公営住宅

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公営住宅(こうえいじゅうたく)は、地方公共団体が建設し、低所得者向けに賃貸する住宅(多くは集合住宅)のことである。日本では、公営住宅法(昭和26年法律193号)によって定められている。

地方公共団体の中には「市民住宅」などの名で中堅所得者などを対象とした賃貸住宅を運営しているものもあるが[1]、これらは公営住宅とは別個のものである。 近畿地方などで、入居申し込みや審査の段階で議員などによる口利きがあるのではないかという指摘もある[2]。このため、募集期間を設け最低限の書類審査のみを行い、申し込みが重なった場合は抽選とするなど、第三者の思惑が入らないようにしている自治体も多くみられる。

公営住宅の家賃[編集]

2014年現在、適用されている公営住宅の家賃は1998年に改正された公営住宅法の規定によっている。従来は原則定額であった家賃を入居する世帯の収入に応じたきめ細かいものとしている。家賃は原則として入居世帯の所得階層に応じて設定される家賃算定基礎額に、立地係数、規模係数、経年係数、利便性係数の4つの係数を乗じて算定される。

立地係数は公営住宅の所在する市区町村ごとに国が定める係数で、大都市であるほど大きな数値が設定される。規模係数は住宅の占用面積65m²を1.0としてその大小により上下させる。経年係数は当該住宅の経年により住宅の構造に応じて決定されることとなっており、この3つの係数については運営する地方自治体の裁量の余地はない。

これに対して利便性係数は運営地方自治体が独自に設定できる唯一の係数で、トイレや浴室等の住宅設備や自治体内の立地条件を考慮して、0.5 - 1.3の間で定められる。

収入超過者に対しては退去のインセンティブを与えるため、本来の家賃と近傍同種の住宅の家賃との差額に所得階層に応じた係数を乗じたものを加算する。ある一定以上の所得がある世帯の家賃は、付近の同程度の賃貸住宅と同等程度の家賃を支払うことになる。収入超過者となる基準は、従来は全国統一のものであったが、公営住宅法の改正を受け、2012年4月より地方自治体が条例で規定するようになった。

また、家賃は毎年入居者からの収入報告書の提出を受け、それによって翌年の家賃が算定される。入居者からの報告書の提出がなかった場合には、近傍同種の住宅の家賃が適用されることになる。

さらに、高額の所得がある入居者について2年連続で規準収入を超えた場合は、地方自治体はその入居者に対し期限を定めて当該住宅からの退去を命じることができる。これは本来目的とする低所得者層への公営住宅の供給を目的とするもので、期限を過ぎても退去しない場合は近傍同種の住宅の家賃に割増家賃を加えた高額な違約金(近傍同種の住宅の家賃の2倍以内で地方自治体が定める)を支払うこととなる。

障害者等の家賃減免制度[編集]

自治体によっては家賃の特別減免制度を設けているところもある。例えば東京都の場合、精神障害者保健福祉手帳1級及び2級を持っている精神障害者に対し都営住宅の特別減免制度がある[3]

公営住宅からの暴力団員排除[編集]

暴力団の入居は、付近の住民に与える迷惑を省みず、金銭獲得の為の不当な行為や悪徳商法を横行させる治安悪化の主要要因であった。

2004年6月に広島県と広島市が条例で公営住宅入居資格について「本人とその同居親族が暴力団対策法に規定する暴力団員でないこと」と規定されたのが、公営住宅からの暴力団員排除を条例で規定した最初の例であり、後に同様の内容を盛り込んだ暴力団排除条例が全国で制定されることになる。

2007年東京都町田市における公営住宅で発生した町田市立てこもり事件を契機として、公営住宅から暴力団を排除する気運が高まった。調査した結果、ほぼ全国的に公営住宅において暴力団員による不法行為等が多発していることが明白になり、これまで各都道府県で進めてきた住宅管理条例の改正を強く推進する必要性が生じた。

同年6月に、国土交通省から各都道府県知事へ向けて「公営住宅における暴力団排除について」を発出し、暴力団排除に関する基本方針を一本化した[4]。これを受け、各都道府県では住宅管理条例に暴力団排除を盛り込むとともに、所管の警察との連携強化を進め、公的な賃貸住宅からの暴力団排除を強く推進している[5]

2010年5月には、低所得者を対象とした家賃減免制度を悪用する形で、尼崎市営住宅の家賃の支払いを免れたとして、兵庫県警山口組系の暴力団組長を逮捕している[6]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]