男の娘

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男の娘(おとこのこ)とは、男性でありながら女性にしか見えない容姿と内面を持つ者を指す言葉[1]。服装や化粧を整え女性として生活していることも多い。現在では容姿や内面に関係なく、女装行為を行う男性の総称として広い概念で扱われており、女装行為を行う男性自身が名乗るケースも多い言葉となっている[2]おとこの娘(おとこのこ)やオトコの娘(おとこのこ)とも表記。発声すると「男の子」と区別がつかないため、それと区別するために「おとこのむすめ」と読む場合も多々ある。別の呼称として「女装美少年」や「女装男子」とも言われる(詳細は後述)。

「男の子」の「子」を「娘」に置き換えた当て字造語であり、古くは九州東海大学阿蘇校舎(現:東海大学阿蘇キャンパス)の1981年度数鹿流祭(学園祭)での配布物(サークル紹介)にも見られるが、インターネットコミュニティにおいては2000年頃から使われている。「子」を「娘」に置き換える表記は「眼鏡っ娘」などにも見られるが、「男の娘」は言葉の持つ意味合いやイメージの変化が大きい。

創作作品における男の娘[編集]

2006年9月9日にその名を冠する同人誌即売会「男の娘COSH☆H(後に「男の娘☆」へ改称)」が開催されるなど、同人誌を中心にひとつのジャンルとして認識されている。

漫画、アニメなどの創作作品内においては、「容姿が美少女少年」といった設定を指す言葉として一般に使われ、主に女装した少年・青年を指す傾向にある。また、声が萌え属性を持ち男性とは認識できないキャラクターを指しても使われる。創作作品においては「男子であることを知らない男性に恋心を抱かせる」といったストーリーが多く見られる。

男の娘に該当する性質を備えたキャラクターは2000年代以前の過去の創作作品においても存在し、1980年代では週刊少年ジャンプで連載されアニメ化もされた漫画『ストップ!! ひばりくん!』の主人公「大空ひばり」、1990年代においては月刊コロコロコミックで連載された漫画『バーコードファイター』のヒロイン「有栖川桜」が代表例として挙げられている[3]

現在では漫画、アニメだけでなくアダルトゲームにおいて攻略対象ヒロインとして登場することも多く、脳内彼女の『女装山脈』のように攻略対象ヒロイン全員が男の娘という作品もある。また『処女はお姉さまに恋してる』や『るいは智を呼ぶ』のように主人公が男の娘である作品もあり、その場合人気投票で主人公がヒロインを抑えて1位になってしまうこともある。

男の娘の年齢と性別[編集]

男の娘に該当するのは創作作品では「男の子」と呼ぶにふさわしい年齢である小学生やティーンエイジャーくらいまでが定番であったが、現実では成人も含まれる(ただし、『』という漢字を使用するためにそれなりの若年であることが求められる)。

男の娘は、医学的な性転換の有無、性的指向が「同性愛」であるのか「異性愛」であるのかは重視されない。男の娘とは外見のことであり、内面やセクシャリティは関係なく、問い正すのは御法度とされる(男の娘の由来はあくまでゲームであり、ゲームなどでは自由に問い正すことができない為)男の娘とは"女装"した"美"少年で、かつニューハーフや性風俗などに従事していないことがあげられる。また男の娘は、ニューハーフやオネェ、ゲイなどのような違和感のある「典型」を作らない。本人にとって自然な状態でふるまうため、普通に男性的にしゃべる男の娘もいるし、人によっては女声を研究し、女性のようにしゃべる男の娘もいて、人によって様々である。

男の娘と混同しやすい言葉として、同性愛(BL)、トランセクシャル・フィクション (TSF) 、ふたなりなどがあるが、これらは男の娘と同義ではない。現実世界においては、外見が男の娘だと判断されるような者の中にもセクシャルマイノリティ当事者とそうでない女装男性がいるが、一括りに「男の娘」と定義づける事はいささか乱暴だという意見もある。何故なら、男の娘と呼ばれる者の中にも実は性同一性障害トランスジェンダーといったセクシャルマイノリティ当事者がいる事も事実である。例え同じく男の娘と呼ばれるような容姿を持っていたとしても、それをものともせずファッションの一環として女装を嗜んでいるかどうかが重要で、性を売りにした職業などに就いていると「男の娘」と呼べない。従って、ニューハーフやゲイ、オネェなどを同一視して、一律に「男の娘」と呼ぶことにはデリケートな問題が絡む。その他、トランスジェンダーやトランスセクシャルなど、セクシャリティや性的嗜好を気にせず触れ合うことが重要である。

創作作品から現実世界へ[編集]

これまで、現実世界で女装を行う男性を「女装子(じょそこ、じょそうっこ)」と呼ぶのに対し、「男の娘」という言葉は主に創作作品の中の設定を指すことが多かったが、2010年代に入ると現実の女装男性に対しても一般誌やテレビが「男の娘」と表現することも多くなった[4]。現実世界における先駆けとして、2009年5月1日には、その名を冠するメイド喫茶、女装メイドの居るお店「男の娘カフェ&バーNEWTYPE」[5][6][7]が登場している。

2010年12月には、男の娘向けの通販サイト「Lagrangel」が設立。

2011年7月4日にはコミックとらのあなより男の娘写真集「女々男子~綺麗な男の娘は好きですか?」が発売[8]。モデルはすべてNEWTYPEのメイドが担当し、3次元でエロ要素を取り除いてグラビアが成立した例はこれが初めてとされている。過去にもあるにはあったが、ヴィジュアル的に難しいものがあり認められなかった。結果3次元では無理だと言われ、諦められていた。「女々男子」はその通例を打ち破り、一定の可能性を見出した。「女々男子」販売店では即日完売が相次ぎ、入手困難な状況に陥った。その状況を鑑みてNEWTYPEは本書に再編集をかけた「女々男子∞(エイト)」がインフォレストから2011年12月22日に一般書籍流通で発売されると発表した。

また、2011年9月30日にNEWTYPEはレーベルCiffonより「男の娘DVD」を発売し、発売日にアイドルDVDデイリーランキングで4位を獲得。1000枚を売り上げた。

2012年12月には、実写映画作品として女装の世界に目覚めた主人公をテーマにした『僕の中のオトコの[9]が公開された。

2013年5月には、NEWTYPEが男のメイク講座「NTメイクレクチャークラブ」を開講。

年表[編集]

2000年代以前には女装男性はオカマと呼称される事が多く、1990年代にはその性癖をからかわれるギャグキャラクターである中年男性や、美人に見えるが実は男であるというニューハーフがメディアに登場するようになったが、その多くは水商売などを職業としている者が多かった。2000年代に入ると女の子のような容姿で学生生活を送る男性などもメディアに取り上げられるようになった。

男の娘」と言う造語は、遅くとも2000年3月 - 5月頃にはインターネット掲示板2ちゃんねる」上で既に確認されている[10][11][12][13]。当時はキャラクターなどを形容する造語として女装少年じょそうしょうねん女装美少年じょそうびしょうねん女装男子じょそうだんし女装ショタじょそうしょた女装炉利じょそうろりロリショタなども使われており、「男の娘」はそれら造語の中でもごくまれに使われる程度であり、女装作品を現す言葉としては「女装少年」「女装美少年」が定着していた。

その後、「男の娘」という呼び方も徐々に広まっていき、2009年 - 2010年頃に「男の娘」ブームが起こると、「女装男子」としてテレビなどのメディアにおいても紹介されることとなった。

2000年代前半[編集]

2000年代後半[編集]

2010年代[編集]

関連雑誌・書籍[編集]

逐次刊行物[編集]

キャラクターブック[編集]

アンソロジーコミック[編集]

女装指南書[編集]

  • 一迅社 オンナノコになりたい! - 2007年8月24日発売(ISBN 9784758010849
  • 一迅社 オンナノコになりたい! コスプレ編 - 2008年4月18日発売(ISBN 9784758011020
  • 一迅社 オンナノコになりたい! もっともっと、オンナノコ編 - 2010年12月14日発売(ISBN 9784758012034
  • 秀和システム 女の子の声になろう! - 2009年7月24日発売(ISBN 9784798023304
  • 遊タイム出版 オトコの娘のための変身ガイド―カワイイは女の子だけのものじゃない- 2008年9月27日発売(ISBN 9784860102678
  • 遊タイム出版 続オトコの娘のための変身ガイド―女声で歌う しぐさで魅せる - 2009年11月3日発売(ISBN 9784860102753
  • 三和出版 今日からオンナノコ!! - 2009年12月7日発売(ISBN 9784776903895

関連作品[編集]

代表作にあたる作品を表記する。また、作品は発表順に記述する。

漫画[編集]

小説・ライトノベル[編集]

ゲーム[編集]

アニメ[編集]

映画[編集]

関連人物[編集]

脚注[編集]

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注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 男の娘☆」の商標登録が認められていた ITmedia、2011年11月21日
  2. ^ 男の娘☆ちゃんねる - ニコニコチャンネル
  3. ^ 女装通信 - 女装少年の系譜/第一回【メジャー漫画・2000年編】(『オトコノコ倶楽部vol.1』のコンテンツより)
  4. ^ 『ヲタドルが教える最新ヲタク用語に注目せよ!』(2/5) 2010年8月19日 X BRANDDIME
  5. ^ 女装メイドの居るお店「“男の娘”カフェ&バー NEWTYPE」 公式サイト
  6. ^ 秋葉原マップ:男の娘カフェ&バー NEWTYPE!BSD (ニュータイプ BSD) 【レポート】 (2009.11)
  7. ^ アキバ総研-アキバ系女装バー「NEWTYPE」(ニュータイプ)がオープン! 美麗男子「オトコの娘」が接客 - 秋葉原総合情報サイト (2009.5)
  8. ^ 超絶カワイイ“男の娘”が登場する写真集「女々男子」発売(東京ウォーカー 2010.6.21)
  9. ^ 僕の中のオトコの娘 -THE LITTLE GIRL IN ME- OFFICIAL SITE
  10. ^ 2ちゃんねる同人板ショタ燃え〜〜」の83レス目(2000年3月18日の書き込み)
  11. ^ 2ちゃんねる・同人板「格闘ゲームキャラ(男)誰が好き?」の21レス目(2000年5月17日の書き込み)
  12. ^ 2ちゃんねる・なんでもあり板現実の茄子姐を追いかけるスレ」の124レス目(2001年11月29日の書き込み)
  13. ^ PINKちゃんねるエロゲー板お兄ちゃん、ボク妊娠しちゃううううぅっ!」の653レス目(2002年9月18日の書き込み)※18歳未満立入禁止
  14. ^ 女装キャラオンリーイベント「計画」公式サイト
  15. ^ asahi.com:絵本もお役所も「萌え」 関連市場888億円の試算も
  16. ^ 男の娘に関係する表現なら何でもOKイベント「男の娘☆」公式サイト
  17. ^ 女装少年中心同人誌即売会「WEEDING!」公式サイト
  18. ^ MAG・ネット 〜マンガ・アニメ・ゲームのゲンバ〜
  19. ^ ☆★☆出没!アド街ック天国☆★☆今回オンエア【11位~20位】
  20. ^ ASIN B005AI0XNG, 男の娘DVD
  21. ^ ASIN B007RNXWX0, 男の娘DVD2男の娘×男の娘
  22. ^ 岬桜 通称:みさちゅ

関連項目[編集]

外部リンク[編集]