超高層マンション
超高層マンション(ちょうこうそうマンション)とは、従来のマンションと比べて際立って高い住居用高層建築物の俗称。その外観の形態からタワーマンションとも言う。
日本では超高層マンションに対する法的な定義はないが、建築基準法第20条「高さが60mを超える建築物」と同義とすることが多く(ほぼ同程度の高さとなる20階超も含まれる)[1]、環境アセスメント条例が適用される「高さ100m以上」とする場合も見られる。
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[編集] 世界
[編集] 世界最高層の超高層マンション
2007年11月現在、世界最高層の超高層マンションは2005年にオーストラリア・ゴールド・コーストに竣工した『Q1・タワー』(地上80階建・323m)である。2003年竣工のアラブ首長国連邦・ドバイの『21st Century Tower』(地上59階建・269m)、2004年竣工の韓国・ソウルの『Tower Palace Three - Tower G」(地上69階建・264m)などがそれに次ぐ。
[編集] アメリカ合衆国
ニューヨーク市では、早くも20世紀前半・世界大恐慌の前後には高層アパートメントの建築ラッシュを迎えている[1]。同時期、同市セントラル・パークの西側沿いには、「サン・レモ(The San Remo)」(1930年、27階建て)、「エルドラード(The Eldorado)」(1931年、30階建て)、「センチュリー・アパートメント(The Century Apartment)」といった、主にアールデコ様式を用いた何れもツイン・タワー形式のアパートが計5施設完成している。これらのアパートは現在でも歴史的建築物として保存され、ステータスを備えた超高級アパートメントとして高額で売買が行われている。
第二次世界大戦後には、同市マンハッタンのミッドタウンやアッパーイースト地区には無数の高層アパートメントが林立するようになった。欧米における集合住宅の居住形態ではベランダやバルコニーが必要とされないため、それらの建物の外観はオフィスビルやホテルなどとの区別が付き難いことが多い。
2001年、マンハッタン東部、国際連合本部ビルの正面に完成し、不動産王ドナルド・トランプが所有する「トランプ・ワールド・タワー(Trump World Tower)」(262m、72階)は、1990年代以降に西半球で建設された高層ビルとしては最高の高さである。住居専用の建築としては現在でも西半球で最高層となっている。同ビル1階には日本料理店が入居するほか、日本人MLB選手が居住していることでも知られる。
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センチュリー・アパート(左端)、サン・レモ(右端)セントラル・パーク西側の歴史的建造物群。
[編集] ヨーロッパ
欧州では、1960年代にピークを迎えたが、ロンドンでの爆発事故等1970年代抑制傾向が目立ち、公営住宅が連想されるなど、一般的にはあまりよいイメージを持たれてないという[1]。
[編集] 日本
第二次世界大戦後の日本では戸建の持ち家に住むことへのこだわりが強く、災害(地震・火災)の面からも高層居住への不安が強かったため、高層マンションはなかなか受け入れられない傾向にあった。また、高層建築物に対応できる消防車(高機能なポンプ車・高層用はしご車など)が配備出来ていない自治体も多かった(現在は11階以上にスプリンクラー設備設置が義務化)。
1974年、鹿島建設が自社の社宅「椎名町アパート」(18階建て)をRC構造で建設したことにより、マンションの高層化が可能であることが立証され、1976年に住友不動産がさいたま市中央区(当時の与野市)に建設した「与野ハウス」(高さ66m、21階建て)が一般向けの第1号といわれる。なお、100m以上の超高層マンションの第1号は、1987年に大阪市都島区ベルパーク内に建設されたベル・パークシティ・G棟(高さ116m、36階建て)である。当初は、容積率や日照権などの問題から、超高層マンションを建てるには広い土地が必要であり、土地取得のし易い郊外や河川沿いなどに立地する例が多かった。
1997年第140国会において、規制緩和の流れから、容積率上限を600%まで、日影規制の適用除外とする「高層住居誘導地区」が導入され、また、廊下・階段等を容積率の計算から除外する建築基準法の改正案が成立した。これにより、地価が下落した都心において、超高層マンションが充分にペイするようになり、景気の回復も後押しして超高層マンションの建設ラッシュが起きた。さらに、都心へ住居が大量に供給されたことにより、都心回帰と呼ばれる現象も惹起した。近年では、開発業者が都心での超高層マンション適地の取得が困難になってきたことや、一般に超高層マンションが浸透したこともあり、大都市近郊でも住宅の超高層化が進んでいる。
現在日本で最も高い超高層マンションは、大阪市中央区高麗橋(最寄駅:北浜駅直結)に2009年3月竣工されたThe Kitahama(設計:三菱地所)であり、高さ209mで54階建てとなっている。
[編集] 現在の超高層マンション
2011年6月時点での全国の超高層マンションの高さの順位は以下の通り。
| 順 |
名称 |
画像 |
所在地 |
高さ |
階数 |
竣工年月 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | The Kitahama (北浜タワー) | 大阪市中央区 | 209.4m | 54階 | 2009年3月 | |
| 2 | パークシティ武蔵小杉・ ミッドスカイタワー |
川崎市中原区 | 203.5m | 59階 | 2009年4月 | |
| 3 | クロスタワー大阪ベイ | 大阪市港区 | 200.4m | 54階 | 2006年8月 | |
| 4 | THE TOKYO TOWERS MID TOWER |
東京都中央区 | 193.5m | 58階 | 2008年1月 | |
| 4 | THE TOKYO TOWERS SEA TOWER |
東京都中央区 | 193.5m | 58階 | 2008年1月 | |
| 6 | 勝どきビュータワー | 東京都中央区 | 193m | 55階 | 2010年8月 | |
| 7 | 汐留H街区超高層棟 (アクティ汐留他) |
東京都港区 | 190.25m | 56階 | 2004年4月 | |
| 8 | アウルタワー | 東京都豊島区 | 189.2m | 52階 | 2011年1月 | |
| 9 | エルザタワー55 | 埼玉県川口市 | 185.8m | 55階 | 1998年7月 | |
| 10 | 大川端リバーシティ21・ センチュリーパークタワー |
東京都中央区 | 180m | 54階 | 1999年3月 | |
| 11 | パークシティ豊洲 | 東京都江東区 | 179.96m | 52階 | 2008年3月 | |
| 12 | Wコンフォートタワーズ | 東京都江東区 | 178.48m | 54階 | 2004年8月 | |
| 13 | シティタワー西梅田 | 大阪市福島区 | 177.4m | 50階 | 2007年1月 | |
| 14 | The Tower Osaka | 大阪市福島区 | 177m | 50階 | 2008年6月 | |
| 15 | パークアクシス青山一丁目タワー | 東京都港区 | 172.39m | 46階 | 2007年3月 | |
| 16 | シティタワーズ豊洲 ザ・ツインN棟 |
東京都江東区 | 171.2m | 48階 | 2009年3月 | |
| 16 | シティタワーズ豊洲 ザ・ツインS棟 |
東京都江東区 | 171.2m | 48階 | 2009年3月 | |
| 18 | 御影タワーレジデンス | 神戸市東灘区 | 170m | 47階 | 2010年3月 | |
| 19 | 芝浦アイランド エアタワー |
東京都港区 | 169.9m | 48階 | 2007年3月 | |
| 20 | シティタワー大阪 | 大阪市中央区 | 169.8m | 50階 | 2003年12月 | |
| 21 | ベイシティ晴海 スカイリンクタワー |
東京都中央区 | 168.95m | 49階 | 2009年11月 | |
| 22 | 芝浦アイランド・ グローヴタワー |
東京都港区 | 168.8m | 49階 | 2007年3月 | |
| 23 | 新宿セントラルパークシティ セントラルパークタワー・ラ・テゥール新宿 |
東京都新宿区 | 167.43m | 44階 | 2010年1月 | |
| 24 | 芝浦アイランド・ ブルームタワー |
東京都港区 | 167.4m | 48階 | 2008年8月 | |
| 25 | オークプリオタワーレジデンス | 大阪市港区 | 167.4m | 50階 | 1993年2月 | |
| 26 | キャピタルマークタワー | 東京都港区 | 167.31m | 47階 | 2007年12月 | |
| 27 | アーバンビューグランドタワー | 広島市中区 | 166m | 43階 | 2003年12月 | |
| 28 | 晴海アイランドトリトンスクエア・ ビュータワー |
東京都中央区 | 165m | 50階 | 1998年2月 | |
| 28 | 東京ツインパークス・ ライトウイング |
東京都港区 | 165m | 47階 | 2002年10月 | |
| 28 | 東京ツインパークス・ レフトウイング |
東京都港区 | 165m | 47階 | 2002年12月 | |
| 28 | 中目黒アトラスタワー | 東京都目黒区 | 165m | 45階 | 2009年10月 | |
| 32 | ザ・千里タワー | 大阪府豊中市 | 164.2m | 50階 | 2009年6月 | |
| 33 | 岐阜シティ・タワー43 | 岐阜県岐阜市 | 163m | 43階 | 2007年10月 | |
| 34 | パークシティ武蔵小杉・ ステーションフォレストタワー |
川崎市中原区 | 162.8m | 47階 | 2008年11月 | |
| 35 | 赤坂タワーレジデンス 〜Top of the Hill |
東京都港区 | 162m | 45階 | 2008年7月 | |
| 36 | ザ・ライオンズ ミッドキャピタルタワー | 名古屋市熱田区 | 161.85m | 47階 | 2009年3月 | |
| 37 | シティタワーグラン天王寺 | 大阪市阿倍野区 | 161.775m | 43階 | 2007年3月 | |
| 38 | リエトコート武蔵小杉・ ザ・クラッシィタワー |
川崎市中原区 | 161.77m | 45階 | 2008年8月 | |
| 39 | リエトコート武蔵小杉・ イーストタワー |
川崎市中原区 | 161.14m | 45階 | 2008年8月 | |
| 40 | 芝浦アイランド・ ケープタワー |
東京都港区 | 161m | 48階 | 2006年12月 |
[編集] 建設中の超高層マンション
今後、竣工する超高層マンションの高さの順番は以下の通り。38階を超える超高層マンションが次々と完成する予定。
| 名称 | 所在 | 高さ | 階数 |
竣工予定 |
|---|---|---|---|---|
| シティタワー神戸三宮 旭通4丁目再開発 |
神戸市中央区 | 190m | 54階 | 2013年度 |
| プラウドタワー 東雲キャナルコート |
東京都江東区 | 175.01m | 52階 | 2012年度 |
| (仮称)中央区晴海二丁目マンション計画 (第2期/C2街区) |
東京都中央区 | 175m | 49階 | 2015年度 |
| 大阪駅北地区先行開発区域プロジェクト Cブロック |
大阪市北区 | 174.2m | 48階 | 2013年度 |
| (仮称)江東区東雲一丁目計画 | 東京都江東区 | 171.2m | 43階 | 2014年度 |
| (仮称)中央区晴海二丁目マンション計画 (第2期/C1街区) |
東京都中央区 | 169.45m | 49階 | 2014年度 |
| (仮称)パークタワー 鹿島田西部地区再開発事業 |
川崎市幸区 | 165m | 47階 | 2015年度 |
[編集] 計画中の超高層マンション
現在計画中の超高層マンションの高さの順位は以下の通り。着工の目処が立っていないものもある。
| 名称(仮称) | 所在 | 高さ |
階数 |
竣工予定 |
|---|---|---|---|---|
| 横浜市中区北仲通北地区再開発[† 1] | 横浜市中区 | 265m | 58階 | 計画の見直し中 |
| 西新宿三丁目西地区再開発・北住宅棟 | 東京都新宿区 | 255m | 62階 | 計画の見直し中 |
| 西新宿三丁目西地区再開発・南住宅棟 | 東京都新宿区 | 255m | 62階 | 計画の見直し中 |
| 広島駅南口Bブロック 第一種市街地再開発事業・西棟[2] |
広島市南区 | 200m | 54階 | 2015年度 |
| 広島駅南口Cブロック | 広島市南区 | 180m | 49階 | 2016年度 |
| 西富久地区再開発 | 東京都新宿区 | 195m | 53階 | 2015年度(目標) |
| 株式会社東京機械製作所 再開発計画 |
川崎市中原区 | 190m | 53階 | 2015年度 |
| 小杉町二丁目地区・A地区 | 川崎市中原区 | 205m | 54階 | 2016年度 |
| 小杉町二丁目地区・B地区 | 川崎市中原区 | 205m | 54階 | 2016年度 |
| 南池袋二丁目A地区 第一種市街地再開発事業 |
東京都豊島区 | 189m | 49階 | 2015年度 |
| 晴海三丁目西地区 第一種市街地再開発 A2棟 |
東京都中央区 | 180m | 52階 | 2014年度 |
| 晴海三丁目西地区 第一種市街地再開発 A3棟 |
東京都中央区 | 180m | 52階 | 2014年度 |
| 北8西1再開発 | 札幌市北区 | 205m | 48階 | 2015年度 |
| 旧大阪府立産業技術 総合研究所跡再開発 |
大阪市西区 | 152m | 46階 | 2016年度 |
| 武蔵浦和第3街区再開発 | さいたま市南区 | 152m | 32階 | 2014年度 |
[編集] 問題点
[編集] 長周期地震動との共振の可能性
超高層建築物の固有振動の周期は低層の建物に比べ長いので、地震動の周期の長い海溝型巨大地震の地震動との共振の可能性が最近は指摘されるようになった。日本の超高層ビルの歴史は浅く、実際の海溝型巨大地震を経験した超高層ビルはない為に経験的予測はできず、シミュレーションに頼るしかない。制震工法や免震工法で建設される超高層マンションが最近では少なくないが、いずれにせよ海溝型巨大地震の長周期地震動との共振に備えて家具の固定が推奨されている[1]。さらには、地震でエレベーターが停止すると、上階の住人が移動手段を失うという「高層難民」の発生も懸念されている[3]。
[編集] 健康への影響
高層階に居住することにより外気に直接触れる機会の減少、高所への恐怖感が乏しくなりがちなど子供の発育への影響[† 2]、気圧が地上と異なることによる子供だけでなく大人にも健康への影響が考えられることなどがある[1]。
[編集] 管理組合運営の難しさ
超高層マンションは、規模が大きく区分所有者の人数も多くなる。さらに、超高層マンションの購入者が重視するポイントに眺望が挙げられ、低層階と高層階との価格格差が大きくなることが一般的であり(数倍となることも見られる)[† 3]、それによる区分所有者間の所得・資産格差の大きさが、管理組合運営へ影響しやすい[1]。
[編集] 脚注
[編集] 注釈
- ^ 上層階はホテルが入居する予定
- ^ 一部の研究者は「高所平気症」と呼んでいるが、これは広く認められている名称ではない。
- ^ 専有部分#階層別、位置別効用比も参照せよ。
[編集] 出典
- ^ a b c d e f 『マンション学事典』18-19頁
- ^ 広島駅南口Bブロック第一種市街地再開発事業 事業再構築基本計画案(再開発組合作成)の概要(2008年4月)
- ^ http://www.nikkeibp.co.jp/style/biz/abc/newword/071204_28th/
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 編:日本マンション学会 『マンション学事典』 民事法研究会、2008年。ISBN 9784896284577。
[編集] 外部リンク
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