ゴジラ対メカゴジラ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
ゴジラ対メカゴジラ
Godzilla vs. Mechagodzilla
監督 福田純(本編)
中野昭慶(特撮)
脚本 山浦弘靖
福田純
原作 関沢新一
福島正実
製作 田中友幸
出演者 大門正明
青山一也
田島令子
ベルベラ・リーン
松下ひろみ
平田昭彦
小泉博
睦五郎
岸田森
音楽 佐藤勝
主題歌 ミヤラビの祈り
ベルベラ・リーン
撮影 逢沢譲(本編)
富岡素敬(特撮)
山本武(特撮)
編集 池田美千子
配給 東宝
公開 日本の旗 1974年3月21日
上映時間 84分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
前作 ゴジラ対メガロ
次作 メカゴジラの逆襲
テンプレートを表示
ロケに使われた「那覇東急ホテル」
宇宙人の基地のロケに使われた「玉泉洞

ゴジラ対メカゴジラ』(ゴジラたいメカゴジラ)は1974年(昭和49年)3月21日に「東宝チャンピオンまつり」の一篇として、東宝の製作・配給のもと東宝映像が制作し、公開された日本特撮映画。「ゴジラシリーズ」の第14作。カラー、シネマスコープ。上映時間は84分。観客動員数は133万人。

概要[編集]

ゴジラ誕生20周年記念映画。翌1975年開催予定の沖縄国際海洋博覧会に絡め、沖縄本島を舞台として製作された。沖縄県は2年前の1972年に日本へ返還されたばかりであり、ひときわ注目を集めていた時期に当たる。

公開時のキャッチコピーは、「宇宙をとびミサイルを撃ち込む! 全身が武器の凄いゴジラが現れた!」。

本作の原型となった『大怪獣沖縄に集合!残波岬の大決斗』ではメカゴジラが登場しない内容になっており、その時点ではゴジラ、モスラ、アンギラス、新怪獣の「機械怪獣ガルガン」と「ガルガ星人」が登場予定で[1]、キングシーサーを眠りから呼び覚ます「那美」がこの脚本に初登場しており、設定はそれぞれキングシーサーやメカゴジラに受け継がれた。メカゴジラの登場が決まった検討用台本時のタイトルは『残波岬の大決斗 ゴジラ対メカゴジラ』では、侵略者R星人の尖兵のガイガンとメカゴジラにゴジラがキングバルカン(キングシーサー)とともに立ち向かうという内容だった[1]

本作では日本が舞台にもかかわらず、怪獣作品で恒例の逃げる人々や兵器車両はおろか、自衛隊をはじめ防衛軍や防衛隊の類も一切登場しない。また、在日米軍も一切登場しない[2]。検討用台本では防衛軍と在日米軍が出動する描写があった[1]

特撮スタッフは中野昭慶が特技監督を務めるほか、『流星人間ゾーン』などテレビ作品の仕事を終えた川北紘一が『ゴジラ対ヘドラ』以来3作ぶりに復帰した。特大ヒットとなった『日本沈没』の後だけに、川北も「熱が入った」と語っており、「『日本沈没』で中野特撮を観たお客さんが多数来るはずだから、チンケなものは出来ないはずだ」と中野監督に進言し、スタッフに加わっている。川北は新怪獣「メカゴジラ」の設定全般を担当したほか、本編班と特撮班を掛け持ちして本作を支えている。

川北によれば、特撮美術の予算は『ゴジラ対ヘドラ』とほぼ同額で、主だったセット以外にミニチュアを組む余裕がなかったという。本編に目を向けると、沖縄ロケはすべてタイアップであり、この部分に東宝は予算を負担していない。フェリーでのアクション撮影に至っては沖縄へ向かう途中の船上で行っており、「予算ばかりか時間もない」(川北談)という製作状況だった。だが、この川北の発言とは逆に特技監督の中野昭慶は、「『日本沈没』の大ヒットを受けて、前2作よりもかなり予算を上積みしてもらえた」と度々コメントしている。このように必ずしも潤沢とは言えない状況下で制作されたが、川北は「カラフルな光線技と中野監督による派手な爆発で、『ゴジラ対ヘドラ』と同額予算での製作には見えない迫力は出せたと思う」と評している。

各方面とのタイアップに裏打ちされ、主人公たちが滞在する那覇東急ホテルや九州・沖縄航路の豪華フェリーなど、当時の沖縄観光の各種風物が記録され、画面に彩りを添えた。また、「軽く触る」程度ではあるが、国頭天願の台詞を通じてウチナンチュ(沖縄人)の日本本土に対する複雑な感情にも触れられている。演出面では、アクション映画に実績のあった福田純監督によって国際警察の様々な小道具も登場する、スパイ映画風味のサスペンスドラマに仕上げられている。

『流星人間ゾーン』や前作『ゴジラ対メガロ』で多々見られた「子供向け」のコミカルな描写はやや影を潜めている。逆に、『ゴジラ対ヘドラ』(坂野義光監督、1971年)以降に増加した残虐、過激な描写はさらにエスカレートし、円谷英二が決して描かなかった流血シーンや、メカゴジラの猛攻の前にゴジラが絶命したのではないかと思わせる場面まで描かれた。ゴジラが沖縄に上陸する場面では、「丘の稜線からゴジラの巨大な頭部が徐々に姿を現す」という、第1作『ゴジラ』(本多猪四郎監督、1954年)での大戸島上陸シーンを思わせる構図も見られ、演出・アクション面では前作までと一線を画している。

当時のゴジラシリーズには珍しく子役のキャラクターが全く登場しない一方、平田昭彦小泉博佐原健二睦五郎岸田森といった往年のゴジラシリーズや特撮作品の常連俳優が多数出演するなど、「原点回帰」とも言えるキャスティングも成された。

劇中音楽は佐藤勝が担当。ジャズ調の軽快なメカゴジラのテーマや沖縄音楽を基にしたBGMが、映画を盛り上げている。中野特技監督によると、録音時にフィルムを観た佐藤はゴジラとメカゴジラの闘いの映像のパワフルさに驚き、映像に負けないようにとその場でスコアを書き直したそうである。和倉博士邸でのアクションシーンや決戦場面では、それぞれ同じ佐藤による『姿三四郎』(内川清一郎監督、1965年)、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(福田純監督、1967年)の劇伴音楽が流用された。

ストーリー[編集]

沖縄海洋博会場建設技師の清水敬介は、弟・正彦と安豆味城跡を訪れる。そこで観光客を相手に伝統歌謡・仲里節を実演していた国頭那美(くにがみ なみ)は、怪獣が街を焼き払う啓示[3] を受けて倒れた。続いて沖縄玉泉洞を訪ねた正彦は、洞内で不思議な金属を発見する。一方、会場予定地の建設現場で、壁画が描かれた洞穴が発見された。首里大学の考古学者・金城冴子(かなぐすく さえこ)は、壁画から「大空に黒い山が現れる時、大いなる怪獣が現れ、この世を滅ぼさんとする。しかし赤い月が沈み、西から日が昇る時、2頭の怪獣が現れ人々を救う」という予言を読み解いた。冴子は敬介とこの洞穴内に安置されていたシーサーの置物を携えて東京へ飛び、冴子の叔父である城北大学の考古学の権威・和倉博士の元を訪れるが、その途中、飛行機内で「黒い山のような雲」を目撃する。その頃、正彦は玉泉洞で拾った金属片を物理学の権威である宮島博士の元へ持ち込む。宮島博士はこれを地球上に存在しない宇宙金属・スペース・チタニウムであると断定した。その晩、和倉博士宅は謎の男(R1号)の襲撃を受け、あわや置物を盗まれそうになるが、敬介の活躍によって事なきを得た。

時を同じくして、富士山が噴火して巨大な岩石が飛び出し、その中からゴジラが出現。しかし鳴き声が違う上に、盟友であるはずのアンギラスを攻撃して撃退してしまう。2大怪獣の激闘の現場で敬介も奇妙な金属片を拾った。宮島博士は、正彦が玉泉洞で拾った金属とこれが同じものと分析し、敬介とともにゴジラの後を追うことにする。

一方、ゴジラは東京湾で石油コンビナートを襲撃し、黄色い放射火炎を吐いてコンビナート地帯を破壊する。このときゴジラの前に、工場の建物の中からもう1頭のゴジラが出現した。敬介たちの目の前で、激しい激突の中、先に現れたゴジラの皮膚が破けて下から金属部分が露出した。宮島博士はこれを見て、これが全身宇宙金属でできたサイボーグ、メカゴジラであると看破した。先だってのアンギラスは、本物のゴジラを呼ぶために現れたのだった。見る間に「にせゴジラ」の皮膚は燃え落ち、全身白銀色に光り輝くロボット怪獣メカゴジラが現れた。激しく戦いだす両者だったが、メカゴジラの光線とゴジラの放射火炎が激突爆発。ゴジラは海に消え、頭部のコントロールマシンにトラブルが発生したメカゴジラは一旦退散し空へと飛び去るのだった。事件の裏に宇宙人の陰謀を確信した宮島博士は娘・郁子、正彦らとともに翌日沖縄へ飛び、正彦が拾ったというスペース・チタニウムを手掛かりに玉泉洞を探査するが、待ち受けていた宇宙人たちによって、洞内に作られた基地内に連行されてしまう。娘たちを人質に取られた宮島博士は、司令官・黒沼の脅迫を受け、心ならずもメカゴジラのヘッドコントロールマシンの修理に手を貸すのだった。

その頃、和倉博士はついに置物の文様の謎を解読し、「西から日が昇る時、この置物を安豆味城の石のほこらの上に置け」との一文を読み出す。置物は伝説の怪獣「キングシーサー」の眠りを解くアイテムだったのだ。しかしこれを恐れていた宇宙人は、再びR1号を向かわせる。敬介と冴子はフェリーさんふらわあからクイーンコーラルを乗り継ぎ、敬介が船上で猿人の正体をさらしたR1号を撃退し、宇宙人の裏をかいてシーサーの置物を無事沖縄へと持ち込んだ。また同じころ、洋上の孤島では雷を浴び、自らを帯電体質に変えるゴジラの姿があった。

冴子をホテルに待たせ、単身玉泉洞へ向かった敬介は宇宙人に襲われるが、インターポールの南原によって救われた。国際警察は半年前から宇宙人の陰謀を察知し、敬介をマークしていたのであり、船上でR1号を倒したのも実は南原だった。南原の力を借りて、処刑室で蒸し殺されかけていた宮島博士らを助け出した敬介たち。そのころ、夜空には「赤い月が沈み」つつあった。再び基地の破壊に向かう南原に、正彦と責任を感じた宮島博士も同行した。

一方、敬介と冴子たちも置物を持って安豆味城跡へ急ぐが、すでに宇宙人の手が回り、那美とその祖父・天願が人質になっていた。置物との交換を要求する宇宙人たちに、「ヤマトンチューのせいでこうなった」と、敬介らをなじる天願。絶体絶命かと思われたその時、インタポールの田村が助けが入った。こうして祠に置物が設置されると、予言通り、蜃気楼によって「朝日が西から昇った」。朝日の光は彼らの目の前で置物によって増幅され、万座岬の岩山を撃った。大爆発とともに岩肌が崩れ、姿を現すキングシーサー。しかし怪獣は深い眠りに落ちたままだった。

一方、宇宙人基地ではキングシーサーが目覚めないうちにこれを始末すべく、黒沼司令が修理の終わったメカゴジラを始動させた。基地に潜入した南原と宮島博士、正彦は、またも宇宙人に捕縛され、コントロール室に連行されてこれを見守ることとなってしまう。玉泉洞地下から発進し、万座岬へと迫るメカゴジラ。そのとき、意を決して万座毛の浜辺に走りだす那美。天願は一同にこう言うのだった。「キングシーサーを目覚めさせる者は、安豆味王族の継承者、那美しかいない」。

那美はキングシーサーを目覚めさせようと、一心に「ミヤラビの祈り[4] 」を捧げる。そしてついにキングシーサーが目を覚まし、咆哮をあげるとメカゴジラに向かっていった。メカゴジラの破壊光線を、両目のプリズムアイで反射し、猛然とこれに立ち向かうキングシーサー。しかしブラックホール第3惑星人が操るメカゴジラの圧倒的な火力の前には苦戦一方となっていく。

沖縄の守護神キングシーサーが、最大のピンチに瀕した時、雷の力によって全身に磁力を帯びさせたゴジラが、古代人の予言に導かれたかのように海から現れた。一方、宇宙人のコントロール室では宮島博士と南原が、メカゴジラのコントロールマシンを再び破壊するべく、形勢逆転のチャンスをうかがっていた。

登場キャラクター[編集]

登場怪獣はゴジラメカゴジラ(偽ゴジラ)、キングシーサーアンギラス

ブラックホール第3惑星人[編集]

地球征服を狙う宇宙人で、地球人に変装しているが正体はゴリラのような顔をしており、死ぬと猿人の顔に戻る。全員の正体には、顔にトゲのようなものが付いており、司令官の黒沼の正体のみ一面に付いている。地球で最強の怪獣であるゴジラを倒すため、それを元にメカゴジラを造ってゴジラに差し向けた。沖縄本島の玉泉洞地下に基地を建造し、そこを拠点にして地球侵略を遂行する。さらにキングシーサーの存在も把握しており、その復活を阻止するためスパイ「R1号」がキングシーサー復活の重要なアイテムであるシーサーの置物を奪わんと暗躍していた。

銀一色のコスチュームを別とすれば、変装後の姿は地球人と区別がつかない。特に司令官の黒沼は、コントロールルームで葉巻を燻らせたり、ブランデーをたしなむなど、宇宙人というよりも、どこか犯罪組織のボスを思わせる立ち居振る舞いを見せた。スパイ「R1号」も、レーザーガン等のSF的兵器は使わず、地球製のサイレンサー装備の自動式拳銃ナイフを使用している。本作では宇宙船も登場しない(次作では登場)など、宇宙人らしからぬ面が目立つ宇宙人だった。

次作『メカゴジラの逆襲』にも引き続き登場。修復したメカゴジラを怪獣と共に仕向け、再び地球侵攻を企む。

猿面の造形物は、市販のゴムマスクの流用[1]。猿人キャラクターなのは中野特技監督によると、「R1号」を演じた草野大悟のイメージによるものだそうである。またメカゴジラの体色と共通させて銀色の衣装となっていて、この衣装は次作『メカゴジラの逆襲』でも流用された。

スタッフ[編集]

本編[編集]

特殊技術[編集]

協力[編集]

キャスト[編集]

※映画クレジット順

※以下ノンクレジット[5]

映像ソフト化[編集]

  • DVDは次作『メカゴジラの逆襲』とともに同時期の『ゴジラ×メカゴジラ』の公開に合わせて2002年11月21日発売。
    • 2008年3月28日発売のトールケース版「ゴジラ DVDコレクションIII」に収録されており、単品版も同時発売。
    • 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。
    • 2014年5月14日には「ゴジラ60周年記念」として期間限定の廉価版が発売。
  • Blu-rayディスクは2014年7月16日に発売。

主題歌[編集]

  • 「ミヤラビの祈り」(東宝レコード
    • 作詞:福田純
    • 作・編曲:佐藤勝
    • 唄:ベルベラ・リーン
  • 「メカゴジラをやっつけろ」[7]
    • 作詞:福田純
    • 作・編曲:佐藤勝
    • 唄:ベルベラ・リーン

海外公開版[編集]

アメリカでは、シネマ・シュアーズ社の配給で『Godzilla vs the Cosmic Monster』の題で公開された。当初は『Godzilla vs The Bionic Monster』の予定だったが、ユニバーサル・ピクチャーズから「題名が『バイオニック・ジェミー(原題は『The Bionic Woman』)』と『600万ドルの男(原題は『The Six Million Dollar Man』)』の著作権侵害だ。」との抗議があったために変更された。原題どおり『Godzilla vs Mechagodzilla』となったのは1988年にビデオソフトが発売されたときである[8]

同時上映[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス2012年、168 - 171頁。ISBN 9784864910132 
  2. ^ 藤川裕也『ゴジラ・自衛隊決戦史 われ、ゴジラと戦えり』光人社、2004年ISBN 9784769811671
  3. ^ キングギドラのスチール映像が使われた。
  4. ^ 「ミヤラビ」は沖縄の言葉で「乙女」の意。
  5. ^ a b c d e 中野昭慶、染谷勝樹 『特技監督 中野昭慶』 ワイズ出版〈ワイズ出版映画文庫〉、2014年、459-460頁。ISBN 978-4-89830-280-4
  6. ^ オープニングクレジットでは、キングシーサーのみのクレジット。
  7. ^ 劇中のメカゴジラのテーマ曲に歌詞を載せたもの。映画公開に合わせ、EP盤レコード形態で発売された際のB面曲。
  8. ^ デビット・キャリシャー「社会的に観たゴジラ映画 -日米を通して-(上)」 『福岡市総合図書館研究紀要』第4号 2004年

参考文献[編集]

  • 『大ゴジラ図鑑1・2』(ホビージャパン)
  • 『東宝特撮メカニック大全』(新紀元社)
  • 『特撮魂 東宝特撮奮戦記』(洋泉社)
  • DVD『ゴジラ対メガロ』 - 中野昭慶のコメンタリ
  • DVD『ゴジラ対メカゴジラ』 - 中野昭慶のコメンタリ

関連項目[編集]

  • 東宝チャンピオンまつり
  • 日本高速フェリー(カーフェリー)の「さんふらわあ
    当時の親会社である照国郵船の初代「クイーンコーラル」とともに撮影で使用された(参考:「ゴジラ大辞典」 野村宏平:編 笠倉出版社:2004年刊)
  • 『なんだこりゃ〜沖縄』(わうけいさお著)
    本作に描かれている沖縄の描写(キングシーサーや古代琉球王家の末裔、「ミヤラビの祈り」の歌詞等)の問題点を指摘し、この作品を見た沖縄の子供たちに「本土」(日本)に対するトラウマを植えつけたのではないか、と推測している。

外部リンク[編集]