スクール水着
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
スクール水着(スクールみずぎ)とは、日本の小学校から高等学校までの体育教育における水泳用に使われている水泳着(水着)を指す俗称である。略称では「スク水」(スクみず)と呼ばれる。
目次 |
[編集] 全般
競泳用水着と比較するとやや活動性に欠ける仕立てである。色は紺や黒が多く、青や水色・緑・赤、あるいはえんじなどを採用し学年色・学校色としている例も多い。1980年代初頭ごろまでは白地に学年色をストライプに配色した派手なデザインも一部でみられたが、一般的には全体を単色としたり、縁取り・ライン・切り返しなどをシンプルに配しただけの地味なデザインとしているのがほとんどである。
近年では事故防止のため、水中ではっきりと目立つようにオレンジ色とする場合が増えている。材質はほとんどがナイロンやポリエステルなどの化学繊維である。全国のほとんどの初等・中等教育機関において、類似品が指定品として用いられている。日本のみならず東アジアでは共通のものといわれる。
[編集] 種類
[編集] 女性用の水着
ほとんどがワンピース型であり、女子生徒用の水着は近年モデルチェンジが進み、旧・旧旧・新・競泳・スパッツ型の5タイプに大別できる。
[編集] 旧タイプ
- 前身頃の股間部の布が下腹部と一体ではなく分割されており、下腹部の裏側で重ねられて筒状に縫い合わせてある。前から見るとスカートのように見えるため、スカート型あるいはダブルフロントと呼称される。また、古くから存在するタイプのため「旧型スクール水着」と呼称され、それを略して「旧スク」と呼ぶ例も多い。
- その独特の形状はもちろん機能上の要求から来たものだが、その理由には「伸縮性の乏しい布地でも運動時や身長の伸びに応じてある程度伸縮を許容させるため」あるいは「胸元から入る水流を股間部で逃がすため」など諸説がある。多くは背面の形状がU字型となっている。
- 股間部の布を下腹部ではなく、両サイドの腰部分で接合したモデルも少数存在する。
- 素材としてナイロンあるいはポリエステルを100%使用している物が多いため伸縮性に乏しく、生地の編み方で伸縮性を持たせるために分厚い生地になることが多い。ただし、1980年代まではワイシャツのようにとても薄く、伸縮性もほとんどない生地を使用したモデルも少数存在していた。
- 今日では水中での安全確保を目的として教育側より目立つ色が取り入れられているが、漁場などが近場にある場合は漁業共同組合からの要請により、目立つ色が入れられるケースがあった。
[編集] 旧旧タイプ
- スカート状の上半身部とブルマー状の下半身部が分離している、旧タイプの登場以前に存在していたタイプ。外見上の大きな違いはスカートが後ろにも存在するところ。「旧タイプ」という名称が一般化してから話題に上った、より古い型ということで「旧旧タイプ」と呼称されることが多い。
- 内部構造は全く異なっており、上半身部は脇の下あたりまでめくり上げることが可能である。ただし上半身部内側に全周にわたり裏布が配してあり、その裏布に下半身部上端が縫い合わされているため上半身部をめくり上げても肌が露出することはなく、また下半身部のみを脱ぐことはできない構造となっている。
- ボトムラインは旧タイプよりもゆるやかなローレグである。
- 後述のサブカルチャーにおける作品中で描かれることが多いタイプではあるが、命名の経緯からも分かるように、ほとんどの人は認識すらしていないタイプなので、旧タイプのデザインを誤認して描いている場合が大半であると思われる。
[編集] 新タイプ
- ボトム形状は一般的なワンピース水着と同様、前部の布と後部の布が底部で縫い合わされた構造となっており、股間部が分割されていない。背面の形状はU字形だけでなく、レーサーバックと呼称されるY字形を採用した製品も多い。
- 下半身部の形状は競泳タイプにある程度類似するが、競泳タイプに比べ伸縮性が乏しく旧タイプとあまり変わらない素材を使用しているものも多いので、競泳タイプよりゴワゴワするものも多い。
[編集] 競泳タイプ
- 基本的に競泳用水着と素材は同一で、スクール水着の中ではさほど地味ではない。基本的に1980年代前半頃の競泳水着のデザインを踏襲しており、ボトムラインがローレグで背中の開きも広くない製品が多い。紺や黒に限らず、色々な色を使用することが多い。
- 一般的な競泳水着に学校のロゴを入れたりオリジナルデザインにするなどして、スクール水着として使用することもある。その場合、ベースとなった競泳水着によってはボトムラインがややハイレグとなることもある。台湾では比較的強いハイレグカットを導入した例もあるようである。
[編集] スパッツタイプ
- 近年になって登場した、ボトムラインをスパッツ状とし太腿を半ばまで覆う形状としたタイプ。「ユニタード水着」と呼称される場合もある。トップとボトムを分割しセパレーツとしたり、トップに半袖を追加したタイプも登場している。
[編集] 男性用の水着
大部分がトランクス型(ボックス型とも呼ばれる)とビキニないしはブリーフ型の2種類である。男性用のものは「海水パンツ(海パン)」と呼ばれる場合が圧倒的に多く、「スク水」と呼ばれることはまずない。
[編集] ボックス型
- 素材としてナイロンやポリエステルなどを使用していることが多い。
- 伸縮性に乏しい素材を使用しているものと一般の競泳用水着と同様に伸縮性の強いものの両方があり、どちらも同じぐらい存在する。
- 近年、裾の長めの物が発売されている。
[編集] ビキニ・ブリーフ型
- ボックス型に比べるとやや伸縮の良いライクラ素材を使用していることが多い。
- 一般的な競泳水着にロゴを入れるなどして使用することもある。
[編集] トランクス型
- 近年登場した、短パンとほとんど同じ形をした水着。他の水着と違い、肌に密着しておらず中にサポーターが縫いつけられている。裾にも余裕があるのが特徴。
- 素材としては綿が多い。
[編集] 下着・サポーター
- 第一次性徴期の男女は身につけないことが多い。スクール水着の多くは裏布(股布・胸当て裏布)が縫いつけられており、それが下着代わりになっている。裏布の色は白、あるいはベージュとなっていることが多いが、水色や本体と同色としたモデルも一部で存在する。女性用の場合、上下で裏布の色が異なっている場合もある。この場合、多くはどちらか一方が本体と同色となっている。
- 第二次性徴期以降は男女の性器や陰部、女子の乳房が発達するにつれて、裏布だけでは男女の性器や陰部の膨らみが目立ったり、女子の胸ポチが現れるなどをして下着の機能を果たせなくなるため、スクール水着の下に水着用サポーターを着用する。男女の性器・陰部、女子の乳房の発達には個人差があるため、着用し始める時期も個人差がある。
[編集] 水泳帽
学校の水泳授業では必ず水泳帽が用いられる。衛生面のほか、髪の毛による循環濾過式プールのフィルター目詰まりを防止するのが主な理由だが、学年や泳力を区別するための目印として色分けされたものを着用する場合も多い。
現在はシリコーンゴムやポリウレタン、ナイロンメッシュ素材のような実用的なものが中心であるが、1980年頃まではナイロンタフタやナイロンサテン素材が主流で、頭の上に乗せるだけのデザインである男子の水泳帽とは対照的に女子の水泳帽はあご紐付きの、被ると耳の隠れるフード型で、男子に比べ長く伸ばす傾向のある頭髪を中に収められるように頭部をすっかり覆うものであった。このタイプの水泳帽は戦前から用いられていたが、現在では全く見かけなくなった。これはシリコーンゴムやメッシュ素材のようなシンプルなものに比べ、裏地(ナイロンメッシュや、半透明ビニール素材)があり、また、帽子の周囲にゴムを通してあるので製造工程も複雑で、大量生産が難しくなったのと、価格の安いシンプルな物、競泳タイプのものなどが相次いで登場し、このタイプの学校での需要が減ったためである。
[編集] 着替え方
着替え時に服を全部脱いで裸になることから、中学年くらいから性的羞恥心に配慮して男女別室で教室もしくは専用の更衣室など使用するなど学校によってさまざま。他人に性器(女子の着替えは胸も)を見せるのを防ぐ目的でラップタオル(巻きタオル)を使用する場合が多く、学校側から勧められるケースもある。男子はタオルの大きさに応じて腰で巻き、女子は首に巻き、首から膝までを隠した上で着替える。
水泳の授業が午前中にある場合は、男女とも服の下に水着を着用して登校する人がいるが(着替え用のパンツを忘れるハプニングもある)、これを禁止している学校もあれば、水泳授業の時間確保から水泳前の着替え時間を省略(水着を既に着ている場合は服を脱ぐ時間だけでよい)できるので導入している学校もある。

