エレベーター
エレベーター(米:Elevator, 英: Lift)とは人や荷物を載せた箱を垂直(または斜め・水平)に移動させる昇降機である。日本では、人が乗れない荷物専用のものはリフトと呼ぶことが多い(英語では英米ともリフトを dumbwaiter と呼ぶ。建築基準法でもかつてはそう記載されたが、dumb が卑語であるためか、small freight elevator[小荷物専用昇降機]に変更されている)。
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[編集] 歴史
エレベーターはすでに紀元前から存在し、アルキメデスがロープと滑車で操作するものを開発していた。中世ヨーロッパでも、滑車を用いた巻上機があり、一部で利用されていた。17世紀に入ると、釣り合い錘(カウンターウェイト)を用いたものが発明された。
19世紀初頭には、水圧を利用したエレベーターがヨーロッパに登場し、工場などで実際に使用された。また1835年に蒸気機関を動力として利用したものが現れた。ただし、水力や蒸気機関を用いたエレベーターは、非常に速度が遅く、安全性の問題があった。
これに解決の糸口を与えたのは、アメリカのエリシャ・オーチス (Elisha Graves Otis、1811-1861) である。彼は、1853年のニューヨーク万国博覧会において、逆転止め歯形による落下防止装置(調速機、ガバナマシン)を取り付けた蒸気エレベーターを発表した。オーチスは、来場客の面前で、吊り上げたエレベーターの綱を切ってみせ、その安全性をアピールした。
また水力式や蒸気機関式は、冬季に水が凍結すると運行に支障が出たが、1889年に電動機式のエレベーターの開発以降、電気の供給安定とともにエレベーターの動力源として電動式が主流となった。
電動式エレベーターは制御機構の高度化と建物内の高速な垂直方向の流通アクセス性の向上により、超高層建築物の建設の追い風をもたらした。
特に1920年代にはアメリカ・ニューヨーク市のマンハッタン地区でクライスラービルをはじめ、世界一のビルの高さを競うまでに新築超高層ビルの建設ラッシュが起き、超高層ビル建設の動きはのちに世界的に広がった。
- 1859年、ニューヨークのブロードウェイに建てられたホテルに、オーチスのエレベーターは初めて採用された。それまでホテルの上方階は、荷物の上げ下ろしが大変なので、不人気で料金も安かった。しかし実用的なエレベーターの登場以降、環境のよい上方階は宿泊客の人気を呼ぶようになった。
- 1861年、オーチスは蒸気エレベーターの特許を取り、オーチス・エレベータ・カンパニー (Otis Elevator Company) を設立。
- 1889年、パリのエッフェル塔に水圧式エレベーターが設置される。
- 1889年、オーチス・エレベータ社は、世界初の電動エレベーターを開発。ニューヨークのビルに採用された。以降、ニューヨークの摩天楼化に拍車がかかっていく。
- 1890年11月10日、東京浅草の凌雲閣に、藤岡市助が設計した日本初の直流電動機式のエレベーターが設置される[1]。この日は「エレベータの日」になっている。
- 1993年、当時世界最高速を誇る750m/min (=45km/h) のエレベーター(三菱電機製)を有する横浜ランドマークタワーが開業。
- 2004年秋、1,010m/min (=60km/h)のエレベーター(東芝エレベータ製)が導入されている、世界一の高さ (508m) である台北国際金融センタ(通称TAIPEI101)が開業。これにより、ランドマークタワーの導入機は、世界第2位となった。ただし、1010m/minの速度が出るのは昇りのみで、降りではランドマークタワーが最速。
[編集] 用途種別
一般に、エレベーターとは、建築基準法第34条で規定される「昇降機」の一種別である。なお、この「昇降機」は建築基準法施行令第129条の3により、「エレベーター」、「エスカレーター」、「小荷物専用昇降機」の大きく3種類に分けられている。
建築基準法で規定される「エレベーター」には以下の用途種別が定められている。
- 乗用
- 専ら人の輸送を目的とするもの。マンションや公団住宅、オフィスビル、商業施設、一戸建て住居などに設置されている。特に住戸内のみを昇降するエレベーターでかご床面積が1.1㎡以下のものは、ホームエレベーターという。また、マンション等では、かご内にトランクが設置されており、寝台やストレッチャー等の利用するときに使用される。
- 人荷用
- 人及び荷物を輸送することを目的とするもの。法規上の取扱いは乗用と同じ。
- 寝台用
- 主として病院で用いられ、寝台やストレッチャーに載せた患者を輸送することを主目的としている。
- 荷物用
- 専ら荷物を輸送する目的のためのもの。荷扱者又は運転者以外の利用は不可。なお、労働安全衛生法で規定される「簡易リフト」にも、建築基準法で規定される「エレベーター」若しくは「小荷物専用昇降機」の規定が適用される。
- 自動車運搬用
- 専ら駐車場に設置され、自動車を輸送することを目的とするもの。人だけが乗ることは禁じられている。
[編集] 非常用エレベーター
建築基準法(第34条2項)により、地上からの高さが31m以上あるか、または地上11階以上(一部のマンションでは16階以上)の建築物には、一般用のエレベーターのほかに、非常用エレベーターの設置が義務付けられる。これは災害発生時に高層建築では消防隊が階段を上がって救出に向かうことが困難なためであり、専用運転に切り替えられる装備をもつ。
非常用エレベーターは、火災等で商用電源が遮断されても運転できるよう非常電源(ディーゼル発電機など)から電気が受けられ、電線も普通の火災で焼けないよう耐火電線を用いて配線する。機械室なしタイプは認められていない。またかつては他の一般用エレベーターよりも速度が遅い仕様が多かったので(現在は60m/minが下限)、乗用として使用されることはほとんどなく、通常時は荷物輸送やビルメンテナンス要員・警備員の移動に用いられてきた。そのため用途種別はほとんどの場合「人荷用」となっており、最近の一部を除き一般客の目に触れないように設置されることが多い。
なお、非常用エレベーターは設置されている建物の全ての階に停止でき、かつ全階のエレベーターホールにはかご位置を知らせるインジケーターを設置しなければならず、エレベーターホールも防火戸等により煙や炎を完全に遮断することができる構造が必要である。乗場には非常用エレベーターを示すプレート(赤文字で「非常用エレベータ」、その下に最大定員と積載荷重を記載する)を掲示しなければならない。定員は最低で17名(積載荷重1,150kg)と定められている。消防隊専用の装備としてかご呼び戻しボタン(主に1階か避難階に設置され、押すと他のかご内及び、乗場の呼びを全て解除し呼び戻しボタンのある階へ直行する)、一次消防・二次消防切り替えスイッチ(建物管理者や警備員から鍵を借り、このキースイッチを操作すると消防隊専用に切り替わる)がある。
一次消防運転では乗場呼びが無効になり、一種の専用運転となる。二次消防運転では乗場の戸閉検出装置が無効となり、かご又は乗場の扉が閉まらない状態であっても走行可能になるが、速度は最高でも90m/minに制限される。
[編集] 建築基準法が適用されない昇降機
- 歩道橋等に設置されているエレベーター
- 建築物に設置されず、交通の用に供されるエレベーターは、建築基準法の規定が適用されない。
- 鉄道施設内に設置されるエレベーター
- 一般的に改札内に設置されるエレベーターは建築基準法が適用されない。
- 艦載機用
-
英空母イラストリアスのエレベーター - 第二次世界大戦から現代まで長い間空母に装備されている艦載機を乗せるためのエレベーター。
- 艦載機や各種のミサイル、爆弾も同時に搭載するためにとても丈夫で面積・荷重ともに大きい。
[編集] 構造と機能による種別
オフィスビルといった高層の建築物には、エレベーターが必須である。日本などでは高齢化などのためバリアフリーの重要性も高い。また、近年における中国の経済発展はめざましく、ビルなどの建設ラッシュであるため、エレベーターを製造するメーカーの競争は激しい。各メーカーでは差別化を図る意味で、さまざまな機能などが付けられたエレベーターが製造され存在する。
- クリスタルエレベーター(1975年封切のアメリカ映画『タワーリング・インフェルノ』以降、我が国ではホテルやショッピング施設などに採用される事が多くなった)
- 時速60.6km(分速1,010メートル)まで加速する、世界で第2位の最高速エレベーター(台北101・東芝製)。
- 時速64.8km(分速1,080メートル)まで加速する、世界で第1位の最高速エレベーター(ブルジュ・ハリーファ・オーチス製、上海中心大厦・三菱製)。
- 縦向きにではなく、横向きに動く水平エレベーター。
- 階間調整機能付ダブルデッキエレベーター。かごが2階建てになっているダブルデッキ・タイプのエレベーターもある。多くの場合、かご自体は、建物の2階分に相当する単位で昇降し、1階部分は常に奇数階に、2階部分は常に偶数階に、それぞれ停止する仕組になっている。昇降路(シャフト)あたりの輸送力が、1.5倍から1.8倍程度に向上するというメリットがあり、建物のフロア面積を効率的に利用できる。一方で、奇数階・偶数階間の移動ができない、一方の階の利用者が他方の階の利用者の乗降を待つ必要がある、といったデメリットもある。昇降人口が多い大規模高層ビルで導入されることが多い。近年の導入事例では、六本木ヒルズ森タワーやミッドランドスクエアのエレベーターがこれに該当する。なお、森タワーのエレベーターは、建物の階高の違いを吸収するため、かごの上下階の間隔が可変であるという特徴をもつ。
- 近畿日本鉄道の橿原神宮西口駅や福神駅には「構内外共用型」というエレベーターが存在する。これは、1台のエレベーターで「駅外と改札外コンコース」「改札内とプラットホーム」の移動のみを可能とするものである。乗った場所により降りられる場所が決められており、「駅外とホームや改札内」や「改札外とホーム」などの直接移動はできない。通常、「改札内」と「改札外」は同一平面となるため、かごの扉は2つある場合が多い。本来2台以上が必要なものが1台ですむため、設置やメンテナンスのコストが大幅に節減できる反面、利用者はかご呼び出しから乗れるまでの時間がかかる場合がある。そのため、エレベーターの利用が少ない、小規模な駅に設置される場合が多い。
- 暗証番号を入力しないと呼出しボタンが機能しないエレベーター。認知症の入居者が不用意に外出してしまうのを防ぐため、特別養護階のある老人ホームに設置されているほか、建物所有者の自宅階や店舗・病院の従業員などといった、特定の人物以外の利用を制限したい場合にも用いられる。逆のパターンとして、かご内の操作盤で特定のコマンドを入力することによって着床を行う階が設定できるエレベーターもあり、やはり特定階への部外者の立入を制限したい場合に設定される。企業の本社ビルで特定階が丸ごと役員室になっている場合など、外来者も使用するエレベーターでこの機能が持たされる。
- 自宅のトイレをエレベーターに設置する[要検証](例えば1階にトイレがある複数階の家に住んでいて、2階で過ごす事が多い場合、用を足すのに毎回1階に降りるのは面倒であるため、エレベーター内にトイレを設置すれば、その手間が省ける)。
- 常に人の動きを感知し、激しい動きがあると注意を促すアナウンスが流れるもの。揺れがひどい場合は、ブザーがなり一番近い階に緊急停止するもの(エレベーター内で争い等が起きたときや、防犯に有効)。
- 東芝エレベータは2006年1月17日に、磁石を使って姿勢を安定させるエレベーターを開発した。昇降路に取り付けられたガイドレールと籠が接触しないため振動や騒音が抑えられる。
- 日立製作所は2006年3月1日に、2列の昇降路を最上部と底部でつなぎ、複数のかごを循環運転させる循環型エレベーターの実証実験に成功したと発表した。
- 日本で初めて公道として整備されたエレベーターは、長崎市道相生町上田町2号線である。2003年に完成した。
- 日本で初めて立体横断歩道橋に整備されたエレベーターは、川崎市にある川崎ハローブリッジである。1993年3月に完成した。
- 航空母艦には、格納庫甲板と飛行甲板の間で艦載機を昇降させる、大きくて重いエレベーターがある。
[編集] 定員
日本では建築基準法の規定により、人間1人を65kgと見積もって定員を計算する。現在標準的にラインナップされる定員・容量は以下のとおりであり、かごの大きさは、小型で(縦・横ともに)1m弱、大型では荷物用として2m以上のタイプもある。太字がレディーメイドで対応できる定員であり、それ以外はオーダーメイドとなる。
- 2人 150kg(ホームエレベーターのみ)
- 3人 200kg(ホームエレベーター・小規模建物用小型エレベーター)
- 4人 280kg(ごく稀なタイプ/一部の古いエレベーター)
- 4人 300kg
- 4人 320kg(ごく稀なタイプ)
- 6人 450kg(古いものでは400kgの場合あり。一部のマンションのエレベーターで採用)
- 7人 500kg(基本的に古いエレベーターのみ)
- 8人 550kg(基本的に古いエレベーターのみ)
- 9人 600kg(マンションのエレベーターのほとんどがこの定員)
- 10人 650kg(ごく稀なタイプ)
- 11人 750kg(公共施設や駅のエレベーターのほとんどがこの定員。最も一般的な定員。最も釣り合い錘とバランスがとれる定員である)
- 12人 800kg(ごく稀なタイプ)
- 13人 900kg(上級学校などのエレベーターのほとんどがこの定員。850kgの場合も有り)
- 14人 950kg(基本的に古いエレベーターのみ)
- 15人 1,000kg
- 16人 1,100kg(1,050kgの場合あり)
- 17人 1,150kg(非常用エレベーターの最低基準で、ほとんどがこの定員)
- 18人 1,200kg(ごく稀なタイプ)
- 20人 1,300kg(1,350kgの場合あり)
- 22人 1,450kg(ごく稀なタイプ。例としてJRセントラルタワーズのパノラマサロン直通エレベーターなど)
- 23人 1,500kg(ごく稀なタイプ。例としてサンシャイン60のオフィス用など)
- 24人 1,600Kg(大型スーパーやショッピングモールのエレベーターのほとんどがこの定員。一部の百貨店やホテルのエレベーターで採用)
- 25人 1,650kg(一部の百貨店のエレベーターで採用)
- 26人 1,700kg
- 27人 1,800kg
- 30人 2,000Kg(百貨店のエレベーターのほとんどがこの定員、1,950kgの場合あり)
- 40人 2,600Kg(シャトルエレベーターなど)
- 46人 3,000Kg(一部のショッピングモールのエレベーターで採用)
- 50人 3,250Kg(ほとんどが荷物用や人荷用)
- 80人 5,250Kg(ゴンドラエレベーターで採用)
[編集] 構造
[編集] 構成
[編集] 昇降路(シャフト)
昇降路は別名シャフトと呼ばれ、エレベーターが上下するための何らかの構造物で覆われた縦に長い空間のことである。シャフトを構成する材料は鉄筋コンクリート構造や鉄骨構造が多い。その他シャフト一体型と呼ばれるシャフト部材と機器本体を一体で工場にて製作し現場に据付するタイプもある。シャフト一体型は小規模集合住宅に適しており、昇降行程が低く、小容量の後付用以外にはほとんど用いられない。
[編集] かご
人が乗るための箱状の構造物を、エレベーターにおいてはかご(籠)と呼ぶ。英語ではCARと呼ぶ(車の呼称と同じ)。これに人または荷物を乗せ上下させる。室内は乗客の安全を確保するため(日本では必ず)ドアによって閉ざされている。なお、かごドアの端部には挟まれによる事故を防ぐため、大きな棒状の安全スイッチが取り付けられている。このスイッチが押されると閉まりかけたドアが開く仕組みになっている[2]。
自動式エレベータの場合、室内には目的フロアを指定する階床ボタン(行き先階ボタン)とドアを開閉する開閉ボタンがある。天井には換気扇が取り付けられて、通気性が確保されている。エアコンや照明器具、シャンデリアが付いているものもある。高速エレベーターには風を切るためのカバーが付いているものもある。 エレベーターは密室なので、避難用のハッチや、隣の搬器から逃げられるような仕組みをもったものがある。
かごの奥側の側面には鏡が設置されていることがある。これはエレベーター利用者が車いすを使用している場合、前を向いたまま室内に入ることになるため、狭い室内では車いすに乗りながら転回することができないことを考え、後ろ向きのままエレベータから降りられるように考慮して設置されているものである。また、エレベーターには車いす利用者のために低い位置に階床ボタンや上下ボタンが設置されていることもあるが、これらのボタンが押された場合には一般用のボタンに比べて扉の開放時間が長くなるように設定されている。
天井には救出口(ハッチ)が設置されているものも見かけるが、この救出口は中から脱出するためではなく、外から引き上げるためのものなので、外からボルトで固定してあったり施錠がされてあったりする。むやみにこじ開け、自力で外へ脱出しようとすると停電復旧などで突然、エレベーターが動き出すこともあるので大変危険である。このため、そのような状況になった場合には、エレベーターに備え付けられているインターホンを使用して保守会社との連絡を行った上で、救出を待つのが最善である。
[編集] ガイドレール
ガイドレールとはエレベーターを導く軌道である。材質は鋼でできており、形状は鉄道のレールとよく似ている。それを垂直方向につなげてエレベーターの軌道を構成していく。ガイドレールは、かごの走行を円滑にし、各階に設置されたドアやカウンターウエイトなどの構造物とのクリアランス(すき間)を確保すると同時に、万一かごが落下した際に非常止め装置をガイドレールに噛ませて緊急停止させる目的もある。ガイドレールとかご、カウンターウエイトが接触する部分にはガイドシューと呼ばれる潤滑具やガイドローラーなどを設けて摩擦や振動を低減させている。
[編集] 釣り合い錘(おもり)
カウンターウェイトとも呼ばれ、つるべ式エレベーターで用いられる錘である。全体の形状は扁平で縦に長く、非常に重い鉄の塊である。つるべ式はトラクション式とも呼ばれ、ワイヤーロープの両端にかごと錘をぶら下げてバランスを取り、ワイヤーロープ折り返し中間地点に設置された電動機(モーター)と、それに連結された滑車(シーブ)に掛かる摩擦力によってかごとウェイトを上昇下降させる方式である。この方式ではロープ両端の重量バランスが良いので、比較的小さい力でロープに吊るされた物体を上昇下降させることができる。かごとカウンターウェイトのバランスが均等にとれている状態では、人の手でエレベーターを動かすこともできるほどにモーターに掛かる負担は小さくなる。カウンターウェイトの総重量は無積載状態のかごの質量にかご積載容量の50%を付加した重量になるように設計されている。
[編集] ワイヤーロープ
ワイヤーロープはトラクション式エレベーターなどで用いられる巻上索である。材質は炭素鋼が用いられ、建築基準法によって安全率を10以上確保することが義務付けられている。ロープの構造は、まずストランドと呼ばれる細い鋼線を撚り合わせたものがあり、さらにそのストランドを8本ほど撚り合わせてできている。柔軟性を保つためにロープの中心部にはマニラアサやサイザルアサなどの硬質繊維芯が入っている。太さは直径10ミリ、12ミリ、16ミリなどがあり、かご積載量に応じて使用する本数が増えたり、より太いものが使われる。トラクション式ではロープの両端にかごとカウンターウェイトが吊るされていて、それらの連結部にはソケットと呼ばれる器具にバビットメタルを注入するという末端処理が施されていて、連結強度を確保している。
高層ビルのエレベーターでは使用するワイヤーの質量が多く、そのままの状態では最上下階近辺ではかご側とカウンターウェイト側の重量がワイヤーロープの自重によってアンバランスになり、巻上機のシーブから滑り落ちてしまう恐れがある。そのアンバランスを解消するために、かご底部とカウンターウェイト底部との間にはコンペンセーティングロープ(或いはチェーン)と呼ばれる重量バランス調整用のワイヤーロープ或いはチェーンが渡されている。
[編集] 調速機
調速機はガバナー又は非常止め装置とも呼ばれ、万一、主ロープが切断された場合でもかごを緊急停止させる機能をもつ。通常、調速機は機械室やピットに設置されることが多い。
- 調速機の仕組み
- 調速機は、かごとロープ(主ロープとは別)を伝って連動しており、かごが動くと調速機のプーリーが従動して回転する。調速機ロープの終端部はかご側に位置し、その終端部に鋭いクサビ型の金属片が装着してある。万一、主ロープの切断などによってある速度(建築基準法の規定では定格速度の1.4倍)でかごが落下すると、調速機が遠心力によって機能し調速機ロープをロックさせる。ロープがロックされるとクサビ型の金属片はかごとレールの隙間に挟まり込み、かごを停止させる仕組みになっている。
[編集] 緩衝器
サスペンションとも。最下階のさらに下部および最上階の上部(ピットと呼ぶ)には緩衝器(バネや油圧ダンパー等)が付いており、非常止め装置を使用しても減速しきれない場合の衝撃をやわらげる仕組みになっている。エレベーターの速度が分速60m以下のものはバネ緩衝器、分速60m以上のものは油圧ダンパーを使用している。
[編集] ドア
日本ではドアはかご側と乗場側とにあり、乗場側はインターロックと呼ばれる装置で施錠され、外部からの解錠は専用の器具を使用しない限りできない(古いものでは手動式もあり、また外国では籠にドアのないものも少なくない)。その上、かご側及び全階の乗場側に戸閉めを検出するスイッチがあり、全ての扉が閉じていなければ起動できないように回路が構成されている。縦開き式など特殊なエレベーターを除き、かご側のドアだけに駆動装置がある。停止階に到着したエレベーターは、かごドア側の解錠装置と乗場ドアのインターロックがかみ合い、乗場のドアはかごドアの力によりインターロックによる施錠が解放され、開閉する。
外観としては横方向に動くサイドスライドドアが主流となっている。サイドスライドドアにはサイドオープン式(片開き)とセンターオープン式(真中開き)がある。なお、ドアを開かせるには昇降路面積が余分に必要になるので、マンションなどの小型機種では小面積で済むサイドオープン式が好まれており、デパートや大規模施設などでは見た目の良さや、乗り降りのし易さなどからセンターオープン式が好まれているようである。特大貨物用にはドアが上下方向に動くアップスライド式ドアが採用されている場合があるが、このドアは乗降中に戸が頭部に衝突したり戸が下方から出てきて危険であるので、荷物用・自動車用以外には使用できない。その他のドアとしては、円形のかごに対応する円弧状ドアや、格子状の折りたたみ式ドアなどがある。
[編集] 地震感知器
エレベーターの地震感知器には、検出する地震波の種類によって大別して3種類がある。
- 初期微動(P波:高速で伝わる縦波)を検知し、あるいは主要動(S波:P波に続いて到達する横波)のレベルが低いうちに検知して最寄階に停止後、震度4以上(以降震度は目安)の大きな揺れがなければ一定時間後に自動復旧するもの。
- 震度4以上の揺れを検知して、最寄階に停止し運転を休止するもの(この場合保守会社の作業員が機器の安全を確認後地震感知器を復旧する)。
- 更に大きな揺れ(震度5クラス)を検知した場合でなおかつ最寄りの階まで数階離れている場合(急行ゾーン)は、途中で急停止させる(保守会社またはビルの技術者の指示により釣り合い錘と反対方向の最寄階まで極低速で運転する)。
ただし、いずれも地震の揺れにより機器が損傷し地震感知器とは別の安全装置が働いた場合(乗場側の戸閉検出装置がかごの接触により誤動作する場合が大半)は、閉じ込められることもある。この場合には途中で急停止するので、かご内に閉じ込められることになる。一度この状態になると、エレベーターの保守会社が現地に出向かないと復旧することができないので、救出(主に保守会社か消防のレスキュー隊による)に数時間から丸一日以上を要することもあり、地震が発生する度に大きな問題になっている。
[編集] 乗務員
詳細は「エレベーターガール」を参照
主として1990年代終盤まで百貨店等のエレベーターは、女性のオペレーター(エレベーターガールと呼ばれる。男性のエレベーターボーイもいる。)がかご内に乗り込んで、行き先階を伺い操作していたが、2000年以降は一般のビルと同じ無人式(自動式)が多くなった。但し一部の百貨店や東京タワー等では自動式でも乗務員がいる場合がある。
[編集] 防犯装置
防犯のため、エレベーターのかご内の状況が外部から見えるよう、ドアや壁に窓(通称:防犯窓)を装着し、あるいはかご内に防犯カメラが設置され、内部の映像を乗り場のところに設置したモニターに映し出しているエレベーターもある。この形式のエレベーターの場合、外部からかご内の様子が見えることで犯罪やいたずらを未然に防ぎ、安心してエレベーターを利用できるといった長所がある。
窓付きドアのエレベーターは、主にマンション・団地などの集合住宅、鉄道駅、一部の商業施設などで見かける。防犯カメラのついたものは、集合住宅や一部のオフィスビルで見受けられる。
また、深夜になると各階へ昇降する際、途中階全てに停止するエレベーターもある(たとえば1階から5階へ向かう際、2階・3階・4階で停止しドアを開ける手順を経過することになるので防犯の効果は高くなるが、昇降に時間がかかり効率を悪化させるという欠点がある)。百貨店などの手動式エレベータの場合は、籠内からの目視により停止階を探すので、実用的な意味で籠の扉に窓がある。
[編集] 駆動方式
主な駆動方式として、ロープ式と油圧式がある。
- ロープ式
- 昇降路の直上や昇降路内に設置された巻上機の駆動力を用い、ロープで接続されたかごと釣り合い錘をガイドレールに沿って上下させるトラクション式が主流だが、ホームエレベーターなど小型のエレベータではロープをドラムに巻き取る巻胴式もある。
- 油圧式
- 荷物用や構造上建物の上部に電動機やその制御装置などを設置するための機械室を設けることができないところに置かれるエレベーターには、油圧ジャッキで持ち上げるものもある。油圧式は、電動ポンプを駆動させ、油圧ジャッキに作動油を送り込んでかごを持ち上げる方式である。直接油圧ジャッキで持ち上げる直接油圧式は荷物用に多く、油圧ジャッキでカウンターウェイトを上下させてかごを上下させる間接油圧式は乗用に多い。なお、ジャッキでかごを持ち上げる油圧式や水圧式エレベーターには間接タイプを除きカウンターウェイトは存在しない。油圧式は機械室なしエレベーターの登場により、乗用の需要は減っている。
珍しいものではスクリュー式(かごに取り付けられたナットを高速回転させて昇降路に取り付けられたボルトを利用し、昇降する。)、リニアモーター式や、かごに取付けたタイヤを電動機で駆動させる自走式などがある。工事用の仮設エレベーターには、ピニオンラック方式と呼ばれる歯車式もある。
[編集] 制御方式
[編集] 停止階制御
1つの建物で複数のエレベーターが並んでいる場合、それらを同じように各階に止めていくのは効率が悪い。特に、デパートなど、特定のフロアなどに客が集中する場合には、その階へ優先的に輸送することが望ましい。そのため、エレベーターの制御の単独化や、特定階の不停止制御(フロアカット)を行い、一部の階だけに停止させる急行運転(あるいは直通運転)を行なうこともしばしば見受けられる。また、事務所ビルでは、最終退館者が防犯機器を操作した時点でその階を通過し、最初の出勤者が入館手続きを取ると停止するというシステムを採用するケースもある。最近では当たり前になった屋上階には停止しないというシステムも、防犯上の事情から実行されている。
[編集] 乗り心地
エレベーターに乗ると、身体が床に押し付けられたり上に引っ張られたりするような感覚がある。これはエレベーターの速度の変化によって生ずる加速度が搭乗者に働くからである。速さが激しく変わるようなエレベーターは搭乗者にとって不快である。また、かごをガイドするガイドレールの取り付け方によっては横方向の揺れが発生し、乗り心地は大きく変化する。超高層ビルで運用されるエレベーター(最下階から最上階まで直通するような速度の速いエレベーター)ではレールの歪みやレール取り付け方法、加速度のコントロールに細心の注意が払われている。日本最高のビルディングである横浜ランドマークタワーのエレベーターは床面に立てた硬貨が倒れないほどに乗り心地がよいといわれる[1]。これは、加速制御の巧みさだけでなくガイドレールの配置や歪みにまで丹念に作りこまれているからである。
[編集] 制御方式の歴史
昭和40年代頃までは半導体技術が現在のように発展していなかったために、エレベーターの制御回路にはリレー式シーケンス制御が採用されていた。今では到底考えられないが、速度制御、ドア開閉制御、呼び出し制御、混雑回避制御などありとあらゆる制御回路が数百個から数千個にも及ぶ大量のリレースイッチ群とタイマーリレー、その他機械式接点によって構成されていた。リレー式回路は主に手作業で制御回路を構築するので、回路設計、回路変更に多大な費用と労力が掛かるものが多かった。さらに接点の接触不良や焼き付きなどの動作不良も多く、メンテナンスマンを大いに悩ませた。
昭和50年代に入ると半導体産業やコンピューターテクノロジーが盛隆し、エレベーターの制御回路にもマイコン方式が取り入れられた。これによって機器設置、回路設計における負担が減り、高品質で多彩な運転制御が可能になった。特にモーター制御においては加減速制御の品質が一段と飛躍した。巻上げ電動機には1980年代前半まで、高速のものには直流電動機が、低速のものには誘導電動機が用いられ、速度制御方式はそれぞれワードレオナード方式と極数切替法、次いでパワーエレクトロニクスの発展によりサイリスタなどによる電動機入力電圧制御に移り変わった。1983年に交流電力のVVVFインバータ制御がエレベータ向けにも実用化された。それ以降、高速低速ともにインバータによる誘導電動機駆動を経て、現在では永久磁石同期電動機駆動の巻上機が主流となった。
一方、油圧式エレベーターでは流量制御バルブによる制御が多く、油温や積載荷重により走行性能の変動を受けやすかったが、1980年代後半以降はマイコン制御化やバルブの改良により解消された。また、1990年代に入ると規格型エレベーターを中心にVVVFインバータ制御方式が広く普及し、乗り心地向上や省エネ、走行時間短縮を実現している。
これらの技術革新によって、現在では各階への停止位置をミリ単位で微調整することが可能とされている。
なお、半導体制御化が進んでいるが、重要な箇所にはリレースイッチが残っている。リレースイッチは信号側と動作側が電気的に絶縁されているので大電流に強いこと、電磁波ノイズに強いこと、昔に比べ動作の信頼性が高くなっていることもあいまって、現在でも主回路、ドア制御回路などの重要な箇所にリレースイッチを部分的に使用しているメーカーは多い。
[編集] バリアフリー構造
通常のエレベーターに車椅子で乗り込むと、降りるときは後進で降りなければならないが、降りるときも前進で降りられるように出入り口をかごの前後に配置した形式を「ウォークスルー式」または貫通2方向型という[3]。他には手摺を付けて車椅子で移動しやすくしたり、通常の位置のボタンとは別に低い位置にも車椅子利用者用の呼びボタンや階床ボタンが設けられていたりしている。車椅子利用者用ボタンを押すとドアの開いている時間が通常より長くなるように設定されている。また建物の構造上、貫通2方向型が設置できない場合などのために、前面と側面の2方向にドアが配置された直角2方向型の機種もある。駅舎やペデストリアンデッキのエレベーターに多い(小田原駅など)。しかし、乗客には降り口が判別し難い場合があるので、目的階に到着すると「後ろのドアが開きます」や「こちらのドアが開きます」などと親切に音声によって降り口が案内される。
また、貫通2方向型の機種は、大規模病院や事業所などでストレッチャーや貨物搬送の都合から採用することがある。
その他、近年製造されたエレベーターのボタンは、ユニバーサルデザインの考えが導入されてほとんどに凸文字ボタンや視覚障害者用の点字が採用され、さらに人に優しいエレベーターへと進化している(バリアフリー)。また近年、老朽化したエレベーターをリニューアルする際に、車いす仕様の追加を行う例が増えている。
[編集] 製造メーカー
- 日本の主なメーカー
- 海外の主なメーカー
- オーチス・エレベータ・カンパニー ※世界最大のエレベーターメーカーであり、世界シェアNo 1
- コネ (会社)
- シンドラーグループ
- ティッセンクルップ
主要な会社ではエスカレーターも製造している。
[編集] 日本でのシェア
2007年現在、日本国内での総据付台数ベースでのシェアは以下のとおりとなっている。
- 1位 三菱電機
- 2位 日立製作所
- 3位 東芝エレベータ
- 4位 日本オーチス・エレベータ
- 5位 フジテック
- 以上の5社でシェア約9割を占め以降シンドラーエレベータ、中央エレベータ工業等がその他を占める。
メーカーの選定に際しては、建物所有者の資本系列や融資元金融機関の系列が絡むことが多い。例えば、三菱地所が所有する建物(丸の内ビルディングや横浜ランドマークタワーなど)では、必然的に三菱電機製が採用されることになる(ただし横浜ランドマークタワーのプラザ棟のように、メーカー名が伏せられているがパネル形状から明らかに日立製とわかるなど例外がある)。逆に大手スーパーマーケットチェーンなどでは、店舗によって様々である。
[編集] 開発環境
エレベーターを開発する際には、テストする際に実際のビルと同じ高さの建設物が必要となる。そのため、各社ではテスト塔とよばれる高い建設物を作り、製品の安全性、機能性などをテストしている。
[編集] 脱出
映画などで天井のハッチから脱出する場面があるが、中から脱出し誤って塔内への転落を防ぐため外から鍵がかけられており、無理にこじ開けて脱出しても塔内に取り残される場合がある上、エレベーターが突然動く可能性もあり危険である。現実では内部で救助を待つしかない。
[編集] 安全性と寿命
[編集] 安全性
よく映画等の一場面において、エレベーターのワイヤーが切れて高速で落下するシーンが登場するが、これには誤りが多い。エレベーターのかごを吊り下げるワイヤーの強度は定員の約10倍の重さに耐えられる強度を有することが義務づけられているため、その全てが切断すること自体が極めてまれである[4](ワイヤーの使用本数3本以上)。万一、切断してかごが落下に転じても、定格速度の1.4倍で非常止め装置が作動して急停止する(参照:構造)[5]。つまり、映画『マトリックス』のワンシーンのように爆破されたり、主ロープと調速機ロープが同時に破断されない限り、落下事故は起き得ない。
なお、エンパイア・ステート・ビルディングにおいては1945年7月28日に航空機がビルに激突したことによってエレベーターのかごが300メートル以上落下する事故が起こったことがあるが、乗っていた従業員は破壊されたワイヤーが衝撃を和らげたためか生存していた。
以前は「非常止め装置が調速機ロープを切断されるなどして作動しなくても、エレベーターはエレベーターシャフト周壁との間隙が小さいことにより、かごにかかる空気抵抗が大きいため、ある程度の減速効果を有する」と言われていたが[要出典]、東芝エレベーターテスト塔での落下事故で、減速効果はほとんどないと証明された。このような効果を得るには、シャフト内の空気量が不変でなければならない。
[編集] 寿命
エレベーターの寿命は機器全体として考えた場合は長く、25年前後使用されることが多い(法定償却耐用年数は17年と定められている)。ただし、電子部品やワイヤー、軸受などはほぼ10年など、個々の部品の寿命は一般的な物理的寿命と大差ない。寿命を迎えた場合には、一式取り替える撤去新設工事だけでなく、リニューアル・延命工事も広く施工され、巻上機やかご・レールはそのまま使用するが、電動機や制御機器を最新型のものに取り替えて最新型と同等の性能を発揮できるようにする。特に1980年代以前に製造されたエレベーターは遅くとも2012年までに部品供給の停止が予告されている[6][7]ので、リニューアルは必須となる。
2008年現在、稼働中のものとして日本最古のエレベータは、京都市に店を構える東華菜館(オーチス社製)(ウィリアム・メレル・ヴォーリズ設計)に設置されているもので、1926年(大正15年)から稼動している。
[編集] メンテナンス
エレベーターは可動や経年変化によって消耗する部品があり、定期的なメンテナンスを必要とする。メンテナンスを行わないエレベーターは重大な事故を招きかねない。メンテナンスはメーカー自身、もしくは系列のメンテナンス会社が行うケースがほとんどである。一方、メーカー系列に属さない独立系メンテナンス会社もある。1980年代に独立系メンテナンス会社に対するメーカーの部品売り渋りが問題となり、独立系メンテナンス会社がメーカーを相手取って裁判を起こし、10年がかりで勝訴した。しかし、メーカーと独立系メンテナンス会社との関係が険悪なのは現在も変わらず、2009年に国土交通省が行った実態調査でこれが浮き彫りになった[8]。
[編集] 日本での保守契約形態
- FM(フルメンテナンス)
- POG(パーツ・オイル・グリース)
[編集] 日本でのメンテナンス形態
- メーカー直轄
- メーカーの子会社
- 三菱電機ビルテクノサービス
- 日立ビルシステム(ビルケア)
- 独立系
[編集] 主な事故
- 2003年10月17日、福島県安達郡本宮町(現:本宮市)の万世地下歩道において、利用者が幼児2人の乗ったベビーカーと共にエレベーターへ乗り込もうとしたところ、ベビーカーが扉にはさまり、そのままの状態で上昇した。これによりベビーカーは損壊、幼児1名がかごの下からシャフトへ転落、負傷した。事故原因は制御回路の設計ミスと安全装置の不備であった[9]。
- 2004年、新潟県中越地震の長周期地震動によって、震度3だった東京都港区にある六本木ヒルズでエレベーター6機が損傷した。
- 2005年5月28日、福岡県福岡市博多区の那珂第一市営住宅1棟(13階建て)で、シャフト上部の機器交換作業中に、かごを一時的に吊り下げる鎖が切れ、作業員2人を乗せたかごが12階から1階まで落下した。これにより作業員のうち1人は死亡、もう1人は足の骨を折る重傷を負った。本来であれば非常停止装置などが作動し途中で停止するはずであったが、動作は確認されなかった。
- 2006年6月、東京都港区にある23階建ての住宅「シティハイツ竹芝」で高校2年生の利用者が篭と建物に挟まれる死亡事故が発生し、当該エレベータを製造したシンドラーエレベータに捜査当局が強制捜査を始めた。これをきっかけに国内外各地で同社製エレベータの動作トラブル(ドアが開いたまま上昇、閉じ込め、天井への衝突など)が相次いで報じられた。
[編集] 名称の表記
この機器の名称は、「エレベーター」と表記されたり「エレベータ」と表記されたり、表記が一貫していない。しかし、JIS(日本工業規格)では「エレベータ」と表記している。
- JISの中には、用語や記述記号についての定めもある。
- JIS Z 8301 「規格票の様式及び作成方法」附属書G(規定)文章の書き方,用字,用語,記述符号及び数字 6.2 c) および表G.3。
- 一般には、外来語で英語の語尾が「-er」「-or」「-ar」の場合、長音符号で表記するので、「エレベーター」となる。しかし、JISでは、学術用語や別の規格がある場合以外は、その言葉が3音節以上であれば、長音符号を省くのが原則となっている。したがって、JISでは、エレベーターを「エレベータ」と表記する。これらは、どちらが正しくてどちらが誤りというわけではない。ただし、製造メーカーは、JISに従い「エレベータ」と表記することが多い。放送や新聞などの報道では「エレベーター」と表記される。
- これは、「エスカレーター/エスカレータ」「プリンター/プリンタ」なども同様である。
JISにおける一般的な表記方法はJIS独自のものではなく、国語審議会が審議して内閣が定めた内閣告示に基づいている。外来語の表記は『内閣告示第二号』(平成3年6月28日)によって定められており、その「用例集」には、「エレベーター/エレベータ」の両方が記載されている。JIS C 3408「エレベータ用ケーブル」などのJIS規格では、「エレベータ」を採用している。
なお、業界団体名は「社団法人日本エレベータ協会」であるが、公式サイト内では社名などの固有名詞を除き「エレベーター」「エスカレーター」と表記している。
[編集] その他
- 1890年11月10日に東京・浅草の展望台「凌雲閣」に日本初の電動式エレベータが設置されたことにちなみ、日本エレベータ協会は、11月10日を「エレベータの日」としている[10]。
- 大相撲で、番付が幕内・十両もしくは十両・幕下を上下する場合にもエレベーターに例えられる場合がある。
- 惑星(例えば地球)の表面から静止軌道以上まで垂直方向に伸びる軌道を持つ軌道エレベータの研究開発が行われているが、実現していない。
[編集] 脚注
- ^ エレベーターは地階に据え付けた7.5馬力のモーター1基に対し、M字状にロープで連結したかご2機を同時に運転し、1階か8階だけに止る独自の構造をしていたが故障が多く、のちに撤去された。
- ^ 時折、エレベーターのドアを閉じさせまいと手足をドアに挟む者がいるが、安全スイッチを押さない限り手足はドアに挟まれてしまうので注意したほうがよい。
- ^ ウォークスルー式でない通常ドアの機種では後方が確認できるように室内(かご内)に大きな鏡がついている。
- ^ 2011年には東京メトロの駅にてワイヤーが全て切れてエレベーターが落下する事故が起きている。
- ^ ただし、調速機ロープが同時に切断された場合は例外である。
- ^ エレベーター部品供給停止のお知らせ 三菱電機ウェブサイト
- ^ 部品供給停止のお知らせ 日立製作所ウェブサイト
- ^ 「エレベーターの保守管理等に関する実態調査」の結果について 国土交通省2009年7月7日報道発表資料
- ^ 一般国道4号本宮町万世地内「万世地下歩道エレベ-タ-」事故原因の調査結果及び安全装置の改善について-国土交通省東北地方整備局
- ^ 社団法人 日本エレベータ協会|昇降機百科|エレベーターの歴史・変遷
[編集] 関連項目
- エレベーターガール
- 搬器
- エスカレータ
- パーテルノステル
- シーケンス制御
- 神戸商船三井ビル
- コモアしおつ・西宮名塩ニュータウン - 斜行エレベーターで有名
- 関西電力黒部専用鉄道 - 鉄道車両を運ぶことの出来る竪坑エレベーターがある。2007年現在において日本最大の巻き上げ能力(最大積載量4500kg)を有している。
- カントリーエレベーター
- 愛知小型エレベーター製造
- 日和山 (鳥羽市) - かつて山頂と麓を結ぶ観光用のエレベーターが存在した。
- 華厳滝エレベーター
- エレベーターアクション - スパイに扮し機密文書を奪取しエレベータを使って脱出するゲーム。
[編集] 外部リンク
- 社団法人日本エレベータ協会
- 東京エレベーター研究会(アマチュアサイト。関東のエレベータ中心)
- シャンボール芦屋 斜めエレベーターのあるマンション
- 安全で快適な都市環境を支える昇降機技術 (技術者Web学習システム)