萌え属性
萌え属性(もえぞくせい)とは、萌える対象の属性(特徴や特性)を指す言葉であり、「萌え」を語る上で用いられる。用法は大きく分けて2通りあり、萌えを感じる「ファンの特性(嗜好)」を表す場合と、萌えの対象となる「キャラクターの性質や特徴」を表す場合とがある。1990年代後半頃に形成され始め、2000年代に入り一般的なものとなった概念である。
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[編集] 萌え属性の概念
萌えを感じる「ファンの特性」を表す場合、「彼はツインテール(の女の子)に萌える」ということを「彼にはツインテール属性がある」のように表現し、各々の好み(属性)を区別するある種の「識別タグ」に準じたものとして使用される。また、萌えの対象となる「キャラクターの性質や特徴」を表す場合は「ウィキペたんはメイドと幼女の属性を併せ持っている」のように用いられる。
何に「萌え」を感じるかは各人の価値観に左右されることから「萌え」の適用範囲は広く、その対象の特徴である個々の「萌え属性」もまた多彩である。
なお、東浩紀は、「ファンの特性」ではなく「キャラクターの性質や特徴」を表す場合については、「萌え要素」と呼び分けることを提唱している。
[編集] 代表的な萌え属性
[編集] 対人関係における「萌え属性」
[編集] 妹萌え
漫画・アニメ・ゲームソフトなどのメディアでは、萌え属性が確立される以前からすでに「妹属性」と呼ぶに相応しい分野が確立しており、「萌え」の対象として広く扱われてきた。初出は不明だが、ネット上では1990年代後半にはすでに使用が開始されていたとする説が有力である[要出典]。
特徴として、「兄(主人公)を頼り、甘えてくる妹」に対する保護欲を刺激され、ある種の恋愛感情に発展させるケースが多く見受けられるが、近年はツンデレのように状況次第で態度が変化するケースもあり、シチュエーションは多様化しつつある。ただ、いずれの場合でも「兄(主人公)に絡んでくる妹」に対する属性という点では共通していると言える。また、(戸籍上の)兄妹に限らず、単に「お兄ちゃん」と呼び慕ってくる年下の幼馴染がヒロインとなるケースも見られる。
1970年代の特撮『鉄人タイガーセブン』の青木ジュン(他人)にもこの傾向は見られ、1980年代中頃にもこの系列の漫画やアニメ作品が数多く存在している。代表的なものとしてはテレビアニメ化された漫画『みゆき』の若松みゆき(義妹)、アダルトアニメ『くりいむレモン 媚・妹・Baby』の亜美(義妹)、テレビアニメ『マシンロボ クロノスの大逆襲』のレイナ・ストール(実妹と思われていたが、後日談を描いたOVAでは義妹とされた[1])、テレビアニメ『機動戦士ガンダムΖΖ』のリィナ・アーシタ(実妹)やエルピー・プル(他人:会って1年未満)などがある。
1999年3月号から電撃G'sマガジンの読者企画として開始された『シスター・プリンセス』(一部のゲーム版では、進め方によって設定が実妹か義妹へ変化する)や、1999年6月に発売されたアダルトゲーム『加奈 〜いもうと〜』といった作品が「メディアミックス戦略において“妹萌え”を明確な形で示した」作品として有名である。また、1995年1月に発売されたアダルトゲーム『同級生2』の鳴沢唯(親同士が結婚していないので、戸籍上は単なる同居人)が爆発的なヒットを記録し、2000年頃から「妹萌え」を前面に押し出したソフトが大量に生産されるようになったことで「妹モノ」という1つのジャンルが確立されたと言える。これを扱った作品は多く、『D.C. 〜ダ・カーポ〜』(2002年)、『Gift 〜ギフト〜』(2005年)、『夜明け前より瑠璃色な』(2005年)といったアダルトゲームのほか、同人ゲーム『月姫』など、挙げればきりがない。このように妹を扱ったゲームは「妹ゲー」などと呼ばれたが、当時これらの作品に登場する“妹”たちは、ほぼ全員が義理の妹であった。
1998年にアアルより発売された後、ソフ倫の審査によってアダルトゲーム『コ・コ・ロ・・・』が「近親相姦、児童虐待など、公序良俗に反する描写が多い」として発売禁止・回収処分になる騒動があり、これ以降は血族による近親相姦を扱う描写は2004年まで禁止されていた。このため、『腐り姫』(2002年)のようにホラー要素を盛り込みながらも近親相姦の関係は仄めかすに過ぎないという作品も存在した。だが、2010年現在のソフ倫では「実妹」に対する近親相姦の描写は禁止されていない。中にはアニメ化もされた『ヨスガノソラ』(2008年)のように、2009年~2010年に連載された漫画版では実妹が完全にメインヒロイン扱いされるなど、メディアミックスによって実妹のルートが脚光を浴びた事例も存在する。
漫画作品では池田理代子の『おにいさまへ…』など、少女漫画の世界でも昔から定番のテーマとして「妹が兄を慕う」物語は数多く描かれている。また、『ラブひな』や『ながされて藍蘭島』など、義理の妹が登場する作品も多く、出生が主人公より早いのに見掛けが若く妹として扱われるヒロインが登場する『Happy World!』という作品も存在する。心理葛藤系の作品としては『恋風』が正統派作品として発表されている。
実写映画作品では2006年に東宝で公開された『涙そうそう』が、妹萌えに該当する。
また、近年ではこの客層を狙ったコスプレ喫茶も増えている。なお、妹萌えの関連語としてはシスターコンプレックス[2]が挙げられる。
なお、妹的存在は必然的に年下となるため、いわゆるロリコン嗜好の派生の一種とも言われることがある。しかし、この場合は幼さではなく妹という存在自体に対する感情であるので、同一ではなく別の、むしろ近親相姦に近い感情であると言える。
[編集] 姉萌え
「妹萌え」の対極に位置する形で「姉属性」「姉萌え」と呼ばれるジャンルも同様に普及し、こちらも「萌え」の対象とされることが多い。初出は不明だが、ネット上では1990年代後半には使用が開始されていたとする説もある[要出典]。
特徴として、先述の「妹萌え」とは逆に母性本能を感じさせて甘えたくなるような年上のキャラクターに対する恋愛感情として扱われるケースが多いが、「妹萌え」のように最初からキャラクターが主人公に好意を抱いて甘えてくるというわけではないため、主人公のアプローチを通じて次第に恋愛感情を抱くようになるケースが多い。
「妹萌え」と異なる点として、女性看護師や家庭教師を含む女性教師、学校での先輩など、その他いわゆる「お姉さん」と言われるような女性も含めるほど広い範囲において適用されている。また、対象となるキャラが主人公よりも年上であるため、どちらかというと主人公受けの傾向が強い。
「姉萌え」という用語が浸透する以前から年上のキャラクターは存在していたものの、この用語が一般化するようになったきっかけとして、2001年のアダルトゲーム『秋桜の空に』に登場する桜橋涼香が先駆け的存在になったと言われている。2003年の『お姉ちゃんの3乗』では姉萌え路線を継承かつ発展させ、同年発売の『姉、ちゃんとしようよっ!』も注目を浴びたことが少なからず影響していると考えられている。これらの作品に限らず、年上の女性=姉(のような女性)が絡む作品も多数制作されている。このように姉を扱ったゲームは「姉ゲー」などと呼ばれる。
漫画作品で「姉萌え」を扱った作品には『機工魔術士-enchanter-』、『ツバメしんどろ〜む』などがある。
また、マーケティングの分野でも松下電器産業がきれいなおねえさんに扮する女優を起用して美容関連の商品を世に送り出している。しかし、これは「姉萌え」という単語が誕生する以前から使用されてきたものであり、この用語そのものとの関連は皆無である。
[編集] 兄萌え
「兄萌え」は少女漫画の評論で頻繁に使われる用語であり、多くは女性から見た兄の像として見受けられる。この場合「妹萌え」の逆の視点から発展した(“妹”の視点から描かれた)ものとも考えられるが、女性の場合「胸キュン」に近い感情に相当するとされる。この系列には少女漫画の『僕は妹に恋をする』、『天使禁猟区』などがある。
男性がこの用語を使うことは少ないが、『兄ふんじゃった!』など使っても違和感のないものも少なくない。しかし、これに関して週刊少年サンデーではこの用語が女性の萌えであり、「ボーイズラブ」や「同性愛」とは一線を画したものであるという見解を取っている模様である。
意味としての同意語には、「ブラザーコンプレックス」がある。また、近年では恋愛シミュレーションゲームにも妹が兄の恋人に対して嫉妬する展開を描いた作品が増える傾向にある。
[編集] ショタ萌え・弟萌え
「弟(的存在)」を含め、年下の少年に対して性的関心を抱く性向のこと。ショタコンと同義。ボーイズラブやショタゲーによく見られる。また、女装した少年や女性的な少年に対して萌えを抱く場合は主に女性に多く見られるが、「ショタ萌え」はボーイズラブの一種として描かれることが多く、それゆえにハードゲイ(同性愛)と間違われることも多いため、一般に受けが良いとは言えない。また、「ショタ萌え」に関するイベントは、他の属性より敬遠される傾向にある。
「弟萌え」の場合は「妹萌え」ブームの影響を受けていると見られており、対象となるキャラクターも保護欲や母性本能を刺激する「妹のような、中性的で気が弱い弟」的キャラクターであることが特徴的とされる点からも、先述の「妹萌え」と共通する部分は多いが、「年下の少年(=弟)に対して性的関心を抱く性向」という点から、「ショタ萌え」の変形・派生型の一種とも考える人も多い。アダルトゲーム『恋する妹はせつなくてお兄ちゃんを想うとすぐHしちゃうの』に登場する志木秋巳は、代表的な「弟萌え」の対象キャラとして挙げられる。また、寺山修司の著書『世界はおとうとのために』などでもこういった感性について描かれている。また、女性に限らず、男性が使用したケースも少数ながら見受けられる。
先述の「兄萌え」と同様に、同意語として「ブラザーコンプレックス」が挙げられる。
「ショタ萌え」はボーイズラブの一種(派生型)として女性を中心にそれなりの人気があるものの、「弟萌え」についてはこの題材を扱っている作品はまだ少なく、流行として扱うにはまだ不十分とする否定的な見方もある[要出典]。
[編集] 人妻萌え
人妻に対して恋愛感情・性的関心を抱く性向のこと。一部では古くから「奪う」というシチュエーション(略奪愛)が注目されており、アダルトビデオなどではこの「略奪愛」をシナリオに盛り込んだ作品がよく見られていた。
小説作品では藤原時平が藤原国経の妻を妻としたと言われることを描いた、谷崎潤一郎の『少将滋幹の母』などがあるが、これらの作品に対して好意的な見方をする評論は極めて少ない。出典は『今昔物語』とされる。アダルトゲームではアリスソフトの『妻みぐい』シリーズとその実質的な続編にあたる『妻しぼり』が有名だが、この「人妻萌え」を題材としている作品は少なく、流行として扱うにはまだ不十分とする否定的な見方もある。また、浮気や不倫など背徳的な問題を持つ題材を取り上げていることからも、萌えとして認識されるケースは少ないと言える。
[編集] 娘(息子)萌え・ママ萌え
「娘(息子)」や「母親」に対して性的関心を抱く性向のこと。「娘(息子)萌え」の場合、駄々をこねながらも言葉遣いが丁寧な娘(息子)や、頬を染める娘(息子)などが対象となる。また、子供の成長を見てほのぼのしたりもする。常識外れのロリータ・コンプレックス(「娘萌え」の場合)とも言われるが、妹萌え同様「娘(息子)」という存在そのものに対する感情であるため、むしろこの場合は近親相姦に相当すると言える。一方、「ママ萌え」は母親的存在に対する萌え(性的関心を抱く性向)とされる。「母萌え」や「母親萌え」とも呼ばれており、姉萌えと異なるのは、姉の場合はちょっと抜けているのに、母親の場合かなり完璧なところがあることが多いとされている。
「娘(息子)萌え」の場合、『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』や『コ・コ・ロ・・・』といったアダルトゲームでは「親による娘(息子)への児童虐待」という形で近親相姦を描いている作品が多く、こういった作品の中には主人公が「親による児童虐待の直接的犠牲者」として描かれている作品も少なくない。また、ネロの話や平岩弓枝の小説『日野富子』など、母親による息子への近親相姦が描かれている作品もある。
ただし、これらの「娘(息子)萌え」や「ママ萌え」といった題材を扱っている作品は極めて少ないために「萌え」として認識されることは皆無に等しく、また、ほとんどの場合は肉親(親子)間の「近親相姦」そのものを題材として児童虐待を伴う描写がなされており、“義理の親子関係”を描いた場合でも「家族間の不倫」として扱われる場合が多いことから、公序良俗に著しく反するために「萌え」として受け入れるべきではないとする否定的な見方もある[要出典]。
[編集] ビッチ萌え
ビッチとされる女性に対して性的関心を抱く性向のこと。対象が対象であるだけに、これを持つ者は愛情より肉欲を前面に押し出す傾向にある。
[編集] 脇萌え
物語の脇役でしかない女性(男性)に対して性的関心を抱く性向のこと。ギャルゲーやアダルトゲーム(ボーイズラブゲーム)においては、対象となったキャラクターが外伝や続編などでこれを反映され、攻略対象に格上げされる場合がある。
[編集] 対人関係以外の「萌え属性」
[編集] 人形萌え
漫画『ローゼンメイデン』がテレビアニメ化された際に脚光を浴びることになった、人形を主題とした性向のこと。ギリシャ神話に登場するピュグマリオンが、ルーツとされる。「ピグマリオンコンプレックス」(ピュグマリオニズム)[3]という用語もある。
理想の異性像を追求するあまり、理想と現実とのギャップに幻滅することで、現実の人間に対する恋愛感情そのものが希薄になり、自らの理想像を人形に投影・再現することによって擬似的な恋愛感情を継続させようとする傾向と言える。しかし、この「人形萌え」に関してはフィギュア嗜好との関連性も示唆されており、先述の『ローゼンメイデン』の例にも見られるように、二次元としての萌えが一旦フィギュアやカスタマイズドール[4]の形で立体化された後、二次元に逆輸入の形で持ち込まれたものではないかとする見方もある[要出典]。
吉野の奥山に庵を編み、1人で暮らしていた西行が人恋しさに耐えかね、自ら人形を作成したという伝承もある。また、滝沢聖峰の漫画『安部窪教授の理不尽な講義』でもピュグマリオニズムを題材にしたエピソードが描かれているが、このエピソードでは「オタクのフィギュア嗜好(人形萌え)とピュグマリオニズムは次元が違う」と一蹴されている。
[編集] ロボット萌え
「機械」という特性を利用し、「心の有無」「実体の有無」「生死の概念」「人間とロボットという絶対的な壁」「プログラムを超越した感情表現」など、「愛すれど決して人間同士のように結ばれることはない」という無情さ、その現実を乗り越えようとしたり挫折する過程に涙し萌えるのが主題に描かれることが多いとされる[要出典]。
漫画『鉄腕アトム』の時点で、すでにこの傾向が現れているとする分析もある。また、アダルトゲーム『To Heart』のキャラクターであるメイドロボット「HMX-12“マルチ”」、漫画『ちょびっツ』の「ちぃ」など様々な例がある。この場合はより人間に近い(あるいは人間との判別が困難な)外見を持つアンドロイドや美少女型ロボットなどを対象として用いられる例がよく見られるが、一方で大型の戦闘用ロボットなどの格好良さやリアルさを支持する文脈においても「萌え」が用いられる例もある。
テレビアニメ『攻殻機動隊』の人工知能を搭載した昆虫型ロボ(思考戦車)「タチコマ」など、明確に該当する属性はないが、声優の力と練られた発言に動作などが相まって萌えが確立されるという特異な例もある。
[編集] メイド萌え
通常、アニメやゲームなどでは「身分違いの恋」を題材にして貴族とメイドの恋(漫画『エマ』など)を描く作品が多いが、現在の日本では多くの場合に“人物”よりもメイドという職業そのものや、メイド服(典型的なエプロンドレス)に対する萌えを念頭に置いた作品が多く、漫画やアニメ、ゲーム(特にアダルトゲーム)、コスプレの題材として取り上げられることも多い。また、中にはメイドを「性奴隷(セックス・スレイヴ)」や「金持ちの私娼」という誤った形で扱い、メイド服や「メイド」という職業そのものに対するフェティシズムを抱くオタク=メイド萌えの客層をターゲットにした作品も多く作られており、このような作品内においては「血縁関係のない女性」を側に置く(最も手っ取り早い)手法として用いられている。また、近年ではストーリーや世界観に関係なく、登場人物にコスプレとしてメイドの衣装を着用させる作品も増えている。
現実においても、メイド服やそれに近い服装をウェイトレスの制服として採用する飲食店は従来より存在していたが、近年は「メイド萌え」の客層向けに特化した、いわゆるメイド喫茶が都市部を中心に増えている。
雇い主を呼ぶ時は、「御主人様」(男性の場合)か「お嬢様」(女性の場合)、または「○○(利用客の名前)様」と呼ぶことが多く、メイド喫茶でも客に対して同様の呼び方で接客する店がほとんどである。そのために前出の「妹萌え」と同様、初期の音声付きゲームに好まれて使用されたと言われる[要出典]。