プール

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イラク・モスルのプールで遊ぶ子供たち(2003年5月9日、撮影:米国陸軍)
イラクモスルのプールで遊ぶ子供たち(2003年5月9日、撮影:米国陸軍
スコットランドの競泳用プール
スコットランドの競泳用プール
リゾートホテルのプール
リゾートホテルのプール
屋上プール
屋上プール
ビニールプール
ビニールプール

プールPool)は、レクリエーションあるいは水泳競技競泳水球シンクロナイズドスイミング飛び込みなど)のために、人為的にを溜め込んである空間または施設。英語では、poolは単に「水溜り」を指し、水泳用のプールのことはswimming poolと呼ぶ。尚、プールの数え方は面を使う。

概要[編集]

プールは、主に学校公営の体育施設・保養施設、民間のスイミングクラブフィットネスクラブ、レジャー施設、ホテルに備えられ、またかつてはデラックスなマンションの屋内または屋外に備えられることもあったが環境基準が厳しくなった1990年代以降は閉鎖されたり、駐車場に転用されたりして激減している。屋外に設置されるだけ使用されるものと、屋内に設置され、室温や水温が管理された通年使用可能なもの、またそのうち通常より水温が高い温水プールと呼ばれるものもある。防火用水や非常用水の水源として利用されるものもあり、使用時期以外にも貯水・管理されている。

歴史[編集]

日本では、水練場あるいは水練水馬池として、会津藩校日新館が最古のプールとされている。当時の藩校の中では、日新館と長州藩校の明倫館の2校を除いて施設が設けられていなかったとも言われている。また日本最古の温水プールは1917年に東京のYMCAに開設された。

設備[編集]

規格[編集]

競技用のものは国際水泳連盟によって種目別に細かく規格が定められており、オリンピックなどの国際大会で使用するプールはこの規格を達成していなければならない[1][2]

競泳

競泳用のプールでは、短水路と呼ばれる長さ25メートルのものと、長水路と呼ばれる長さ50メートルのものが定められており、競泳のタイムは水路によって別々に扱われる。これは、ターンの際に壁面を蹴ることにより加速が行われるため、特に長距離の種目ではターンの回数が多くなる短水路の方が、長水路に比べタイムが短くなる傾向があるためである[3][4]。長水路のプールは幅25メートル、水深2メートル以上のものも多く、長水路のプールを横方向に使って短水路の競技を行うこともある。

正確な長さについては、東京辰巳国際水泳場などの主要な国際水泳大会などが行われるような日本水泳連盟の公認プールは、長水路50.02m・短水路25.01mに設計されている。これはタイムを測定するために厚さ1cmのタッチ板を長水路ではプールの両端に1枚ずつ、短水路ではスタートサイドに1枚設置するためである。また、スタート台にはリアクションタイム(=号砲が鳴ってから足が離れるまでの時間)を測定するための装置が付いており、台へかかる圧力によりそのタイムを測定する。これらの装置は組み合わせてリレーのフライング判定にも使用される。なお、スタートの場合は号砲が鳴る前にスタート動作に入ったらフライングと判定される(日本水泳連盟競泳競技規則第4条2項)ため、リアクションタイムはスタートの反応を知るための参考にしかならない。リレーの引継ぎはリアクションタイムがマイナス0.03秒以上早いと自動的に失格となる。

水温についても国際規格で、摂氏25℃から28℃までの範囲内に収まるよう調節しなければならないとされるが、2010年の改正以前は26℃を一つの目安とし±1℃を許容範囲としていた。この範囲を逸脱した状態での記録は公認されない。

シンクロナイズドスイミング

シンクロナイズドスイミング用のプールでは、定められた面積について3メートル以上の水深を持つことが必要となる。フィギュアとルーティンによって要求される面積は異なる。競泳用プールと共用するために、東京辰巳国際水泳場などではプールの底が可動式になっており、水深を競技によって変えることができる。

飛び込み

飛込競技用のプールは、水深は5メートル以上が必要であり、高飛び込み用の 10m、7.5m、5mの高さの台と、板飛び込み用の 3m と 1m の高さの台が設置される。各飛び込み台の端はプールの上空に張り出した形状になっている。

水球

水球競技では、水深2m以上のプールに、男子は縦30m×横20m、女子は縦25m×横17mのコートをフィールドロープで区画して作り、コートの両ゴールライン中央にはゴールが浮かべられるため、ゴールのスペースも含めた競技面積以上のプールが必要となる。一般には50m競泳プールが使用されるが、宮城県仙南総合プールは35m×25mの水球公認プールで、国内唯一の屋内温水水球専用プールとして知られる。

その他の設備[編集]

排水口
プールの排水口は、その膨大な水量をすばやく排出するため、銭湯などのそれと比べて非常に大きな物が取り付けられている。人が一度吸い込まれると大人でも脱出不可能であるので、通常金網などで安全対策が行われる。それでも何年かに一度の割合で事故が起きているが、この危険に対処するため現在では排水口を複数設置して(1つあたりの)流水圧の低減を図るなどの措置が取られている。
プールフロア
利用者の身長に合わせてプールの一定の区画の水深を浅くする必要がある場合には、プールフロア(プールの水深を調節するためのプラスチック製の台)が設置される。
可動床
プールの床面を昇降させ利用目的に適した水深に変えることができるシステム、主として公共プール、学校プールに、約300箇所建設された。屋外プールに設置されたケースもあるが、多くは通年使用の屋内プールに設置されている。

一般向けのプールは様々なものがあり、レジャー施設用のプールの中には、流水プール、子供用の水深の浅いプール等があり、附帯設備として滑り台などが併設されるものもある。

水質[編集]

通常のプールは不特定多数の人間が利用するため、衛生上、水質管理が必要となる。一般的には殺菌・消毒のためにプールと付帯施設の足洗い場・腰洗い槽に消毒剤(次亜塩素酸カルシウム)が加えられている。加える方法はプール・足洗い場・腰洗い槽に消毒剤を直接投入する方法と塩素供給機器に消毒剤を入れて水に溶かす方法がある[5]

日本では厚生労働省が「遊泳用プールの衛生基準について」(平成19年5月28日健衛発第0528003号)を定めている[6][7]。この基準では、水素イオン濃度濁度過マンガン酸カリウム消費量・遊離残留塩素大腸菌、一般細菌、総トリハロメタンの7項目について衛生基準が示されており、また循環ろ過方式等の浄化設備を備えることも必要とされる[6][7]

また、いわゆる1条校のプールにあっては文部科学省が「学校環境衛生基準」を定めている[8]。なお、学校における水泳プールは学校保健法(昭和33年法律第56号)に基づく衛生管理が実施されているため「遊泳用プールの衛生基準について」(平成19年5月28日健衛発第0528003号)の適用対象外となっている[6]

プールはプール熱などの感染症の媒介となりやすいため、病気に罹患している場合や回復した直後などはプールへの入場が禁止されている。

関連項目[編集]

参考文献[編集]

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  1. ^ 国際水泳連盟 (FINA) による規格 [1]
  2. ^ ベースボール・マガジン社による解説 [2]
  3. ^ 短水路世界記録 (FINA) [3]
  4. ^ 長水路世界記録 (FINA) [4]
  5. ^ 南海クリヤー・クリヤー 南海化学
  6. ^ a b c 遊泳用プールの衛生基準”. 厚生労働省. 2013年4月14日閲覧。
  7. ^ a b 衛研ニュース 第4号”. 川崎市衛生研究所. 2013年5月14日閲覧。
  8. ^ [改訂版]学校環境衛生管理マニュアル 「学校環境衛生基準」の理論と実践”. 文部科学省. 2013年4月14日閲覧。