医学部

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医学部(いがくぶ)は、大学において医学に関する研究・教育を行っているところ。また医療従事者を養成するための課程である。英語で「医学部」は一般的にmedical school と呼ばれることが多い。(注:実際の呼称はschool of medicine, college of medicine, college of physicians & surgeonsなど多岐に渡る) 日本の医学教育課程である「医学部医学科」を示す際には、department of medicine、またはmedical departmentが用いられることが多い。日本では、医学部は原則として6年制である(歯学部薬学部(のうちの薬剤師養成系の学科)、獣医学部と同様)。

目次

[編集] 名称・定義

医師を養成する教育過程については医学教育を参照
医学部
  1. 1886年帝国大学令施行前は、東京大学の一学部である医学教育機関を指した。
  2. 1886年の中学校令施行から1918年大学令施行までは、高等中学校または旧制高等学校の一学部である医学教育機関を指した。
  3. 大学令施行後は、大学の一学部である医学教育機関を指す。
医科大学
  1. 帝国大学令から大学令施行までは、帝国大学の医学系分科大学を指した。
  2. 大学令施行後は、医学部だけの単科大学を指した。
  3. 高度経済成長期以降は、医学部のある医療系大学を指す。看護師コ・メディカルを養成する学科を擁する医科大学は戦前から存在したが、医学部のほかに歯学部薬学部などの学部組織を擁する例が増えている。例えば、岩手医科大学1965年に歯学部を設置している。
医学校
医学専門学校
  • 旧制医学専門学校のこと。
  • 現在は、医療従事者のうち、大学での教育が義務付けられていない職種を養成する専門学校が「医専」を名乗る例が見られる。
医療大学
  • 医師を養成する学部が無いが、それ以外の医療従事者を養成する学部を持つ大学が名乗る例が見られる。

世界には公衆衛生の観点を重視して保健学部医学科なども存在する。日本では沖縄復帰前の医療体制がこれに類した体制であったため、復帰に際して日本初の保健学部医学科を創設する機運もあったが実現しなかった。なお、現在、日本の医師養成過程において公衆衛生の教育は行われており、医師国家試験でも重要分野として多くの設問がある。

[編集] 概要

医学部の社会的責務は教育臨床研究の3つであると言われる。

  • 医療教育は、実際に患者に触れて心理や倫理を学ぶ事ができる附属病院を有している方が効果的である為、医学部の責務とされる。また医学教育は、高度先進医療を行う病院には「まれな疾患ではあるが病態を理解しやすい難病」の患者が集まり、この様な病院の方が効果的であるため、医学部の責務とされる、学部学生臨床実習、卒業後の研修等が行われる。
  • 高度先進医療は、世界中から最先端の知見を集めて地域の医療レベルの向上に資する為、またそれには研究を行っている学者が居る病院である方が効果的であるため、また最新の医学を学生に学ばせる為に、医学部の責務とされる。
  • 研究は、現在の医学では治せない難病に対して実験的治療が行える高度先進設備と学者が揃った病院で行ったほうが効果的であるため、医学部の責務とされる(特定機能病院)。

[編集] 構成

[編集] 学科

医学部に付属する学科は以下がある。

医学科
医学科は医師を養成する為の6年制の学科である。
健康科学・看護学科
東京大学医学部保健学科が1992年に学科名を変更して設置された。看護学コースと健康科学コースを有し、必ずしも看護師となるわけではない。保健医療の学際的アプローチを目指している。
看護学科
看護学科看護師保健師を養成する為の4年制の学科である。
保健学科
診療放射線技師臨床検査技師作業療法士理学療法士等を養成する為の4年制の学科である。これらに加え、看護師保健師養成課程を持つところもある。東京医科歯科大学では保健衛生学科の名称で設置されている。
栄養学科
管理栄養士を養成する為の4年制の学科である。徳島大学に設置されている。
総合薬学科
薬剤師を養成する為の6年制の学科である。薬学は当初、医学部に設置されており、ほとんどが学部として独立した。(広島大学のそれは最後まで医学部内に設置された薬剤師養成学科だった。)
生命科学科
医学の基礎知識を習得した生命科学者を養成する為の4年制の学科で、鳥取大学に設置され、2007年に九州大学にも新設された。

なお、東洋医学を体系的に学ぶための学科は日本には無い(ただし医学部以外では存在する)が、医学科では、2007年度時点にて、日本のすべての大学の医学科にて、東洋医学の講義が行われるようになった。

[編集] 大学院

医師養成過程(医学部医学科・6年制)を卒業した者は医学士となるが、医学士およびその他の6年制学部卒業者や修士号取得者は医学系の大学院に入学することが出来、医学博士号を取得することが出来る。すなわち、医師養成過程を経ずとも医学博士号を取得できる。

医学博士号を取得できる大学院は、医師養成課程がある大学に存在する。医学博士号取得には、それら大学院に入学し、必要な授業料を払う必要があり、さらに、自ら執筆した論文の評価によって与えられる。大学院は普通4年制であるが、社会人大学院に入学した場合は3年以上の授業料納付と論文提出が必要である(医学博士と認められるのに充分な論文、すなわち、学会に受け入れられた論文を既に多く執筆済みであっても、授業料を3年以上納付しないと医学博士号は取得できない)。

なお、医学博士号は医師免許ではないので、それだけでは医師として医業を行うことは出来ず、また、医師国家試験を受けることもできない。医師となるには、医学部医学科を卒業予定(医学士となる予定)の者か、あるいは、卒業して既に医学士となった者が、医師国家試験を受験して合格する必要がある。

[編集] 現状

医学部のうち、医学科は日本全国に80あり、いずれも一学年100人程度と少人数で編成されている(「近年難化を示す医学部入試」というふうに、大学受験において「医学部」といえば、通常「医学部医学科」のことをさしている。以下、医学部=医学科として記す)。入学志望者の競争倍率は高く、受験者には過年度生が他学部と比べて非常に多い(3浪以上の多浪生も珍しくない)。医学部は医師免許を取得できるため、浪人や留年休学再受験等で、卒業までに要した年数が合わせて3年以上余分であっても、他学部に比べると就職で大きく不利になることはない。また、純粋な浪人生だけでなく、一旦社会人として就職しているにも関わらず志望する者や(社会人入学者と呼ぶ)、既に他学部に入学、もしくは中退や卒業をしているにも関わらず志願する者(仮面浪人生再受験生と呼ぶ)も多い。それ故、20歳代後半や30歳代で、医学部に入学する者も数多く、医学部の学生の平均年齢は非常に高齢傾向にあると言える。

医学部卒業生の生涯賃金は同等の偏差値の他学部卒業生より低いという主張がある。また「高給の医師」というイメージの先行もあり、高所得を希望して医学部を志望する受験者も多い。また、卒業後の医師の過酷な生活や労働環境について正確な知識を持って医学部を志望する受験者は少なく、情報公開の遅れが結果的に誇大広告になっている点を指摘する声もある。 この主張に対する批判としては、まず会社員の場合、文系と理工系では生涯賃金において5000万円程差があると言われている。どちらと比較した場合なのかが明らかではない。また終身雇用・年功序列の会社で定年まで勤め上げたという前提に基づいているのかどうかも明らかではない。

近年では女性受験者が目立って増加しており、すでに海外では女性の入学者数が過半数となっている医学部も多い(ガールパワー)。

教員数の割に学生数が少ない、研究部門が大きいなどの理由から、特に私大において教育研究費が他の課程に比べて高額となる場合が多い。私立大学授業料は年に200~500万円が相場とされているが、私大医学生の中には授業料や設備費などを含めた学費が1000万円を超える学校も少なくない(一方で自治医科大学のように、条件を満たせば授業料が殆ど無償という大学もある)。

卒業時には卒業論文はなく「卒業試験」に合格することで修了となる(一部例外あり。三重大学では2008年度より卒業試験を廃止予定)。

最近では、卒後臨床研修必修化に伴い、研修病院への就職活動が激化している。重点研修内容が、内科・外科・産科・小児科などのCommon Disease(罹患率の高い疾患)や救急医療などとなっているため、都市部の市中大規模病院での研修を望む者が多い傾向がある。大学病院は、医師の数が多い上、罹患率が低かったり、高度な医療が必要だったりする特殊な疾患を主に扱い、研修医が重点研修内容を実際に扱う機会が少ないとみなされる点や、給与や福利厚生も市中病院に比べ悪いため、大学病院離れの傾向が強い。病院の数自体が少ない地方ほど、大学病院の高度医療化が進んでいるため、研修医が集まらずに定員割れがおきている(自治医科大学、東北大学、東海地方の大学では、伝統的に市中病院での研修を推奨、または義務としてきたので、大学病院の研修医は少ない)。

[編集] 入試

近年は少子化による大学入試の易化[1]理系離れが指摘されているが、バブル崩壊後長く続いた不況による企業倒産リストラの影響などもあり、医学部志望者が大幅に増え、特に国公立大学の医学部の入学試験が難化する傾向にあり、景気回復後も人気が高止まりしているのが現状である。国公立大学医学部は、私立大学医学部に比して学費が圧倒的に安い為(年間約50万)、医学部志望者への人気が非常に高い。総合大学では、他学部と同じ問題を出題している大学がほとんどであり、センター試験、二次試験共に合格最低点や入試偏差値は他学部と比して極めて高く、最難関学部(学科)と称され、東京大学の理Ⅰや理Ⅱと同程度、もしくは、それらより上の難易度とされる(但し、大学毎で試験の科目、配点等の条件が異なるため、東大入試と国公立大学医学部入試は単純には比較できない)。さらに2006年度入試から国公立大の医学部において、センター試験理科3科目(化学、物理、生物)全てを受験しなければならない大学も出てきている。加えて、ほとんどの医学部では面接を課している(点数化して合否の判定に用いられるものもあれば、いわゆる「形だけの面接」の場合もある)。

このような入試状況から、現在の大学受験界では、東京大学理科III類(医学部医学科)が最難関入試とされている。

地方の大学の中には卒業生の流出を防ぐため、大学入試時における地元枠を設ける大学も出てきている(最多は旭川医科大学で、地元推薦枠が45名、編入学のうち地元枠が5名である)。そのため医学部入試は難化傾向である一方、推薦という手段により地元の高校生が恩恵を受けるといった新たな傾向も生まれている。ただし、推薦入試の導入により入学者の学力低下が危ぶまれており、国試合格率の低下が心配されている。また、推薦生達が地元に残らないケースも少なくなく、卒後の進路について何の制限もないことから、推薦入試を「医学部に簡単に入る究極の裏ワザ」と称する受験参考書も存在する。

[編集] 定員

各国公私立大学医学部の一学年分の定員の合計は1982年昭和57年)に8,280人でピークとなったが、厚生省の医師需給見通しに基づいて定員削減が閣議決定され減少した。さらに1997年平成9年)にも削減が閣議決定され、2007年平成19年)には7,625人まで減少した[2]

しかし、勤務医不足や医師の地域的・診療科的偏在の深刻化から医師の需要が増大し、2008年平成20年)に定員を7,793人に増員した[2]2009年平成21年)は過去最高の8,486人に増員される見通しである[3]。2009年の増員の内訳は、緊急医師確保対策分として189人、「骨太の方針2008」での特例措置分が504人となっている。

[編集] 医学部の設置されている大学の一覧

(五十音順)

[編集] 国立大学

[編集] 公立大学

[編集] 私立大学

[編集] 省庁大学校

[編集] 脚注

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[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク