民事訴訟法

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民事訴訟法(みんじそしょうほう)

  1. 日本の法律のひとつ。形式的意義の民事訴訟法。本項で詳述。
  2. 民事訴訟に関する手続を定めた各国・地域政府の法令裁判所の規則を総称していう。実質的意義の民事訴訟法。「民事訴訟法」と名の付く法令を有する国もあるし(日本イギリスなど)、「民事訴訟法」以外の名の付く法令を有する国もある。後者の例として、アメリカ合衆国では連邦民事訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure)という裁判所規則が連邦裁判所における民事訴訟に関する手続を定めた一般法であり、各州の裁判所における民事訴訟に関する手続を定めた法令の手本ともなっている。欧州連合(EU)におけるブラッセル条約(das Gerichtsstands- und Vollstreckungsübereinkommen der Europäischen Gemeinschaft (EuGVÜ) およびルガノ条約(Lugano-Übereinkommen)は国際裁判籍や執行に関する条約である。

民事訴訟法
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 民訴法
法令番号 平成8年6月26日法律第109号
効力 現行法
種類 民事手続法
主な内容 民事訴訟手続支払督促手続など
関連法令 民事訴訟規則民事執行法民事保全法人事訴訟法行政事件訴訟法
条文リンク 総務省法令データ提供システム
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民事訴訟法(みんじそしょうほう、平成8年6月26日法律第109号)とは、民事訴訟に関する手続について定めた日本法律。日本の民事訴訟手続に関する基本的な事項を定めた法典であり、民事訴訟法典ともいわれる。

適正で迅速な民事訴訟制度の構築を図るために、従来の民事訴訟法(旧民事訴訟法)が改正されることとなり、民事訴訟の手続きに純化した新法として1996年6月26日に公布、1998年1月1日に施行された。他方、従来の民事訴訟法(旧民事訴訟法)は、民事訴訟の手続きに関する事項が削られたが、新法制定と同時に廃止されることなく、公示催告仲裁に関する規定のみを残して存続した。

目次

旧民事訴訟法(明治23年4月21日法律第29号) [編集]

公示催告手続ニ関スル法律
日本国政府国章(準)
日本の法令
通称・略称 旧民事訴訟法、旧民訴法、仲裁法、公催仲裁法
法令番号 明治23年4月21日法律第29号
効力 廃止
種類 民事手続法
主な内容 公示催告について
関連法令 仲裁法非訟事件手続法
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日本で初めて本格的な民事訴訟法が制定されたのは、1890年(明治23年)のことである(旧々民事訴訟法、明治23年法律第29号)。ドイツの法学者ヘルマン・テッヒョーに起草にかかるものである。

この法律は、1926年(大正15年)に、オーストリア民事訴訟法典の影響を受けた大きな改正(大正15年法律第61号)を経て、その後ほぼ70年の間、部分的な改正のみが行われ、用いられ続けた(旧民事訴訟法)。

旧民事訴訟法には、民事執行手続や民事保全手続に関する規定も含まれていた。執行手続については、1979年競売法と統合して民事執行法が制定され、保全手続については、1989年民事保全法が制定された。これらの法律の施行に伴い、旧民事訴訟法からは、執行と保全の規定が削除された。

その後、民事訴訟法(平成8年法律第109号)が施行されたことに伴い、旧民事訴訟法は「公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律」と題名を変えて残っていたが、仲裁法(平成15年法律第138号)が制定されたことに伴い、公示催告手続のみを規定する「公示催告手続ニ関スル法律」という名称の法律になった。さらに、公示催告手続につき改良した手続を非訟事件手続法(明治31年法律14号)に加える旨の改正がされるに及んで、最終的に明治23年法律29号は廃止されることとなった。

制定当初から大正の大改正までの旧民事訴訟法を旧々民事訴訟法と呼ぶことがある。旧々民事訴訟法の法制をめぐる研究は、ほとんどなくなってきている。たとえば、現行民事訴訟法第5条1号の財産権をめぐる特別裁判籍は旧民事訴訟法5条の義務履行地の特別裁判籍をそのまま引き継いだものであるが、旧々民事訴訟法第18条の契約の成立にかかる特別裁判籍を拡張し、契約の成立が立証できなくとも適用されるようになった経緯の論文は少ない。また、現行民事訴訟法第249条2項の弁論の更新は旧民事訴訟法で創設されたものであるが、旧々民事訴訟法の母法であるドイツでは裁判官の転勤がないため、不都合を生じた解決のためだったということがあげられる。

民事訴訟手続で採られる原則 [編集]

民事訴訟においては、訴訟係属中の審理の進行については裁判所が主導権を有する職権進行主義が採用されているが、訴訟の内容面については主導権を当事者に与える当事者主義が採用されている。そして、当事者主義の内容として処分権主義弁論主義といった原則が採用されている。後述の通り、処分権主義は訴訟手続に外在的な問題であるのに対し、弁論主義は訴訟手続に内在的な問題である点で異なる。

処分権主義 [編集]

訴訟手続の開始、審判範囲の特定、訴訟手続の終了については、当事者の自律的な判断に委ねられるという原則のことである。民事訴訟の対象となる私人間の権利関係については私的自治の原則が認められるため、この原則を民事訴訟手続にも反映したものといえる。

訴訟手続の開始
私人間に権利関係をめぐる紛争があっても、裁判所としては、当事者から紛争を解決したい旨の申立て(訴え)がなければ訴訟手続を開始することはしない。一見当たり前のようであるが、訴訟以外の裁判所の手続中には、申立てがなくても職権で手続を開始するものもある(例えば、民事再生手続で再生計画案が認可されなかった場合の職権による破産手続開始決定など)。
審理範囲の特定
裁判所は、当事者(具体的には原告)によって特定された権利関係についてのみ判断をする。例えば、500万円を支払えという趣旨の訴訟が係属したとして、裁判所は審理の結果600万円請求する権利が認められるという心証を得たとしても、超過する100万円分については訴えの対象になっていないため、500万円を支払えという内容の裁判しかできない。
訴訟手続の終了
いったん訴訟が係属した場合といえども、当事者は開始された訴訟手続をその意思により終了させることができる。具体的には、原告が訴えを取り下げた場合(ただし、被告が本案について答弁をした場合は被告の同意が必要)、訴訟上の和解が成立した場合、請求放棄認諾があった場合には、判決をせずに訴訟手続が終了する。

弁論主義 [編集]

職権探知主義の対義語。通説によると、資料(事実と証拠)の収集・提出を当事者の権限および責任とする建前のこととされ、具体的には以下の三つの内容に分けて考えられる。なお、弁論主義の適用される事実は主要事実に限られ、間接事実補助事実には適用されないというのが通説である点に注意を有する。

民事訴訟において弁論主義が採用される根拠としては、私的自治の訴訟上の反映とする説(本質説ないし私的自治説)が通説である。これを前提に、近年は、当事者が訴訟資料を限定できる権能とそれによる責任こそが弁論主義の本質であり、当事者が訴訟資料を提出できる権能(攻撃防御方法提出権、弁論権)とそれによる責任は職権探知主義にも妥当するものであって両者は区別すべきだとする議論が有力化しつつある。

第1テーゼ(当事者が主張しない事実の扱い)
その事実を当事者が主張しなければ、判断の基礎とすることはできない。例えば、貸金返還請求訴訟において、被告が既に弁済していることが証拠上認められる場合であっても、当事者が弁済の事実を主張していない限り(例えば、そもそも消費貸借契約自体が不成立という争い方しかしていない場合など)、弁済の事実があったことを前提に判断をすることはできない。
第2テーゼ(当事者間に争いのない事実の扱い)
その事実について、当事者間に争いがない事実はそのまま判断の基礎としなければならない。例えば、貸金返還請求訴訟において、被告が既に弁済していることが証拠上認められる場合であっても、被告自身が未だ弁済していないという自己に不利益な事実を認めている場合は、弁済をしていないことを前提に判断しなければならない。
しかしこの場合も、通説ではそのまま判断の基礎とされる当事者間に争いがない事実とは主要事実であるとされているため、間接事実にかかわる証拠や自白において、たとえ当事者間に争いがなかったとしても、必ずしもそれがそのまま判断の基礎とされるわけではない。
第3テーゼ(職権証拠調べの禁止)
事実認定の基礎となる証拠は、当事者が申し出たものに限定される。例えば、貸金返還請求訴訟において、被告が既に弁済したか否か証拠上はっきりしない場合で、裁判所としては別の証拠があれば事実認定できると考えた場合でも、当事者が申出をしない限りその別の証拠を調べることはできない。
なお、大正旧民事訴訟法第261条では職権による証拠調べがあったが、第2次大戦後に刑事訴訟法全面改正時に削除された経緯がある。

関連項目 [編集]