ゴーグル

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飲酒運転の危険性を広めるために開発された泥酔時の見え方を再現するゴーグル
エスキモーが用いたゴーグル。木の板に薄い覗き穴が空いている。

ゴーグル: goggles)は、を保護するため顔面に装着する道具である。日常生活やスポーツまた作業時など、目を有害な物から防ぐ目的で使用される。

オートバイ用[編集]

シールドのないヘルメット(半キャップやジェット型ヘルメット)を装着してオートバイに乗車する際に、眼を保護するために装着する。主に旧車を愛好するライダーが用いる。悪路を走行するモトクロス競技などでは、跳ねあがる小石や泥から目を守る為にゴーグルを装着する。モトクロス競技で路面が濡れている場合は前車の巻き上げる大量の泥をかぶることになるので、ティアオフ(はぎ取る)ロールオフ(巻き取る)などの使い捨てフィルムがレンズの前に張ってあり、フィルムごと泥を取り除くことで迅速に視界を確保できるようになっている。また紫外線から目を保護する目的でも使用される。前面ガラスが無い四輪車の運転においても使用される事がある。

航空機用[編集]

大日本帝国陸軍航空部隊で用いられたゴーグル(篠原弘道准尉)。
陸海軍航空部隊において、従来は戦車眼鏡(戦車兵用の防塵眼鏡)や民間品・輸入品が混用されていたが、1937年に後藤予備陸軍大佐が考案した本品が採用された。数少ない陸海軍共通の装具であり、その形状から「の目型」とも呼称された

1900年初頭に登場した航空機飛行機)を操縦するための操縦士パイロット)や、操縦士を補佐する機関士や通信士といった同乗者(乗員)が使用した。航空眼鏡(こうくうがんきょう)などとも称される。

軍隊や民間を問わず、概ねレシプロエンジン機からジェットエンジン機に移行する第二次世界大戦後しばらくにかけて、キャノピー(天蓋)が無い、コックピットが気密されていない等、操縦士が外気に晒される形態の航空機を操縦する際に使用された。現代でもアクロバット機を用いた曲芸飛行を行なう操縦士の間で使用されている例がある。

各種作業用[編集]

ガス溶接作業用ゴーグル

各種保護メガネや防災面を使用すべき作業は、労働安全衛生規則に定められている。 主に工場や建築現場において、金属や木材などの材料を加工する際に発生する粉塵から眼球を保護するために使用される。このほか、針金の飛散する恐れのある釘打機(空気圧で釘を打ち込む道具)を用いる作業や有害な化学物質を扱う現場でも使用されており、製鉄所では輻射熱の軽減のために着用されている。クリップで保護帽の鍔に固定して使う製品も存在する。

収納式のシールド面を装備した保護帽(ヘルメット)も存在する。開発当初(1960年代)は鉱山向けに細々と販売されるに過ぎなかったが、90年代半ばから次第に需要が増加していき、現在は半数近くの保護帽メーカーが発売している。保護帽の内装と帽体との間に専用の取付プレートが挟まれ、そこに上下スライド可能な面体が載せられる構造が採用されている。

遮光眼鏡は、溶接時に発生する強烈な光(アーク光)や、レーザー光線からの眼球保護のために用いられるが、特に溶接作業者は顔面保護も兼ね、手持ち面か自動溶接遮光面を使用している。この面は通常は透明であるが、アーク光を検知した際は1/10000秒の速さで遮光する機能を持っている。

このほか、雑草の刈払や農薬の散布など、飛散物が広範囲にわたる作業でも使用され、粉塵が非常に多く発生する場面では顔面全体を覆うことのできる保護面(防災面)が使用されるほか、防塵・防毒マスクや保護帽を併用することもある。保護面にも、保護帽に取り付けて使うタイプと、直接頭に被るタイプとが存在する。

理科実験用[編集]

主に学校教育で、飛び散る薬品やその気体、また器具から目を守るために用いられる。スキーゴーグルのようなものとメガネのようなものの二つがある。

水泳用[編集]

屈折率空気とは大きく異なるため、目の前面に空気の層を作って視界を確保する目的で着用される。また、プールの水に投入されている殺菌用塩素海水による刺激から目を保護する効果もある。水中で視力矯正用眼鏡が使用できない場合に使われる事もある。

公共のプールでは破損した際のガラス片の危険性などからダイビング用のマスク同様に着用が禁じられる例もあったが、ガラス以外の材質の製品が登場したことや、消毒剤からの目の保護や、水を媒介に感染する眼病の予防効果もあり、競泳競技規則でも使用が許されるようになった。

水泳競技で使用するゴーグルは、片眼を覆うポリカーボネートなどの樹脂製アイカップを左右連結し、頭部に回すゴム製のベルトをつけた形態となる。アイカップは無色透明または着色やミラー加工されており、目の周囲の皮膚に接する部分にクッション材を貼り付けた物や、それを省略しアイカップをできるだけ小型化した物などの種類がある。眼鏡使用者のため視力矯正用にレンズ加工されたものもある。

競泳競技では、屋外プールでは濃色のもの、単調な練習に集中するため視界の狭いもの、他選手のペースを確認するため視界の広いもの、水の抵抗を軽減するためアイカップが小さいものなど、が使用される。ゴーグルを着用した状態で飛び込みスタートを行うには、入水時の頭の角度や姿勢に注意する必要があるとされる。シンクロナイズドスイミング競技、飛び込み競技水球競技では、練習中に自分の姿勢を確認したり、チーム、デュエットでは他の選手との姿勢、間隔、同調性を確認するために使用される。日本泳法競技でも泳型を見せる競技であるため使用されないが、練習の際に使用する選手もいる。オープンウォーター競技では海水から目を保護するため着用される。プラスチックレンズは傷が付きやすく、長期間使用すると細かい傷の集まりで透明度が低下する。

ダイビング(潜水)に使用されるものはマスクと呼ばれゴーグルではなく、鼻腔からの水の浸入を防いだりスノーケルを固定する目的もあると共に、マスククリアが可能な構造にするなど、違う用品である。

スキー・スノーボード用[編集]

スキースノーボード用のゴーグルは、ダイビング用のマスクと類似した形態である。風や冷気、氷片や木の枝などの飛来物から目を守るほか、雪の照り返しから目を保護するためにUVカット機能のついたサングラス仕様になっている。 スキー用ゴーグルとスノーボード用ゴーグルに機能的な違いは無く、外観デザインが異なる程度である。 レンズおよびフレームは柔軟性と剛性を兼ね備えており、転倒時や衝突時の衝撃から顔面を守る。 寒冷な外気の中で使用する際に、ゴーグル内の水蒸気がレンズ内面で結露して曇りが生じ、視界が悪化することを防ぐため、レンズ周囲のフレームなどに通気孔が設けられている。また、ダブルレンズと呼ばれる複層ガラスのような構造のレンズで曇りを防ぐものもある。 ストラップにバックルがついているものは、着脱する際に顔面からフレームをずらす必要がなく、頭部などに付いた雪がゴーグル内に入ることを防ぐことができる。 競技用のゴーグルはヘルメットに装着することを前提としており、フレーム外形がヘルメットの開口部とフィットするようになっている。

軍用[編集]

軍用ゴーグルを装着した兵士

落下傘降下を行う部隊などでは比較的古くから使われているが、歩兵装備の近代化に伴って軍用としてのゴーグルも普及している。外見はスキー用ゴーグルに似るが、戦闘中に飛び散る泥や砂のほか、爆風等から眼を保護する目的で使用するため、衝撃や破片の激突などに対して一定以上の耐久性を持っていることが必要条件となる。砂漠など、日差しの強い地域で行動することを前提とした軍隊では、これにサングラスとしての機能を果たすカラーレンズを装備した物を使用することもある。 強度とともに、軍隊で使用されているというイメージの面から、一般向けに販売されるモデルが遊戯銃店の店頭に並んだり、サバイバルゲームを扱う雑誌に掲載されている。

サバイバルゲーム用[編集]

サバイバルゲームで使用することを目的に開発されたもので、ASGKの規格に準拠したものは、運動エネルギー1.2JまでのBB弾の直撃に耐えられる。

ポリカーボネートなど透明で強度のある樹脂を用いたクリアシールドや、それに色をつけた物、目の細かい金網を張った網目(メッシュ)シールドなどがある。簡素な構造で安価な物から、頬や口元を保護するフェイスガードが連結されたもの、曇り防止用の小型電動換気扇を備えた高級品などの種類がある。樹脂製は透明な素材が眼の前方を隙間無く覆うため、砂や水、砕けたBB弾の破片など細かな物も防御でき、視覚に与える影響も少ない。しかし硬い物との接触で傷がつきやすく、内部に湿気がこもると曇ってしまうほか、極端な低温下での使用や劣化によって強度が落ちてしまう場合がある。金網製は湿気で曇ってしまう事が無く、金属製であるため傷つきや気温の変化などにも強いが、細かな飛散物が網目をすり抜ける危険性があり、眼前に金網がある為、視界がやや暗くなる。

ゴーグルとフェイスガードを一体化し、保護板が頭頂部や後頭部まで覆うヘルメット状の物もある。これらはアメリカのペイントボールゲーム用の防具を流用したもので、液体入りのボールを撃ちあう競技の為、メッシュタイプは無い。 

その他[編集]

薄い透明なプラスチック製の花粉症対策ゴーグルが市販されている。形は飛散物防御用保護眼鏡に似ており、眼への花粉の付着を防ぐために使用される。

関連項目[編集]