行政法

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行政法(ぎょうせいほう)は行政特有の活動について、私人相互の関係とは異なる規律をする国内法である[1]。行政法という名の統一法典は存在せず、行政法は行政に関連する諸法律に共通する原理や仕組みに関する抽象的な理論を意味する。行政法学は、行政法をはじめとする行政活動に対する法的規律のあり方を研究する学問である。歴史的には、行政権の権力行使を法的に枠組みをはめることによって制限しようとする発想が基礎にあった。

概観[編集]

近代的行政法の発祥の地は、フランスである。フランスでは、絶対王制のもとで官僚機構による高度に組織化された行政が発達したが、フランス革命を経て、行政活動を法により規律する必要性が認識された。そして、コンセイユ・デタを頂点とする行政裁判権が蓄積してきた判例と、それを体系化しようとする学説の努力とによって、行政法の諸理論が発達していった。日本は自国の法典を作るにあたり、フランスの行政法も参考にしていたが、初期の行政法は未完成な一面があったことから法典に入れられることなく六法と言う形で必然的にまとめられた。

伝統的な行政法学は、行政法の特質を、「公益保護の見地から私人相互間の利害調整(私法)を超える特殊な規律を定めること、さらに、その目的達成のために公権力の行使を認めること」に求めていたが[2]、現代の行政法の内容は、こうした公益優先性や公権力性に尽きるものではなく、行政活動の手続・説明責任(行政手続法、情報公開制度)、行政活動に伴う特別の負担に対する救済(行政救済法)、社会福祉の向上(社会保障行政)、私権相互間の利害調整(筆界特定制度など)といった分野にまで及んでいる[3]

ただ、アメリカ合衆国イギリスをはじめとするコモン・ロー法系の諸国では、若干様相が異なる。イギリスでは、行政組織が発達する以前からコモン・ローが権威を獲得しており、行政が行動する際に用いるのは、特例を定める制定法がない限り、コモン・ローの手続であって、行政作用に固有の法制というものは存在しない[4]。したがって、行政法にはいかなる特質があるか、あるいは、そのような特質のある規律を受けるに値する行政とはいかなる活動か、といった議論は、大陸法系におけるほど重要ではない。例えば、あるアメリカ行政法の教科書[5]は、行政や行政法の定義からではなく、行政にはいかなる権限が与えられ得るかという問題から、説明を始めている。

法治主義[編集]

法治主義(ほうちしゅぎ)とは、「国家のあらゆる社会活動は、法に従わなければならない」という原則をいう。したがって、行政における法治主義(法治行政の原理(ほうちぎょうせいのげんり))は、行政活動は、その担当者の恣意によってではなく、客観的な法に従って行わなければならないという一種の規範的要請を意味する[6]

ドイツ日本では、伝統的には、法治行政の原理は、「法律による行政の原理」を中心として考えられてきた。法律による行政の原理は、次の3つの原則からなる。

法律の法規創造力
国会で制定する法律だけが、国民の権利義務に関する規律である法規を創造出来る。
法律の優位
法律が存在する場合には、行政作用が法律に違反してはならない。
法律の留保
一定の行政作用については、法律の根拠がなければならない。

行政主体に関する法(行政組織法)[編集]

行政作用に関する法(行政作用法)[編集]

行政庁は、私人が作為義務・不作為義務を履行しない場合に、強制的に行政行為を実現できる場合がある。その際、以下の法律による規律に服する。

行政救済に関する法(行政救済法)[編集]

行政手続に関する法(行政手続法)[編集]

参考文献[編集]

本文中で引用したもののほか、

  1. ^ 芝池義一『行政法総論講義第4版』2頁~3頁、8頁(有斐閣、東京、2001年)、ジャン・リヴェロ著、兼子=磯部=小早川編訳『フランス行政法』20頁~21頁(東京大学出版会、東京、1982年)
  2. ^ 前掲芝池総論6頁、前掲リヴェロ9頁~14頁
  3. ^ 前掲芝池総論2001年7頁、前掲リヴェロ26頁~29頁
  4. ^ 前掲リヴェロ日本語版への序文、17頁
  5. ^ ゲルホーン=レヴィン著、大浜=常岡訳『現代アメリカ行政法』(木鐸社、東京、1996年)
  6. ^ 前掲芝池総論2001年38頁