礼服
礼服(れいふく)とは人が冠婚葬祭など社会生活において威儀を正し、或いは敬意を表する場合に着用する衣服をいう。フォーマルウェアともいう。歴史的には平服が礼服に昇格する例が非常に多く見られる。格式を重視するため、機能的とは限らない。
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[編集] 概要
欧米では、昼と夜の礼服が区別されている。これは、欧米の晩餐会、夜会、舞踏会、演奏会、演劇、オペラ、バレエ、ミュージカルの夜の時間が日本に比べて遅く、平日でも勤務先から帰宅して軽く食事を済ましてシャワーを浴びて着替え、夜を楽しめる職住接近が出来ている都市空間であり、日本の大都市が通勤時間に1時間以上もかかり勤務先から直行する都市空間では、昼と夜を着替えて出席する事は帰宅の心配が不要の宮中晩餐会など親善・外交に出席する場合以外は難しい。 自衛官・軍人・警察官・消防吏員・海上保安官など制服が定められている職種の場合には、礼服についても何らかの形で定められている。また学生において制服が定められている学校に属している場合には、その制服が礼服として認められる。
なお、国を問わず、各民族衣装の正装(日本の場合は和服の紋付羽織袴など)は正礼装として認められる。しかし、日本においては、天皇或は男性皇族は宮中の特別な儀式に於いては束帯を着用するが、紋付羽織袴を着用することはない。
日本の場合、勲章は原則として燕尾服若しくはローブ・デコルテ又はこれらに相当する制服に着用するとされ、大綬章の副章と重光章以下の勲章及び文化勲章、褒賞、記章は他の礼装でも着用することが出来るとされている。また、小綬章以下の勲章及び褒賞、記章は平服でも着用することが出来るとされている(昭和39年総理府告示第16号「勲章等着用規程」第3条)。
一方、軍隊では制服に着用する勲章の種類によってドレスコードが区別される場合もある。(例:アメリカ海軍、日本陸軍)
[編集] 現代の男性の礼服の種類
[編集] 正礼装
[編集] 夜間用
「ホワイトタイ」と「ブラックタイ」の2種類のドレスコードがある。
- 服装において「ホワイトタイ」と言う場合一般的にはこれを指すが、日本の一般市民においてここまでの礼装を求められる機会は無く、あったとしても結婚式・披露宴くらいである。
- 昼間においても特別な場合には着用する。
- 燕尾服がほとんど着られなくなり、宮中行事以外の正礼装はタキシードが用いられる事が多くなった。一般的には、ドレスコードが「ブラックタイ」とされる場合はタキシードを着用する。プロムと呼ばれるアメリカやカナダの高校や大学の卒業舞踏会にも着られる。
- 燕尾服の後裾を切断したような丈の短いメスジャケットをメインに構成された、主に軍人が着用する夜会服。すなわち「相当する制服」である。通常はブラックタイ相当の服装であり、黒のネクタイとカマーバンドを着用する。自衛隊では第2種礼装として制定されている。軍によってはネクタイを白に代えたり(例:アメリカ陸・海・空軍、イギリス海軍)、カマーバンドをウェストコートに代えて(例:前述の軍の他にアメリカ海兵隊)、「ホワイトタイに相当する制服」とする場合もある。女性の軍人も着用する。
[編集] 昼間用
- 19世紀中頃から礼服とされるようになり、第二次世界大戦頃まで用いられた昼間用礼服だが、現在ではモーニングコートが主になっている。
- 元は乗馬服だったが、次第に公式の場でも着用されるようになった。現在では昼間用の正装の一つとなっている。
[編集] その他
- 一般の正装も意味するが、軍人の場合、重要な式典等へ参加する際に着用する制服。礼服ではなく、軍衣に正装用の飾緒や肩章、サッシュを着けるのが基本である。19世紀の軍衣を正装用として残している軍隊もあるが、現在では背広型の常裝用制服に儀礼用のアイテムを着けることが多い。今日では軍装に着用されることがなくなった勲章の正章や儀礼刀が、前記の飾緒等に加えて儀礼用のアイテムとなっている。
- コートドレス(Court dress)
- ヨーロッパの宮廷で重要な儀式の際に着用される最高の礼装。第二次世界大戦を境に見られる機会は少なくなった。
- 本来は和装の最礼装ではないが明治期以降の太政官令及び現在の勲章等着用規程において第一礼装として認められていると同時に、日本人が諸外国において礼を受ける場合においても民族衣装による礼装として認められている。なお特に欧州において和装はオリエンタリズムを想起させ評価が高い。
- 但し勲章等着用規程に措いては一等以上の勲章の正章の着用を認められておらず、その点においては前述のフロックコートと同等の扱いがされている。
- 中華人民共和国やベトナム社会主義共和国などのアジアにおける社会主義国ではかつて平服兼用の礼服として着用されていた。ベトナムでは着用されなくなったが現在においても中国では式典や公事において政府高官などが着用することがある。北朝鮮では現在においても男性の正装として着用されている。
- ハワイでアロハシャツはオフィスやレストランなどでも着用されるだけでなく、式典や冠婚葬祭でも着用が許される「ハワイにおける男性の正装」として認知されるようになった。現在では、単なるリゾートウェアというよりは、むしろハワイの民族衣装のように扱われている。(逆に現在では夏のカジュアルな服装としてはTシャツのほうが一般的である)
- ワイシャツとネクタイに代わる夏のホワイトカラーの服装として沖縄県では広く定着している。また、2005年にはクール・ビズの一種として内閣府沖縄担当部局を中心に中央官庁で着用の動きがある。「かりゆし(嘉利吉)」とは沖縄方言で「めでたい」という意味を表す。2000年以後は特に多くのバリエーションが生まれ、日焼けを気にする女性用の七分丈のもの、葬祭の場で着用できる黒を基調としたフォーマルなものなどが販売されている。
[編集] 準礼装
- ディレクターズスーツ(昼間のみ Director:取締役)
- 背広型の黒の上衣に、縞のコールズボンを着用する。戦後は一時廃れたが、近年再び準礼装として人気が出てきた。
- ファンシータキシード・スーツ(夜間)
- 黒以外の上着のタキシードや、明らかにパーティー用だと分かる高級な生地のスーツ。ビジネスを連想させる着こなしは極力避ける。
[編集] 略礼装
- 西洋での略礼服はダークスーツを指す。チャコールグレイや紺の上質な生地のもの。スリーピースが望ましく、ズボンの裾はシングル。共地のベストの代わりにグレイ系のベストを着用してもよい。慶事の場合、ネクタイはシルバーグレイ系が一般的だが、略礼装自体がルールがほとんど無く、ケースバイケースである。アスコットタイや蝶ネクタイを用いてさまざまな場面に対応することも出来る。
- 番手の細かい生地を使った黒の上下の背広で、日本の場合、慶事には白やシルバーグレーのネクタイが、弔事には黒ネクタイが用いられることが多い。
日本においては、昼夜通して慶事・祝事・弔事と、着方によって冠婚葬祭にオールマイティに対応できる便利な礼服として扱われることが多い。
ただし海外では礼服ではなく、単なる黒のビジネススーツ(もしくは、葬儀の服)として扱われる。
シングルの場合はベスト着用。
- 特に夜のパーティー等では、スカーフ等を使ったブレザースタイルも許容される。
[編集] 現代の女性の礼服の種類
[編集] 正礼装
- 燕尾服に相当する。
- モーニングコートからダークスーツに相当する。
- メスドレス(Mess dress)
- 軍人用の夜会服。シャツやネクタイのデザインが男性用と異なり、ボトムスは一般的にスカートを着用する(アメリカ軍の場合、海軍には礼装用スラックスがあるが、陸・空軍にはない)。また、イブニングドレス相当の服装が規定されている場合でもウェストコートや白いネクタイはを使用することはなく(アメリカ空軍の場合ネクタイは銀色に代える)、変わらないこともある(例:アメリカ陸・海軍)。スカートは殆どが踝丈であるが、イブニングドレス用は踝丈でディナードレス用は膝丈としている場合もある(例:アメリカ陸軍)。自衛隊でも第2種礼装として制定されている。
- 既婚者は黒留袖。宮中においては黒は喪の色とされるので色留袖を着用する。
- manteau de cour 仏語、宮廷礼服の1種。威厳をそえるために用いた豪華な装飾用の表着、通常長いトレーンがあり、身分の高いほど長いトレーンを用いた。
- モーニング・コートに相当する。robe montante 仏語。モンタントは、上がった、立ったの意。 襟が身頃から続いて首の長さいっぱいまであり、丈は長く裾を引き、袖も長く手首まであるドレス。 手袋と扇を持つ。 明治時代に宮廷の通常礼服に制定。今日では皇族の宮中行事や宮中祭祀でしか用いられない。
- タキシードに相当する。晩餐会用のドレス、略式のイブニングドレス。 襟ぐりが小さく、袖つきで、スカートも大げさでなく長め。 本式のイブニングドレスの豪華さに比べ、粋さシックを表現している。
- visiting dress 訪問用の衣服の総称。
- パーティーで着るドレス。
- 未婚者の礼装として使用される。
[編集] 準礼装
- 平服に相当する。
[編集] 略礼装
[編集] 平服と表記された場合
- 準礼装か略礼装で出席
- 平服とは「正礼装を用いない」程度の意味。実際のドレスコードは非常に曖昧で式によるので確認が必要だが、準礼装で出席すれば間違いはない。
[編集] 歴史的な礼服
[編集] 江戸時代以前の日本
最上級礼装は礼服(らいふく)とされたが、後に着用の機会は減少し、束帯、衣冠などの地位が向上してくる。更に時代が下ると、狩衣や直垂の礼装化も進んだ。他に素襖、裃、直衣、袿、細長、大紋、打掛、十二単、小紋がある。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
音楽之友社 國土潤一著「これがオペラだ 上手な楽しみ方とその知識」、渡辺和著「気軽に行こうクラシック・コンサート チケットから服装まで」、ミュージカル・演劇(京劇、雑技を含む)の開演時間についてはJTBパブリッシングのタビトモの「ニューヨーク」「ロンドン」「北京」「上海」「ソウル」、角川ONEテーマ21新書 渡辺誠著「もしも宮中晩餐会に招かれたら 至高のマナー学」