記者・横浜の避難民:天見竜太郎
- 松本(阿蘇山の観光客):橘正晃
- 阿蘇山の観光客:松原靖
- 記者:山路恵介
- 飛行機から降りる外人:エンベル・アルテンバイ
- 円盤クラブ会員・塚本博士の助手:小沢憬子
- インファント島島民・飛行機から降りる女:毛利幸子
- 警察官・TVを見る男:由起卓也
[編集] 映像ソフト化
- 8mmフィルム
- 『宇宙怪獣キングギドラ』として抜粋映像を編集したものが1972年頃に東宝から発売された。解説音声の入ったソノシート、絵本をセットにしたもの。
- DVD
- 単品版(2001年12月21日発売)
- 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の公開に合わせて発売。上記の「宇宙怪獣キングギドラ」が特典収録されている。字幕表示では、差別用語の部分を使わないよう配慮されている。サルノ女王に対する「あんなきちがいの…」という台詞が「あんな女の」となっている。BS2で放映された際には、該当する台詞の音声は消されていた。
- 「GODZILLA FINAL BOX」(2005年4月22日発売)
- 「ゴジラ DVDコレクションII」(2008年2月22日発売)
- トールケース版での発売の際に同梱された。
- 単品版(2001年12月21日発売)
- ブルーレイディスク(2010年3月19日発売)
[編集] 併映作品
- 原案:戸板康二/脚本:田波靖男、山本嘉次郎/監督:山本嘉次郎/主演:植木等
- クレージー映画と特撮映画の2本立ては、1963年の『クレージー作戦 くたばれ!無責任』と『大盗賊』、『香港クレージー作戦』と『海底軍艦』に次いで3回目だが、怪獣映画との2本立ては唯一。
[編集] 再上映
- 「東宝チャンピオンまつり」(1971年冬興行)
- 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦』と改題されリバイバル上映された。この際、オリジナルネガ原盤を再編集し、短縮版が作られた。のちに復元されたが、同じく再編集された劇場用予告編は、オリジナルが現存していない。
- 同時上映は『帰ってきたウルトラマン』『いなかっぺ大将』『昆虫物語 みなしごハッチ』『マッチ売りの少女』(人形アニメ)の4本。
- 「ゴジラ映画大全集」(1979年夏興行)
- 東宝が全国5劇場で行ったリバイバル特集の番組の一つとして、8月5日に上映された。
[編集] 海外公開版
ハリウッド資本に買い取られ、『Ghidorah, the Three-Headed Monster』とキングギドラを謳う題名となっている。アメリカ側で再編集され、ゴジラが太平洋に出現した際、ラドンが上空へ飛来したことになっている。なお、音楽も一部差し替えられている。キングギドラが滅ぼした文明は5000年前の金星ではなく3000年前の火星に変更されている。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- 『モスラ対ゴジラ』(1964年)
- 横浜のシーンで、この『モスラ対ゴジラ』に登場した「ハッピー興行社」の看板が見られる。
- 『さよならジュピター』(1984年)
- 劇中でゴジラとキングギドラの映像が使われている。
[編集] 参考文献
- 『東宝特撮映画全史』(東宝)
- 『東宝SF特撮映画シリーズ2』(東宝)
- 『大ゴジラ図鑑1・2』(ホビージャパン)
- 『特撮魂 東宝特撮奮戦記』(洋泉社)
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