消防本部

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忠岡町消防本部・消防署庁舎(大阪府

消防本部(しょうぼうほんぶ)は、日本における消防専門の市町村部局である。1948年(昭和23年)に施行された消防組織法に基づき、市町村又は一部事務組合広域連合に設置される。

名称[編集]

法的には「消防本部」という名称であるが、政令指定都市中核市または消防組合等で人口の多い消防本部は、消防局と称することが多い。

静岡県焼津市は、消防防災局という呼称を採用していたが2012年4月1日をもって焼津市消防本部に改称した。なお静岡市も政令指定都市移行と同時に消防防災局という呼称を採用していたが、2010年4月1日をもって静岡市消防局に改称した。また、神奈川県横浜市は、消防・総務・市民の3局を統合した安全管理局という組織としていたが、2010年4月1日より元の横浜市消防局に再改称した。

以上の各組織に差はなく、その自治体組織が部署制を採っているか部局制を採っているかの違いだけである[要出典]。道府県に消防本部は存在しないが、唯一東京都のみ、特別区の消防については東京都知事の管理とされることから東京都が東京消防庁を設置し、東京都内市町村(稲城市と島嶼部町村を除く)からも事務委託を受けている。

組織[編集]

市町村に消防本部が設置されることを常備化というが、全ての市とほぼすべての町村が常備化されている。2012年4月現在で常備化率は97.7%であり、常備化されていない町村は2012年4月現在で全国で離島や山間部を中心に計37ある。

財政が困難で常備消防が持てない自治体は、近隣の市や町が運営する消防本部に事務委託するケースもある。

小規模な市町村が単独で消防本部を組織することは負担過多となることから、人的面・財政面で効率的な運営を行うため、複数の市町村が一部事務組合広域連合を結成し(消防組合)、消防本部を設置する例もある(組合消防)。例えば、鳥取県では3消防本部だけで全県を管轄している。組合消防は1970年(昭和45年)頃に設立された組合が多く、平成の大合併における市町村合併の枠組みと消防本部の管轄が整合しないこともある(次節参照)。

一般的な消防本部の組織構成は以下の通りである。

  1. 消防本部(消防局・東京消防庁・消防防災局)
  2. 消防署(分署。本部に併設されている「中央消防署」もこの一つ)
  3. 出張所(分遣所・機関員駐在所。分署との違いは配備されている消防車の数で、はしご車・ポンプ車・救急車が各1台ずつ程度)

また本部には総務、火災予防業務を担当する予防、119番を受け付け各種講習を行ない医療機関と連携を取る警防の各課が置かれている。

職員[編集]

種類[編集]

「消防本部」で働く者を「消防職員」と言い、全て地方公務員である。そのうち消防階級を有する者を「消防吏員(しょうぼうりいん)」と呼ぶ。実際に消火・予防・救急・救助に当たるのは消防吏員のみであり、消防職員のほとんどが消防吏員である。消防吏員の他の消防職員には事務職員や整備士・無線技師といった技術職員も存在している(特に、消防車が故障し立ち往生した場合には救援車が、無線機器のトラブルには「通信工作車」が出る必要がある)。

地位[編集]

消防本部の長を消防長という。

行政職では部長級に当たる。消防長の任用については政令で規制されている。長年、消防吏員として勤務した者が消防長となる消防本部もあれば、市町村の他部局にいた者が消防長として転任する消防本部もある。かつては消防長の任命されるまでは市長が事務取扱をする所もあった。また、都道府県の消防行政経験者から任用することもある。消防長は市町村長が、その他の消防職員は消防長が任免する。なお、地域の規模(人口・所属吏員数)にもよるが、消防長は消防司令長以上の階級が就任する。

消防吏員の階級[編集]

  1. 消防総監
  2. 消防司監
  3. 消防正監
  4. 消防監
  5. 消防司令長
  6. 消防司令
  7. 消防司令補
  8. 消防士長
  9. 消防副士長
  10. 消防士

問題[編集]

市町村合併に関して[編集]

2000年以降、平成の大合併と呼ばれる市町村合併が地方で進行すると、消防本部の管轄にも影響が生じている。消防の広域行政化は1970年代に大部分が完了したため、平成の大合併での新たな市町村区域と整合しないことがある。この場合、新市町村の区域と消防管轄が即一致することは稀である。様々な事情により、旧来の消防管轄が継承されることがほとんどである。その結果、新市町村が複数の消防管轄に分割されることとなる。こうした事例は全国各地に見られ、滋賀県東近江市広島県広島市廿日市市山口県周南市などが挙げられる。逆に、消防管轄を変更することなく新市町村の区域と一致したケースとしては、埼玉県熊谷市などが挙げられる。このため、熊谷市では後述の様な問題も一切発生せずに「熊谷地区消防組合」の解散と「熊谷地区消防本部」から「熊谷市消防本部」への組織変更がスムーズに実施された。

総務省消防庁は、平成の大合併を受けて、より広域の消防再編を推進しようとしている。2007年4月1日現在、10万人未満の消防本部はおおよそ6割を占めるが、その解消を勧めるべく、おおむね30万人以上の規模を一つの目標とした再編計画を策定するように都道府県に指示している[1]。これは、消防の財政基盤などを強化することを目的としているが、地方自治体の自由意思によるべき消防再編を国が一方的に推し進めることに、憲法が保障する地方自治への不当な介入だとして、憂慮する意見も出ている[誰によって?]

島根県では、合併協議から離脱した簸川郡斐川町に対し、新たに合併した出雲市が常備消防を実施しないことを通告する事件も起こった(消防組合設置まで拒否するものであり、町が財政状態に関係なく独自に消防を置かねばならない)。住民の安心・安全の根幹を支える消防を盾にとった出雲市に対しては、消防庁をはじめ全国の消防関係者から非難の声が挙がる事態となった。(その後2011年10月1日に合併。)

大阪府では、堺市高石市が「堺市高石市消防組合」を設置していたが、2006年4月1日政令指定都市に移行した堺市は、組合を解散して単独での消防組織設置を検討。これに対して、財政が悪化していた高石市は、独自の常備消防の設置や市内にある石油コンビナート火災に対応した車輌の購入が厳しい状況であったため、組合の解散に反対した。最終的には、組合解散後も堺市が事務委託により高石市内の消防事務を担うことで交渉がまとまり、2008年6月の両市議会で組合の解散が提案・可決され、同年10月に堺市消防局が発足した。

消防組合が解散して2つの消防本部に分裂したケースもある。岐阜県の北部飛騨地方に属する高山市飛騨市の消防本部は現在両市が単独で運営しているが、もともとは飛騨消防組合消防本部(以下、同組合)という組織で成り立っていた。だが、2004年の飛騨市発足に伴い、加入していた吉城郡旧3町村が同組合から脱退。飛騨市の合併に参加した旧神岡町の消防本部を統合し飛騨市消防本部を立ち上げることとなった。これに伴い、神岡町に消防事務を委託していた吉城郡上宝村は飛騨市発足により神岡町との事務委託関係を解消させ、同組合に加入した。残った高山市、大野郡・吉城郡(上宝村を含む)の一部も2005年に合併した。合併に参加しなかった大野郡白川村は消防事務を高山市に委託し、同組合は解散した。

消防組合がもとで市町村合併が破談になったケースもある。長崎県西彼杵郡時津町長与町琴海町の3町は琴の海市として合併する予定であったが、長崎市(長崎市消防局)に委託している消防事務を琴の海市で発足させる際、3町は合併後の発足始動を前提に当面の間長崎市への委託継続を要求したが、長崎市は合併までに発足させることを要求したため、3町の合併が困難となり協議会も解散した。

一度広域合併した消防組合が解散したケースとしては、鹿児島県南薩広域消防組合のケースがある。枕崎市消防本部と加世田地区消防組合が合併して南薩広域消防組合を発足させたが、県などの思惑は指宿地区消防組合も含めた広域合併を計画していた。しかし、通信指令室の新規整備計画の意見の相違から組合解散となり、最終的に旧加世田地区消防組合は南さつま市消防本部として単独消防を開始、枕崎市は枕崎市消防本部として単独消防を開始、指宿市消防本部は南九州市と共同で指宿南九州消防組合を設立して組合消防を立ち上げた。

消防本部の一覧[編集]

消防本部一覧を参照。

脚注[編集]

関連項目[編集]