クリケット

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 クリケット
CricketSCG1.jpg
クリケットの試合風景 ベージュ色の線がピッチ。右側で黒いズボンを着用しているのが審判。
統括団体 国際クリケット評議会
起源 16世紀前半
イングランドの旗 イングランド
特徴
身体接触
選手数 グラウンド上:11人
男女混合 男女別
カテゴリ チーム競技、屋外競技、バットアンドボール
用品 クリケットボール英語版クリケットバット英語版ウィケット英語版スタンプ英語版ベイル英語版
オリンピック 1900年夏季オリンピックのみ
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クリケット: cricket英語発音: /ˈkrikit/キットゥ)は、フィールド上1チーム11名の2チームによって半径70メートルほどの広大なフィールド(クリケットではオーヴァル:oval と呼ばれる)で行われるバットボールを用いるスポーツである。

解説[編集]

クリケットの試合を行うフィールドの中央には長さ22ヤードの長方形のピッチがある。一方のチームは打ち (bat)、出来るだけ多くのラン(点)を得ようと試み、もう一方のチームはボールを投げ (bowl) ・守備を行い (field)、打者(バッツマン)をアウトにし相手チームの得点を抑えようと試みる。得点(ラン)は打者がボールをバットで打ち、ピッチの反対側の端に走り、アウトになることなくクリース英語版に触れることで加算される。イニングが終わると攻撃と守備を交代する。

クリケットは全面芝のフィールドでプレイされ、試合中にはティータイムもある。その優雅な雰囲気から、別名「紳士のスポーツ」といわれる。イギリスでは同じく紳士のスポーツと呼ばれるラグビーと共に上流階級がたしなむスポーツとされており、イートンなどの名門校の体育ではクリケットは必修種目とされている[1]

プロクリケットでは、試合の長さは1チーム20オーバー(1オーバーは6球)から、5日間に渡って行われるテスト・クリケット英語版まである。クリケット競技規則英語版国際クリケット評議会 (ICC) およびメリルボーン・クリケット・クラブ英語版 (MCC) によって維持されており[2]、テストマッチおよびワン・デイ・インターナショナルの形式を定めた追加規則がある。

クリケットは16世紀にイングランド南部で初めてプレーされた。18世紀末までには、イングランドの国民的スポーツへと発展した。大英帝国の拡大によってクリケットは海外でプレーされるようになり、19世紀中頃までには初の国際試合が開催された。現在、10カ国の協会がクリケットの統括団体である国際クリケット評議会の正会員である[3]。クリケットはとりわけ、オーストララシアインド亜大陸西インド諸島、アフリカ南部、イングランドでプレーされている。

イギリスで発祥したスポーツであるため、インドパキスタンバングラデシュスリランカオーストラリアニュージーランド南アフリカジンバブエ西インド諸島といった英連邦諸国では、ラグビーサッカーと並び絶大な人気を誇る。日本での知名度はあまり高くないが、100以上の国と地域でクリケットが行われている[1]

競技人口はサッカーに次ぐ世界第2位ともいわれるが、これはインド人の多くが競技できるだろうという推定に基づくため、正確な競技人口は不明である。日本での競技人口は日本在住外国人を含めておよそ1,500人[4]

オリンピックでは1900年のパリ大会においてクリケット競技が1度だけ採用されたことがある。

歴史[編集]

初期クリケットは、「club-ball、stool-ball、trap-ball、stob-ballといった古代の競技のように棍棒でボールを打つ競技」と解説される[5]。クリケットの歴史は16世紀初頭イングランド、テューダー朝の時代まで間違いなく遡ることができる。1301年にケント、Newendenにおいてエドワード1世(長脛王)の息子エドワードによって「creag」として知られる競技がプレーされたという文献が存在しており[6]、証拠はないものの、この競技が一種のクリケットであったと推測されている。

その他多くの単語が「cricket」の語源として提唱されている。1598年のこのスポーツに関する最も初期の確かな文献では[6]、「creckett」と呼ばれている。イングランド南東部とフランドル伯領英語版ブルゴーニュ公国に属していた)との間の中世における強い貿易関係を考えると、この名称は中期オランダ語英語版(当時フランドルで話されていた)で棒(杖)を意味するkrick(-e)に由来するかもしれない。あるいは、古英語で松葉杖 (crutch) を意味する cricc あるいは杖 (staff) を意味する cryce に由来するかもしれない[7]古フランス語では、criquest という単語は杖あるいは棒の一種を意味していたようである[8]サミュエル・ジョンソンの「英語辞典」では、サクソン語で棒を意味する cryce に由来をたどっている[9]

その他可能性のある語源としては、中期オランダ語で教会で使われる背の低く長い膝付き台を意味する Krickstoel がある。これは初期クリケットで使用された2つのスタンプからなる背の低く長いウィケットに似ている[10]ボン大学のヨーロッパ言語の専門家であるHeiner Gillmeisterによれば、「cricket」は中期オランダ語でホッケーを意味するフレーズ「met de (krik ket)sen」に由来する[11]。Gillmeisterは名称だけでなくスポーツ自体もフランドル地方が起源であると考えている[12]

1859年リバプールの船上での、初のイングランド遠征チーム

クリケットがイングランドでプレーされたことに関する最も初期の確かな言及は、1598年の訴訟である。ここでは1550年頃に、 サリー、ギルフォード英語版の共有地において「creckett」がプレーされていたと述べられている。ギルフォード裁判所において、1597年1月17日月曜日(ユリウス日、グレゴリオ暦の1598年に相当)に59歳の検視官ジョン・デリック英語版は、50年前に"Free School at Guildford"の学生だった時に「hee and diverse of his fellows did runne and play [on the common land] at creckett and other plaies(彼と彼の仲間は〔共有地で〕クリケットやその他の遊びを行った)」と証言した[13][14]。元々はこれは子供の遊びだったと考えられているが、1610年頃の資料[14]によると大人もクリケットをプレーし始めており、教区間の対抗戦あるいはビレッジ・クリケットがすぐに興った。1624年、ジャスパー・ヴァイナルと呼ばれる選手がサセックスの2つの教区チーム間の試合中に頭を打たれ殺された[15]

17世紀の間、膨大な資料がイングランド南東部でクリケットが成長したことを示している。この世紀の終わりまでには、大金のためにプレーする組織化された活動となり、1660年の王政復古英語版の後数年で初の職業(プロ)選手が登場したと考えられている。1697年にサセックスにおいて大金を掛けて1チーム11人で争われた「a great cricket match」に関する新聞の記録が残っており、これはこのような重要性を持つクリケットの試合に関する最も初期の資料である。

クリケットは18世紀に大きく発展し、イングランドの国民的スポーツとなった。賭け事この発展において主要な役割を果たし、裕福なパトロンは自分の「select XIs」を作った。クリケットは1707年には早くもロンドンで盛んとなり、フィンズベリー英語版のArtillery Groundで行われた試合は多くの観衆を集めた。2人で争われるシングル・ウィケット・クリケット英語版は多くの観衆を魅了し、賭けの対象となった。ボウリングは1760年頃に考案された。それまではバッツマンに向かってボールを転がすか地面を弾ませて飛ばしていた。これによりバットのデザインの革命が起こった。バウンドしたボールを打つためには古い「ホッケースティック」型ではなく現代的な形のバットの導入が必要だったためである。ハンブルドン・クラブ英語版は1760年代に創立された。1787年にMCCが設立、ローズ・オールド・グラウンド英語版が落成されるまでのその後20年間、ハンブルドンはクリケットの最も偉大なクラブ・中心であった。MCCはすぐにクリケットの一流クラブとクリケット競技規則英語版の管理者となった。18世紀後半に導入された新たな規則としては、3本のスタンプからなるウィケットやレッグ・ビフォー・ウィケット (lbw) がある。

ドン・ブラッドマンはテストクリケットでの通算打率99.94、ファーストクラスマッチでの通算打率95.14と、他に並ぶもののない記録を残した[16]

19世紀には、アンダーアーム・ボウリング(下投げ)が初めにラウンドアーム・ボウリング(横投げ)に、次にオーバーアーム・ボウリング(上投げ)に取って代わられた。カウンティー(郡)単位でのクリケット競技の組織化はカウンティークラブの成立につながり、1839年にサセックスCCC英語版が開始し、最終的には1890年にカウンティー・チャンピオンシップ英語版が始まった。それと同時に、大英帝国はクリケットが海外に普及する手助けとなり、19世紀半ばまでにはインド、北米、カリブ、南米、オーストラリア、ニュージーランドに定着した。1844年には、アメリカ合衆国代表とカナダ代表の間で初の国際試合が行われた。

サチン・テンドルカールは、テストクリケットおよびワン・デイ・インターナショナル・クリケットにおける通算ラン(得点)およびセンチュリー(1試合100点)の記録保持者である。

1859年、イングランド英語版の選手が北米に初めて海外遠征を行った。海外遠征を行った初のオーストラリアチームはアボリジニ牧夫(ストックマン)のチームである。彼らは1868年にイングランドに渡り、州(カウンティー)チームと対戦した[17]。1862年、イングランドのチームは初のオーストラリア遠征を行い、1876-77年にはメルボルン・クリケット・グラウンドにおいてオーストラリアと史上初のテストマッチ英語版を行った。

W・G・グレース英語版は1865年にその長いキャリアを開始した。グレースのキャリアはクリケットに革命をもたらしたとしばしば言われる[18]。イングランドとオーストラリアとのライバル意識の結果、1882年に両国の対抗戦であるジ・アッシズが始まり、現在も続いている。テスト・クリケットは、1888-89年に南アフリカ英語版がイングランドと対戦したのを期に拡大していった。第一次世界大戦前の20年間は「クリケットの黄金時代英語版」と呼ばれている。これは戦争による共通の喪失感から来る懐古の念にとらえられた名前であるが、この時期は偉大な選手や記憶に残る試合を本当に生んだ。

世界大戦の間の時代は一人の選手によって支配された。クリケットの歴史において記録上最も偉大なバッツマン、オーストラリアのドン・ブラッドマンである。ブラッドマンの打撃技術に対抗するため、1932-33年のジ・アッシズにおいてイングランドは悪名高いボディーライン英語版戦術(手前でボールを弾ませ、打者の体を狙う)を採った。テスト・クリケットは20世紀の間拡大を続け、西インド諸島インドニュージーランドが第二次世界大戦前に、パキスタン英語版スリランカ英語版バングラデシュ英語版が戦後にテスト国に加わった。しかしながら、南アフリカはアパルトヘイト政策のため1970年から1992年まで国際クリケットから追放されていた。

クリケットは1963年に、イングランドの州チームがリミテッド・オーバー英語版(オーバー数の制限された)ルールを導入したのを期に新しい時代に入った。リミテッド・オーバー形式による初の国際試合は1971年に行われた。国際クリケット評議会 (ICC) は、この形式の将来性を見て、1975年には初のリミテッド・オーバー形式によるクリケット・ワールドカップを開催した。21世紀には、新たなリミテッド・オーバー形式であるトゥエンティ20が人気を博している。

ルール[編集]

概略[編集]

以下ではクリケット・ワールドカップも準拠する50 オーバー制(300球限定)1イニングマッチ、通称ワン・デー・マッチ (one-day match) の概要を説明する。

ゲームは、各11人で構成される2チームがコイントスで先攻と後攻を決め、攻撃側と守備側に交互に分かれて対戦する。プレイフィールドの中央にピッチと呼ばれる縦長の場所があり、20.12メートル離れたその両端に高さ71センチメートルの3本の杭(スタンプ)とそれを上部で繫ぐ梁(ベイル)で構成されるウィケットと呼ばれる柱状のものが刺さっている。

守備側はボールを投げるボウラー(投手)、それを受けるウィケットキーパー(捕手)、その他の9人はフィールダー(野手)としてプレイフィールド各所に配置する。

攻撃側は1番から11番まで打順を決め、1番打者と2番打者がバットを持ちプロテクターをつけて各ウィケットの手前で配置につき、3番打者以降はベンチで成り行きを見守る。片方の打者がアウトになったら、アウトになった打者と交代で順番に従ってフィールドに入り打撃を行う。フィールドに出ている打者 2 人をバッツマンといい、ボウラーと対峙する方のバッツマンをストライカー、ストライカーの反対側でランナーとなるバッツマンをノンストライカーという。

ボウラーは片側のウィケットの後方から助走をつけて、肘を伸ばし、もう片側のウィケット目掛けてワンバウンドさせるようにして投球する。それに対してバッツマンは、アウトにならないようにバットを用いてそれをブロックしたり、ラン(得点)するためにボールを遠くまで打つ。打つ方向は360度どの方向に打っても良い。

バッツマンがボウラーの投球を打った後、2人のバッツマン(ストライカーとノンストライカー)がそれぞれ相方側のウィケットの方向まで走り、双方がウィケットの前に引いてある安全線(ポッピングクリース)に到達すると1ランが入る。バッツマンが打球を遠くまで打ったときは1往復、1往復半、2往復などしても良く、それぞれ2ラン、3ラン、4ランなどと得点が入る。また、プレイフィールドの境界(バウンダリー)を超えてボールが飛んでいった場合は、走らなくても規定の得点が入る。ゴロでバウンダリーを越えた場合は4ラン、飛球であれば6ランである。バッツマンは、走ってもアウトになりそうだと判断した場合は走らなくて良く、またアウトにならない限り投球を見送ってもよい。

バッツマンがアウトになるのは、

ボウルド (Bowled)
ボウラーによって投げられたボールがウィケットに当たる
コート (Caught)
バッツマンが打った飛球をグラウンドに着く前にキャッチされる
ランアウト (Run Out)
バッツマンの体やバットの一部がポッピングクリースの後側に位置していない時に、相手チームによって正しくウィケットが倒される

などの場合である。詳細は#アウト節を参照のこと。アウトになったバッツマンは次の打順のバッツマンと交替する。クリケットでは、アウトにならない限りいつまで打っていてもよく、逆にアウトになったらその試合ではもう打つことはできない。

ボウラーが6球投球することを1オーバーといい、オーバーになるとボウラーは交替し(2オーバー連続して投げることはできない)、反対側のウィケットから次のボウラーが投球する。 規則では1オーバーは6球または8球で、大会ごとに定めることとなっているが、今日では1オーバー8球という試合はないものとおもわれる。 1人のボウラーは総オーバーの5分の1(10オーバー60球)までしか投球できないため、1チームにボウラーは最低5人は必要である。

攻撃側が10人アウトになるか、50オーバー(300球)経過した場合にイニング終了となり、攻守交替する。 先攻後攻それぞれ1イニングずつ攻撃し、ランの多い方が勝利チームとなる。 両者の力関係にもよるが、クリケット・ワールドカップルールでは1イニング200 - 300ラン程度入り、試合時間はティータイム、ランチタイムを含めると6時間以上かかる長丁場である。

チーム構成[編集]

クリケットのチームは11人で構成される。試合中に1人までは交代が認められているが、この交代は怪我などの理由による交代のみで、基本的には最初から最後まで同じ11人でプレーする。また交代で入ったものには、ボウリング等に制約があり、他の競技のようにまわりの選手と同様のプレーは行えない。

また、クリケットは他のイギリス発祥のスポーツ・ラグビーと似て、監督(マネージャー)が指示できず、試合中は主将(キャプテン)の指示に従う。そのため、キャプテンシーも重要な試合の勝敗を決める要因となる。

戦術的には、3名 - 4名ほどのボウラー、3名ほどのバッツマン、3 - 4名ほどのオールラウンダーに1人のウィケットキーパーでチームを構成する。その中でもボウラーは速球派なのか、変化球派なのか、バッツマンはハードヒッターなのか、ブロッキングに長けているのか、などのそれぞれの個性によってメンバーを決める必要がある。

攻撃中は1番から11番までのバッツマンがアウトになるまで2人ずつでバッティングを行う。

守備中はボウラー1名、ウィケットキーパー1名とフィールダー9名で守る。

試合のフィールド[編集]

試合の中心となるピッチは、長さ20.12mの2つのウィケット間と幅2.64mのエリアである。

試合のルールを変えることにより全体の競技エリアの大きさについては対応が出来る。 長径60m、短径40mほどあれば試合が行えるが、成人が行うならば長径90m、短径70mほどあると良い。 国際大会の規格はこれよりも大きく、長径120m、短径100m程度が必要となる。

試合の進行[編集]

試合は2チームの攻撃によって行われる。上記のように大会によりルールは異なるが、1回の攻撃と守備が1イニングとカウントされ、またボウラーが6球投げ1オーバーとカウントされる。このイニングか、オーバーのどちらか、または両方で試合の長さに関する制限がされ、試合時間が決まる。

試合はコイントスなどにより先攻・後攻を決めて試合が始まる。トスから30分程度の後に試合が始まる。それぞれのチームが攻撃(バッティング)と守備(フィールディング)につき、試合が始まる。

バッティング[編集]

クリケットには以下のような打ち方がある。

  • ドライブ
    • フロントフットドライブ(投球の来た方向に打球が飛ぶ)
    • バックフットドライブ(投球の来た方向、または体の前に打球が飛ぶ)
  • プルショット(引っぱり、体の向きの真後ろに飛ばす)
  • レッググランス(足下への投球を後ろにそらす)
  • カットショット(体の真正面に打球を飛ばす)
    • レイトカット(打撃点を遅らせ後ろ45度の方向に打球を飛ばす)
  • スウィープショット(足下への遅い球を、ほうきで払うように横に飛ばす)

などといった打ち方がある。

また、必ずしも投球を打たなくても良く、ブロックし、投球がウィケットに当たるのを阻止したり、アウトにならないために無理に打たずに見送ったりということがある。

ラン(得点)[編集]

得点は走った数で数えられるので、得点はラン(run/runs)として数えられる。

クリケットの得点は、バッツマンが二人同時にフィールドに入るが、お互いに反対側のウィケット付近(ホッピングクリースのラインをまたぐこと)で1点と数える。片方のバッツマンのみが入っただけの場合は得点にならず、もう片方が辿り着く前に送球等でウィケットが倒されてしまえば、1点もカウントされない。そして倒された側のウィケットに近かったバッツマンがアウトとなる。

クリケットのランにおいて最大の特徴は、バットを使えることである。体の一部としてバットを考えるため、バットを持って走った方が距離が稼げる。通常は、バットをホッピングクリースのラインに擦るようにしてランを行う。往復する時は、バットの先をラインよりもウィケット側につけて返ることで、早く往復できる。

走者の距離が足りなかった場合、ホッピングクリースのラインよりも手前、またはライン上までしか来なかった場合はランが不成立となる。このような場合に気がつかず、往復してしまっている場合は「ショートラン」と言い、得点がカウントされない。カウントされない得点はショートランとなったもののみを数える(往復する際の初めの時が足りていなかったら、1ラン目のみ無効とされ、帰りの1点はカウントされる)。

通常は上記のように走った数(往復した数)によって得点が異なるが、

4ラン
バッツマンにより打たれたボールが、ワンバウンド以上して転がったままバウンダリーを超えた場合
5ラン
反則等により、相手側に点数が入る場合 例えば守備側のヘルメット等の道具をフィールドにおき、打球が当たった場合はこれに当たる
6ラン
打球がノーバウンドのままバウンダリーを超えた場合 1球で取れる通常の最大得点にあたるが理論上は往復し続けた方が得点を取れる

などのように、あらかじめ決められている得点の入り方も存在する。

クリケットの醍醐味の1つにバッツマン2人のパートナーシップがある。このパートナーシップにより伸ばせるランに違いが出ることも面白い点である。勝手に走ることは許されない。

アウト[編集]

審判

バッツマンはアウトになると、次のバッツマンと交代しなければならない。

Laws of Cricket(クリケットのルールブック code 2000)に記載されているアウトを簡単に紹介する。

ボウルド (Bowled (Law 30))
ボウラーの投球によりウィケットが直接倒された場合。
コート (Caught (Law 32))
バッツマンの打ったボールがノーバウンドで捕球された場合に宣告される。360度どの方向に打ってもよいことから、チップによるアウトを狙うために速球投手の場合はに打者後方7、8メートルのところへ数名の守備が配置される。
ランアウト (Run Out (Law 38))
バッツマンが走っている間にボールがウィケットに戻ってきて、送球により、または捕球したフィールダーがボールで触れ、ウィケットが倒された場合。どこまで走れば良いのかといった区切りについてはランの項目を参照のこと。
タイムド・アウト (Timed out (Law 31))
3分以内に前のウィケットが落ちてから(アウトになってから)次のバッツマンが準備し構えない時に、宣告される。これはアンパイアの試合進行義務 (Law 21.3) からくる。
ハンドルド・ザ・ボール (Handled the ball (Law 33))
怪我を防ぐためや守備にボールを返す時を除いて、バットを握らない状態でボールに触れた時に反則と見なされアウトとなる。
ヒット・ザ・ボール・トゥワイス (Hit the ball twice (Law 34))
意図的に投球を止めて打つような行為を防ぐもの。同時に守備側の送球を打ってしまうことも禁じている。ブロックやショットの際に流れの中で2度打ちした場合はこの限りでない。また打った後のボールがウィケットに向かって転がるまたは飛んでいる際に、ウィケットを守るために2度打ちすることは許されているが、この場合は走れなくなる(=得点できなくなる)。上記2項目はオブストラクティング・ザ・フィールド (Obstructing the field (Law 37)) にも密接に関わる。
ヒット・ウィケット (Hit wicket (Law 35))
守るはずのウィケットを自ら倒してもアウトとなる。ショットのために足を移動しウィケットに触れてもアウトになる。
LBW (Leg before wicket (Law 36))
バッツマンが足で、投球がウィケットに当たるのを防いだとされる場合にアウトにされる(細かい条件がある)
スタンプト (stumped (Law 39))
ノーボールでない投球に対してホッピングクリースの外でボールを空振り、または見逃し、そのままランを試みぬまま、ウィケットキーパーによって捕球したグラブでウィケットを倒された場合に、ランアウトではなく宣告されるアウト。スピンを打ちに前に出てミスショットした際によく見られる。キーパーの早技が鍵となる瞬間的なプレー。

通常は反則(Law 33・34・37)などは起こりにくいので、ボールド、コート、ランアウト、スタンプト、LBWがアウトの中心となる。

なお、バッツマンが1点の得点も上げられずにアウトになる事をダック(Duck)と呼び、スコアカードの自身の得点欄にはアヒルのマークが記載され、テレビ中継でもその様に表示される。

ボウリング[編集]

ボウリングは肘を曲げずに投球することを指す。クリケットにおいてはバッツマンに向かって投げることを指している。 助走を付けてよく、走り込みながら投げられる。この際、バッツマンに対して1バウンドしても良く、通常はノーバウンドより打たれにくい1バウンドを利用してバッツマンに投げ込む。このとき、打者から大きく外れ打たれなかった投球はワイド・ボール (Wide ball (Law 25))、肘曲げやオーバーステップなどの違反投球の場合はノー・ボール (No ball (Law 24)) といって、投球数にカウントされない。

空気抵抗を利用した変化球のほか、ワンバウンドでの投球もあるので、バウンド後の変化を利用する投球もある。

また、投球スタイルにより、

  • ファストボウラー(本格派・速球投手)
  • スピナー(技巧派・変化球投手)

などの業種分けがなされる。

オーバー[編集]

1試合の中で、ボウラーが正規の投球を6球投げたところで1区切りとなる。この6球を1オーバーという。この中には、前述の通りワイド・ボール、ノーボールは含まれない。

オーバー数制限がある場合は打てる球数に実質制限があるため、出来る限りボールを打ちにいく必要がある(ルール上ではノー・ボールは際限なく打てるため、打てる球数は最大で無限になる)。逆にオーバー数制限がない場合はいくらでもボールを見逃すことができる。

休憩[編集]

試合中に、一定のオーバーが経過した場合、または時間が経った場合にはドリンクタイム、ティータイム、ランチタイムなどが入り試合を休憩する。

これも試合形式(試合時間)により差異が生じる。

試合の終了[編集]

試合は規程のオーバー数またはアウト数により攻守を交代する。 そしてそれぞれバッティングによって得た得点により勝敗を決する。

先攻側が勝利したときは、得たラン数の差で勝敗を表す。たとえば1イニング制の試合で先攻チームが200ラン、後攻チームが190ランだった場合、先攻チームが「10ランで勝利」とされる。これに対し、後攻側が勝利したときは、残ったウィケットの数で表記する。たとえば1イニング制で先攻チームが200ラン獲得しており、後攻チームが逆転して201ランになったときはその場で後攻側の勝利となるが、この反撃中に4回ウィケットを落としていた場合(ウィケットは10本とされるため)後攻チームは「6ウィケットで勝利」とされる。

1イニングの試合(オーバー数制限あり)であれば、先攻チームによる逃げきりか後攻チームによる逆転で試合の終了が決まる。先攻チームは後攻チームをオールアウトにするか規程のオーバー数を使い切る中で得点を上回られなければ勝ちになる。逆に後攻チームは規程のオーバー数の中で、オールアウトにならずに先攻チームの得点を上回れば勝ちとなる。

2イニングの試合(オーバー数制限なし)であれば、そのまま逆転したとしてもゲームを続け、後攻チームのオールアウトをもって攻守を交代し、もう1イニングを行う。この際に、これ以上先攻チームor後攻チームが得点を必要としないと判断した場合はデクラレイション(Declaration、宣言)することができる。これは2イニング制において試合の時間制限はあれど、オーバー数制限がないために、試合時間以内に試合を終わらせるための手段である(試合が時間以内に終わらなければ、自動的に引き分けとなるが、大会により勝ち点などの細かいルールが規程されていることが多い)。また、同様の理由から、先攻チームが大量リード(100点以上の差など)して1イニング目が終わった際に、後攻チームに再度攻撃をさせる(先攻・後攻が入れ替わる)ことができる。これをフォロー・オン (follow-on) という。

試合の形式[編集]

なお、概略ではクリケット・ワールドカップルールの概要を説明したが、それ以外にもクリケットの国際大会には下記のようなさまざまな試合形式がある。近年、メディアの影響と人々のライフスタイルの変化により、所要時間の短い試合形式が徐々に支持を得てきており、短い時間でも十分楽しむことができるスポーツとなった。

ワンデイ・インターナショナル (ODI)
ワールドカップ形式で行われる国別対抗戦。50オーバー(300球)限定1イニング制である。試合時間はおよそ5 - 6時間程度となる。
テストマッチ
伝統的な国別対抗戦の試合形式。球数無制限の2イニング制を採用、1試合のリミットは無い。最大5日間で勝敗を決する。
トゥエンティトゥエンティ (Twenty20)
2003年に登場した短時間で終わる試合形式。20オーバー(120球)限定1イニング制を採用、1試合2時間半程度で終了する。
シックス・ア・サイド(6-a-side)
6人制クリケット。5オーバー(30球)限定1イニング制で、1試合50分程度で終了する。

試合での服装[編集]

2005年に行われた南アフリカイギリスの試合(テストマッチ)。選手は伝統的な白い制服を着用している。黒いズボンを身に付けているのは審判である。

国際試合とアマチュアの試合では、伝統的な白のユニフォーム(白い襟付きのシャツ、白いズボン、帽子、気温の低いときはベストまたはセーターを着用することもある)に赤のボールを使用し競技を行うが、プロフェッショナルチームのワン・デー・マッチでは、着色されたユニフォームに白のボールを使用する。

近年では、国際試合でも、着色されたユニフォームを着用することもある。白いユニフォームの着用は、スポーツ競技として潔白を表す白色とともに、夏季に開催されるクリケットの試合で、日差しを避ける意味がある。

野球との相違点[編集]

競技で使用されるボール。コルクの芯をウールと皮で巻きつけた作り。非常に硬い。野球の硬球と同程度 女子用140 - 151g 男子用156 - 163g
ウィケットキーパーが使用するグローブ
路上でクリケットを行うインドの少年

クリケットは一見野球と似ており、投手が投げたボールを打者が打ち、打ったボールがフィールドを転がる間に打者が走って点を重ねるスポーツである。

一方、野球との相違も多く、代表的な点としては

  • 投手は助走を付けられるが、肘は伸ばして投げなくてはいけない。
  • 打者は投げられたボールがノーバウンドであろうと、ワンバウンドであろうと構わず打つ。
  • 打者は全方位どこに向かって打ってもよい。
  • 後ろに立つ3本の棒(ウィケット、三柱門と書かれている時がある)に投球が当たるとアウト。
    • 3ストライクなどではなく、ウィケットに1球でも投球が当たればアウト。
    • そのかわりアウトにならなければ、何球でも打者は打てる。
  • 打者はペアを組んで打撃し、投球をいくら見送っても良く、打って走らなくてもいい(但し、得点するためには走る)。

などの違いがある。

また、道具にも違いがあり、バットは棒形ではなく平たいオール型をし、グローブは捕手のみが着用を許され、両手に付けることができる。

クリケットを扱った作品[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ a b 日本クリケット協会. “クリケットの特徴”. 2012年7月24日閲覧。
  2. ^ Lord's. “Laws - Laws of Cricket - Laws & Spirit”. 2012年7月24日閲覧。
  3. ^ CricketArchive. “full list of ICC member countries”. 2012年7月24日閲覧。
  4. ^ クリケットスタートアップ・キャンペーン日本クリケット協会
  5. ^ John Major, More Than A Game, HarperCollins, 2007
  6. ^ a b John Leach (2012年6月19日). “From Lads to Lord's”. 2012年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月24日閲覧。
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  8. ^ Birley, op. cit.
  9. ^ Altham, p.21
  10. ^ Bowen, p.33
  11. ^ David Terry. “The Seventeenth Century Game of Cricket: A Reconstruction of the Game (PDF)”. 2012年8月20日閲覧。
  12. ^ Gillmeister's theory is summarised in the introduction to the book The Language of Cricket by John Eddowes, ISBN 1-85754-270-3.
  13. ^ David Underdown, Start of Play, Allen Lane, 2000, p.3
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  15. ^ Timothy J McCann, Sussex Cricket in the Eighteenth Century, Sussex Record Society, 2004
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  17. ^ National Museum of Australia. “The Australian Eleven: The first Australian team”. 2012年8月23日閲覧。
  18. ^ Neville Cardus. “Six giants of the Wisden century”. ESPN CricInfo. 2012年8月23日閲覧。
  19. ^ a b 『黒執事』第17巻 173頁2コマ目
  20. ^ インド版『巨人の星』:Suraj The Rising Starのサイト(英語)
  21. ^ 「インド版巨人の星」が放映 大リーグ養成ギプスも登場 (2012.12 MSN産経ニュース)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

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