町内会

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町内会(ちょうないかい)は、日本集落又は都市の一部分()において、その住民等によって組織される親睦、共通の利益の促進、地域自治のための任意団体・地縁団体とその集会・会合である。また、その管轄地域のことを指す事もある。

市区町村や住民によって後述のように様々な名称で存在しているが、本項では本文において「町内会等」と記載する。

町内会等の主な呼称例[編集]

  • 町内会」(ちょうないかい)
  • 町会」(ちょうかい)[1][2]
  • 自治会」(じちかい)[3]
  • 」(く)[4][5]
  • 区会」(くかい)[6][7]
  • 地域振興会」(ちいきしんこうかい)[8]
  • 常会」(じょうかい)[9][10]
  • 部落会」(ぶらくかい)[11][12]
  • 地域会」(ちいきかい)[13]
  • 地区会」(ちくかい)[14]
ほか

概説[編集]

集合住宅

それぞれの町内会等は、近接の別の町内会等と共同で「町内会連合会」「連合町内会」などと呼ばれる連合体を組織していたり、「地区」・「自治会」などと呼ばれる上位団体を持つ場合がある。多くは法人ではなく任意団体であり、加入は義務ではない(自治会加入者区域にありながら商店会を構成しそちらに参加する商店街もある)が、その地域の全世帯が加入しているケースが多い。

町内会等の活動として、古来の集落共同体(農山漁村、街区)との関連から神社祭礼に参加したり、お互いに葬式の手伝いをしたりする地域もある。神社・仏閣の管理を行っている町内会等では、宗教上の理由により入会を拒否したり、信教の自由に反して承諾なく会員にされたとして提訴するケースも発生している。

また場所によっては神社共同浴場の管理を行っている事例、道路・公園等の清掃やゴミ拾い、親睦・交流目的の催事を行う場合も多い。これらはその集落・町の歴史や居住形態、就業形態がよく反映されている。

単身者・共働きが多いアパートマンションの場合、未加入の者も多い。家族で居住している場合、加入を勧誘すると応じる場合が多いが、単身者等の場合、不在がちな世帯も多いため、加入の勧誘を断る者が少なくなく、加入率は低くなっている。集合住宅の町内会等の加入率もかつては高く、現在でも全世帯が加入する集合住宅もあるが、単身者・共働きの世帯が多いところでは加入率が半分以下のところもある[要出典]

この他、市区町村によっては、自治体事務の委任(下請け)で広報紙を町内会等が配布したり、自治体行政の下部組織(地区長、区長など、自治体により名称が異なる)に町内会等や、その連合体から人を送るケースもある。こうした場合、町内会等の長が地区長を兼ねるケースや一部では公金による報酬支出など事実上自治体組織に属するケースもあることから、町内会の「自治」という観点から批判もある[要出典]

歴史[編集]

元々は1937年の日中戦争の頃から日本各地で組織され始め、太平洋戦争の戦時下に大政翼賛会の最末端組織として1940年に市には「町内会」、町村には「部落会」がによって整備されたのが起源であるとされる。戦時下には内部に「隣組」があった[15]。戦前においては、戦争遂行に大きな役割を果たした。

戦後、民主化と日本国憲法の施行に伴い1947年5月3日いわゆるポツダム政令15号[16]が公布され、「町内会」、「部落会」、それらの「連合会」等の結成が禁止されることになった。サンフランシスコ講和条約の発効に伴いその半年後の1952年10月25日に5年半ぶりに禁止が解かれると、自治組織として再組織化されるようになり、今日まで続いている。ただし、当該解禁以降、一部の省の訓令には事実上の存在として「町内会」の文言の登場例が数例あるものの、国民一般への法的拘束力を有する法律・政令・府省令には町内会に関する規定が全くなく、行政組織(国及び地方自治体)とは法的に無関係な存在となっている。

組織名称と規模[編集]

組織名称については決まった原則はなく、組織概要や事務所の所在地を行政に申請すれば良いことから○○町会○○自治会○○マンション自治会(主にアパートマンションに多い)と呼ばれるものや単に○○会と称するものも存在する。また、地域によっては、商店街管理組合などの組合そのものが同一組織として自治組織の機能も兼ねているケースも存在する。

古くからある自治組織をはじめ、多くの組織の場合は『地名あるいは住居表示の名称』をそのまま組織名として採用しているケースが多い。また、地域の自然環境や地理特性、シンボルを名称に取りいれているものや住居名(マンション名)・開発業者の社名を組織名に取り入れているものもある。

開発があまりされていない地区では自治組織の範囲と大字区域は旧集落と一致している場合もあるが、開発が盛んな郊外地域では基本的に入居者の多くは既存組織に加盟せずに、開発された地区・住居単位(アパート、マンション単位)で新たに組織を作るため、地域が細分化されている。また、単身者向け賃貸マンション、学生向けアパートが多い地区、団地が多くある地区、別荘地では自治組織自体が存在しない場合も珍しくない[要出典]

町内会等の原型と学説[編集]

町内会等の原型をどこに求めるのかについては、いまだ意見の一致を見ていない。ただし地域社会学における概ねの共通了解では、町内会等の祖型は近世の五人組であり、それが近代に入って明瞭な形をとって現れたとされている。

また、第二次世界大戦後のGHQの研究では[17]、町内組織の起源が大化の改新時における五人組隣保制度の導入にまで遡って検討されている。

戦時体制下のありように着目すると否定的な評価をされやすいが、学術的にはこのような歴史的経緯を視野に入れ、生活と支配の両面にわたって検討されている。学説上の評価では、主に以下のような立場に分かれる[18]

近代化論[編集]

近代化論は、戦後民主主義的な問題関心から、町内会等を近代化都市化に逆行する封建遺制として論難する立場である。町内会等が常に国家の意思の「上からの」浸透に適合的であったことが強調される(行政主導説)。このような立論は、封建制と封建イデオロギーとを混同し、自らは近代イデオロギーに囚われているとの批判を受けた。

文化型論[編集]

近代化論に対して、対照的な立場をとったのが文化型論である。多くの論があるが、たとえば、町内会等という集団形式の遍在性、継続性が強調されるなど、いわば「日本の文化」としての町内会等が肯定的に評価される。代表的な論者としては、近江哲男中村八郎が挙げられる。近代化論が重視しなかった地域生活の自律性に目を向けることには成功したが、その原型性を主張するあまり、歴史的変容を視野に収めた動態的な分析には至らず、やはりある種のイデオロギー性を帯びざるを得なかった。

支配/生活を超えて[編集]

その後、町内会論争は、近代化論と文化型論の論争によって、理論的な深化をみせ[19]、「支配」(近代化論)か「生活」(文化型論)かという二分法的な問題設定の限界が明らかとなった。この限界を超えるべく、新たな歴史分析が、アジアの地域住民組織との比較分析や住民自治への関心とともに現在、進められている。

町内会等の位置付け[編集]

本来、町内会等は民法上は、任意団体である。

一方で1959年に発生した伊勢湾台風を契機として成立した災害対策基本法では、地域コミュニティにおける住民同士による防災活動が重視され、地域住民らによる自主防災組織の設置に関する規定が設けられており、これは主に町内会等を母体として設置することを想定したものである。

さらに、近年では地域コミュニティの重要性が認識されてきたこともあり、地方自治法第260条の2で「地縁による団体」と規定され、地方公共団体の長の認可を受けて法人格を取得し、団体名義で不動産登記等を行うことができるようになった。さらに、旧中間法人法に基づき、中間法人としての法人格を取得する例もあった[要出典]

町内会等の構成[編集]

町内会等は、基本的に参加条件の無い各世帯代表者による全員会議(総会)である。ただし、委任、一部構成員のみの参加が常態化しているところもある。会議に参加せず、定例の活動のみ参加する住民もおり、議決執行は分かれていない。会議の場所は、自前の会館、自治体の支援により建てられた集落会議場、マンションに備わる集会場、役員の家等である。

「会長」をはじめ、「副会長」、「助役」、「収入役」(「会計」)、「総務」等の役職がおかれる。稀な例としては筆頭役員名が「書記長」という事例も存在する。構成員が多い町内会等或いは「隣組」の名残により、居住地をさらに区分した「組」、「班」等を設置し、「組長」、「班長」等の役職を置く事がある。

これらの役員人選は選挙によって行われるが、定年退職した男性による持ち回りが慣例化しているケースも多い。マンションの建設によって新たに組を設置した場合などは、貸主が組長を務める事例がある。

町内会等への加入の促進[編集]

新たに住民となった者が町内会等に加入しないことは珍しくないが、役所や町内会役員が組織率の低下を防ぐため、マンション分譲の際の条件として町内会等への加入を契約で謳っているケースが見られる。もっとも加入はしているが行事には参加せず、町内会費を納入するだけの関係になっているケースもある(稀に加入していても町内会費を滞納(未払い)するケースも存在する)。町内会の活動単位は家族を想定しており、単身者の生活環境を考慮していないスケジュールのため単身者は加入しない、または加入しても活動に参加できない場合が多い。

また、会員(住民)同士の交流を促進するためさまざまな行事を行うところもある。住民の高齢化等により行わなくなるケースもあるし、いままでになかった新たな行事が企画されるケースもある(花火大会、神社の大祭、祭り、盆踊り、運動会など)。

マンションと町内会[編集]

マンションの管理組合はここでいう自治会ではなく、共同財産の管理を目的として、区分所有者全員の加入が建物の区分所有等に関する法律で義務づけられているものである。また、マンションの管理費と自治会費を一律に扱ってはならない。この点について、国土交通省作成のマンション標準管理規約[20][21]では、「自治会費、町内会費等…居住者が任意に負担するもの」であり、「マンションという共有財産を維持・管理していくための費用である管理費等とは別のもの」としている。

町内会等会員名簿帳[編集]

徴収した町会費で当該町内世帯の住所・電話番号を記載した名簿帳が発行されている町内会もある。個人情報の保護に関する法律には抵触しないという見解もあるが、帳簿に記載を拒否する世帯も増加している。地元の企業等の広告を募り無料で発行している町内会もあるが、同様に個人情報記載を拒否するケースが多い。

町内会等に関する裁判例[編集]

埼玉県営住宅本多第二団地(新座市)自治会からの退会を巡り争われた裁判で、最高裁第3小法廷は2005年4月26日に「自治会は強制加入団体ではなく、退会は自由である」と判示した。[22]。この裁判では、自治会に加入していた会員が、会の運営に対して不満があり退会を求めたものである。

滋賀県甲賀市の希望が丘自治会が自治会費に赤十字や共同募金への寄付分を上乗せして徴収することを決議したことを巡って争われた裁判で、最高裁第1小法廷は2008年4月3日に自治会側の上告を退け、自治会費への寄付分上乗せは寄付を強制するもので無効とした大阪高裁の判決が確定した[23]。自治会による寄付集めを巡っては、自治会費への上乗せのほかにも班長などの役員が寄付を集める集金活動を強制され、断りにくい自治会の戸別集金で事実上寄付を強要されるなど、各地で問題になっている[24][25]

町内会費を含む管理組合費の支払いを巡って争われた東京簡易裁判所の判決では、「町内会費相当分の徴収をマンション管理組合の規約等で定めてもその拘束力はない」と判示した[26]

任意加入と退会の自由[編集]

町内会は任意団体であり、退会は自由である。PTAについては、朝日新聞などで任意団体であること、退会が自由であることなどが報道されたが、町内会については、この点に関する知識が充分に普及していないと言える。近年、町内会の組織率低下を憂う地方議員、役所、町内会役員による入会促進行為が見られる。中にはゴミ収集問題を逆利用して入会を強要するケースもあるが、入会意思のない住民は、きちんと自身の考えを表明し、拒否することが肝要である。

その他の町内会等[編集]

東アジア東南アジア等で、日本の町内会等と同様に地縁に基づく地域住民組織が普遍的にみられる。地域社会学では、これらを研究対象とした比較分析が進められている。それらの研究では、官製組織であっても、その成立の背景にある地域住民の生活の論理が析出されている。

脚注[編集]

  1. ^ 八王子市
  2. ^ 町議会とは異なる。
  3. ^ 浦安市
  4. ^ 上尾市
  5. ^ 東京都の特別区政令指定都市行政区などとは異なる。
  6. ^ 「自治会、町内会、区会、区などその地域によって色々な名称がありますが、(略)同じものです」(大分市)
  7. ^ 区議会とは異なる。
  8. ^ 「他の市町村では「自治会」「町内会」などの名称で呼ばれることが多いようです」(大阪市)
  9. ^ 朝日村
  10. ^ 通常国会とは異なる。農村部に多い。
  11. ^ 秋田県市民活動情報ネット
  12. ^ 農村部に多い。部落とも呼ばれる。
  13. ^ 地域とも呼ばれる。
  14. ^ 地区とも呼ばれる。
  15. ^ 詳説 日本史、山川出版社、(高校用教科書)、1981年、317ページ
  16. ^ 正式な件名は「町内会部落会又はその連合会等に関する解散、就職禁止その他の行為の制限に関する政令」(昭和22年政令第15号)。この政令は「ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件の廃止に関する法律」(昭和27年法律第81号)第2項により1952年10月25日失効。
  17. ^ 『日本における隣保組織―隣組の予備的研究』1949年
  18. ^ 吉原直樹『アジアの地域住民組織』の整理による
  19. ^ 越智昇「ボランタリー・アソシエーション論」、中田実「生活自治体論」、岩崎信彦「住縁アソシエーション論」など
  20. ^ マンション管理について
  21. ^ 標準管理規約
  22. ^ 最高裁判決文(PDFファイル)
  23. ^ 大阪高裁判決文(PDFファイル)
  24. ^ 募金活動の見直しを - 島根県サイト
  25. ^ 日赤社資と共同募金について - 和歌山市サイト
  26. ^ 町内会費の徴収を管理規約で定めた場合の拘束力 - 東京簡裁判決,平成19年8月7日

参考文献[編集]

  • 中川剛『町内会―日本人の自治感覚』中公新書、1980年。
  • 吉原直樹『戦後改革と地域住民組織-占領下の都市町内会』ミネルヴァ書房、1989年。ISBN 9784623019359
  • 吉原直樹『アジアの地域住民組織-町内会・街坊会・RT/RW』御茶の水書房、2000年。ISBN 9784275018250
  • 中田実『地域分権時代の町内会・自治会』自治体研究社、2007年。ISBN 9784880374840

関連項目[編集]

外部リンク[編集]