アンギラス
アンギラス (Anguirus) は、東宝ゴジラ映画シリーズに登場する架空の怪獣。別名は「暴竜(暴龍)」。
目次 |
特徴 [編集]
ゴジラと同じく原水爆の影響で蘇ったとされる太古の恐竜で、ゴジラシリーズ初の怪獣同士の対決となった怪獣でもある。
モスラ、ラドンと共に高い人気を誇る。『怪獣総進撃』にて「ゴジラのよき相棒」といった印象を与えられ、以降の作品にも登場する。
声はモスラ、『ウルトラマン』に登場したバニラやドドンゴ、『サンダーマスク』に登場したハカイダーなどに流用された。[要出典]
- 設定
- 1億5千万年前に棲息していたアンキロサウルスと呼ばれる恐竜が、水爆実験で現代に蘇ったもの[注 1]。脳が体中に分散しているために、動きが俊敏である[注 2]。
- 当時の東宝スタジオメールによると「一億五千万年前から七千万年前の三畳紀に生息していた恐竜」という設定になっている[注 3]。
- 『ゴジラの逆襲』公開当時の宣材では、シベリア出身と表記されている。
- 名称
- アンギラスの名前は東宝内部で社員公募された。落選した名前の幾つかは杉浦茂の漫画化作品『大あばれゴジラ』に登場するオリジナル怪獣の名前に転用された。『ゴジラの逆襲』にも出演している俳優の土屋嘉男は「ギョットス」という名前を考えて公募したことを、佐原健二、高島忠夫との対談で明らかにした。『ゴジラの逆襲』海外版では「アンジラ[注 4]」の名称になっている。
- 再登場案
- 海上日出男による検討用脚本『ゴジラの花嫁』にも登場シーンが描かれている。
- 『ゴジラ対メカゴジラ』を最後に、『ゴジラ FINAL WARS』にて30年ぶりに登場するまで全く出番の無かったアンギラスだが、企画段階ではその復活が何度も検討されていた。
- 『ゴジラvsデストロイア』が『ゴジラvsゴーストゴジラ』という企画だった時期には、ゲスト怪獣としてアンギラスの登場が検討されており、デザイン画も描かれていた。また、デストロイア(企画段階での名前はバルバロイ)の一形態としてアンギラス型の怪獣の登場も検討されていた[1]。
- 『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』の初期案ではバランと共に登場する予定だったが、興業サイドからの要望でモスラとキングギドラに差し替えられた[2]。
- 『ゴジラ×メカゴジラ』では機龍と戦う案が出され、また『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』では死骸での登場が検討されたがカメーバに変更された[3]。
登場作品 [編集]
公開順。
- ゴジラの逆襲(1955年)
- 怪獣総進撃(1968年)
- 地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン(1972年)
- ゴジラ対メガロ(1973年)
- ゴジラ対メカゴジラ(1974年)
- ゴジラ FINAL WARS(2004年)
- 『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』にはライブフィルムで登場した。
- 特撮テレビ番組『ゴジラアイランド』やパチンコ『CRゴジラ4』にも登場している。
ゴジラシリーズ(昭和)のアンギラス [編集]
(各作品・ならびに初代 & 二代目共通)
- 身長:60メートル
- 全長:100メートル
- 体重:3万トン
『ゴジラの逆襲』 [編集]
初代アンギラス。アンキロサウルスが水爆実験の影響で目覚めたもの。非常に凶暴な性質で、同族以外には激しい憎悪を抱く。頭部をクルリと回す仕草で相手を威嚇する。
岩戸島でゴジラと戦った後、ゴジラを追って大阪に上陸。大阪城でゴジラと激闘を繰り広げた末、ゴジラにのどをかみ切られて重傷を負い、熱線によって焼かれ死亡した。この際、「断末魔の叫びが超音波となり、大阪城に細かくヒビが入る」というカットが挿入されている。
- スーツアクターは手塚勝巳。
- 原作小説及びプロット段階ではゴジラと同様の熱線を吐くことが出来たが、映画にそのような描写はない。
- 造形
- 頭部造形は利光貞三、胴体は八木寛寿、八木康栄による。
- 2尺サイズの粘土模型が作られ、各種スチールやポスターには、この雛型の写真が使われている[4]。粘土製の検討用一尺モデルが作られた段階では、背中の甲羅は2枚に割れ、後方はめくれあがっていた[5][6]。当初は着ぐるみもそのように造られたが、動くたびに甲羅が剥がれかけたため、やむを得ず甲羅を1枚に接合し背中全体に貼り付けたという[注 5]。甲羅の重さは三貫あり、倒れると自力で起き上がることができなかった[6]。
- 利光は石膏型からの型抜きではなく、硬い素材で頭の芯を作り、そこに直付(じかづけ)で表皮を盛り付ける手法で頭部を制作している。口の開閉や顔の細かい表情のほとんどには、片手を入れて操作する手踊り式のギニョール・モデルを使用。背中のトゲは丸めた金網に和紙を貼りゴムを塗ったもので、格闘などで踏むとすぐにつぶれてしまうような軟らかいもので、造型技師の開米栄三は「補修が大変だった」と述べている。
- アンギラスの体色は、白黒画面で判然としないが、造型スタッフの開米栄三によれば、明るいエメラルドグリーンだったそうである。
『怪獣総進撃』 [編集]
二代目アンギラス。初代とは異なり、温厚かつ献身的な性質で、鳴き声も若干違う。本作では他の作品に比べ二本足で立つ描写が少ない[注 6]。眼は黒目がちのぱっちりと大きな物となり、頭の角は7本から6本へ変更、背中のトゲは時計回りの向きに植えられ、数も少なくなっている。
怪獣ランドの怪獣として登場し、キラアク星人に操られた。その後、富士のすそ野での対キングギドラ戦では、右首に噛みつく[注 7]など奮戦する。
『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』 [編集]
ゴジラと共に宇宙人の陰謀を突き止めこれを偵察するも、襲撃と誤解した防衛隊から攻撃される。その後、刺客として現れたキングギドラ(二代目)およびガイガンと戦闘。ガイガンに額を裂かれるなど苦戦するが、最後はゴジラとの連携技を駆使して宇宙へ追い返した。海のシーンではなぜか頭の色が黒くなっており、赤や黄のコケらしきものが付着している。本作のみ、マンガのような吹き出しでゴジラと会話するシーンがある。
- スーツアクターは大宮幸悦。
- スーツは『怪獣総進撃』で作られたものの流用。円谷英二が嫌った流血シーンがこの映画では積極的に採り入れられ、ガイガンの腹部カッターで切り裂かれた頭からの派手な流血がゴジラと合わせて描かれる。中野特撮監督によると当時、「ゴジラはやられてるときどうして血が出ないの?」と子供たちからの質問があり、その影響もあったという[9]。
- 偵察を誤解した防衛隊の迎撃シーンやゴジラと共に海を渡るシーンで、アンギラスの顔には後のシーンでガイガンにつけられるはずの傷がすでにある。これは後処理の大変な着ぐるみの濡れるシーンをガイガン・ギドラ戦の後に撮影したためである。
『ゴジラ対メガロ』 [編集]
冒頭のシーンに登場。核実験に巻き込まれ、ゴジラと共に脱出しようとするが、地割れに飲み込まれ離れ離れになる。
『ゴジラ対メカゴジラ』 [編集]
メカゴジラ扮する偽ゴジラの異変を察知して地面から出現し、これと交戦。偽ゴジラにダメージを与えるも一方的に痛めつけられ、最終的には顎を裂かれ敗走した。
- スーツアクターは久須美護。
- 『怪獣総進撃』で作られたものの流用。頭の角がかなり磨滅して短くなっている。
- 偽ゴジラにアゴを裂かれたアンギラスの生死は不明。『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』以来、「ゴジラシリーズ」にレギュラー出演してきたキャラクターだが、次回作『メカゴジラの逆襲』には登場しないため、「死んだのではないか?」との説がある[要出典]。
『ゴジラ FINAL WARS』のアンギラス [編集]
- 全長:180メートル
- 体高:40メートル(直立時:90メートル)
- 体重:6万トン
ほかの作品と違いアンキロザウルスが放射能の影響をうけ怪獣になったという設定。 頭の角は初代同様の7本となり、背中のトゲもきれいに並んでいる。他の作品に比べ全体的に丸みを帯び、尾には突起物がつく。腹のパターンはバラゴンをモチーフとしている。体を丸めて高速で跳ね転がる「暴龍怪球烈弾<アンギラスボール>」という必殺技を駆使し、過去の映画とは異なる戦い方を見せた[注 8]。
X星人に操られ上海を襲撃、地球防衛軍の空中戦艦火龍と戦いを繰り広げるが、その最中にX星人の手により一度は消滅。しかし、地球侵略の意図を明らかにしたX星人によって他の怪獣達と共に地球へ投下され、再度上海を蹂躙。火龍も暴龍怪球烈弾で破壊する。 その後、日本上陸を果たしたゴジラに富士の樹海でラドン、キングシーサーと共に戦いを挑むも、奮闘むなしく撃退された[注 9]。脚本上で存在した“とどめの放射熱線”は省略された。
劇中、「バンクーバーの子どもがアンギラスのソフビ人形を手に取った瞬間にテレビでアンギラスの上海襲撃映像が流れる」というシーンがある。
『ゴジラアイランド』のアンギラス [編集]
ゴジラアイランドの怪獣として登場し、「アンギラスの谷」に生息している。
劇中では「ハリネズミ」と呼ばれていた。非常にナイーブな性格で、自らのトゲでジュニアがケガをした際にひどく落ち込んでしまっていた。しかし、サボテン怪獣ゴロリンが出現した際にはそのトゲが唯一の対抗手段になった。
- 造形物はバンダイのソフビ人形である。
『CRゴジラ4』のアンギラス [編集]
山中でゴジラと戦うムービーと、ガイガン、キングギドラとともに市街地でゴジラと戦うムービーがある。
- スーツアクターは西村郎。
- 実写カットは『FINAL WARS』の着ぐるみを使用。
その他の作品 [編集]
備考 [編集]
脚注 [編集]
注釈 [編集]
- ^ ただし、実在した同名の恐竜が草食恐竜(曲竜類)だったのに対し、こちらは凶暴な肉食動物と設定されるなど、類似点はほとんど無い
- ^ 製作当時、「ステゴサウルスの腰部には脳の補助をする神経塊があった」とされていたため、それを飛躍させてこの設定が作られたが、その後の研究により「神経塊ではなく、神経に栄養を送るための組織に過ぎない」と改められている(詳細はステゴサウルスの項を参照)。
- ^ 実際の三畳紀は約2億5100万年前~約1億9960万年前であり、また、実在のアンキロサウルスは白亜紀後期の恐竜である。
- ^ 学名でウナギを意味する。
- ^ 大阪港の決闘シーンでは改修前の映像がそのまま使われている[5]。また、宣伝用スチール写真やポスターの写真にも、検討用粘土モデルと合わせ、甲羅の割れているものが使われている。
- ^ キングギドラ戦では二足歩行になっている。
- ^ キングギドラが飛び上がっても離さず、落とされた後も右首を集中攻撃した。また、落下した際の衝撃でキラアク星人の基地が露見、後のゴジラの攻撃に繋がった。
- ^ 同様の技は90年代から、ゲーム『ゴジラ 怪獣大決戦』や漫画『怪獣王ゴジラ』等に登場している。
- ^ 三位一体の攻撃はあっさりジャンプでかわされ、アンギラスは踏み台に。続いてラドンとの連係によるアンギラスボールとして一度はゴジラに命中したものの、二度目はよけられラドンと衝突。さらに空中へはじかれた状態からキングシーサーにシュートされ、ゴジラのセービングも及ばず岩盤に激突。最後は飛び膝蹴りをかわされたキングシーサーにぶつかられ、共にノックダウンとなった。この戦いはややコメディ調でまとめられている。
出典 [編集]
- ^ 「平成ゴジラ クロニクル」キネマ旬報社、2009年、P197
- ^ 元山掌 et al. 2012, pp. 274.
- ^ 『東宝SF特撮シリーズ SPECIAL EDITION』シリーズ
- ^ 元山掌 et al. 2012, pp. 13.
- ^ a b 間宮尚彦 2000, pp. 80.
- ^ a b 元山掌 et al. 2012, pp. 15.
- ^ 間宮尚彦 2000, pp. 130.
- ^ a b 元山掌 et al. 2012, pp. 125.
- ^ 間宮尚彦 2000, pp. 18.
- ^ 『ゴジラ大辞典』 笠倉出版社、2004年、284頁。ISBN 4773002921。
参考文献 [編集]
- 間宮尚彦 『ゴジラ1954-1999超全集』 小学館、2000年1月1日。ISBN 4091014704。
- 元山掌 『東宝特撮映画大全集』 ヴィレッジブックス、2012年9月28日。ISBN 9784864910132。
関連項目 [編集]
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||