家出

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

家出(いえで)は、主に子供や若者が両親や養育者に断りなく、その家を出ていき、または出ていったまま戻らないことをいう。一時的な無断外出、進学就職転勤などで実家を出ていく場合はこれに当たらない。成人の場合でも使用される(例:の家出、の家出)。

概要[編集]

思春期に、他所の家庭や町(都市部)が、自分の家族のそれと比して、うらやましくなったり、憧れたりし始める頃、外の世界への誘惑が始まる。J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』は、そうした多感な時期の問題児ホールデンの家出を扱い、当時の青少年から大きな共感で迎えられたが、青少年を主人公にした作品で家出を扱った作品は少なくない。フロイトなら、一種のタブー破りとして成長段階の不可避の一段階という説明をするかもしれない。そうした成長中の青少年の力試し的な家出には、一日だけの家出といったものも含まれうる。

また近代期日本において、女性の「家出」は特殊な意味合いを持つ場合もあった。それは、の命令に従って育てられ、親が決めた人物をとしてその人物を戸主とする家に入り、「夫婦同氏の強制」「妻の法的無能力」など、男女不平等原理に基づいた家制度及び家意識から離脱するために「家出」して社会に飛び出した女性が多かったことである。それは父親や夫に対する不服従(すなわち「女らしくない」振る舞い)とみなされ、社会的な非難の対象となった。だが、大正期に入り女性の職業領域が拡大していくとともに、女性の「家出」行為は結果的に女性の社会進出を促す結果となった。また、青鞜グループなどの大正デモクラシー期の婦人活動家の中にはこうした「家出」経験者が多数含まれていた[1]

最近は、家族や学校との些細な揉めごとで対話を拒否するあまり家出し、数日ほどですぐに戻ってくるプチ家出と呼ばれるものも多くなった。その間は、友達の家を渡り歩き、ただ遊びまわっているといったことが多く、かつての発達段階での理想現実葛藤を乗り越えるひとつの段階といったものとはかなり様相が異なっている。このような子供のプチ家出に似た主婦や夫の家出も少なくないという。

こうした家出をした人のことを家出人という。

警察庁生活安全局長によって1999年(平成11年)10月25日に出された「不良行為少年の補導について」では不良行為に該当する「家出」を「正当な理由がなく、生活の本拠を離れ、帰宅しない行為」としている。このような家出少年はヤクザに引っかり風俗業界に引きずり込まれたり、ネット自殺などの誘惑が懸念される場合も少なくない。

家出人の中でも犯罪などで生命・身体・財産に危害のおそれのある者や、事件事故に巻き込まれた疑いのある者、自傷や他者に危害を加えるおそれのある者は「特異家出人」として手配(家出人手配)、公開捜査などの措置が執られる。

2005年に警察により発見・保護された家出少年(未成年)は1万6630人で、その内、最も多いのが中学生6835人(内女子3900人)となっている[2]

家出少女[編集]

日本の都市部や地方にたむろし、警察官の取り締まりが難しく近年では離婚率の上昇や社会構造の変化で増加しており、中には性犯罪の被害や若年性妊娠や出産を経験する者もいる。保護者から家出人捜索願が出されることが少なく、暴力団組員や海外のマフィアの一員による連れ去り事件が発生している。

家出を扱った作品[編集]

  • 書籍(小説以外)
    • 今一生 編『完全家出マニュアル』メディアワークス 1999年

脚注[編集]

  1. ^ 弘文堂『歴史学事典』第10巻「家出」(執筆者:米田佐代子
  2. ^ 出典:総務省『青少年白書』平成18年版

関連項目[編集]