ブレザー

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クリケットチームのブレザー

ブレザー英語Blazer)は上着ジャケットの一種であり、形状により「リーファージャケット」(reefer jacket)あるいは「スポーツ・ジャケット」(sports jacket)とも呼ばれる。金属製のシャンクボタンや左胸のパッチポケットに貼り付けられたエンブレム等が特徴として挙げられるが、現在の欧米では前述の特徴が無いテーラードタイプの上着もブレザーと称する。

生地は耐久性のあるウール(ウールサージ )が多いが、綿製等のものも存在する。色は系統又はのものが多いが、原色系を含む様々な色やストライプ等の柄が入ったものもある。フォーマルに着られるもの、学校航空会社等の制服には系統又はのものが多く、カジュアルなものやスポーツクラブの制服には派手な色や柄のものが多く見られる。

概要[編集]

リーファージャケットの制服。マイケル・マレンアメリカ海軍大将(左)と最先任上級兵曹長(右)

学校航空会社ヨットクラブ、セキュリティ会社、スポーツ大会に出場する選手団の制服として多く用いられる。いずれも目的はスタイルによる視覚的な統一性の向上にある。アイビーファッションでは基本アイテムとして、礼装からカジュアルまで様々な着方がされている。

種類[編集]

前合わせがシングルのものとダブルのものに大別される。これらは起源も異なり、別のタイプの上着が同じブレザーという名前で呼ばれるようになったと考えられている。

スポーツ・ジャケットと呼ばれるのは一般的にシングルのものである。胸にエンブレムが付くことが多く、明るい色調のものも多く見られる。

リーファージャケット(ネイビーブレザー)は金属製シャンクボタンのダブル形式で、左胸にウェルトポケット、腰に切り込み式のフラップポケットが付く。色は濃又はで、一部に白のものが見られる。世界中の殆どの海軍及び沿岸警備隊(日本では海上保安庁)に制服として採用されている。

起源[編集]

ダブルタイプ[編集]

前合わせがダブルの上着の起源はポーランド騎兵の服装であり、乗馬の際に風が入らないように前合わせがダブルとなったと言われており、18世紀には広く軍服に使われるようになった。19世紀初頭にはプロイセン軍の軍服であったプルシアンブルーフロックコート[1]がイギリスに広まり、色が更に濃い色調となった。そして、イギリス海軍の将校用制服にも開襟でネービーブルーフロックコートが採用された。(イギリス海軍で水兵の制服が定められたのは1850年代[2]や1857年[3]の説がある)

このイギリス海軍将校のフロックコートを動きやすいように丈が短くしたものが士官候補生(俗称:リーファー[4])用の制服となり「リーフィングジャケット」、そして「リーファージャケット」と呼ばれるようになった。現在一般に着用されているリーファージャケットにも金属製のシャンクボタンが付いているのは軍服であった名残であるとされている。

シングルタイプ[編集]

モーニングコートから変化した、クリケットやテニス用のジャケットから来ていると考えられている。

語源[編集]

2種類の“ブレザー”の語源にはそれぞれ以下のような説が知られている。

軍艦ブレザー号
イギリス海軍の軍艦ブレザー号(HMS Blazer)がにネイビーブルーのダブルの金属ボタンが付いたジャケットを揃え、全乗組員が着用した[5]。そして、これを見た他の艦でも制服として採用し始めた。ダブルタイプの語源とされる説である。日本では、乗組員の制服を揃えたのは1837にヴィクトリア女王の観閲を受けた際であったと流布されているが、イギリス海軍公式サイトにある”BLAZER”の項では1845年であったとされており、上記のように水兵の制服が正式に導入されたのが1850年代であることから、この方が説得力があるとする指摘もある[6]
燃えるような真紅
1829年ケンブリッジ大学オックスフォード大学のほぼ中間にあるテムズ川において、初めて両校対抗のレガッタによるボートレースが開催された。その際、ケンブリッジ大学”St. John's College”のボート部の漕ぎ手が、同カレッジのカレッジカラーである燃えるような(Blazer)真紅のジャケットをユニフォームとして着用していた。シングルタイプの語源とされる説である。

各部の特徴[編集]

日本の女子高生の制服。紺色で金色のシャンクボタンだが、合わせはシングルとなっている。

胸ポケット[編集]

シングルの場合、左胸のポケットはフラップのないパッチポケットが多い。縁取りされたりする場合もある。エンブレムが取り付けられたり、刺繍が施されたりすることがある。

ダブルのものはウェルトポケットが一般的である。

エンブレム[編集]

制服の場合、所属組織のエンブレムが付けられている例が多く見られる。

ボタン[編集]

シャンクボタンは金属製で金、銀などのメッキが施される場合が多いが、中にはプラスチック製のものもある。

ボタンの数は2つか3つが一般的である。3つボタンの場合は中ひとつ掛け、2つボタンの場合は上ひとつ掛けが多い。リーファージャケットの場合は3段又は4段が一般的である。

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通常は襟があるが、聖光学院のように襟が無いスタイルのものごく一部ながら存在する。

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リーファージャケットは濃又はのものが殆どだが、スポーツクラブの制服やカジュアルなものには様々な色やストライプ等の柄物がある。制服として組織のスタイルを統一するためにも用いられる場合、用いられる色は非常に重要である。ブレザーの配色にはナショナル・カラースクール・カラー(例:園芸高校での緑ブレザー)などの所属する組織を体現する色が用いられることもある。

ボトムスやトップスとのあわせ方[編集]

ブレザーはユニフォームとして用いられる場合には、これに合わせるボトムスも統一されたものとなることが多い。大抵の場合スラックスである場合が多いが、チノ・パンツ半ズボンハーフパンツで合わせる場合もある。女性においてはスカートで合わせる場合もある。

ブレザーがカジュアルに用いられるようになるとジーンズカーゴパンツを併せるスタイルも誕生した。ブレザーとジーンズの組み合わせを編み出したのは、アメリカのポップアート・アーチスト、アンディー・ウォーホルといわれている[要出典]

制服として用いられるのは通常ワイシャツブラウスだが、ポロシャツを採用する制服も存在する。海外のパーティではネクタイリボン以外にも蝶ネクタイクロスタイアスコットタイローファーなどの革靴をはじめブーツスニーカーなど多数の組み合わせを用いている。

審判ブレザー[編集]

アメリカメジャーリーグ日本プロ野球アマチュア野球の審判員が着用するブレザーは現在は色が濃紺でサイドベンツ、ズボンはグレーが一般的。左胸のパッチポケットにリーグのエンブレムが付く。メジャーリーグでは1970年代にワインレッドのブレザーとパンツが着用され、日本のプロ野球でもパ・リーグ1978年シーズン途中から1992年まではのブレザーとズボンを着用したことがあった。

そのほかの機能としては、両肩がノーフォーク仕様で両ポケットがボール袋を兼ねて大型に設計されていることである。以前は背バンドが入っていたが、現在は入っていないのが主流である。また、ブレザー全体に撥水加工が施された物もある。

しかし、現在の野球試合ではブレザーを着用して裁くことは少なくなり、専ら塁審、外審はブルゾンジャンパー)を着用しての審判で、球審だけ半シャツかブレザーというのが主流である。

ブレザーの一覧[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 膝丈で前合わせがダブルの上着。プロイセン軍の軍服であった頃は立襟だったが、やがて開襟のものも現われた。
  2. ^ 1853年田所
  3. ^ 辻元
  4. ^ 帆を畳む者の意味。転じて士官候補生を意味するようになった。
  5. ^ イギリス政府のサイト
  6. ^ 辻元

参考資料[編集]

  • ハーディ・エイミス 『ハーディ・エイミスのイギリスの紳士服』 森 秀樹訳、大修館書店、1997年3月。ISBN 978-4-469-24399-4
  • 辻元 よしふみ,辻元 玲子 『スーツ=軍服!?―スーツ・ファッションはミリタリー・ファッションの末裔だった!!』 彩流社、2008年3月ISBN 978-4-7791-1305-5
  • 田所昌幸 他 『ロイヤル・ネイヴィーとパクス・ブリタニカ』 田所昌幸、有斐閣、2006年4月ISBN 978-4-641-17317-0

関連項目[編集]

外部リンク[編集]