スクール水着

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スクール水着と水泳帽を着用した男女
(男子用はボックス型、女子用は競泳タイプ)

スクール水着(スクールみずぎ)とは、日本小学校中学校高等学校における体育授業水遊び、浮く・泳ぐ運動、水泳用に使われている水着を指す俗称である。

略称ではスク水(すくみず)と呼ばれる。

概要

第2次世界大戦後、新たな学校制度が発足し学習指導要領が定められると、小中学校及び高等学校の体育及び保健体育の授業内容として「水遊び」(小学校低学年)・「浮く・泳ぐ運動」(小学校中学年)・「水泳」(小学校高学年・中学校・高等学校)が事実上の必修科目となった[1]。これに伴い、市販の水着では学校の授業としての水遊び・浮く泳ぐ運動・水泳に用いるには必ずしも形状、機能等において、適切ではないため、当時の公式競技に用いられている水着を参考に、学校の授業で用いるに相応しい形状、機能を持った水着の制定が進められ、製造メーカーによる微妙な差異はあるものの、全国でほぼ共通の形状、機能を持ったものが「学校指定水着」として定着していった。

定着してゆくに伴い「学校指定」「学習用」という意味から“スクール水着”の呼称が発生し、俗語として定着した。小学校に関しては制服や標準服を導入している地域と導入していない地域が偏在しているが、スクール水着は短期間しか授業を行わないか全く授業を行わない北海道を除くほぼ全国で採用されている。

特徴

材質はナイロンポリエステルなどの化学繊維が大部分である。全体を単色としている物が多く、色は紺か黒がほとんどである[2]。水中での安全確保を目的として目立つ色が取り入れられているが、漁場などが近場にある場合は、漁協団体などからの要請により、目立つ色が入れられるケースがあった。

裏面は男子用は股布、女子用には股布と胸当て裏布が縫い付けられている。

種類

男子用の水着

競泳型(スパッツ型)
ボックス型
ビキニ(ブリーフ)型

後述するシャインガード・ラッシュガードを着ない場合は上半身下半身のみ着用し、大部分が競泳型、ビキニ型、サーフ型の3種類である。男子用のものは特に「スクール水着」とは区別せずに男性用水着の俗称である「海水パンツ(海パン)」と呼ばれる場合が多い[3]

基本は紺もしくは黒の単色だが、それに限らず様々な色が使用されているものもある。

競泳型

  • ボックス型」や「スパッツ型」とも呼ばれている。泳ぎやすさなどを考慮し、このタイプを採用・推進している学校が多い。
  • 素材としてナイロンやポリエステルなどを使用していることが多い。伸縮性が高く、水の抵抗を抑えるために肌と密着し締め付けの強いものが一般的。密着しているため男性器など太ももから股にかけて体のラインが顕著に現れるのが特徴である。
  • 従来は股下0-1分丈前後が主流だったが、後に股下2-3分丈前後のミドルトランクス型や股下4-5分丈前後のロングトランクス型も登場して、体操着半ズボンからハーフパンツへ移行するのと同様に、ミドルトランクス型やロングトランクス型が普及していった。

ビキニ型

  • ブリーフ型とも呼ばれ、丈が無い。
  • ボックス型に比べるとやや伸縮の良いスパンデックス素材を使用していることが多い。
  • 一般的な競泳水着にロゴを入れるなどして使用することもある。
  • 後に学校ではあまり使用されない傾向になる。

サーフ型

2000年代頃に登場した、体操服の下としての短パンとほぼ同じ形をした水着。他の水着と違い、肌に密着しておらず、男性器の膨らみが目立たない。中にサポーターが縫いつけられているものもある。裾は短い物から長いものまであり、体操着で半ズボンからハーフパンツへの移行するのと同様に裾の短い物から裾の長いものへ需要が変わってきている。肌との密着性が低く水遊び・浮く泳ぐ運動・水泳の授業では適さないため、学校指定品として採用されている学校は少ない。

女子用の水着

基本形状はスパッツ型・スカート型を除いてワンピース型であり、年代が進むにつれてモデルチェンジが行われ、旧旧・旧・新・競泳・スパッツ型の5タイプに大別できる。女子用のものと同じく基本は紺もしくは黒の単色だが、それに限らず様々な色が使用されているものもある。

1990年代まではワンピース型が主流だったが、2007年には販売枚数ベースでセパレーツ型とワンピース型の比率は7対3へと変わってきている。これは、セパレーツ型は用便が容易になるほかにボトムに股下があり、これは体操着で股下のないブルマーが股下のあるハーフパンツへ移行していったのと同様である[4]。一方で、大人もターゲットにしたワンピース型スクール水着も登場している[5]。セパレーツ型・オールインワン型は価格面ではワンピース型に比べて200-300円高くなるが、機能性・防犯性を考えて選ばれているようである[6]

旧旧タイプ(旧旧型)

「学校指定水着」というものが制定された時期に開発されたものの1つで、使用されていた期間は後述の旧タイプに比べて短い。

  • 旧タイプの登場以前に存在していた型で、外見上の大きな違いはスカートが後ろにも存在するところである。「旧タイプ」という名称が一般化してから話題に上ったもので、より古い型ということで「旧旧タイプ」「旧旧スク水(きゅうきゅう-すくみず)」という呼称されるようになった。
  • 外観は旧タイプに近似しているが、内部構造は全く異なっており、 スカート状の上半身部とブルマー状の下半身部が分離している。上半身部は脇の下あたりまでめくり上げることが可能であるが、上半身部内側に全周にわたり裏布が配してあり、その裏布に下半身部上端が縫い合わされているため、上半身部をめくり上げても肌が露出することはなく、また下半身部のみを脱ぐことはできない構造となっている。
  • ボトムラインは旧タイプよりもゆるやかなローレグである。
  • 現在(2010年代時点)、上記のような構造は、「チュニック」や「Aライン」などと呼ばれるタイプの女児遊泳用水着で見ることができる。

旧タイプ(旧型)

女子用の水着 旧タイプ

「学校指定水着」というものが制定された時期に開発されたもので、「スクール水着」と呼ばれるものの代表的なものの一つである。古くから存在するタイプのため「旧型スクール水着」と呼称され、それを略して「旧スク(きゅうすく)」と呼ぶ例も多い。

  • 前身頃の股間部の布が下腹部と一体ではなく分割されており、下腹部の裏側で重ねられて筒状に縫い合わせてある。前から見るとスカートのように見えるため、「スカート型」あるいは「ダブルフロント(タイプ)」と呼称される。
  • その独特の形状は機能上の要求から来たものである。その理由には「伸縮性の乏しい布地でも運動時や身長の伸びに応じてある程度伸縮を許容させるため」あるいは「胸元から入る水流を股間部で逃がすため」など諸説がある。多くは背面の形状がU字型となっている。
  • 股間部の布を下腹部ではなく、両サイドの腰部分で接合したモデルも少数存在する。
  • 素材としてナイロンあるいはポリエステルを100%使用している物が多いため伸縮性に乏しく、生地の編み方で伸縮性を持たせるために分厚い生地になることが多い。ただし、1980年代まではワイシャツのように非常に薄く、伸縮性もほとんどないナイロン100%の生地を使用したモデルも少数存在していた。これは、1970年代半ばにポリウレタン混紡素材の水着が開発されるまで主流となっていた、競泳水着のデザインと素材を踏襲したものである。

新タイプ(新型)

1980年代から主流になった型で、「旧型」と並び「スクール水着」と呼ばれるものの代表的なものの1つである。

  • ボトム形状は一般的なワンピース水着と同様、前部の布と後部の布が底部で縫い合わされた構造となっており、股間部が分割されていない。背面の形状はU字形だけでなく、レーサーバックと呼称されるY字形を採用した製品も多い。
  • 下半身部の形状は競泳タイプにある程度類似するが、競泳タイプに比べ伸縮性が乏しく旧タイプとあまり変わらない素材を使用しているものも多いので、競泳タイプよりゴワゴワするものも多い。
  • 通販カタログ誌等では「ラン型[7]」という略称で販売されていることがある。ラン型とは“ランニング型”の略で、後述の「競泳型」に対して生地が厚めで肩紐が広く、上半身部分がランニングシャツに似ていることからの命名である。

競泳タイプ(競泳型)

合成繊維技術の発展や水泳競技への科学的分析が取り入れられるのに伴って競技用水着が進歩するのに従い、それらの進歩を取り入れたもの。1980年代前半頃の競泳水着のデザインを踏襲しており、ボトムラインがローレグで背中の開きも広くない製品が多い。基本的に競泳用水着と素材は同一であり、「旧型」及び「新型」に比べて生地が薄い。肩紐や縁に白色その他の色のパイピングが施されているものも多く、総じて「スクール水着」と呼ばれるものの中ではそれほど地味ではない。

  • 旧タイプや新タイプとは異なり、基本は紺や黒の単色だが、それらのみに限らず様々な色が用いられているものや、幾何学的な模様がデザインされているものも多い。
  • 一般的な競泳水着に学校のロゴを入れたりオリジナルデザインにするなどして、スクール水着として使用することもある。その場合、ベースとなった競泳水着によってはボトムラインがややハイレグとなることもある。台湾では比較的大きなハイレグカットを導入した例もあるようである。
  • 新タイプが「ラン型」と呼称されるのに対し、競泳タイプは「キャミ型[8]」という略称で販売されていることがある。前述の「ラン型」に対して生地が薄めで肩紐が細く、上半身部分がアウターキャミソールに似ていることからの命名である。

スパッツタイプ

2000年代頃になって登場した、従来の形状のもののボトムラインをスパッツ状としのある形状としたタイプ。丈の短いタイプは股下0-1丈前後から長いタイプは股下4-5分丈前後まである。「ユニタード水着」と呼称される場合もある。ワンピース型の他にトップとボトムを分割しセパレーツ型としたり、トップに半袖を追加したタイプも登場している。

スカートタイプ

2000年代頃になって登場した、従来の形状のものに腰から下を覆うミニスカート様の飾り布をつけた形状としたタイプ。「スクールチュニック水着」あるいは「パレオタイプ」と呼称される場合もある。飾り布がある他は構造は競泳タイプ、あるいはスパッツタイプと同一のデザインとなっている。飾り布は脱着ができる製品とできない製品が存在する。ワンピース型の他にトップとボトムを分割しセパレーツ型としたタイプ[9]も登場している。

サーフタイプ

2000年代頃になって登場した、ボトム部分が体操服の下としての短パンとほぼ同じ形をした「ガールズサーフ」と呼ばれる水着[10]。他の水着と違い、肌に密着しておらず、ボトム部分の体型が目立たない。裏布やサポーターは縫い付けられていないため単独では使用されず、水着の上に穿く[11]


付随品

水泳帽子

  • 学校の水遊び・浮く泳ぐ運動・水泳授業では必ず水泳帽が用いられる。衛生面のほか、髪の毛による循環濾過式プールのフィルター目詰まりを防止するのが主な理由だが、学年や泳力を区別するための目印として色分けされたものを着用する場合も多い。

水泳帽子の素材

  • 1980年頃まではナイロンタフタやナイロンサテン素材が主流で、頭の上に乗せるだけのデザインである男子の水泳帽とは対照的に、女子の水泳帽はあご紐付きの、被ると耳の隠れるフード型で、男子に比べ長く伸ばす傾向のある頭髪を中に収められるように頭部をすっかり覆うもので「海水帽子」とも呼ばれ、色は赤が主流だった。
  • このタイプの水泳帽は戦前から用いられていたが、後に全く見かけなくなった。これはシリコーンゴムやメッシュ素材のようなシンプルなものに比べ、裏地(ナイロンメッシュや、半透明ビニール素材)があり、また、帽子の周囲にゴムを通してあるので製造工程も複雑で、大量生産が難しくなったのと、価格の安いシンプルな物、競泳タイプのものなどが相次いで登場し、このタイプの学校での需要が減ったためである。
  • 現在(2010年代時点)、シリコーンゴム、ポリウレタン、ナイロンメッシュ素材のような実用的なものが中心である。

下着・サポーター

男女とも小学校高学年頃まで(女子は小学校中学年頃以下でもサポーターを着用する場合がある[12])は直にスクール水着を着用するが、小学校高学年頃以降になるとスクール水着の下に水着用の下着となる水着用サポーターを着用[13]する者が多くなる。

シャインガード・ラッシュガード

  • 屋外プールでの水泳授業の場合の紫外線日焼け対策や気温・水温が低い場合の冷え対策、男子の上半身裸や女子の腋の下などを他人に見せたくないなどとしてシャインガード・ラッシュガードを着用する場合がある。女子は水着の上に着用するか、セパレーツ型水着のトップ側として着用(トップ側の水着は着用しない)し、男子も上半身裸では無くなり、男女間で遜色のない姿となる場合もある。

その他

着替え方

水着に着替えるまたはその逆の際、プライベートゾーンを露出させる必要があることから、ラップタオルを用い更衣を行うことが多い。小学校低学年を中心に男女同室で着替えさせる学校もあるが、思春期の女子を中心にラップタオルを用いての着替えでも、精神面で苦痛になりやすいため、男女を別室で着替えさせる学校が多い。ただし、通常その対策は学校によって様々であり、専用の更衣室が用意されている学校もある。

小学校1年生では迅速にラップタオルを使って着替えられるように練習させる場合もある[14]

また、スクール水着を家庭で着用、その上に衣類を着た上で登校する児童もいる。

学校以外

グラビアアイドルなどがスクール水着を着用して撮影した作品があるほか、ポルノ作品等で、性的ロールプレイとしてスクール水着を着用するといったものも存在する。

参考文献・資料

  • 『よいこの萌えっ娘!スク水!!―秋葉系コンセプトビジュアルブック(コアムックシリーズ 548)』(ISBN 978-4864361415コアマガジン 2011内 コラム「スクール水着大解剖 」(著:有村悠) 

脚注

  1. ^ ただし、「水泳の指導については、適切な水泳場の確保が困難な場合にはこれを扱わないことができるが、水泳の事故防止に関する心得については、必ず取り上げること」とされているため、全国すべての小中学校、高等学校において、必ず水泳の授業が行われているわけではない。
  2. ^ 日本の漫画やアニメーション、コンピューターゲーム等のサブカルチャー系創作物には白色のスクール水着、俗称「白スク(しろ-)」と呼ばれるものが描かれることがあり、実際にアダルト系コスプレ用品として販売されていることがあるが、学校指定衣服としての“白色のスクール水着”の存在は確認されていない。
  3. ^ 単に「スクール水着」と呼称/表記した場合、女子用のもののみを指している場合があるので注意が必要である。
  4. ^ “スクール水着”最前線、今や「ワンピース型」は少数派になっていた!2013年5月24日 日経トレンディネット)
  5. ^ 着る人を選ぶ!? オトナの女性もターゲットにしたワンピース型スクール水着(2013年6月7日 日経トレンディネット)
  6. ^ スクール水着に関する記事が産経新聞夕刊に掲載されました|フットマーク株式会社
  7. ^ 商品名としては「ラン型ワンピース水着」「ラン型女児水着」という名称が用いられている。
  8. ^ 「キャミ型ワンピース水着」「キャミ型女児水着」といった商品名が用いられている。
  9. ^ パイピングセパレーツ下|フットマーク株式会社
  10. ^ ガールズサーフ|フットマーク株式会社
  11. ^ 体型を隠せる女子スクール水着・ガールズサーフ新登場!
  12. ^ LOVE ACTION MARKET・キッズ用・水着素材のインナーショーツのようにメーカーによっては小学校中学年頃以下の女子でも対応している場合がある。
  13. ^ 水着用インナー(男子)水着用インナー(女子) フットマーク。男子の各インナーは「アンダーヘアーなどが気になる高学年からお使いいただけるS-5L展開」、女子のレディースBOXショーツ・レディースレギュラーショーツ・女子スイムガードルは「アンダーヘアーなどが気になる高学年からお使いいただけるS-5L展開」と記載。
  14. ^ 1年生◎はじめての水着

関連項目