三大怪獣 地球最大の決戦

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
三大怪獣 地球最大の決戦
Ghidorah, the Three-Headed Monster
監督 本多猪四郎(本編)
円谷英二(特撮)
脚本 関沢新一
製作 田中友幸
出演者 夏木陽介
星由里子
若林映子
小泉博
ザ・ピーナッツ
伊藤久哉
沢村いき雄
佐原健二
平田昭彦
志村喬
音楽 伊福部昭
撮影 小泉一(本編)
有川貞昌(特撮)
富岡素敬(特撮)
編集 藤井良平
配給 東宝
公開 日本の旗 1964年12月20日
上映時間 93分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
興行収入 2億1千万円
前作 モスラ対ゴジラ
次作 怪獣大戦争
テンプレートを表示
ラドン出現シーンは「阿蘇山」火口でロケされた。本作公開直前の10月に運行開始されたばかりの「マウントカー」も登場する
キングギドラに壊される「東京タワー」
キングギドラに壊される「松本城」。松本市内でロケが行われた。
キングギドラの引力光線で倒される「横浜マリンタワー」

三大怪獣 地球最大の決戦』(さんだいかいじゅう ちきゅうさいだいのけっせん)は、1964年(昭和39年)12月20日に公開された日本映画。「ゴジラシリーズ」の第5作であり、『空の大怪獣ラドン』と『モスラ対ゴジラ』の直接的な続編にもあたる。製作、配給は東宝総天然色東宝スコープ。併映作品は『花のお江戸の無責任[1]。観客動員数は541万人、興行収入は2億1千万円。

概要[編集]

1964年12月公開予定だった『赤ひげ』(黒澤明監督)の撮影が長引いたため、正月興行用に急遽制作された作品である。ゴジラ映画で正月興行はシリーズ初のことだった。このようないきさつで、1964年(昭和39年)はゴジラ映画が2本制作された唯一の年となった。

ゴジラが正義の側になった(ただし、モスラのように完全な「人間の味方」ではない)、つまり、これ以前とは立場を変えることになった作品である。同時に、常に「人類の脅威」であるゴジラを描くという作品姿勢も転機を迎え、以降のゴジラシリーズは怪獣同士の格闘劇が主になっていく。

シリーズ最大の悪(敵役)とされているキングギドラが誕生した作品でもある。タイトルの「三大怪獣」とは、キングギドラは含まず、地球の三大怪獣ゴジララドンモスラのことを指している[2]。今作では、地球側の怪獣3体が、互いに種族は違うものの、鳴き声などを通じて明確な意思疎通を行っている。

怪獣の最終決戦地は前々作『キングコング対ゴジラ』でも採用された富士山麓周辺で、輸出を意識したロケーションとなっている。このような「富士山を背景にしたクライマックスシーン」は次回作『怪獣大戦争』や更に後年の『怪獣総進撃』でも見られ、いわゆる「お約束的な場面」を確立した。

東京タワーと、当時完成して3年目の横浜マリンタワーがキングギドラの光線で倒壊するカットがある。

本作のストーリーは『ローマの休日』から強く影響を受けている[2]

ストーリー[編集]

異常気象に見舞われた日本。1月なのに猛暑が続き、連夜流星群が地球に飛来するなか、1つの巨大な隕石黒部ダム近くに落下した。時を同じくして、警視庁の進藤刑事は極秘来日するセルジナ公国のサルノ王女の護衛を命じられたが、王女を乗せた飛行機は暗殺者の仕掛けた爆弾により墜落。その後、金星人と名乗り地球の危機を訴える男装の女性が東京に現れ、ラドンの復活やゴジラの出現を予言するが、信じる者はいなかった。

進藤は、その女性が死亡したはずのサルノ王女だと確信し、単独で捜査を開始。その頃日本に来ていた小美人たちは、予言を信じて船に乗るのを避ける。進藤の妹の直子は“金星人”を保護して横浜市内のホテルに宿泊したが、セルジナから来た暗殺者の一味も彼女を王女と見抜き、ホテルを襲撃する。そこへ、予言通り阿蘇山から出現したラドンと船を襲って海から現われたゴジラが上陸して戦闘を開始し、小美人たちの機転もあって暗殺者たちの計画は失敗する。

進藤たちは、サルノ王女の精神疾患を疑い、彼女を富士山麓にある精神医学の権威・塚本博士の研究所[3]へ連れて行くが、診察の結果は正常と出た。実は王女には、金星人滅亡を避けて地球へ逃れてきた金星人の血が流れており、それがよみがえって予知能力を発揮していたのだ。彼女は、5000年前に金星を滅ぼした宇宙最強の怪獣キングギドラが姿を現すと語る。その言葉通り、黒部ダムの隕石からキングギドラが誕生した。

日本各地を荒らし回るギドラに対抗するため、小美人はインファント島の守護神モスラを呼ぶが、単独では勝ち目は無い。戦い続けるゴジラとラドンに対し、モスラは協力して共に戦うよう説得する。2頭は当初これを拒否するが、やむをえず単身戦いを挑むモスラの悲壮な姿に共闘を決意する。3頭からの猛攻を受けたキングギドラは、ついに空の彼方へ逃げ去る。王女一行を追って訪れていた暗殺団はキングギドラが起こした落石によって全滅し、王女も元に戻った。

全てが終わった時、王女は進藤に抱いた淡い恋心を明かし、静かにセルジナへ去ってゆく。

戦いを終えたモスラも海を渡ってインファント島へと帰り、初めて人類との争いを避けることが出来たゴジラとラドンが岸から高らかな声を上げて見送った。

登場キャラクター[編集]

進藤
警視庁刑事。来日するサルノの護衛を命じられた。サルノの乗った航空機は墜落したものの、彼女に良く似た、金星人を名乗る謎の女性と出会う。調査の末に、金星人が何らかの理由で記憶が混乱しているサルノ本人であると知ると護衛の任務に付き、やがてキングギドラの脅威と王女暗殺計画に巻き込まれていく。
進藤直子
進藤刑事の妹で雑誌記者。金星人を名乗る女の噂を聞き、兄とは別の形で彼女にアプローチするが、後に合流して共にキングギドラの脅威へと立ち向かう。
村井
帝都工大の助教授で、黒部に落下した隕石に遭遇し、その調査をしていた科学者。隕石からキングギドラが出現したのを目撃し、かつて取材を受けた直子と共に金星人を名乗るサルノを追って行動する。
塚本
富士山麓に研究所を開いている、精神医学の大家。警視庁からの依頼を過去に何度もこなしており、記憶の混乱したサルノの検査を進藤に頼まれる。検査を進めるうち、やがてサルノがただの精神疾患ではないことに気づいていく。
マアス・ドオリナ・サルノ王女
セルジナ公国の王女。来日する予定だったが、公国にはサルノの暗殺を企む一派がおり、その一員であるマルネスの陰謀によって乗っていた航空機が墜落したため、行方不明となっていた。しかし、謎の声に導かれて墜落から生還しており、以後は自らを金星人の預言者と名乗り奇妙な行動をとり続ける。
正体は5000年前、キングギドラによって滅ぼされた金星文明から地球に脱出してきた金星人の末裔の1人。キングギドラの地球襲来に際し、その祖先の霊魂がサルノの身体を借りて目覚めて予言能力を体得し、キングギドラの脅威を地球人に伝えようと奮闘するようになった。マスメディアを使ってより多くの人に呼びかける、といった方法には思い当たらず、ひたすら道端で市井の人々を相手に演説するという非効率な方法をとらざるを得ない状態を続けていた。
「マアス・ドウリナ・サルノ」という名は、「まあ、素通りなさるの?」という言葉を引っかけた言葉遊びである。
マルメス[4]
セルジナ公国内の、王女暗殺を目論む一派のエージェント。サルノの乗った航空機を爆破したが、彼女の生存を察知するとボスである安楽椅子の男の指示に従って来日し、銃器を用いて直接暗殺しようとする。キングギドラの起こした落石によって部下を失い、自身も負傷したまま生還したうえ、最後はサルノと進藤を殺害しようとするが、再びキングギドラが起こした落石によって死亡した。
脚本などでは、「黒眼鏡の男」としか表記されていない。
小美人
インファント島の守り神モスラと心を通わせる、2人の小さな美女。今作では日本のテレビ局の依頼を受け、モスラに会いたいという子供達の願いをかなえるためにテレビ番組に出演していた。そのまま島に帰るはずだったが、金星人=サルノの予言を信じて日本に残留する。キングギドラの襲来を受け、モスラを再び日本に呼び寄せる。
モスラや怪獣の言葉をテレパシーを通じて解読できるため、モスラとゴジラ・ラドンの会談の内容を通訳してみせた。

スタッフ[編集]

本編[編集]

特殊技術[編集]

特殊視覚効果[編集]

挿入歌[編集]

キャスト[編集]

※映画クレジット順

映像ソフト化[編集]

  • 8mmフィルム
    • 『宇宙怪獣キングギドラ』として抜粋映像を編集したものが1972年頃に東宝から発売された。解説音声の入ったソノシート、絵本をセットにしたもの。
  • DVD
    • 単品版(2001年12月21日発売)
      • ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の公開に合わせて発売。上記の「宇宙怪獣キングギドラ」が特典収録されている。劇場予告編はオリジナル紛失のため、下記の『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 地球最大の決戦』版の予告編が収録されている。字幕表示では、差別用語の部分を使わないよう配慮されている。中山豊演じる新郎のサルノ王女に対する「あんなキチガイの…」という台詞が「あんな女の」となっている。また、大村千吉演じる帽子拾い屋が「キチガイめ!」と叫ぶシーンでは「キチガイめ!」の字幕のみ消去され、田島義文演じる船の船長の「すぐそのキチガイ…」というセリフが「すぐそいつ」に変えられている。BS2で放映された際には、該当する台詞の音声は消されていた。
    • 「GODZILLA FINAL BOX」(2005年4月22日発売)
    • 「ゴジラ DVDコレクションII」(2008年2月22日発売)
      • トールケース版での発売の際に同梱された。
  • BD(2010年3月19日発売)

再上映[編集]

海外公開版[編集]

ハリウッド資本に買い取られ、『Ghidorah, the Three-Headed Monster』とキングギドラを謳う題名となっている。アメリカ側で再編集され、ゴジラが太平洋に出現した際、ラドンが上空へ飛来したことになっている。音楽も一部差し替えられている。キングギドラが滅ぼした文明は、5000年前の金星ではなく3000年前の火星に変更されている。

脚注[編集]

  1. ^ クレージー映画と特撮映画の2本立ては、1963年の『クレージー作戦 くたばれ!無責任』と『大盗賊』、『香港クレージー作戦』と『海底軍艦』に次いで3回目だが、怪獣映画との2本立ては唯一。
  2. ^ a b 『ゴジラ大辞典』 笠倉出版社2004年、313頁。ISBN 4773002921 
  3. ^ 研究所の車のナンバーが山梨ナンバーなので所在地は山梨県の可能性が高い
  4. ^ DVDの日本語字幕では「マルス」と誤記されている。
  5. ^ a b 役名はDVDの字幕表示による。
  6. ^ 本作のDVDオーディオコメンタリー及び、特典『ゴジラ道』での中島春雄の証言によると広瀬正一。同じく特典の東宝俳優図鑑では坂本晴哉と表記。同作の特典の『メイキング8mmフィルム』では、撮影現場に坂本の姿がある。しかし、2014年3月15日神保町シアターで開催された中野昭慶川北紘一トークショーによる証言では宇畄木耕嗣が正しいとされる。中野自身がキャスティングしたが、キングギドラの撮影初日に宇畄木が来ず、調べたら黒澤映画のエキストラ役として勝手に連れて行かれており、黒澤組チーフ助監督の森谷司郎と大喧嘩して連れて帰ってきたと発言。また、当時撮影助手をしていた川北は、よく言われる広瀬は身長が小さいのでキングギドラ役は無理だと思うと発言した。

参考文献[編集]

  • 『東宝特撮映画全史』(東宝)
  • 『東宝SF特撮映画シリーズ2』(東宝)
  • 『大ゴジラ図鑑1・2』(ホビージャパン)
  • 『特撮魂 東宝特撮奮戦記』(洋泉社)

関連項目[編集]

  • モスラ対ゴジラ』(1964年)
    • 横浜のシーンで、この『モスラ対ゴジラ』に登場した「ハッピー興行社」の看板が見られる。
  • さよならジュピター』(1984年)
    • 劇中でゴジラとキングギドラの映像が使われている。
  • 聖飢魔II
    • デビュー以前より黒ミサの出囃子として本作のメインテーマが使用されている。

外部リンク[編集]