日本の警察官
| この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
日本における警察官(けいさつかん)とは、警察という治安・法執行機関に所属し、その責務を具体的に実行する公務員である。
治安・法執行機関の定義構成は国によって異なるため、各国の警察官の定義づけも異なっている。本項では、日本の警察官について述べる。
目次 |
[編集] 法的な定義
警察官とは、警察法の定めにより警察庁、都道府県警察に置かれる公安職の警察職員をいう(警察法第34条1項、55条1項)。警察官は、個人の生命、身体及び財産の保護、犯罪の予防、公安の維持並びに他の法令の執行等の職権職務を忠実に遂行すること等を任務とする(警察官職務執行法第1条1項、第8条)。
旧警察法においては、公安職の警察職員のうち国家公務員である者を「警察官」、地方公務員である者を「警察吏員」と呼び区別していたが、現警察法においては「警察官」の名称に統一されている。なお、都道府県警察の警察官のうち警視正以上の者は国家公務員とされ「地方警務官」と呼ぶのに対し、それ以外の警察官その他の職員は「地方警察職員」と総称される(警察法56条第1項、第2項)。
戦前の宮内省皇宮警察では皇宮警察官と称したが、現在の皇宮警察に置かれる公安職の職員は皇宮護衛官という。
[編集] 権限
法令上、警察官は主に下記のような権限を有している。
- 犯罪の捜査及び被疑者の取調べを行うこと(刑事訴訟法第189、197~198条、犯罪捜査規範第3章)
- 逮捕状を請求し(司法警察員のみ)、発せられた逮捕状に基づき被疑者を逮捕すること(刑事訴訟法第199条、犯罪捜査規範第5章)。
- 犯人の制圧等のため、または自己もしくは本人の防護などのため必要な限度で武器を使用すること(警察官職務執行法第7条)。ただし、所持が可能な武器は「小型武器」に限られ(警察法第67条)、海上保安官(海上保安庁法第19条・第20条)や自衛官(自衛隊法第87条・第89条及び第90条)と異なり、小型武器ではない武器を所持することはできない[1]。
- 犯罪を犯し、犯そうとし、または行われた犯罪について知っていると認められる者を呼び止めて質問を行うこと(警察官職務執行法第2条)
- 都道府県警察の警察官は、原則として当該都道府県警察の管轄区域内において職権を行うが、現行犯逮捕についてはいかなる地域においても職権を行使できる(警察法第64、同65条)。
警察組織においては交通事犯は交通課、刑事事犯は刑事課と管轄が分かれているので、担当課に属さない警察官には担当課の領分外の犯罪を取り締まる権限がないと思われがちであるが、交通課に属する警察官であっても交通関連の限定的な警察活動しか行えないなどということはない。例えば、交通課に属する警察官が殺人犯や傷害犯などの刑事犯罪者を認知した場合、自身で現行犯逮捕したとしてもなんら問題はない。ただし、警察の職務は高い専門性を要求されるため、通常はもっぱら各々が担当する部署が管轄する職務を行う。
[編集] 義務
[編集] 憲法擁護義務
公務員として日本国憲法第99条に基づき、憲法尊重擁護の義務を負う。犯罪捜査を行う場合については、刑事訴訟法の規定に基づき、司法警察員又は司法巡査として、検察官の指揮を受ける。
[編集] 守秘義務
警察職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする(地方公務員法第34条第1項)。守秘義務違反は懲戒処分の対象となる。
秘密を漏らすとは、秘密事項を文書で表示すること、口頭で伝達することをはじめ、秘密事項の漏洩を黙認する不作為も含まれる。法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者の許可を受けなければならない(同法第34条第2項、第3項)。
[編集] 警察官の宣誓
[編集] 警察以外の機関からの要請
- 検察官は指揮監督し警察官に捜査させることができる。
- 自衛官のうち警務官が犯罪捜査のために、警察官の要請をおこなうことができる。
- 衆議院議長または参議院議長が衛視だけでは国会内の秩序維持ができないと判断した場合、警察官の派出要請をおこなうことができる(議院警察権)。
- 入国警備官が摘不法入国その他の取り締まりを行うため警察官を要請する場合がある。
- 麻薬取締官または麻薬取締員が警察官に人員の要請をおこなうことができる。
- 船員労務官が労務捜査のために警察官・海上保安官を要請する場合がある。
- 刑務官から脱走者捜索のために48時間矯正施設外を捜索するために、警察官を要請する場合がある。
- 労働基準監督官が労働基準災害捜査のため警察官を要請する場合がある。
- 裁判所執行官が件を実力で排除できない場合は警察官を要請することがある。
- 漁業監督官または漁業監督吏員が密漁を阻止する場合に海上保安官または警察官を要請することができる。
- 鉱務監督官が捜査取締りをおこなう際に警察官を要請する場合がある。
- 森林管理局員が密猟取締りのために警察官に要請する場合がある。
- 船長等が船員の暴動または犯罪行為に海上保安官および警察官を要請する場合がある。
[編集] 採用・昇任
警察官の採用には、警察庁警察官の採用試験として人事院の実施する国家公務員採用試験と、各都道府県の警察官の採用試験として各都道府県人事委員会(都道府県警察に業務が委託されている場合もある)の実施する地方公務員採用試験がある。
国家公務員として警察庁(本省)に採用された場合、国家I種採用者(3級職、有資格者、いわゆるキャリア)は警部補の階級を初任とし、国家II種採用者(2級職、いわゆる準キャリア)は巡査部長の階級を初任とする。これら警察庁採用の警察官は、昇任試験を課せられることなく選考により昇任する。
地方公務員として都道府県に採用された場合は、採用枠や学歴に関係なく原則として巡査(1級職、国家III種採用相当、高卒程度)の階級を初任とする。その後は一定の経験年数を受験資格とする、巡査部長、警部補、警部と3段階の試験を通じて昇任の道が開ける。いずれも倍率の高い試験である。警視以上へは選考(年功)により昇任する。警察制度上、巡査部長は初級幹部、警部補は中級幹部と位置づけられる。地方公務員として採用された者も、警視正の階級に至ると国家公務員に身分が切り替わり、任命権者も各都道府県警察本部長から国家公安委員会委員長に代わる(地方警務官)。また、巡査と巡査部長の間に一種の名誉職として巡査長がある。巡査を一定期間経験し、勤務成績優秀と認められた場合に任じられる。
都道府県の場合、専門性を必要とされる職種については経験者または有資格者を採用しており、学歴に関係なく経験や能力によって階級が定められている。
[編集] 階級
「日本の警察#警察官の階級」も参照
警察官の階級は、警察法第62条により、警視総監以下、警視監、警視長、警視正、警視、警部、警部補、巡査部長及び巡査の9階級が定められている(警察庁長官については後述)。また、巡査と巡査部長の間に一種の名誉職として巡査長がある。巡査を一定期間経験し、勤務成績優秀と認められた場合に任じられる。
警察庁長官は最上位の警察官であるが階級を有さない(警察法第34条第3項)。警視監以下の警察官は制服着用時に「階級章」を着装するが、長官は特別に規定された「警察庁長官章」(金色の5連日章)を両肩肩章に着装する(警察官の服制に関する規則第4条第1項)。警視総監も警視監までに規定されている階級章ではなく、両肩に4連日章を着装する。
警視総監は、最高の階級として東京都及び首都警察の本部たる警視庁に1名のみ置かれ、その職名と階級名が一致する。全国の道府県警察本部長が警視監ないし警視長なのに対して、首都の治安維持を指揮する警視総監は、階級においても組織力においても一頭抜きん出た地位といえる。
その他の公務員でも同様であるが、殉職した場合は殉職の態様により二階級、あるいは一階級特進等の形で特別に昇任する場合があり、その場合には、(遺族への)退職金支払い・叙勲・その他の保障も特進した階級に基づきなされる。
| 警察官の階級 | ||
|---|---|---|
| 序列 | 階級 | 主な官職 |
| 1 | 警視総監 | 警視総監 |
| 2 | 警視監 | 警察庁次長・局長・審議官・部長、警察大学校長、警視庁副総監・主要部長、主要警察本部長 |
| 3 | 警視長 | 警察庁内部部局課長・参事官、管区警察局部長・学校長、警視庁部長・主要参事官、警察本部長、警察本部主要部長 |
| 4 | 警視正 | 警察庁内部部局室長・理事官、管区警察局課長、警視庁参事官・主要所属長、警察本部部長・主要課長・首席監察官、市警察部長、大規模警察署長 |
| 5 | 警視 | 警察庁内部部局課長補佐・課付、管区警察局調査官、警察本部部長・参事官・所属長・管理官、警察署長・副署長・主要警察署課長 |
| 6 | 警部 | 警察庁内部部局係長、管区警察局課長補佐、警察本部課長補佐、主要警察本部係長、警察署副署長・次長・課長・課長代理、執行隊中隊長 |
| 7 | 警部補 | 警察本部主任、警察署課長代理、警察署係長、小隊長 |
| 8 | 巡査部長 | 警察署主任、班長、分隊長 |
| - | (巡査長) | 指導係員 |
| 9 | 巡査 | 係員 |
[編集] 階級の変遷
[編集] 明治初期
1874年(明治7年)、司法省にあった警保寮を内務省に移管。帝都公安機関を担う東京警視庁設置により、本格的な行政警察に基づく警察制度が確立した。当初、長は警視長とされたが、同年中に次位の大警視を長の名称に引き上げるなどの改正がされた。その後、内務省警視局への組織改編をはさんで数度の改正が行われた。
一方、東京府以外の各府県では、1875年(明治8年)に警部と巡査が置かれた。府県の警察担当部署は第四課で、1880年(明治13年)に警察本署と改められた。
再び警視庁が置かれる直前(1880年)における、東京府(内務省警視局)と東京以外の府県の警察官・巡査の職を示す。
| 警察官・巡査の階級(1880年) | |||
|---|---|---|---|
| 官等 | 警視局 | 府県 | |
| 勅任 | 3等 | 大警視 | - |
| 奏任 | 4等 | 中警視 | - |
| 5等 | 権中警視 | - | |
| 6等 | 少警視 | - | |
| 7等 | 権少警視 | - | |
| 8等 | 一等警視補 | 一等警部 | |
| 9等 | 二等警視補 | 二等警部 | |
| 判任 | 10等 | 大警部 | 三等警部 |
| 11等 | 権大警部 | 四等警部 | |
| 12等 | 中警部 | 五等警部 | |
| 13等 | 権中警部 | 六等警部 | |
| 14等 | 少警部 | 七等警部 | |
| 15等 | 権少警部 | 八等警部 | |
| 16等 | 警部補 | 九等警部 | |
| 17等 | 警部試補 | 十等警部 | |
| (等外) | 等外1等 | 一等巡査 | |
| 等外2等 | 二等巡査 | ||
| 等外3等 | 三等巡査 | ||
| 等外4等 | 四等巡査 | ||
[編集] 明治中後期
1881年(明治14年)、警視庁が再置され、内務省本省から独立した。警視庁の長は警視総監となり、この官名は現在に引き継がれている。警視庁の初期には警視副総監、巡査総長など現在とは異なる名称の職も置かれたが、数度の改正を経て1891年(明治24年)には警視総監 - 警視 - 警部 - 巡査の形となった。
東京府以外の府県では、1881年に警部長 - 警部 - 警部補 - 巡査の形となった。警察部門の名称は、警察本署から警察本部、警察部と改められたが、警部長が引き続いてその長となった。1905年(明治38年)の警部長廃止後は警務長が置かれ、警察部長たる事務官が充てられた。
- 1890年(明治23年)、巡査部長を設置。警部補を廃止(警部に吸収)。
- 1900年(明治33年)、府県に警視を設置(1924年(大正13年)に地方警視に改称)。
- 1910年(明治43年)、警部補を再び設置。
[編集] 大正~昭和戦前
- 1913年(大正2年)、警務長を廃止。
- 1943年(昭和18年)から1946年(昭和21年)まで、大阪府では警察局となり、警察局長が置かれた。
- 1944年(昭和19年)から1946年まで、警視庁と一部道府県に警務官が置かれた。
終戦(1945年(昭和20年)8月15日)当時における警察官、消防官等の職を示す。
| 警察官・巡査、消防官等の階級(1945年) | |||||
|---|---|---|---|---|---|
| 官等 | 警視庁 | 北海道庁 | 大阪府 | 府県 | (消防) |
| 勅任 | 警視総監 | - | - | - | - |
| - | 警察局長 | ||||
| 奏任 | 官房主事 各部長 |
警察部長 | 警察局各部長 | 警察部長 | - |
| 警務官 | 警務官 | 警務官 | |||
| 警視 | 警視 | 地方警視 | 消防司令 北海道庁消防司令 地方消防司令 |
||
| 判任 | 警部 | 警部 | 警部 | 消防士 消防機関士 |
|
| 警部補 | 警部補 | 警部補 | 消防士補 消防機関士補 |
||
| 判任待遇 | 巡査部長 | 消防曹長 | |||
| 巡査 | 消防手 | ||||
[編集] 官名と職名
次の3つに分類することができる。上2つは国家公務員、3つ目は地方公務員である(カッコ内は例)。
- 警察庁警察官(官名=警察庁巡査部長、警察庁警部補、職名=官房審議官、四国管区警察学校教務部長兼教授)
- 地方警務官(官名=警視正、警視長、職名=警視庁副総監、神奈川県警察本部交通部参事官兼運転免許本部長)
- 警視以下の都道府県警察官(官名=巡査長沖縄県巡査、北海道警部、職名=大阪府警察本部刑事部捜査第一課長、○○警察署地域課長)
[編集] 制服・装備品
「日本の警察#装備」も参照
[編集] 制服・装備品の変遷
明治時代から第二次世界大戦中までの制服は詰襟で、武器はサーベルを佩用していた[2](幹部などは刀身が日本刀の場合もあり、外装も高級であった[3])。交通警察・消防警察・水上警察その他サーベル佩用が不便な業務に従事する警察官は、サーベルに代えて短剣を佩用した[4][5][6]。
拳銃は通常の場合携行しておらず、主に私服警察官の護身用や、重要な施設・人物等の警備・警護を行う場合、あるいは特別警備隊の武器として使用した。また、朝鮮などの外地では武装勢力との戦闘に備えて小銃や野砲などの軍用武器を保有している場合もあった。
戦後はサーベル・短剣を廃止し、警棒と拳銃を常時携行することとなり、制服も詰襟から背広型に変わった。
-
1949年(昭和24年)の夏服。サム・ブラウン・ベルトを装着し、木製警棒を持っている。在日本朝鮮人連盟本部の強制捜査で。
[編集] 現行の制服・装備品
現在の制服は昭和の戦後期の制服よりもさらに市民への威圧感を軽減し、男女ともに機能性・活動性に特化したデザインであると同時に、警察官として相応しいりりしさと見た目にも美しさを兼ね備えたデザインを取り入れている。
1994年(平成6年)より女性警察官の制服にはスカートの他にスラックスも配布されたが、スラックスは活動服であって正装とは見なされない。特に指定のない場合の公式正装では下衣はスカート着用とされている。スラックス配布は、制服のスカート丈が短いので内勤は良いが外勤の際は冬場では寒いという意見が多かったので、外勤の活動服として取り入れられたことによる。
最近の警察官は個人の標準装備に、ベルトポーチ(ウエストバッグではない)など自前購入した様々なオプションを付け加えることが容認されているようである(巻尺を着けている警察官もいる)。制服に関しては1994年以降変更されていない。
右上腕部の記章の腕章(ワッペン)を除き、全国的に統一されたデザインの物が着用されている。これは全ての警察官が同じ制服を着用していることによる一体意識を持たせること、複数の都道府県警察の警察官が合同で業務を行う際の混乱を防ぐこと等の理由があると考えられる。ワッペンが右腕に着くのは、交通検問の際に質問者が警備員ではなく警察官であると直ちに認識させるため(日本車は運転席が左側にあるので、運転手からは相手の右上腕が最初に目に入る)。
なお、民間警備会社の警備員の制服は、色彩・形式・記章(ワッペン)等により警察官および海上保安官と明確に識別出来るものでなくてはならない(警備業法第16条及び警備業法施行規則第27条による)とされている。これは警備員が警察官や海上保安官と誤認されたり、民間企業の従業員である警備員の行なう警備業務が警察官等の行なう行政警察活動としての警備と混同されたり、警備員に特別な権限があるかのような誤解を招くことがないようにとの主旨によるものである。
[編集] 活動服
活動服は、上衣が4つボタンのブルゾン(フランス語。ジャンパーのこと)型で丈が短く、腰部分にシャーリング(ゴムの絞り)が入っているため非常に動きやすくなっている。地域警察官や留置場勤務の総務警察官や道路標識などの管理業務中の交通警察官が着ているのが「活動服」であり、「冬服」・「合服」を着ているのは署内勤務員(各種申請・届出を受け付けたりする総務警察官)や交通警察官(交通整理を街中で立ち、行う為にスーツたる背広を着用)や幹部クラスの警察官である。まれに「冬服」・「合服」を着ている地域警察官を見かけることがあるが、活動服が使用不可能な状態(破損や汚損など)な場合が多い。
街中でパトロールや取り締まりをする交通機動隊・高速道路交通警察隊に属する警察官の制服は他部署(自動車警ら隊員や地域警察官など)とは異なっており、交通乗車服という特殊服(ダブルボタンのジャンパーに、サスペンダー付きで丈が胸の下まであるズボン。色は共に空色で、ズボンには白の側章線が入る。履物は乗車用ブーツ)を着用する。また常に必ずヘルメットを着装してパトロールに従事するよう定められている。
他にパトロールをする刑事警察の機動捜査隊に属する警察官(刑事)の場合(覆面パトカーに乗務)、制服ではなく「私服警察官」として、一般人と同様の背広などを着てパトロール等に従事する(特に店舗で万引き・窃盗犯の摘発をする場合、警察官と気づかれずに挙動不審人物への職務質問が可能なので犯人を取り逃がす割合が低くなる)。
[編集] 冬服・合服
冬服(12月1日から翌年3月31日まで着用)は3つボタンである。色は濃紺色。導入当初、市民からは「遠目には警備員と区別がつかない」と不評だったという。
帯革(たいかく[8])をズボンのベルトに専用金具で固定する。帯革には、拳銃ホルスター、無線機、警棒(伸縮式警棒)、拳銃吊り紐、手錠ケースなどがつけられる。拳銃ホルスターや無線機は上衣の外に出ていないといけないため、上衣腰ポケット蓋下に切られているスロットからベロを引き出しそれに付ける。つまり一般の上着と違い、腰ポケット蓋はダミーで、腰ポケットに物は入れられない構造である。拳銃吊り紐はカールコード式で、端は帯革に留める。右上腕部に各都道府県警察指定のワッペンが追加される。
合服(4月1日から5月31日まで及び10月1日から11月30日まで着用)は、上衣、ズボン共に紺色とする。制式は冬服と同様。生地に麻が混じっているため、色や艶が冬服とはやや異なる。
旧制式と比較して、次の点などが変更されている(1954年と1994年式制服の比較)。
- 上衣の下衿は、ピークドラペルからノッチドラペルになった。 肩章の襟側に飾りボタンが左右1個ずつ付いた。 4つボタンから3つボタンになった。 胸部のポケットの張り合わせが、ひだ一条になった。 腰部左右にポケットとポケット蓋を留めるボタンがあったのから、ズボンベルトに付けた帯革の拳銃と無線機を出す貫通口とその蓋となった。センターベンツから、サイドベンツになった。
- 帯革を上衣の下に締めることとして負革が廃止された。
- 警棒が全長60センチの木製からアルミ合金の特殊警棒に統一された(捜査員や白バイ隊員は従来から特殊警棒)。
- 階級章が襟章と袖章から帽子の帯章(下端に配し1周させた線)・袖の袖章(袖前面に一直線に配した線から、袖前面に外上がり内下がり斜めに配した線)・識別章とし、それぞれ色(金色・銀色・紺色。識別章は金色と銀色)で表示するようになった(旧制式時の夏服用階級章は胸章だった)。また現在は、左胸に警察官の所属・担当務・個人番号を表示する識別章を着装するようにもなった。
- 右上腕部に記章たる腕章が付いた(これは交通取締時に運転手へ警察官と証明し、交通警察活動を認識させるため。警備員のワッペンは逆に左腕や、アメリカの法執行官同様の両腕である)。
[編集] 夏服
夏服(6月1日から9月30日まで着用)は、上衣を水色、ズボンをあい色とする。
[編集] 階級章
階級章は巡査~警視監まで同じ型で、左胸に付ける。金色の部分が多いほど階級が上になる(警視総監の階級章および警察庁長官の長官章は肩章。これは両方とも一人しかいないため)。
2002年10月にIDを示す半月状の識別章(書式は英字2字に3桁の数字。英字が所属庁、数字が個人番号を表す)が取り付けられるようになった。色は巡査(巡査長)・巡査部長がすべて銀色、警部補以上は縁が金色になる。
巡査部長は冬服・合服の袖に銀のライン、警部補以上は金のラインが入る。また、制帽の鉢巻には警部補は紺、警部以上は金のラインが入る。
[編集] 装備品
制服・階級章のほか、警察官は識別章、警察手帳、手錠、警笛、警棒、拳銃、帯革、「けん銃つりひも」を貸与されることと定められている(警察法施行令第9条)。
[編集] 制服・装備品年表
- 1871年(明治4年) - ら(邏)卒(巡査の前身)制度発足
- 1877年(明治10年) - 近代警察制度発足。二等巡査以下はサーベルを帯刀できず。
- 1883年(明治16年) - 巡査を含む全ての警察官がサーベルを帯刀する。
- 1896年(明治29年) - 立襟5つボタン
- 1908年(明治41年) - 立襟5つボタン。新たに肩章が付く。
- 1935年(昭和10年) - 立襟5つボタン。ポケットや肩章に変更がある。
- 1946年(昭和21年)7月30日 - GHQの指導により立襟から米国型スタイルに変更になり、サーベルを廃止する。冬服はネクタイを着用し背広型となる。
- 1956年(昭和31年) - 警察官の服制に関する規則(昭和31年国家公安委員会規則第4号)が制定される。
- 1970年(昭和45年)9月11日 - 交通巡視員の服制が定められる(交通巡視員の服制および服装に関する規則(昭和45年国家公安委員会規則第7号))。
- 1972年(昭和47年)10月1日(警察庁の場合) - 警察官の礼装について統一規格が定まる(警察官の礼装の実施について)。
- 1994年(平成6年) - 警察官の服制に関する規則(昭和31年国家公安委員会規則第4号)が改正される。活動服などが定められた。
[編集] 女性警察官
詳細は「女性警察官」を参照
戦前は女性の警察官任官は禁止されており、警察官は全員男性であった。これは軍人も同じであり、また他の職業も大半は女性の社会進出を認めていなかった。
日本における女性警察官の採用は1946年(昭和21年)に始まった。これは日本の男尊女卑傾向が強かったこともあるが、警察・軍隊はとりわけ男社会で、「軍人と警察官は女にはできない」という強い差別思想が国家にあったためである。しかし戦後、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)の指導もあり、各国では既に当然であった婦警制度を実現させた。
ただし、当初はあくまで少数枠のみの採用しかせず、非常に狭き門であった。また、職場の花か広報としての役割のみで採用し、それ以外の職には一切就けない人事も横行したが、昭和30年代頃から女性の社会進出も増え始め、警察内の男女差別は弱まっていった。元々、婦人警察官というのは男性警察官の補助的役割という趣旨で導入され、同じ巡査であっても婦警巡査のほうが低い扱いであったが、これは現在では廃止されている。
2000年、男女雇用機会均等法に伴い、名称が「女性警察官」へと変更された。通常はあえて女性の警察官のみを特定して呼称しない場合、「警察官」と統一して呼称される。
女性警察官は人事面での差別を一切受けないことになっており、男性警察官と同じく能力いかんでどの部門にも配属されるが、特殊部隊(SAT)には入隊することができない。
[編集] 呼称・俗称
呼称としては下記のとおり多様な呼称が存在するが、俗称としては「警官」「お巡りさん」などが一般的である。これに加えて女性の場合は「婦警さん」なども呼ばれる。
- 「警官」とは、部隊活動にあたる警察官の集団を「警官隊」等という形で使用していたマスコミ用語であり、正式な呼称ではない。
- 「マッポ」は警視庁の警察官には伝統的に薩摩藩(鹿児島県)の、しかも士族が多いことによる“薩摩っぽ”から(初代警視総監・川路利良も薩摩士族だった)。さらには水戸藩や会津藩出身の警察官も多かったことから茨城県出身の警察官を「茨城巡査」と呼ぶ俗称もある。水戸藩では、幕末の内部抗争で多くの人材が失われたために、明治新政府の高官に就ける者がおらず、警察組織に於いても「鹿児島警視に水戸巡査」と揶揄されていた。
- 「ガチャ」は、サーベルの音を立てて歩いていることから。
- 「カンケン」は“官憲”から。
- 「サツ」は暴力団用語。また報道関係者を中心にサツカンと呼ぶ場合もある。
- 「ポリ」は英語の”police”から。主に関西で蔑称的に使われる。ポリさん、ポリ公と呼ぶこともある。
- 女性警察官に対する俗称としては、「婦警さん」、「婦警」、「女警」などがある。警察内では総称する場合は単に「警察官」と呼び、区分けして呼ぶ必要のある場合は「女性警察官」もしくは「女子警察官」と呼ぶ。
- 警察組織では職務上、部隊行動上の理由で男女別に分けて名称を用いる必要性が多いので、その際には男警、女警を用いる。
- 「PM」は英語のPoliceManのスペルから。本来は警察通信上の隠語だが、警察マニアや無線マニアの間でも使われている。
[編集] 各国の警察官
以下の項目を参照されたし。
- アメリカ合衆国の警察
- 韓国の警察
- 中国の警察
- 王立カナダ騎馬警察
- スコットランドヤード(ロンドン警視庁)
- 国際警察刑事機構(インターポール)
[編集] 参考文献
- 佐々淳行『日本の警察』(PHP新書)
- 平沢勝栄『警察官僚が見た「日本の警察」』(講談社)
- 高橋昌規『元警察署長の異見』(東京法令出版)
- 高橋昌規『警察署長の憂鬱』(ごま書房)
- 警察制度研究会『警察法解説』(東京法令出版)
- 古谷洋一編『注釈警察官職務執行法』(立花書房)
- 河上和雄/香城敏麿/國松孝次/田宮裕編『講座日本の警察』全4巻(立花書房)
- 大野達三『警備公安警察の素顔』(新日本出版社)
- 警備研究会著『日本共産党101問』(立花書房)
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- 日本の警察官一覧 - 日本の警察官僚一覧
- 日本の警察
- 刑事
- 女性警察官
- 交通巡視員
- 交番相談員
- 国家公安委員会/公安委員会
- 警察署/交番/駐在所
- 取り締まり
- 逮捕術/警視流/拳銃携帯命令
- 三廻
- 浪花隊
- 警視隊/抜刀隊
- 弥生慰霊堂
- 警察博物館
- 皇宮警察 (宮内省)
- 皇宮警察本部
- ダーティハリー症候群(アメリカの警察官に起こりやすい精神症状の一つ)
- 交通安全協会
- 全国防犯協会連合会
- 特別司法警察職員
- 警備員
- 警備業務検定
[編集] 外部リンク
|
||||||||||||||||||||||||||||||||
|
||||||||||
|
|||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||