シンドラーエレベータ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
| 種類 | 株式会社 |
|---|---|
| 市場情報 | 非上場
|
| 本社所在地 | 〒135-0044 東京都江東区越中島一丁目2番21号 YKビル |
| 設立 | 1954年(昭和29年)6月10日 |
| 業種 | 製造業 |
| 事業内容 | エレベーター・エスカレーター等の製造・販売・保守・修理 |
| 代表者 | 代表取締役 大月通明 |
| 資本金 | 5億円 |
| 売上高 | 53億6,333万4千円(2009年) |
| 総資産 | 66億4,576万1千円 |
| 従業員数 | 304人(2007年12月31日現在) |
| 決算期 | 12月31日 |
| 主要株主 | Schindler Holding Ltd.(99.9%) |
| 外部リンク | http://www.schindler.co.jp/ |
シンドラーエレベータ株式会社(Schindler Elevator K.K.)は、エレベーター・エスカレーターの製造・販売、保守・管理を行う日本の会社である。
目次 |
[編集] 概説
1985年に日本エレベーター工業株式会社が、スイスに本社のあるシンドラーグループ入りし、1991年から現社名に変更された。
シンドラーグループの世界シェアは、エレベーターで2位、エスカレーターでは1位である。日本でのシェアは、国内大手3社(三菱・日立・東芝)が多くを占めるため、同社の製品はあまり普及していないが、近年の低価格路線で業績を延ばし、主に公共事業の落札において強みを発揮し、団地などで広く採用されている。しかし日本ではエレベーター事故が頻発し、問題となっている。
シンドラー社の創業者は「シンドラーのリスト」でユダヤ人を救った オスカー・シンドラーの遠縁にあたる。
[編集] 沿革
[編集] 日本法人
- 1935年 東和エレベーター工業所の製造部として創業
- 1954年 日本エレベーター工業株式会社を設立
- 1985年 シンドラーホールディングが日本エレベーター工業株式を30%取得
- 1991年 商号をシンドラーエレベータ株式会社に変更
- 1995年 シンドラーホールディングがシンドラーエレベータ(旧日本エレベーター工業)株式66.7%を取得(96.7%に)
[編集] 親会社
- 1874年 Schindler&Villiger設立
- 1970年 Schindler Management AG設立
- 1971年 Schindler Holding AG設立
[編集] 事故・不具合
- 2006年6月3日
- 東京都港区にある区営の特定公共賃貸住宅「シティハイツ竹芝」に設置されていたシンドラー社製エレベーター2基のうち1基で、自転車に乗ったまま乗降中の高校生が、扉が開いたまま突然上昇したエレベーターのかご部分と建物の天井との間に挟まれ折りたたまれて圧死する事故が発生した[1]。
- 事故発生直後、国土交通省はシンドラーに、国内にある同社製エレベーターの全リストの提出を求めたが、当初は「個人情報保護」を理由に国交省へのリスト提供を拒否した(6月9日にリストを提出)。また、スイスのシンドラーグループ本部は6月9日、「(事故は)欠陥ではなく他社の不適切な保守点検か、閉じ込められた乗客による危険な行為が主因」とする声明を発表した。当時、保守は同社と資本関係のない競合会社が受注していた(2005年度は日本電力サービス、2006年度はエス・イー・シーエレベーター)。
- 事故当初より、シンドラーは再三の住民説明会や記者会見の要請を拒み続け、初めて記者会見を開いたのは、事故から9日経過した6月12日であった。この会見で、同社による保守業者への情報の提供が不充分であったことが明らかになった[2][3]。翌日の6月13日に、初めて住民説明会を開いて、ケン・スミス社長が謝罪した。
- エレベーターは後に、同じ建物内にあった3基のシンドラー社製エレベーターも含め、5基とも三菱電機製に交換された。なお、保守点検は、交換時から同社の子会社である三菱電機ビルテクノサービスが実施している。
- 死亡事故の発生を受け、広島市は、被害を防止する観点から市有建築物のエレベーターの緊急点検を行った。これに伴い、市有建築物における過去のエレベーター誤作動調査結果がまとめられた。他社製品は457基中35基(7.7%)が過去にトラブル・故障があったのに対して、同社製のエレベーターは41基中14基(34.1%)であった[4]。
- 2006年11月17日
- 国土交通省は、全国の同社製エレベーター6273基の緊急点検結果を発表した。同社製エレベータは、過去1年に閉じ込め175件を含む1294件の不具合があり、1基あたりの1か月の不具合の発生率は1.7%であった(大手5社の不具合発生率は1.2%)。国土交通省は、同社製エレベータに構造上の問題はないが、保守管理が充分でないとして、重点的に検査を行うよう注意喚起する方針であるとした[5]。
- また、シンドラーエレベータ死亡事故後に、東京工業大学すずかけ台キャンパス内にある同社製エレベータが、ドアに15cmの隙間が発生したりと何度も不具合を起こしていたことが話題となり、このエレベータに対し取材陣が殺到した(やじうまWatchより)。その後も、不具合は修復されていない様子であることが、報告されている。
- 2007年1月1日
- 同日付でケン・スミス社長は退任し、ゲアハルト・シュロッサー(ヘンケルジャパン前社長)が新社長に就任。また、これと同時に失敗学で知られる畑村洋太郎氏や弁護士などで構成される「独立アドバイザリー委員会」を設置し、同委員会のアドバイスの元に、日本での事業を行うこととした。これは、シンドラー社が社会的要請に応じた事業活動のありかたや、安全な製品を供給することを目的としている。
- 2007年3月
- エレベータの法定検査に必要な国家資格を、資格取得に必要な実務経歴を偽装することで、53人に不正に取得させていた事が発覚した[6][7]。同社は、直ちに詐称していた者の資格を国土交通省に返納した。また、それと同時に、国土交通省は経歴詐称した検査資格者が行った法定検査を無効とし、正規な検査資格者による再検査を指示した。
- 2007年4月5日
- シンドラー社は、同社製品やサービスの向上や信頼回復を図るべく、前述の独立アドバイザリー委員会の存続延長を決定した。
- 2007年5月23日
- シンドラー社が保守点検を行っている東京都杉並区にあるマンションで、住民からの通報により、エレベータを吊るすワイヤーの一部破断が発見された。国土交通省は、直ちに同社が保守点検をしているエレベーターについて緊急点検を指示。なお、前月である4月4日に、日本オーチス・エレベータが同様の不具合を起こしたばかりであった。
- 2007年6月30日
- 前述の独立アドバイザリー委員会が解散した。
- 2007年7-8月
- 東京都港区が事故機と同型のエレベーターの電磁ノイズ耐性を調べる実験を行った(タクラム・デザイン・エンジニアリングとノイズシールドジャパンが実験)。同型機で、制御回路が電磁雑音に極めて弱いことが判明した[8]。この実験以前は、「ブレーキの磨耗」や「保全の不良」が事故原因と推測されていたが、事故機の予測不可能で多彩な動作不安定性は単純なブレーキ磨耗だけでは説明が付かない。一方「指示なしで勝手に走行」「急停止」「閉じ込め」など、事故機の設置されていたビルの住人などがかねてより指摘していた動作不良は、制御回路の電磁雑音脆弱性で再現が確認された。また、同実験で、ブレーキ磨耗・ソレノイド不良により事故と同様の戸開上昇が認められた。制御回路の電磁雑音脆弱性とブレーキ磨耗、ソレノイド不良の因果関係に関しては、現時点では不明。一方シンドラー社は、「ノイズ対策は正常であった」という見解を出しているものの、具体的にどう正常であったかの回答は出していない[9]。
- 2007年9月12日
- 大阪府堺市西区浜寺石津町西の娯楽施設「とこりん」石津店で、シンドラーエレベータ社が保守するエレベータ(旧日本エレベーター工業製、1970年製造)が4階に上がる途中で2階まで降下し、エレベーター内に一時的に閉じ込められた乗客が気分が悪くなるなどの症状を訴える事故が発生した。
- 2007年10月16日
- 神奈川県平塚市の西友平塚店で、エスカレーターから大きく身を乗り出した小学生の男児が、手すりと危険防止用の保護板の間に首を挟まれ重体(後に回復)となった(西友平塚店エスカレータ[保護板衝突]事故)。この保護板の製造・設置をしたのはシンドラー社で、形状が建築基準法に違反していた。19日に国土交通省大臣が同社を批判。
- 2010年11月16日
- 千葉県柏市の東京大学柏地区キャンパスで、学生18人が乗り込んだ定員19人のエレベーターが扉が開いたまま1階から地下1階まで下降。脱出を試みた学生2人のうち男子大学生1人がひざに軽い打撲を負った[10]。
[編集] 脚注
- ^ 港区ポータルサイト 調査・報告 シティハイツ竹芝エレベーター事故について
- ^ livedoorニュース シンドラー社が記者説明会 エレベーター死亡事故に陳謝 2006年06月12日
- ^ nikkei BPnet シンドラーだけで終わらぬエレベーター問題 2006年7月5日
- ^ 広島市 シンドラーエレベータ(株)製エレベーターの事故対応について
- ^ SIKOKU NEWS 構造上の問題なしと国交省/保守管理に不十分な点も
- ^ YOMIURI ONLINE シンドラー 53人経歴詐称
- ^ nikkei BPnet シンドラーとハインの一部社員、エレベーター検査資格を不正に取得
- ^ 日経エレクトロニクス Tech On Schindlerの事故エレベーター同型機を港区が検証,制御盤でEMC対策の不備が発覚
- ^ 日経ものづくり シンドラーエレベータ,東京都港区のエレベータ事故に関する技術説明会を初めて開催
- ^ 扉開いたままエレベーター降下 東大柏キャンパス1人けが、シンドラー製 読売新聞 2010年11月17日
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- シンドラーエレベータ株式会社
- Schindler Holding AG
- エレベータに挟まれ死亡 - 失敗知識データベース