ドライスーツ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索

ドライスーツとは、内部に水が浸入しない保護スーツである(内部に水が浸入するものは、ウェットスーツと言う)。

汚染水域等での潜水時に着用される、加硫ゴム生地を用いたフード一体型のシェルドライスーツ

概説[編集]

着用者の身体が外部の水に触れることがないため、気温や水温が低い時期や、汚染された水域での着用に適している。型は全身一体のワンピース型で、特に潜水用のものではブーツ、時にはフードやグローブまでもが一体となっている。生地の接合部は各種の方法で水密に仕上げる。身体とスーツの間に何らかのアンダーウェアや専用インナーを着用することが多いため、ウエットスーツよりもルーズフィットに仕立てる場合が多い。

着脱は防水ファスナー等の水密構造を有する開口部を通じて行い、さらに柔らかいゴムでできた防水性シールにより首、手首、足首からの水の浸入を防いでいる。スクーバダイビングに用いられるドライスーツは、レギュレータから供給された空気を、スーツに設けたバルブから内部に送り込むことで、水圧下での締め付け(スーツスクイズ)を回避するとともに、浮力の調整ができるようになっている。逆に言えば、スーツ内に空気を送り込むことができないスキンダイビングでは、スーツスクイズの問題を解決できず、また潜行するにしたがって浮力が失われ、最悪の場合浮上が不可能になることから、スキンダイビングでドライスーツを着用することはできない。

ヘルメット潜水で使用される潜水服も、ドライスーツの一種である。 なお、セミドライスーツと呼ばれる保護スーツもあるが、これはドライスーツというよりもウェットスーツの一形態である。詳しくは、当該記事参照。

形態[編集]

ドライスーツは、以下の2種に大別される。

ネオプレンスーツ[編集]

ウェットスーツに用いられるのと同様の発泡クロロプレン生地[1]を用い、身体に対し比較的タイトフィットに仕立てたスーツである(ルーズフィットに仕立てることも不可能ではないが、この場合、ネオプレンスーツとシェルスーツ、両者の欠点を併せ持つスーツになってしまう)。生地がある程度の保温性を有するためアンダーウェアは必要ないか、薄いものでよく、また、内部に水が浸入してしまった場合(俗に水没という)でも、セミドライスーツ同等の保温性が確保できる。反面、タイトフィットに仕立てる関係上あまり厚いアンダーウェアを着用することは不可能であるため、あまりに冷たい水中での使用には制約があり、また保温性を落とすことはできないため、水温が高い場合の使用には向いていない。発泡ネオプレン固有の欠点として、生地の中に気泡を有するため周囲の水圧により保温性が変化し、またピンホールが生じやすく耐久性に劣る欠点がある。タイトフィットなため、水中での運動性に優れる利点があるが、反面陸上での運動性は制約される。日本国内で流通するドライスーツの大多数がこの素材・形状である。エントリーモデルでは6~8万円程度、フルオーダーの上位品で20万円超というのが2012年時点での価格である。 [2]

シェルスーツ[編集]

生地に防水性の布地を用い、身体に対し比較的ルーズフィットに仕立てたスーツである。生地自体の保温性はほとんどなく、別途スキーウェア状のインナーウェアを着用して必要な保温性を確保する。インナーウェアの選択次第で、アイスダイビング等の極寒環境から、水温が高い場合[3]まで対応できる。ルーズフィットのため、水中での運動性はネオプレンスーツと比較するとやや劣ると言う説も有るが、陸上での運動性は一般に優れる。また、生地の伸縮性は必須ではないため、強度や耐久性に優れた素材を使用でき、さらに水圧による保温性や浮力の変化がない利点がある。ネオプレンスーツとの最大の違いは、重量と容積である。価格はネオプレンとさほど変わらず、むしろ流通量が少ない分、メーカー在庫等も少なく、納期に時間がかかる場合がある。

ネオプレンスーツ、シェルスーツそれぞれの利点を活かした、ネオプレンスーツの下半身と、シェルスーツの上半身を組み合わせた製品もある(現在では無い)。日本では、スクーバダイビング用としてはネオプレンスーツが圧倒的に多く使われているが、欧米、特に米国ではシェルスーツが使用される場合も多い。 スクーバダイビング以外の用途には、ネオプレンスーツが使われる場合とシェルスーツが使われる場合がある。例えばサーフィンではネオプレンスーツが主として使われ、セーリング水上オートバイウェイクボード、水面レスキュー活動などではシェルスーツが使われる場合が多い。水上での活動に使われる場合、水圧の影響が無いため潜水用スーツよりも簡易な構造で十分な浸水防止が可能であり、潜水用としてはセミドライスーツとして扱われる程度の構造のものもドライスーツとして扱われている。

素材[編集]

ネオプレンスーツ用の素材[編集]

発泡クロロプレンゴム[編集]

ウェットスーツに用いるものと同様の生地である。ドライスーツ用としては、ピンホールの発生を極力避けるため、比較的硬いグレードが選択される。低水温での着用が前提となることから、ウェットスーツの場合と比較して裂けの発生は深刻な問題であり、強度面で劣るスキン地は使用できない。外面はジャージタイプ、内面はジャージまたは起毛タイプのものを用いことがほとんどである。

ラジアルコーティング[編集]

発泡クロロプレンゴム生地の外面に、(気泡を含まない)ゴムなどの非吸水性素材をコーティングしたものである。内面は通常のクロロプレン生地と同様である。表面の吸水性が非常に低いため、汚染物質の除去が容易なこと、浮上後気化熱により冷やされることがないこと等の利点があり、日本のコマーシャルダイビングにおいては主流の素材になっている。通常の発泡クロロプレン生地と比較すると若干伸縮性すなわち運動性に劣ること、また生地が重くなることが欠点として挙げられる。

シェルスーツ用の素材[編集]

圧縮ネオプレン[編集]

硬度の高い発泡クロロプレン生地であり、また内部の気泡の圧力を高めている。通常の発泡ネオプレンの欠点である、圧力による体積変化と、それに伴う浮力、保温性の変化を抑制した素材であるが、反面伸縮性が犠牲になっているため、これを用いたスーツはあまりタイトフィットにできず、シェルスーツ用の素材である。

バイラミネート[編集]

ゴム、プラスチック等の防水性フイルムの片面に、繊維質の布帛を貼り合わせた素材である。軽量なスーツを製造できるが、強度面では他の素材と比べ劣る。

トリラミネート[編集]

ゴム、プラスチック等の防水性フイルムの両面に、ナイロン、ポリエステル等の繊維質布帛を貼り合わせた素材である。防水層が外部に露出していないため、防水層の損傷による浸水が発生しにくく、また強度面でも優れるなど特性のバランスが取れていることから、レクリエーショナルダイビング用シェルスーツの高級モデルには、この素材を使用したスーツが多い。

加硫ゴム[編集]

ポリエステル織物などの基材に、天然ゴム/EPDMゴムブレンド、水素添加ニトリルゴム等のエラストマーをコーティングした素材である。近代的な加硫ゴム製ドライスーツは、この素材の生地を未加硫の状態で一体に接合した後、金属製のマネキンに被せ、大きな加硫釜に入れて熱加硫することで製造される。この工法によれば、部材が完全に接合するので、防水性や防水信頼性に非常に優れたドライスーツが出来上がる。表面の吸水性が非常に低いため(実質的にゼロ)、汚染物質の除去が容易であり、素材に吸収された水分の気化熱による浮上後の体温損失がない。また、ピンホールの修理をタイヤチューブのパンク修理同様の方法で容易かつ迅速に行うことができる。これらの利点により、欧米のコマーシャルダイビングや、南極等極寒地[4]でのダイビングにおいては主流の素材となっている。生地が重く嵩張ること、また製造に使用するマネキンをサイズ毎に準備する必要があることから小刻みなサイズ設定ができないことが欠点である。 ヘルメット潜水に用いられる伝統的な潜水服もこの素材でできているが、上記とは異なり、生地の状態であらかじめ加硫した部材を接着剤で接合することで製作される。表面の吸水性が低い等の特徴は同じであるが、防水信頼性の点では上記の方法で製作されたものと比較すると劣る。

防水透湿生地[編集]

ゴアテックス等の、水蒸気は通すが液体は通さない生地を用いたドライスーツがある。激しい運動をしても蒸れにくい利点があるためヨットセイルボード水上オートバイ用等、主として水上での活動になる用途のスーツに用いられることが多い。一方、水中ではその利点を得ることができないばかりか、むしろ徐々に水が内部に浸入することになるため、潜水用のスーツに用いられることは皆無ではない[5]が、まれである。

部品[編集]

防水ファスナー[編集]

2枚の弾性シートをエレメントで締め付けることで水の浸入を防ぐようにしたファスナーである。耐水性によりライトデューティータイプ、ミディアムデューティータイプ、ヘビーデューティータイプの3種に大別される。後者の方が耐水性、耐久性とも高いが、価格が高価になるのみならず、柔軟性が犠牲になる欠点がある。水面での活動にのみ用いられるドライスーツではライトデューティータイプのファスナーを使ったものがあり、作業潜水等に用いられるドライスーツにはヘビーデューティータイプのファスナーを使ったものもあるが、一般にはミディアムデューティータイプのものが多く用いられている。 尚、ごく一部のドライスーツには防水ファスナーを用いないタイプも存在する。それはO式と呼ばれる構造で、胸に大きく開いた開口部を専用のヒモで縛る方式であり、主としてコマーシャルダイバー(職業ダイバー)用として古くから使われている。

シール[編集]

首、手首あるいは(ブーツが着いていない場合)、足首などの開口部に設けられる。表面は平滑で、着用者の皮膚に密着することで水の浸入を防ぐようになっている。素材としては発泡クロロプレンのうち、特に伸縮性の高いタイプのもの、あるいはラテックスが通常用いられる。後者の方が耐久性は劣るが水密性や快適性・伸縮性に優れ、着脱も容易になることから特に男性に比べて首が細い場合が多い女性ダイバーには勧められる。[6]

ブーツ[編集]

上述したように、潜水用のスーツでは他の部分と接着し一体化したものも多い。別部材として製作した長靴状のものが多く用いられる。フィンキックに伴う繰り返し応力により、特に甲の部分に劣化とそれに伴う浸水が生じやすく、シールと並び交換が必要になる頻度が高い。一部のドライスーツにはブーツではなく、ソックスが着いていて、上から普通のマリンブーツ又は専用ブーツを履いた後にフィンを履く。ブーツに比べると扱いに注意が必要ではあるが、スーツが軽量・コンパクトになる利点も有り、全部を裏返しにして洗うことも容易になる。

使用方法[編集]

本稿ではスクーバダイビングにおける使用方法について記述する。なおここでの記述はスクーバダイビングの指導団体が行う講習を代替するものではなく、また代替できるものでもない。安全上の見地から、実際に潜水を行う際は、ドライスーツでの潜水についての高度な知識と経験を有する指導者の指導を受けることが強く推奨される。

準備[編集]

ウェットスーツよりも浮力が大きいため、ウェイト量を増やす必要がある。着用者の体格、ドライスーツ・アンダースーツの厚みや構造によっても異なるが、一般のレジャーダイビングの場合で8~12kg程度、最大で20kg程度のウェイトが必要になる。慣れれば少しのウェイトでも潜降は可能で有るが、それではスーツ内部に十分な空気を入れられず本来の保温力が得られない上にスクイズ(締め付け)に悩まされることになる。初めて着用するスーツの場合には、ネックシール、リストシールの開口部の径を、着用者の体格にあわせ調整する必要がある。開口部を大きくするのは、ラテックス製のシールの場合は適切な大きさまで切断することで行い、ネオプレン製のシールの場合には大きめの円筒に被せて伸ばすことで行う。[7]開口部を小さくするためには両タイプともにシールの交換が必要である。着用前にシールの内側にタルクや専用ローション等の潤滑剤を付与する。また防水ファスナーのエレメントにパラフィンワックス等を付与して開閉を容易にする。

着用[編集]

適切なアンダーウェアを着用したのち、全開にしたファスナーから大腿部までの部分を片脚ずつ着用する。両脚の着用が終わったらスーツを腰まで引き上げる。サスペンダーの付いたスーツの場合にはここでサスペンダーを肩にかける。次に頭部をネックシールに通し、ネックシールを内側に折り込む。さらに手首をリストシールに通す。なお、頭部と腕の着用順序は逆になっても良い。最後に防水ファスナーを閉じると着用は完了である。防水ファスナーが背中にあるスーツの場合は、無理な力が加わることによるファスナーの破損、またアンダーウェアの巻き込みによる浸水やファスナーの破損を防ぐため、ファスナーの開閉は着用者以外のドライスーツに知識の有る者が行うべきである。着用後他のダイビング器材を装着する。吸気バルブにレギュレーターからの中圧ホースを接続する。[8]

潜降[編集]

BCDから排気した後、ドライスーツの排気バルブより内部の空気を放出する。自動排気バルブの場合には左肘を挙げるだけで済む。同時にウェットスーツ着用時同様に息を吐けば自然に潜降が行われる。ある程度の水深(数m)に達したところで吸気バルブより十分な空気を内部に供給し、スクイズを軽減、および浮力の調整[9]を行う。

浮上[編集]

浮上に関しては、「膨張していく空気をどう逃がすか」という点が焦点となる。その部分においては、ほとんどのドライスーツは左腕上部に排気バルブが有り、多くは自動排気機能を備えている為、普通にBCDのインフレーターを左手で持ちながら頭を上にして適切な浮上速度を保ちつつフィンキックで浮上すれば、浮上に連れて膨張するスーツ内の余分なエアは自動的に排出され、急浮上という事態は避けられる。 この際に気をつけなければならないのは「吹き上げ」と呼ばれる、足元に空気がたまってしまい、それが強力な浮力を生み出してしまって姿勢制御が出来なくなる現象である。もともと中性浮力を旨とするダイビングにおいて、水平に姿勢を安定させることが求められるが、知らず知らずのうちに足側に空気がたまっていき、いざ浮上の段になって、水深をあげていく際に起こってしまう。 対策としては、やや頭を足より上に上げる、若干斜めの姿勢で移動するのがよく、潜行の前にアンクルウエイト(下記参照)を仕込んで、足元を重めにして、足が下に向くようにするなどの方策も有効である。 浮上後は、BCDに吸気し、浮力を確保して水面移動を行う。

脱衣[編集]

シールに爪を立てないように注意して、手(指先の腹側)で拡げながら首や手首を抜き去る。このときに力が集中するとシールが破損することが有るので、できるだけ面で力がかかるように注意する。

保管[編集]

使用後のスーツは水で、必要があれば適切な洗剤を使用して外部を洗浄する。特にシールやファスナーの部分は汚れにより劣化する場合があるのでよく洗浄する。通常はスーツを着たままシャワーを浴びることで外部洗浄が完了する。スーツの内側には、着用中にかいたが凝縮しているため、裏返した上、出来れば拭き取り、よく乾燥させる。海水が入ってしまった場合等は内側も洗浄する。乾燥後の靴用防臭スプレー等も役立つ。特にラテックス製のシールが使われている場合、乾燥後、シールの部分にタルクを付与しておくことが好ましい。防水ファスナーは完全に開け[10]、ファスナーにストレスがかからないように、シェルタイプの場合には丸めて(畳んで)保管する。 クロロプレン(ネオプレン)ゴム製のドライスーツの場合、幅広いハンガー(出来れば専用ハンガー)に掛けて、ブーツの底が常に床に触れる状態で保管するのがシワや折れなどを軽減できるので好ましい。

アクセサリ[編集]

インナーウェア[編集]

保温やスクイズの軽減を目的に、ドライスーツの内部に着用する衣服である。 ネオプレンスーツの場合、発泡クロロプレン生地自体にある程度の断熱性が有るため、比較的薄手のインナーウェアで十分な場合が多く、ドライスーツのインナーウェア専用ではない、フリースやジャージが用いられることも多い。 一方シェルスーツの場合、生地の断熱性は一般に不十分であり、ダイバーの体温保持はインナーウェアに依存することになる。そのため、潜水する水温に応じ適切な断熱性を有する、多くの場合は専用のインナーウェアが着用される。 登山時の下着と同様、綿素材のインナーウェアは、吸汗に伴い断熱性が著しく低下することから好ましくない。また、インナーウェアを着用しないことや、素肌が露出するインナーウェアは、汗の成分をドライスーツ内部に多量に残存させ、頻繁なクリーニングの必要を生じさせることから推奨されない。

中圧ホース[編集]

吸気バルブとレギュレーターを接続するためのホースである。取り回しの関係から、一般にBCD用のものよりも若干長いものが使われることが多い。吸気バルブ側の形状に合致したカップリングのものを選択する必要がある。

アンクルウェイト[編集]

足首に装着する500g~1kg程度の内部に鉛の散弾が詰められた柔軟なウェイトで、目的はウェイトの分散、下半身の安定(主に吹き上げ防止)である。両足首にフットバルブがある場合には、吹き上げを起こしにくいため、必要性は下がるが、ウェイトの分散という意味からも不要になるというわけではない。

チェストウェイト(ウェイトベスト)[編集]

ドライスーツを着用する場合、ウエイト量は一般に多くなることから、腰への負担や、潜水中の意図しないリリースによる急浮上のリスクを軽減するため、通常のウエイト用ベルトに加え、ベスト型のウェイトを併用(ウェイトを分散)することが望ましい。 なお、必要な場合はウェイトを分割して投棄できる機能を有するウェイトベストあるいはこのような機能を有するBCDを用いる場合は、全てのウェイトをそこに集中させ、ウエイト用のベルトを用いないこともある。

オプション排気バルブ[編集]

基本的にドライスーツ注文時の追加機能で、リストバルブとフットバルブがある。リストバルブは左右どちらかの手首付近に装着するバルブで、排気が容易になる。フットバルブは両足首に装着するバルブで、ヘッドファースト潜降が容易に出来、危険な吹き上げトラブルを防ぐ効果がある。両者とも、排気しないようにワンタッチでロックすることも出来る。

グローブ[編集]

低水温の際に着用されるというドライスーツの性質から、保温性の高い発泡クロロプレン生地製のものが多く用いられる。また特に水温の低い場合、また汚染水域用として、水密性のリングを用い袖口に取り付けることでスーツ本体と一体化し、内部に水が浸入しないドライグローブ[11]と呼ばれるものもある。

フード[編集]

ドライスーツが用いられる程度の水温ではフードの着用は必須である。通常は、ウェットスーツ着用時に用いるものと同様の、スーツ本体とは別仕立ての発泡クロロプレン生地製のものが用いられるが、特に水温が低い場合や汚染水域用には、ドライスーツ本体に接合し、首元からの水の浸入をなくしたものも用いられる。汚染水域用としてはさらに、表面が平滑で汚染の除去が容易な、ラテックス製やゴム製のフード[12]が用いられることもある。

ピーバルブ[編集]

ドライスーツを着用したまま尿を排泄するための装置である[13]。潜水時間の長いテクニカルダイビングでは良く用いられるが、リクエーショナルダイビングで用いられることはあまりない。スーツの内外を連絡するためのポートと、受尿器とポートを接続するためのホース、外部の水の逆流を防ぐための逆流防止バルブと、ホース内外の圧力を均等化し、ホースのスクイズを防ぐための一方通行バルブからなる。尿は受尿器→ホース→逆流防止バルブ→ポートを経てスーツの外部に放出される。受尿器としては、男性はコンドームカテーテルを、女性は陰裂を覆うように装着する専用のアダプタ[14]を用いる。なお、スーツへの加工が不要であり、また入手性に優れる点から、ピーバルブに代わり紙おむつが用いられることも多い。

フィン[編集]

ブーツサイズ及び厚みの関係でウェットスーツ着用時とフィンを共用出来ない場合も少なくない。したがって、多くのダイバーがフィンを使い分けており、ドライスーツに適したフィン[15]も市販されている。

脚注[編集]

  1. ^ 素材の一般名はクロロプレンであるが、スーツの形態名としては専らデュポン社の登録商標であるネオプレンの語が用いられ、クロロプレンスーツと呼ばれることはまず無い。
  2. ^ 水中でBCDに給気せず、ドライにのみ給気するので有れば、スーツ内部に供給すべき空気の量は素材とは関係ない。 水中での浮力調整はドライスーツでのみ行なうのが正しい方法で、十分に給気することによってダイバーはスクイズ(締め付け)から解放され暖かく過ごすことが出来る。また、欧米ではネオプレンドライは(国内とは逆に)少数派で、素材による取り扱いやすさの難易度はさほど変化はない。
  3. ^ 汚染水域等では、ウェットスーツで十分対応できる水温の場合でも、汚染からの身体保護を目的にドライスーツを着用する場合がある。
  4. ^ 気温が0℃付近以下の環境では、表面に吸収された水分が短時間で凍結・固化してしまい、その後の運動性を大きく妨げるため、表面に水分を吸収するドライスーツを使用することは勧められない。
  5. ^ 一例としてカナダBARE社のSB SYSTEMドライスーツがある。
  6. ^ 近年、第3のシール、シリコンシールも登場している。ラテックス同様水密性や快適性・伸縮性に優れ、ラテックスの弱点とされる経年劣化がほとんど無い画期的なシールで、ゴムアレルギーの方でも着用できる可能性がある。
  7. ^ ネオプレン製のシールはスーツ注文時に指定することが前提で、無理に伸ばすことは現実的とは言えない。レンタル器材など急場しのぎの手法といえる。
  8. ^ ネックシールがラテックス又はシリコン製の場合には内側に折り込む必要はない。当然ながら、防水ファスナーが前面に有るスーツの場合には着用者自身が開閉作業を行える。シェルタイプドライの多くは自分でファスナーの開閉が可能。
  9. ^ 浮力調整については給排気が迅速に行えるBCで行い、ドライスーツへの吸気はスクイズ回避のための最小量にとどめるべきという意見もある。指導団体である、PADIのアドヴァンスドオープンウォーターコースのマニュアル(アドヴェンチャーインダイビング)P156には「BCDは主に水面と緊急時の浮力に使用するようにします。水中での中性浮力の維持にはドライスーツを使います。」と書かれていることからも、推奨とするのはドライスーツへの給排気であることが分かる。
  10. ^ 弾性材をエレメントで圧縮して防水性を発揮する構造になっているため、長時間閉じたままにすると弾性材が変形して防水性が失われる。
  11. ^ 一例として、スウェーデンSI-TECH社製品がある。
  12. ^ 一例として、スウェーデンAnsell Protective Solutions社製品がある。
  13. ^ http://www.p-valve.comに詳説されている。
  14. ^ 一例を挙げるとSHE-Pがある。
  15. ^ 一例として株式会社マスク製のマンティスドライフィンがある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • YKK PROSEALファスナー…世界最大のシェアを持つYKK社(傘下の英BDMブランドを含む)による防水ファスナーの商品解説